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舞踏会の招待状ー2

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

「お義姉さま、私は舞踏会なんて興味ありませんわ」


ここはシンデレラの自室。アデラの予想どおり、シンデレラは舞踏会には行かないと主張した。そんな彼女にアデラは鬼の形相で迫る。


「なーに言っているの!これは王命なのよ、病気でもないのに欠席したら罰を受けるかもしれないわ」


「ええ・・・じゃあ病気ということで・・・」


アデラの勢いにモジモジしつつも、シンデレラは王家にウソをつけとなかなか大胆なことを言う。


「ダメよ、ウソがばれたらどうするの!?」


「バレますかしら?普段から社交はしてませんし」


「う!」


自分がいなくても誰も気づかないのではないかとシンデレラは言う。もっともなのでアデラは言葉に詰まるが、ここで引き下がるわけにはいかない。


「そ、そうそう!あなたのお母さまは社交界でも有名な美女だったから、年配の人たちはまだ覚えてるわ。その娘がいなかったら絶対に話題になるわよ」


「そうですよ、お嬢さま。万が一にでもウソがバレたら、重い罰金刑が科されるかもしれません」


ケイトが援護射撃をしてくれる。


「そ、それは困りますわ」


財政難を乗り切ろうと必死なシンデレラは青い顔をする。アデラとケイトは目線でハイタッチを交わした。


「でも困りましたわねぇ。私、ドレスがありませんのに」


シンデレラはしぶしぶ舞踏会に行くことを了承したが、問題はそこだ。アデラも頭を悩ませていた。自分のものが貸せればいいのだけれど、小柄なシンデレラではサイズが違い過ぎて難しいだろう。


「お嬢さま方、このケイトにお任せください」


母親代わりにシンデレラを見守ってきた侍女は、そう言うとセバスを伴っていったん部屋を出て行った。しばらくすると、ふたりはドレスと靴を持って戻ってくる。


「まあそれは・・・」


ケイトが持ってきたドレスは、父親が亡くなる少し前にシンデレラに与えたものだ。デザインはシンプルだが、光沢のある上等なシルクを使った青いドレスである。ずいぶん前に売るように頼んだものなのに、なぜまだあるのだろうとシンデレラは首をかしげた。


「申し訳ありません。売るに忍びなくて、これだけは残して自分たちの部屋に隠しておりました」


社交に出ないと言ってもシンデレラは年頃だ。これから見合いの話などが来たときに、ドレスの一枚もないと困ると思って隠していたのだ。売った代金として渡したものは、夫婦の多くはない貯蓄からねん出していた。


「こちらは前男爵さまがお亡くなりになる前に、私に保管をお命じになったものです」


そう言ってセバスが差し出したのは、世にも珍しいガラスでできた靴だった。窓から差し込んだ光を反射して、キラキラと輝きを放っている。そのあまりの美しさに、ふたりの令嬢は声をそろえて叫んだ。


「「まあ!きれい!!」」


思わず顔を見合わせて笑いあう。


「お母さまのご実家の家宝だそうでございます」


聞けば、この靴はヴェル伯爵家の家宝であり、伯爵家が断絶したときに密かにこの家に移されたものだという。聖女の血を受け継ぐ者しか履くことを許されない伝説の靴なのだそうだ。


「いつか花嫁になられるとにきにと思いお預かりしておりましたが、王宮の舞踏会ならこの靴を履かれるのに相応しいでしょう」


私たちのお嬢さまには誰よりも輝いて欲しい、そして幸せになって欲しいと、老執事は心から願うのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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