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絶体絶命、ミュリエルの危機!

 風船蜘蛛が高熱火炎を吐き出した。


 ぼくはロープの上で逃げ場がない。


 いや、ロープが火炎で焼けたらギリリス風船蜘蛛も空中から落下する……ぼくはロープを両手で握って、ロープ下に身体をぶら下げた。


 今までいた場所が焼け焦げて真っ黒になる。


「避けやがったか……おそろしく勘のいいやつめ……」


「その声は……ギリリスか!!」


「そうだ……よくも……俺の右腕を……許さん!!」


 わかった! 


 ギリリスが風船蜘蛛から落下しつつも、暗黒魔法・妖影変形魔法シャッテン・メタモルフォーゼを使って、樹上の風船蜘蛛の影を、己の影にとりこみ、風船蜘蛛本体を封印することで、フウセンモドキに変身したのだ。


 あの魔法は人間や妖精だけではなく、食肉植物にも変身できる魔法のようだ。


 ぼくはロープの上に登った。


「ミュリエル、そこにいて!」


「うん……」


 ロープから宙吊りにされたミュリエルが不安げな返事をする。


 ウィリアムがロープ伝いにミュリエルにたどり着いた。


「ウィリー!!」


「フィヤ!」


 魔貂が糸に噛みついて縛めをほどき始めた。


 蜘蛛糸は空気にふれて時間がつほど粘着糸が弱まるのだ。


 ぼくはロープの上に立ち、ピンと張ったその上を一気に走った。


 エルマリア姉さんが平衡感覚と体幹を鍛えるための、崖と崖をつなぐロープの綱渡りの特訓がここで生きようとは……釈然としないが感謝はしておく。


 さっそく呪われた神剣をためす時がきた。


 ぼくは体内にマナを集め、新しい愛用の長剣に魔力を込めはじめた。


「今なら……いや、今こそ使えそうな気がする……」


 雷鳴神剣が金色こんじきに輝きだし、宙吊りのミュリエルが驚きの視線をこちらにおくる。


「剣が……黄金色こがねいろに光り輝き出したの!!」


「ぐっ……なにかやばそうだ……地獄の猛火もうかよ……我がもとで……怒れる激情となって……暴れ狂え……暗黒灼熱球ゲヘナ・フレイム!!」


 風船蜘蛛に化けたギリリスの口から、燃え盛る火炎が生じ、灼熱の砲弾となって放たれた。


 ぼくは火炎球を剣で受け止めた。


 神秘の光を宿す神剣は、灼熱球をあさっての方向に弾き返した。


「なにぃぃぃ……ゲヘナ・フレイムが!?」


 ぼくは神剣を頭上に捧げ持ち、体内のマナを長剣に込めた。


百雷ひゃくらいの神よ……万物を焼き尽くす者よ……怒りの雷霆らいていとなって邪悪なる物を掃討そうとうせん……いかづちノ武技・雷光撃砕衝ブリッツ・シュプレーゲン!!」


 長剣は燦然さんぜんと光り輝き、雷鳴神剣から稲妻の斬撃が走り飛び、ギリリス風船蜘蛛に放たれた。 


 おくれて天地を揺るがす轟音と震動がおきた。


 浮遊食肉植物は黒焦げの残骸となって、大地に落ちていった。


 ギリリス風船蜘蛛は黒煙をあげ、赤い魔石となった。


「やったわ……ハルトくん!!」


 ウィリアムが蜘蛛糸の縛めをとき、ミュリエルが自由に動けるようになった。


「ありがとう、ウィリー!!」


「フィヤァ!」


 それを見て思わず安堵あんどした。


「しかし、この神剣はものすごい威力だ……これが雷神ソール様のつくった神剣の力か……ふぅぅ……なんだか力をたくさんもっていかれたよ……うわっ!?」


 ぼくはロープ上で思わずよろけ、バランスを崩して空中から落ちそうになった。


「きゃあああああっ!! ハルトくん!?」


 慌てて左手でロープをつかんで宙づりになった。


「あぶない……あぶない」


 だがそのとき、雷ノ武技で燃えたフウセンモドキの燃える残骸が火の粉となってロープに当たり、熱で燃やした。


 ロープがあっという間にちぎれ、ぼくとミュリエルは空中に投げ出された。


「しまったぁぁぁぁぁ!?」


「きゃあああぁぁぁぁっ!!」


 ぼくは左手で切れたロープの片っぱしをつかみ、拘束されたミュリエルに向かって飛び、吊り糸をつかんだ。


 フウセンモドキのロープは御神木の枝からぶら下がり、その先っぽにぼくとミュリエルがいた。


 ウィリアムがぼくらをよじ登ってロープの上、枝へと向かった。


「ふぅぅ……間一髪、助かった……」


 心臓が飛び出しそうなほど、鼓動が鳴る。


「きゃあぁぁ~~ん……怖かったの……はらはらしたのぉ……」


「泣かないでミュリエル……」


「ぐすん……でもこれからどうするの?」


 本宮の洞まで6メートルぐらいある。


「振り子のように勢いをつけて、御神木に飛んで、そこに捕まるよ」


「そんな空中曲芸なんて、大丈夫なの?」


「う~~ん……とりあえずやってみよう……ん?」


 妙な音がして頭上を見ると、蜘蛛糸をより合わせたロープがちぎれかけている。


 二人は定員オーバーか!? 


 ブチリッと音がしてロープが切れた。


「しまったぁぁぁ!!」


「きゃあぁ~~ん!!」


 ぼくらは16メートル上空から真っ逆さまに落下……するはずが、グンッと勢いがついて止まった。


 なぜ!?


 上を見ると、ぼくの左手首をつかむ白い手があった。


 いったい誰が……白い手の上を見ると、金髪碧眼の少女がちぎれたロープの片方を左手でつかんで、ぼくの右手をつかんでいた。 


「ええぇっ!? ミュリエル!?」


 ぼくが右手でつかんで助けたはずのミュリエルが、いつの間にか上に? 


 いったい、どういうことなんだ?


 思わず下を見ると、金髪碧眼の少女……ミュリエルがいた。


 上を見てもミュリエルがいる。


「えっ? ええ!? ミュリエルが二人もいるぞ!?」


 ミュリエルは双子だったのか……それともドッペルゲンガーか?


 ドッペルゲンガーに出会うと死期が近いというが……もしかして、これは御神木から落下している間に見ている夢なのだろうか?

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