ディラン、画策する
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「やはりアスター男爵家の令嬢は、義理の家族に冷遇されているのだな」
ローレンス王子の側近であるディランは、騎士からの報告を聞いて眉をひそめた。あれから男爵家をひそかに調査させていたのだが、思った通り王子が出会った娘は前男爵の実子であった。この令嬢は名をシンデレラといい、実母はヴェル伯爵家の出身で間違いないという。
「しかし令嬢は前男爵が亡くなってからは家から出ていないようで、社交の場にも一切顔を出していません」
「ふむ、殿下が会ったときもメイドのような服装だったと聞いている」
商人に変装した騎士が通いの使用人や出入りの商人から聞いた話から推測するに、ひどい扱いを受けていそうだ。シンデレラ嬢は男爵がすべき執務を押しつけられ、最近ではメイドのお仕着せを着せられて、家事までこなしていると言う。
一方で、当主となった継母はたいそう着飾って、茶会に夜会にと毎日のように遊びほうけているらしい。その母親似の令嬢も社交にいそしんでいると聞いて、ディランは鼻を鳴らす。
「ふん、自分と実子は贅沢をしているのか」
「はあ、ただ現男爵の連れ子はもう一人いるはずなのですが、その令嬢については何もつかめませんで・・・」
「何もつかめないとは?」
「養女になったころは茶会などにも顔を出していたようですが、ここ数年は見たものがなく、ウワサすら出てきません。何らかの事情がありそうです」
ううむ、とディランは首をかしげる。病気でも患っているのか、はたまた実の娘まで虐待しているのか。どっちにしろ、男爵家には何か後ろ暗い秘密がありそうだ。
「引き続き調査を続けてくれ」
「はっ!」
騎士の背中を見送りながら、ディランは難しい顔をする。
これじゃあ舞踏会に顔を出さないかもしれないぞ・・・。
アスター男爵家は裕福なようだが、使用人扱いのシンデレラ嬢は、ドレスや宝飾品を与えられていないかもしれない。舞踏会のことを知らされない可能性もある。
知ったところでドレスもないんじゃ参加できないし、これは何かしらの支援をしてあげないとな。
シンデレラに舞踏会に来てもらわなければ、せっかくのお膳立てがだいなしになってしまう。それに継母たちのひどい仕打ちもこのまま見逃すわけにはいかない。シンデレラは聖女の血を引く家系の、唯一の生き残りなのだ。
やるべきことをやるべく、ディランはさっそく動き出した。
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