舞踏会の招待状ー3
毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。
話を終えてシンデレラの部屋を出たアデラは、その足をバーサの部屋へと向けた。一応は彼女にも舞踏会のことを話さなくてはならない。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶ、ぶ、舞踏会!?王宮の?行くわけないじゃん!!」
話を聞いたバーサは、そう叫ぶと机の下に逃げ込んだ。胸にベティを抱え、「呪ってやる・・・貴族なんてみんな呪ってやる・・・」とつぶやいている。
「バーサ、無理に行けって言わないから出てらっしゃい」
今のバーサに社交が無理なのはアデラも分かっている。舞踏会の経験もないし、彼女の場合は王宮に連れて行く方が不敬な気がする。
「行きたくないのは分かったから!でもシンデレラのことであなたに協力してもらいたいのよ」
「分かったわ」
シンデレラと聞いて、バーサは机の下からゴソゴソとはい出てくる。珍しく掃除したらしく今日は部屋がきれいだったが、床を這うのはいかがなものか。
「シンデレラのドレスをリメイクしたいのよ」
ケイトが隠していたドレスは高級な品だが、華やかな舞踏会に着て行くにはデザインがシンプルすぎる。そこでシルクの生地で花の飾りをつくってドレスを飾りたいのだ。自分たちでやれば生地代だけで済むのでお金もかからない。それでも着飾ることに興味のないシンデレラはいらないと言いそうなので、ケイトも含めた3人でコッソリ仕上げてサプライズで渡す計画をたてたのだ。
「そういうことなら、もちろん手伝うわ!」
「それと、お母さまはシンデレラを連れて行かないつもりなのよ」
「まあ、お母さまったら」
バーサは顔にかかる前髪の下で鼻にシワを寄せた。
「分かったわ!じゃあ私がお母さまに、『外に出たら必ず頭に鳥のフンが落ちる呪い』をかけてあげる」
「そういうのはいいから!」
「ええ?じゃあ、『必ず水たまりに片足を突っ込む呪い』がいい?」
「どっちもいらないわ!そんなのじゃなくて、当日、あの子だけ別に行かせる段取りをしときたいの」
作戦はこうだ。アデラがサンドラと早めに家を出て、そのあとケイトとバーサが急いでシンデレラの支度を手伝う。そしてセバスが御者をつとめる馬車で彼女を送るのだ。
「あれ?家には馬車が一台しかないよね?」
ドレスのリメイクもシンデレラの支度も喜んで手伝うが、どうやって二組に分かれて行くんだろうとバーサは疑問に思う。経費削減のために、今では馬車は一台こっきりになっていた。だからサンドラが使っているときには、アデラはアルバートやほかの友人に頼んで家に迎えに来てもらったりしていたのである。
「そこは考えてあるから大丈夫よ」
アデラは今度こそ自信をもって胸を叩いた。そしてある人に会いたいとの手紙を書くために、彼女はバーサの部屋から足早に出て行った。
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