現世(うつしよ)は夢、生と死の世界
ぼくは幼い頃から病にかかり、病院のベッドでほとんどの生活を暮らしていた。
楽しみは両親が買ってくれたゲームやマンガ、ラノベ小説だった。
特にぼくのお気に入りは異世界のファンタジー世界を舞台に、何も持っていなかった主人公が、修行して強くなり、不思議な世界を冒険するという物語だ。
苦しい……どうやら、今度はダメだと思う……なんとなく感じるんだ。
身体が動かない……意識が遠のいていく……なにもない暗闇の世界に落ちていくのがわかる……
もしも、宗教でいう転生……生まれ変わりというものがあるのなら、今度は健康な身体になりたい……
そして、ゲームやラノベのような剣と魔法の世界……夢あふれる理想郷で、冒険者になって思いきり身体を動かして、あちこち行ってみたい。
冒険したり、友達をつくったり、恋をしたり……とにかく、青春ってやつを思いきり楽しんでやりたいんだ。
どこかで声がした。
“その願い……叶えて進ぜよう……”
あなたは誰ですか? 看護師さんですか? お医者さんですか?
“いや……違う……大知性という存在だ”
「大知性?」
“そうだな……きみたちの世界でいう言葉ならば……神様というものかもしれない”
「神様……では、ぼくの最後の願いを叶えてくれるのですか!?」
“そうだ……新しい世界で、新しい肉体で、別の人生を楽しむのだ……ただし、今の記憶は深層の奥底へ封じられる”
「え?」
“つまり、今の記憶はほとんどなくなるということだ……転生とはそういうものだ”
「そうですか……でも、死ぬ前に転生後の希望を聞いてくださって、ありがとうございます……」
“うむ……きみはそれだけの特典を得て生まれ変わるだけの資格がある……”
ぼくはその言葉を聞きながら、意識が薄れていくのを感じた……
どこかで、赤ん坊の元気に泣く声が聞える。
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