プロローグ1
最初はやはりうまく行かないものだ。自分が犯人じゃないことに対して責められたり、貶されたりする。今日もそうだった。
「やっと来やがったな、新川。」
「しばらく学校休んでたって言うことに対して言ってるのかな?だったら、なんでそんな私を責めるように言うの?」
「責めてっからだよ。」クラスの男子のうちのリーダー、本楽大貴が睨みながら言った。
「ねえ、菜帆、どう言うこと?」この様子だと、女子たちは男子とは違う内容で呼び出されたらしい。私が来た瞬間、疑心暗鬼な空気になってしまったのかもしれない。
「…ねえ、みんなは誰から呼び出しが来たの?」
「…?女子は全員校長先生からだけど…」クラス代表の福山直子が女子を代表して言った。
「俺ら男子はてめえからだ。新川。」大貴は相変わらず荒々しく私を睨んでくる。
ザザーッ
ラジオ委員会員たちがいるのかと思った私たちはふとスピーカーに目を向けた。でも、聞こえたのは、知らない声だった。まるで、変声機を使った、偽物の声。
「聞こえるか?新神学園中等部の皆よ。…よし、問題なさそうだな。ここに君達を呼び出したのは新川菜帆でも、戸倉隆之校長でもない。私だ。」
「仕向けやがったのかよ…!」洪絡正次がつぶやいた。
「君たちがこの人に呼ばれたら、絶対に来るやつの名前を使ってな。わかりやすいな、2年3組の諸君。」
この謎の声の持ち主は明らかに私達を馬鹿にしている。少しむかついてきた生徒がちらほらと見えた。
「私のことを『ゲームマスター』と呼べ。」
ゲームマスター?そのような名前で呼ぶ、と言うことは、何かのゲームをやること。私たちは一体何をやらされるの?
少しのざわめきの後、また『ゲームマスター』が喋り出した。
「君達には命懸けの騙し合い、『人狼ゲーム』に参加してもらう。」