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逆転、反撃の狼煙(のろし)

「ここは通さん……俺が相手だ!!」


 両手のトマホークを振りかざして、大顎のスキャットが襲いかかってきた。


 重い金属音がして、雷鳴神剣で斧を受け止める。 力だけならグロック以上にあって、鍔競り合いで押されていく。


 まずい、中々手こずりそうな相手だ。


 その間にシグマがグロックの両眼に治癒魔法をかけて、視力が回復するはずだ……まずいぞぉ。


 その時、首に何かがまきついてきた。


 横を見ればむちを持ったベレッタが見えた。


「おほほほほほ……グロックでも手こずったハルトを倒せば、私たちも昇進まちがいなしよ!!」


 悪女が残忍凄艶ざんにんせいえんな表情で高笑いする。


 片手で鞭を引きはがしたいが、スキャットの怪力には両手でも精一杯だ。


「ノリンコ、トドメを刺すんだよ!!」


「へい、ベレッタの姐御!!」


 隙間歯の盗賊が鉈をぼくの胸めがけて振りかぶる。


 かくなる上は雷閃光で……


 バキィィィッ!!!


「ぎゃひぃ!!」


 ノリンコが何か長い物で吹っ飛ばされるのが見えた……いったいどうしたんだ?


「遅れてすまん、ハルトくん!」


「ホックバウアーさん!!」


 ホックバウアーさんが丸太を持って小太りの盗賊をふっとばしたんだ。


 二人を首斬り柱に拘束していた縄はエリーゼとウィリアムが切れ目を入れておいてくれたのだ。


 頃合いを見て戦いの助勢してくれてありがたい。


 ベレッタの鞭が刃物で切られるのが見えて、首の締め付けが急に楽になった。


「三人がかりとは卑怯だぜ!!」


「マクラグレンさん!!」


 マクラグレンさんがベレッタの鞭を山刀で切ったんだ。 


 あの山刀はきっと賊徒から奪ったんだろう。


 ぼくは後方に飛んでスキャットのトマホークから間合をとった。


 ぼくは護衛戦士たちと合流して集まる。


「ホックバウアーさん!! その持っている丸太はもしかして?」


「ああ、磔台のT字架だ……手ごろな武器がなかったのでな、こいつを引き抜いて振り回し、略奪者どもを叩きのめしてきた」


「すごい怪力じゃないですか!」


「くっ……護衛戦士までしゃしゃりでるなんて!!」


 ベレッタが腰からレイピアを抜いてぼくに斬りかかってきた。


「おっと、おめえの相手は俺だ!!」


 マクラグレンさんが盗賊から奪った山刀でレイピアを受け止め、夕闇に火花が散った。


「邪魔をおしでないよ!!」


「マクラグレンさん!!」


「年下のおめえにばかり、いいカッコさせねえぜ!!」


「そうだ、ハルトくん……雑魚の相手は俺たちにまかせろ!!」


 ホックバウアーさんが首斬り柱を振り回し、スキャットに襲いかかった。


 トマホークで対応するが丸太相手に押され気味だ。


 頼もしい護衛戦士たちの助力に嬉しくなる。


「先にゆけ、ハルト!!」


「ここは俺達にまかせろ!! タイニーを頼む!」


「はい!!」


 牢獄の人質を押さえられたら負けだ……谷の狭間にある穴や宿舎の影にシグマの命令で走る盗賊の伝令たちが見えた。


「待てっ!!」


 振り向いた伝令盗賊は驚いた顔付きだ。


「げっ……ボスと戦っていた小僧がなんでここに」


「こいつまさか、ボスに勝ったのか?」


 その時、谷の方からシュルシュルと音が聞こえて振り向いた。 


 よく見ると、谷の手前に炭鉱夫たちが使っていた宿舎施設があり、そこの給水塔の上から赤い狼煙があがるのが見えた。


 緊急連絡サインの発煙筒だ。


 誰がいったい……もしかすると、エリーゼかミュリエルが盗品倉とうひんぐらから発煙筒を見つけて、紐を引いて狼煙を上げたんだ。


 発煙筒を処分しないとは、抜け目のないシグマしては抜かったな。


 ぼく以上に驚いている盗賊の使い番が急に倒れた。


 その背後にグレイブを持ったタイニーさんが見える。 


 グレイブの長柄で伝令盗賊を昏倒させたのだ。


「タイニーさん!!」


「妖精さんとイタチちゃんが牢番を倒してくれたんだよ……二人の武器も取り返したわ」


 ウィンクするタイニーさん。


 きっと、妖精魔法と変身術を使ったんだろうな。


 タイニーさんの隣には白い道服を着て魔法の杖マジック・ロッドを持った金髪の美少女がいた。


 その肩にはウィリアムとエリーゼが見えた。


「みんな無事だったんだね!!」


「ハルトくん……お陰で助かったの」


「フィヤフィヤ!」


「盗品倉で発煙筒を見つけたから、わっちが打ち上げてやたぜ!!」


「ごくろうさん、きっとエイガー中尉たちが駆けつけてくれるよ! そういえば、コグスウェルさん達は?」


「馬車で脱出する用意をしているの……」


「そうか……じゃあ、盗賊たちの追手がかからないようにしなくちゃね」


 殺気を感じ、振り向きざまに剣を振るうと、大きな刃をはね返す。 


 ターバンを巻いた巨漢の持つ三日月刀シミターだ。


「追手か!!」


「待つのね……そうは問屋が卸さないよ」


 そこへ奴隷商人ティキューナ・テヤーリたちが現れた。 



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