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謎の商人?あらわる-2

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

それは舞踏会の一週間ほど前のことだ。いつものように森へ気分転換に出かけたシンデレラは、ひとりの男性に声をかけられる。


「ご令嬢!もしやあなたは、アスター男爵家のシンデレラさまではないでしょうか?」


シンデレラは驚いて立ち止まった。この森で人に会うことなどめったにないからだ。ついこの間も道に迷ったという騎士さまたちに会ったし、この頃はこんなことが多くて何だかおかしい。


このあいだの騎士さまは良い方だったけど・・・。


彼女は先日の騎士の姿を思い浮かべる。優しく声をかけてくれたあの青年は、物語の王子さまのように凛々しくて素敵だった。つい気を許して話してしまったが、やはり知らない人とむやみに話すのは危険だろう。


シンデレラは警戒心を強めて男を観察した。年齢は先日の騎士たちと同じくらい。連れている馬の背には荷物が乗せられているし、やや小柄な体格と服装から見て、裕福な商人の息子といったところか。メガネをかけたその顔は真面目そうな印象だ。


「いえ、あの、怪しいものではありません。実は私は、先代のアスター男爵さまに大変お世話になったのです」


シンデレラがいつまでも黙っていたので、男は怪しまれていると思ったらしく、あわててそんなことを言った。


「まあ、お父さまのお知り合いですの?」


それにしては若すぎるなと思いつつ、シンデレラは答える。男によると、彼は駆け出しの商人だったころ、前男爵に資金面でいろいろ世話になったというのだ。今ではその商売も軌道に乗り、若いのに商人として成功しているらしい。そう言われて見れば、男にはなんとなく苦労していそうな、少しくたびれた雰囲気が漂っていた。


「いつかご恩返しをと思っていたのですが、あんなに早く亡くなられてしまい残念です」


謎の男は泣くのを堪えるように口に手をあててうつむき、いかにも無念そうにそう言った。なんだか芝居がかっていて胡散臭いが、父の死を悼んでくれているらしいので、シンデレラはいちおう礼を言う。


「父を悼んでくださって、ありがとうございます」


頭を下げるシンデレラに、男は顔をあげて向き直った。そして背筋を伸ばし、ズレてもいないメガネをくいっ!っと直す仕草をする。


「しかし、最近商売仲間から、シンデレラお嬢さまがいろいろとお困りだという話を聞きまして」


「あら、お恥ずかしいですわ・・・」


毎日のやり繰りに頭を悩ませているシンデレラは、うつむいて苦笑いを浮かべた。


どうやら値切り過ぎて、商人のあいだでウワサになっているらしい。今だって、サンドラが舞踏会用に高価なドレスを新調してしまったので、この後の支払いをどうしたらいいのか悩んでいるのだ。男はそんなシンデレラに気の毒そうな目を向けると、馬の背から大きな箱を降ろしてこんなことを言い出す。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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