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ハンサム☆シャーク!  作者: 羊蔵
最終章 星・鮫・嵐
80/80

エピローグ Shall we SHARK?(サメと踊ろう)


「クイントは?」

「焼き鳥喰ってる」

「今日何曜日?」

「さあ。祭りってのは土曜か日曜じゃねえの」

「そうか。忙しくて曜日の感覚がなくなってた」

「なあ。ハンサム」

「なに、トミカ」

「別にいま訊くことじゃねえが、お前、戸籍上のあれとかどうすんだ?」

「サメキチ学会はあの爆発で俺が死んだと思ってるはずだし、研究成果はサメのいる海の底だ。オウルさんが上手いことやってくれることになってる。そういえばマックスはどうなったんだ?」

「さあ。軍隊学校逃げ出したとか出家とか。そうじゃなくてよ。『彼』の本名とか名乗らないのか?」

「俺は『彼』じゃない。みんなが呼び慣れてる名前が良いんだ」

「そうか。じゃあハンサムだな」

「ああ。俺はハンサムだ」

「俺も『ドラゴン』とかに改名するかな、この際」

「そういえば前に言ってたあれ何だったんだ? たしかドラゴンカ――」

「ああ、いいだろ、それはもう」

「私もラジオネームか何か考えようかな」

「お前は『ニンジャ』か『尻』だろ」

「うん。『ニンジャ』か『尻』だと思う……ラジオ?」

「準備はできてるか?」

「おっさん」

「オウルさん。それにマイクルさん。もう良いんですか?」

「なんとかな。ゴッサムとライスも辛口カレーを食べれるほどに回復したよ。すでに会場に紛れ込んでいるはずだ」

「僕も手伝うよ」

「なんだその頭!」

「思い切ってチョンマゲにしてみたよ。サムライをイメージしてみたんだけどどうかな」

「そんなチリチリのサムライいないと思う」

「大事な作戦の日にふざけてんのかぁ? 切腹しろ切腹」

「こないだお腹に穴が開いたばっかりだよ……」

「新人にも参加してもらう。傷も塞がったしな」

「っていうかアンタらまだつるんでんのかよ? ジミーの野郎が死んでS.H.B.B『シャーク・ハント・ビキニ・ボーイズ』は解散したんじゃなかったのかよ」

「今は民間組織だ。新たに『シャーク・ホライゾン・ビキニ・ボーイズ』として住人達の基金でやらせてもらってる」

「けっきょくS.H.B.Bじゃねえか。よく金を出すヤツがいるな」

「市長が亡くなって旧市街と新市街の垣根がなくなったおかげだ。今回の作戦にも新旧、両方の市民が協力してくれている」

「アイツも死んでちょっとは役に立ったかよ」

「ジミー市長とシャイニング氏の合同葬儀をやったのも和解の足がかりになった。二人の対立は有名だったからな。葬儀の際は少女――いやマツリさんも立派だったな」

「ありがとうございます。皆さんのおかげで学校の雰囲気も良くなりました」

「で? 準備はできてるのか?」

「『できたんですか隊長』だろ」

「すでに全員会場に潜んでいる。準備も完璧だ。ジャスジャスたちの動きも想定通り。あとはお前達の働きに懸かっている」

「――隊長。そろそろ時間のようです」

「そうか。一応確認するが君たちは、これでいいんだな? 街を出るという選択肢もある」

