第1話 お兄ちゃん、ごめんね
『――お兄ちゃん、ごめんね』
義理の妹・朱音の艶めかしい声がする。
俺のスマホには朱音のいやらしい声と着衣の乱れた映像が映っていた。
数分前、三年のイケメン先輩の母親から送られてきた衝撃的な動画だった。
……あぁ、俺はどうやら義理の妹・朱音を先輩に寝取られてしまったらしい。
朱音とは子供の頃に出会い、今まで一緒に生活してきた。学校も今までずっと同じ。クラスさえも一緒だった。
高校生になってからは、付き合うようになり周囲からは公認のカップル認定されていたほどだった。
けれど、高校二年になってから朱音の様子がおかしかった。
よそよそしいというか、俺と過ごす時間も減っていた。つまり、朱音は俺を裏切り……三年の先輩とこんな淫らな関係を持っていたのだ。
『朱音、兄に申し訳ないと思うか』
三年の先輩が笑いながら、朱音に聞く。
『……ちょっとだけ』
『そうだよな、俺の方が朱音を満足させられるからな』
『う、うん……千城先輩の方が優しくて……それに、気持ちいから』
『朱音はヘンタイだな』
『……んん、先輩。そこ気持ちい……です』
なんだ。
なんだこれは……。
朱音が俺には見せない表情をしていた。嬉しそうに声を漏らし、乱れていた。
なぜ、どうして……。
今までの生活はいったいなんだったんだ。
朱音は、俺と結婚したいとさえ言ってくれたのに。
いつも俺に抱きついてキスしてくれた、あの笑顔はウソだったのか……!
「ねえ、隼くん。ショックだったでしょうけど、これが現実なの」
「瑠海さん……でも、俺……」
瑠海さん。
三年のイケメン先輩こと、千城先輩の実の母親だ。
30代と若くて綺麗でとても清楚だ。
そう、俺は千城先輩の母親と肉体関係をもっていた。
「いいじゃない。おかげで真実を知れたでしょ?」
「……はい。義理の妹・朱音はとんでもないビッチでした」
「ええ、複数の先輩さんと関係をもっているそうよ」
それを聞いて俺はもう朱音を信じられなくなった。
瑠海さんは、そんな朱音の情報を提供してくれたんだ。
あれは三日前、瑠海さんが俺の家を訪ねてきた。聞くところによれば、千城先輩が朱音を家に連れ込んでいるということだった。
俺は正直信じられなかった。
朱音は俺以外の男とは、ほとんど接触しなかったし、俺とは真剣に付き合っていると思ったからだ。
でも映像を見せられて疑惑が確信に変わった。
朱音はもう、俺の知っている朱音ではなかった。
瑠海さんは、シングルマザーで女手一つで千城先輩を育てたらしい。しかし最近は、寂しさを覚えて性欲を持て余しているらしかった。
俺は考えた。
朱音を取られたのなら、俺は千城先輩の母親を奪ってやろうと。
そんな復讐心もあったが、気が狂ったわけではない。俺は純粋に千城先輩のお母さんが綺麗だなと思ったし、正直言えば大人の女性がタイプだった。
苦労感がにじみでている表情がより美しく感じ、体型もスリム。豊満な胸で俺を受け止めてくれそうだなって思った。
あぁ、そうか……そうだったんだ。
俺は甘えてくる義理の妹よりも、母親を求めていたのかもしれない。
こうして俺は、千城先輩の母親と関係をもった。