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報酬は新しい商品アイデア。
何でも良いと言われ、わたしが提案したのは絹の可愛い下着。それと布ナプキン一体型のガーゼ下着。男性であるクライブとクリスにはピンと来なかったようだけど。
この世界には高分子吸収体の使われたナプキンはない。女性にとって、経血が服に染みるなんて一番あっては嫌なこと。もともとあまり外出しない貴族の女性はそれらしき下着をつけなんとかなるけど、平民はそうはいかない。働かなくてはならないのだ。でも、対策が不十分な下着では可哀そう過ぎる。特に若い子は。だから提案したのだけれど…。
最終的には貴族や商家の令嬢向けの可愛い絹の下着と布ナプキン一体型のガーゼ下着。平民向けの木綿のまあまあなデザインの下着と布ナプキン取り外し簡単仕様のガーゼ下着となった。
「聞いてもいいか、どうして今のあのスタイルの下着では駄目なんだ?」
「ドロワースは夏には向いていないと思います。冬にはいいでしょうが。それに、最近海の向こうから入ってきているドレスのデザインではドロワースは不向きです。腰から下を絞ったデザインなのですから。他にもドレープを利かせ、裾が割れるタイプも入ってきています。ドロワースのフリフリフリルやリボンはドレスのスタイルと生地感に合いません。この国には目新しいものが沢山入ってきます。それに合わせた下着を作り、この国から発信していけばいい良いのではないかと思ったのです。駄目というよりは、流行を利用して新たな物を発信していくという感じでしょうか」
「やっぱり君はいいね。うん、決めた。そのアイデアを買うよ」
クリスティアン殿下は、個人で商会を所有していた。名前を出すこともなければ、表立って何かはしていないけれど。でも、その商会の支店が他国にもある。それは、商品の輸出入で人が動くということだ。
恐らく、その『人』が商品だけではなく『情報』も運ぶのだろう。
驚いたことにわたしとクライブの裏もしっかりクリスティアン殿下に取られていた。
「だって、こんな優秀な人物を自国から離れたこの国に送るのは不思議だろう。ダウリング伯爵家が何か企んでいる可能性があると思うのは当然のことだよ。それに君も。ランドルフ王子の筆頭婚約者なのに、自国を離れ留学に来ているのだから。だから、色々と調べさせてもらったまでだよ」
調べた上でクリスティアン殿下が近づいて来たということは、わたし達は問題ない人物だと既に理解されているのだろう。
「特に、アイメリアのすることは面白くてね。ランドルフ王子が結婚相手を他国で探そうとしているっていう噂をばら撒いているんだから。あれ、僕も便乗しておいた」
「えっ!?」
「だって、何か面白そうな予感がしたから」
「ありがとうございます?」
「どうして疑問形?そこは感謝して欲しいな。そして、君達が欲しい自国の情報を僕は既に持っているから、先ほどのアイデアの対価を直ぐに支払えるけど」
クライブの伝手は凄かった。本当にダウリング伯爵家の皆さんはおバカさんね。