「俺はジャスジャスのやり方が気に入らねえだけだ」

「私は、育った街は今のままの方がいい。それにやっぱりマックスくんを利用した人たちを、私も信用できない」

「キミは?」

「俺の命はサメとシャクティに貰ったものだ。彼女の真意がどうだったか、今となっては分からないけど、彼女が暮らした街なら俺も守りたい」

「……そうか。協力を感謝する。うん……ところで気になってたんだが、その格好」

「あっこれですか?」

「やっと指摘してくれましたね」

「俺らは止めたんだよ」

「これは半被ハッピといって、フンドシと並ぶ日本の正装の一つです。ハッピはハッピーにつながる縁起物なんだってスターライトさんが言ってました」

「マツリ。スターライトの言うことは信じちゃダメだ」

「時間だ」

「じゃあ行くか」

「SHARK神祭りだ」


△△△


 盆踊りの開始を前に、SHARK神社に人が集まり始めていた。

 出店に灯りがつき、サメマスクたちが会場の準備を進めている。

 ジャスジャスと企業の重役たちは、まだ日のあるうちから陣地を敷いて、酒盛りを続けていた。


 シャークランド跡地の崩壊から数週間。シャクティ・スペック。フカ雅の両名は死亡と判断された。

 噂になっていたサメ人間も、あれ以降、目撃されていない。きっと死んだのだろう。

 ジミーの息子マックスが相打ちにならずに生き残ったのは残念だったが、概ねジャスジャスは満足していた。

 このSHARK神祭でのお披露目が終われば、次期市長の座は確約されたも同然だった。


 サメの活け造りを前に、サメマスクをかぶったビキニの美男美女を侍らせて、ジャスジャスは快活になっていた。


「私は昔から嫌いだったんですよサメビジネスが! だって危ないじゃないですか!」


 そう言って彼がサメ映画のディスクを叩き割ると、周りから歓声が上がった。


「いよぉっ!」

「いいぞ! ジャスジャスくん」

「いいや! 次期市長!」

「私が市長になったアカツキには、サメを撲滅する事を約束します! サメ映画の上映は禁止。DVDを所持していた者は死刑とします!」

「いいぞお!」

「ぜひ我が社の浄水器と発電機を導入して下さいよ市長! いやキング!」

「します!」

「さすが!」

「……これは扱いやすそうですな」


 重役達が、ささやき合って笑う。

 有頂天のジャスジャスはそんなことには気づかず、隣の美女の太ももを恐る恐る撫でたりしていた。もっと過激なことをしたいのだが怒られそうでためらっているのだった。


「そろそろボン=オドリの時間だね」

「あれも今年限りで終わりにしたいね」


 重役達が盆踊り会場の方を見て言っている。

 客もそろそろ満員だった。

 ジャスジャスはどうにかして美女に触ろうと考えていて客の様子など見ていない。

 女の方はサメのお造りを食べるのに夢中だった。体格の良いセクシーなビキニ美女である。

 会場アナウンスが祭りの開始を告げる。


「えー。これより演舞場にてSHARK音頭の演舞を開始します。皆様ふるってご参加下さい。ただし――やましい心のある者の安全は保証しませんが。みんな、サメの餌になる覚悟はあるか!」

