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サンドラ、今度こそ勝利を確信する-1

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

こうして時は過ぎ、明日はいよいよ舞踏会という日の朝、シンデレラのドレスはようやく出来上がった。


「まあ綺麗、頑張ったかいがあったわね」


ケイトが最後の仕上げをするのを見守っていたアデラが、感無量といったようにつぶやく。もとはシンプルだった青のドレスは、今や同色のシルクの花がたくさん散りばめられた、上品かつ華やかなものに変わっていた。


「この真珠も朝露みたいで素敵ですわ!」


ケイトが褒めると、バーサは前髪を揺らして笑う。ドレスは花びらのところどころに真珠を縫い付けてあり、それがまるで朝露が光っているように見えた。これはバーサのアイディアで、冠婚葬祭用にとってあった自分のネックレスをバラしたものだ。


「あとは私のアクセサリーをつければ完璧ね」


アデラはそのためのアクセサリーをすでに選んでいた。シンデレラには美しく装って欲しいと願い、長いこと迷って悩んだ選りすぐりだ。自分は着飾ったシンデレラが見られないのが残念だが、母親にバレないように、明日も頑張らなければと思う。


「さあ、明日のために早く休みましょう!」


しかし、何もかもが順調に進んでいると思ったこの日の夜遅く。ひとつの影が屋敷の廊下をコッソリと進んでいた。それは就寝用の夜着を着たサンドラで、手には大きな裁ちばさみを握っている。


彼女は足音を忍ばせ、シンデレラの部屋のドアを細目に開けてなかの様子をうかがう。日中の仕事で疲れ切っている部屋の主は、ぐっすり眠っているようだ。サンドラは足音を忍ばせて、まっすぐに衣裳部屋へと向かった。


やっぱり、思ったとおりだわ!


衣裳部屋に忍び込んだサンドラは、悪い笑みを浮かべた。


先日ここに入ったときにはなかった、上等なドレスがそこに掛けられていたのだ。やはり、シンデレラを舞踏会に行かせるために、皆で動いていたのか。ここ最近、アデラたちがコソコソと何かをしているのには気づいていた。サンドラはこういうことには鼻が利くのだ。


なんとか伯爵とやらに迎えに来させるのだって、怪しいじゃないの!


そんなことしなくたって家には馬車があるし、アデラの付き添いには自分がいるのだ。これは家の馬車をシンデレラに使わせるつもりだなと、サンドラはすぐにピンときた。黙っていたのは、伯爵家の馬車で王宮に乗りつけたほうが箔がつくと思ったからだ。


ふん!みすぼらしいドレスだこと。


いかにもあの娘が好みそうな「お上品」なドレスは、派手好みのサンドラからすればお粗末だった。しかし、メイドのお仕着せがお似合いのあの娘には、中古のドレスだってもったいない。


おまえには舞踏会なんかより、家の床でも磨いているのがお似合いなのよ。


彼女はおもむろにドレスの裾をつかむと、ハサミでジャキジャキと切りはじめる。ふんだんに付いている花の飾りがじゃまだが、それも全部ていねいに切り刻んだ。


ジャキ、ジャキ、ジャキッ!


サンドラはドレスに何度もハサミを入れ、修復不能な状態になるまで念入りに切り裂いていく。


気づいていてこれまで何もしなかったのは、今夜を待っていたからだ。当日の朝にこれを知っても、あの娘にはどうにもできまい。舞踏会に行けると楽しみにしているところを、真っ逆さまに地獄に落としてやるのだ。


明日このドレスを見たあの娘の顔は見ものでしょうね!!


サンドラはこみ上げてくる笑いを必死で抑える。


念入りにハサミを入れたドレスは、もうズタズタのぼろ布にしか見えない。ドレスを捨てたり隠す手もあったが、それでは面白くないと考えて、ハサミで切り裂くことを思いついたのだ。無惨に引き裂かれたドレスを見つけさせることで、より大きな絶望感を味わわせてやりたかったのである。


ようやくあの娘の泣きっ面が見れるわ。


サンドラは足音を忍ばせてシンデレラの部屋を立ち去ると、心から満足して眠りについた。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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