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第6話 義理の妹

 瑠海:これを見て、新しい情報を手に入れたの



 瑠海さんから送られてきたデータは『写真』だった。

 その写真には、朱音と……誰だこの金髪のチャラ男。制服からして同じ学校の男には違いないが……。



 隼:これは誰なんです?

 瑠海:隼くんと同じ高校の先輩。名前は『桑野(くわの)』というらしいわ

 隼:まさか、朱音は他の男とも……?

 瑠璃:昨晩言ったわよね。朱音ちゃんは、複数の男の子と関係を持っているって



 そ、そうだった……!

 俺としたことが、すっかり忘れていた。

 いろいろありすぎて覚えている余力がなかったんだ。


 それに、朱音も反省している様子を見せていた。……いや、まて、冷静になれ俺よ。


 朱音はあんなに必死に、俺との仲を修復しようとしてきた。


 疑いたくはないが、俺をATMにしたくて――あんな嘘を?


 だとすれば朱音はとんでもない悪魔だ。



 隼:瑠海さん、俺はさっき朱音に事情を聞いたんです……。千城先輩が襲ってきたって

 瑠海:それは真っ赤の嘘。むしろ、朱音ちゃんが千城を襲ったのよ


 隼:は……はい!?



 まてまて。それでは朱音が言っていることと真逆だ。どっちが嘘で、どっちが真実なんだ……!?


 俺はどっちを信じればいいんだ……!


 だめだ、脳の処理がおいつかなくなってきた。


 けど、けれど……朱音の行動は怪しい。それだけは分かる。瑠璃さんから送られてきた写真には別の男が映っていたのだから――。



 瑠海:とにかく一度話し合いましょう

 隼:わ、分かりました。ところで瑠海さん、千城先輩は……?

 瑠海:千城は音信不通になってしまったの。一応、警察には相談してあるから安心して


 なるほど、ならいいか。

 死なれでもしたら、さすがに瑠海さんに申し訳ないし。



「ねえ、お兄ちゃん。スマホをいじってなにをコソコソしてるの?」

「なんでもないよ」



 隼:放課後、瑠海さんの家へ向かいます

 瑠海:分かったわ。いつでも連絡して



 瑠海さんとの連絡は、ここまでにしておこう。



 * * *



 学校行事を終え――放課後。

 桑野という先輩のことも気になった。探しに行こうかと悩みながら廊下を歩いていると、偶然にも朱音の姿を発見した。


 俺のクラスに立ち寄る気配はない。

 どこへ行くつもりだ?


 バレないよう隠れながら朱音を追うと、誰もいない部室に入った。朱音はそこへ入っていく。足音を立てないよう、慎重に窓を覗く。


 ……あ!


 あれは今朝、瑠海さんが送って来た写真の男だ。桑野先輩だ。



『いらっしゃい、朱音ちゃん』

『桑野先輩、お待たせしましたっ』



 朱音はいきなり桑野先輩に抱きついた。



 ……は?



 はああああああああああああああ……!?



 キスをしてお互いにボディタッチ…………ふざけんな!



 あのクソビッチがああああああああああああああああああ!!



 一瞬でも情けをかけてしまった俺が愚かだった。


 そうだ、これが朱音の“本性”なんだ。



『聞いてくださいよ、桑野先輩』

『なんだい?』

『お兄ちゃんと喧嘩しちゃったんですけどね、少し脅したら素直になってくれて、チョロかったです(笑)』


『馬鹿な兄貴だなー! しかも金もくれるし! 最高の月刊ATMだよな!』



 あ……


 ああ………



 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!!!!!!!!!



 朱音、お前えええええええええええええええッッ!!!


 俺の気持ちをもてあそんだな!!!


 くそが、くそがああああああああああ!!


 もう絶対に許さん!!



 それと桑野先輩……お前も同罪だ!!



 この恨み絶対に晴らしてやるッ!!



 俺はスマホを向け動画を取りまくった。それから隙を見て学校を立ち去り、そのまま瑠海さんの家へ。


 急いで向かい、インターホンを鳴らす。


 しばらくすると瑠海さんが現れた。



「隼くん、来てくれたのね!」

「お邪魔します」


 リビングへ向かい、俺はさっそく瑠海さんに放課後のことを打ち明けた。


「私の言うとおりだったでしょ」

「はい……俺が馬鹿でした」

「まあ、隼くんって根が素直だし、慈悲深いところもあるわよね。そういうところが好きなんだけどね」


 そう、これは俺の“甘さ”だった。

 今は反省している。

 いや、訂正しよう……猛省している。



「瑠海さん、俺はどうしたら……」

「桑野先輩のお母さんとママ友なの」

「そうなんですか!?」

「住所も知ってるわ」

「……!」

「教えてあげなくもないけど、私の望みを聞いてくれる?」



 瑠海さんは、俺の手をにぎって優しい瞳を向けてくれる。

 昨日は一瞬でも瑠海さんと関係を断とうと思ってしまった俺を殴りたい。頼れるのは瑠海さんだけなんだ。世界でただひとりの味方。



「なんですか?」

「……朱音ちゃんを捨てて、私を本当の妹にしてくれない?」


「え!? い、妹ですか!?」


「歳が離れているのは分かってる。でも、隼くんの妹になりたいの!!」



 瑠海さんを妹……か。

 確かに年齢差はあるけど、でも見た目は女子高生と言われたら信じるほどの若さ。規格外。


 そうだな、あんなクソビッチよりも、俺の味方で甘やかしてくれる瑠海さんでいいや。俺はもう瑠海さんしか信じない……。

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