「んん?」

「どういう趣向かね?」


 いぶかしむ重役の横で、ヒラヒラビキニの少女が立ち上がった。彼女はマスクを取ると、重役にグラスの中身をひっかけた。

 アリシアである。

 ジャスジャスは事態に気づかず体格のいい女を口説いていた。


「いいね。私は自分より背の高い女が好きなんだ。征服したときのことを考えると興奮する。その……私はそういうワイルドな男なんだよ」


 デカイ女はサメの刺身を素手でガツガツ食べている。さらにそれをウォッカで流しこんだ。と言うより一息で飲み干した。


「えッ? えッ? やだスゴイ」


 ジャスジャスの前で、女はサメマスクを脱いだ。マスクと一緒に金髪のカツラがずるりと落ちた。

 それから彼女はウォッカのビンでジャスジャスを殴った。

 スターライトである。


「えぇ~?! キミィ! えぇえ~?!」

「何をするんだね女ァ!」


 ジャスジャスたちが騒ぎ出したとき、S.H.B.Bが踏みこんできた。


「動くな!」

「みなさんには公職選挙法違反的な疑いがあります。あと浮気とかドラッグとか違法ポルノの証拠もどっさり集めてある!」


 新人が証拠の書類をばら撒く。

 彼らはこの日のために、企業重役たちやジャスジャスの身辺を調べていたのだ。

 だが、大企業をバックにつけたジャスジャスたちは、それくらいでは諦めない。何かあったときのため護衛もつけているのだ。


「しらないよ!」

「選挙法? 我々はそういうジゲンで勝負してないんだよ!」

「ふざけた頭しやがって」

「であえ、であえ!」

「こいつらの言ってることはぜんぶ嘘だよ!」

「我々を脅そうとする狼藉者! 先生方! やっちゃって下さい」


 ジャスジャスたちは護衛を呼んだ。

 黒服姿の男たちは外の街から雇われたボディーガードだろう。

 他にもビキニ姿のマフィア、つまりミートバーグのビキニヤクザたちの姿もあった。


「チンポ!」


 その最初の一人を武道着の若者が殴り飛ばした。トミカである。


「何しとんじゃワレェ!」

「チンポって言うたんか!」

「なんでチンポって言うたんな!」


 ビキニヤクザたちが飛びかかろうとする。

 その時、サメマスクの客たちが集まってきて、ヤクザたちと相対した。

 よく見ると全員が同じサメマスクをかぶっている。

 街とサメを守るため集まった、新旧両市街の勇士たちである。

 その数はビキニヤクザたちを優に上回る。


「な……なんじゃあ! お前らァ!」


 並んだサメマスク立ちが次々に前へ出る。


「あんたたち、サメの街の極道として恥ずかしくないのか」

「やかましいッワシらぁ……」

「不幸行き違いもあるけれど、ここは人間とサメの街だ」

「人間がいなければサメ映画は生まれなかった」

「サメがいなければ、やはりサメ映画は生まれなかった。だから我々は戦う」

「……それが……どうしたっちゅうんじゃ……」

「理由は以上だ!」

「それがすべて!」

「クウッ」


 ビキニヤクザたちがたじろぐ。

 そのうちの一人が膝から崩れ落ちた。


「兄貴……すいやせん……俺ッ俺ァ……」


 彼はボロボロ泣いている。そしてビキニを探り「シャーク・プリズン」のDVDを取り出した。サメ撲滅派が絶対に持っていてはいけない代物である。


「サブゥ! お前!」

「すいやせん……すいやせん……俺にはサメは裏切れねえ……」

「サブゥ! 顔を上げえ!」

「すいやせん、すいやせん、小指エンコでも何でも――」

「サブゥ!」


 叫んで、兄貴分の男はビキニをズラして見せた。

 その尻にはなんということか、あの大ヒットストップモーション・サメアニメ「モルカー」の刺青が彫ってあるではないか。


「――ワシもじゃあ!」

「兄貴……」

「ワシもサメが好きじゃぁ!」


 兄貴は武器を投げ捨てると、その場にあぐらを掻いた。

 投降したのである。


「兄貴ィ!」

「兄貴ワシもじゃあ!」

「ワシも!」

「俺も!」

「アタシも!」


 ビキニヤクザたちは次々にサメDVD、サメグッズを取り出すと投降していった。

 慌てたのはジャスジャスたちである。


「何を……何を言ってるんだ君たちは!」

「危ないよ? サメは危ないよ?」

「だけどヤッパリサメが好きじゃあ!」

「バカなヤツら!」

「街の衆! ワシらサメは裏切れん! 煮るなり焼くなりサメの餌なり好きにしてくれえッ!」

「バカか! バカかー!」

「使えない田舎マフィアだよ!」

「やはり外の街の人間しか勝たん! 次期市長の名において命ずる! このサメバカたちを蜂の巣に――はうあ!」


 ジャスジャスが声を上げた。

 盆踊り会場の中央にスポットライトが灯って、そこのいる人物の顔を照らしていたからだ。

 しかもポーズを取っている。好男子にだけ許されるそのポーズは間違いなくジャニのもの。


「残念だったな。ハンサムだ」

「――はうあ! ハンサム!」


 ハンサムである。

 ジャスジャス!

