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王子、運命の相手を見つけるー1

毎日3回、7:00、11:00、16:00に更新します。アルファポリスさま、カクヨムさまにも投稿中。アルファポリスさまでは、数話分先行して更新しています。

広場の中心にある切り株に、ひとりの娘が腰かけて歌っている。その美しい歌声を祝福するように、日の光がスポットライトのように娘を照らし、黄金の髪が輝いていた。そして、周囲には森の動物たちが集まり、その歌声を静かに聞いているのだ。


「こんな森に娘がひとりでいるなんて怪しいぞ」


我に返った護衛騎士が、ひとり言のようにつぶやく。


しかし、目の前に広がる光景は平和そのものだ。服装を見るとどこかの家の使用人のようだが、娘は透き通るような白い肌と整った顔立ちをしていて、貴族の令嬢のようにも思えた。ちょっとした所作にも気品が感じられる。


この娘はいったい何者だ!?


影も含めた騎士たち全員が困惑していた。


そのとき、娘が歌いながら片手を空に向けて差し出した。するとその手の先にウグイスが一羽とまり、娘の歌に合わせてさえずりはじめる。


「やはり、今朝のウグイスは神の御使いだったのだな」


ローレンスが頬を染めてつぶやくのを聞いて、護衛一同の背筋に悪寒が走った。まさか運命の相手、真実の愛を見つけたとか言い出さないだろうな、と。


「殿下、このような場所にいる怪しい娘とかかわってはなりません!」


偽名で呼ぶのも忘れた騎士が慌てて止めようとするが、ローレンスの目はただ一心に娘を見つめている。その青い瞳は、うっとりと熱で潤んでいた。「ヤバイ、これはヤバイぞ」と全員が思ったそのとき、ふいに娘の歌声がやむ。


「ほーほけっぴきょ!?」


一緒に歌うように鳴いていたウグイスが、妙な鳴き声をたてた。


見れば、娘は手の先にとまったウグイスを捕まえて、手のなかにしっかり握りこんでいた。突然のできごとに、当のウグイスも、周囲を囲む動物たちも、皆が驚いて固まっているようだ。シンと静まりかえる森のなかで、娘はただ手のなかの鳥をジーッと凝視していた。


「なんだ?あのウグイス、ケガでもしているのか?」


ならば助けてやらねば。止める騎士たちを振り払って、ローレンスは娘に近づいていく。木陰から突然現れた騎士に、集まっていた動物たちがいっせいに逃げ出した。


「ご令嬢、そのウグイスがどうかしたのか?」


ローレンスは爽やかな笑顔をつくって娘に話しかけた。振り向いた娘の瞳は、この国では珍しいスミレ色だ。こうして間近で見ると、非の打ちどころのない美貌であることが分かる。娘は突然現れた騎士たちに驚いたようだが、3人とも悪人ではないと見て取ったらしい。


「いえ、そうじゃなくて、あの・・・」


娘はウグイスを握りしめたまま、なぜか言いにくそうにモジモジしている。


「困っているなら力になるから、言ってごらん」


王子は腰をかがめて娘の目線に近づき、優しく語りかける。その言葉に勇気づけられたのか、娘は思い切ったようにこう言った。


「あの、騎士さま・・・ウグイスって食べられるんでしょうか?」


「「「へ??」」」


予想外の返答に、全員が間の抜けた声をあげた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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