 突然だがこれは人名である。

 あまりのハンサム力の前に、ジャスジャスは、お漏らししながら、崩れ落ちた。

 気絶した彼にオウルが手錠をかけた。

 ハンサムはオウルと頷きあうと、マイクを手に全員へ宣言した。


「ハンサムだ。喰うのは勘弁してやった。ジャスジャスがこうなったのはよこしまな心があったからだ。これから俺は『ジャニ』るが、純粋に街を思う者に害はない。そういうふうに『ジャニ』ってやる」

「なんだァ……何を言ってるんだ!」

「ビックリするほど意味不明だよ! 何この音ォ!」


 SHARK神音頭の音色が響き始めた。

 サメマスクたちが演奏を始めたのだ。

 やぐらの上から和太鼓の音色が轟く。


「私が……」


 ボディーガードの一人が動こうとした。

 それよりはハンサムのポーズが早かった。


「ジャニ!」


 エッチ!

 唐突だがボディーガードの男の名前である。

 ミスターH氏は腰を振りつつエビのように宙を舞った。


「えーッ!」

「どうしたのキミィ!」


 戸惑う重役たちをよそに、ハンサムはビキニヤクザのところへ歩いて行って、手を差し伸べた。


Shallシャル weウィ Sharkシャーク? (サメと踊ろう)」

「あ……あんた……」


 兄貴たちは目を拭って立ち上がった。真摯な気持ちの彼らはハンサムの笑顔を見ても邪心を抱かなかった。


 ハンサムは重役たちへ向き直って続ける。


「ビッチ器官は彼らを善と判断した。あんたたちはどうかな? あんたたちの策略は街を思ってやったことなのか? それとも欲望に駆られただけの暴走だったのか? 踊りが終わった頃にははっきりするだろう」

「わからん! 言ってることが分からないよ!」

「サメの街ではサメが裁く」


 奏者たちの中から掛け声が響く。

 一気に演奏が高まり、SHARK神音頭が始まった。


「喰らいマーックス!」



△△△


「SHARK神音頭」

作者不明



ババ・バ・ババババ・バーグ!

(シャーク・アイ!)

シャシャ・シャ・シャシャシャシャ・シャーク!

(スマイル・ユー!)

シャーク・イン・スマイル!


やめろと云うほど 沖に出て

ッ! ッ!)

飲酒、淫乱、ユチューバー

市長ドン! 市長ドン!)

ビキニ姿はダテじゃない

今日も魅せます 躍り喰い

ッ! ッ! ッ!)

ァ~遺影イエイ! 遺影イエイ!)



ヤバいときほど、ケンカして

ッ! ッ!)

「こんなところにいられるか」

市長ドン! 市長ドン!)

ビキニ姿はダテじゃない

お尻に迫るよ、サメ視点

ッ! ッ! ッ!)

ァ~遺影イエイ! 遺影イエイ!)


どうしても、ちゃんとできない

(不覚、不覚)

真面目な、物語ストーリー つづったら死ぬの?

ちゃんとジョーズに、できないの?


それが、


ババ・バ・ババババ・バーグ!

(シャーク・アイ!)

シャシャ・シャ・シャシャシャシャ・シャーク!

(スマイル・ユー!)

シャーク・イン・スマイル!


△△△


 ジャスジャス・スゴーイ

 ジョン・ジョン

 ドバア・デルダ

 プッシャー・シャア

 ジャスティス・ド・ビュウ

 バローン・滝

 デルデル・ワー

 ドップ・ドゥップ

 コイ・カルピス

 イイデス・オフ

 ドビュッシー(大)

 ドビュッシー(小)

 オイオイ・デルワコレ

 ティッシュー・タリン


 唐突だが、シャークならぬ邪悪だった者たちの氏名を一部抜粋した。重役たちおよび、そのボディーガードたちがほとんどだった。


 サメ人間は踊る。

 ハンサムポーズの輝きで、よこしまな者たちを祓っていく。

 サメであること。ハンサムであること。

 彼を苦しませてきた事のすべてが、今では感謝に変わっていた。

 サメで良かった。人で良かった。ハンサムでバンザイ。

 ビバ! シャークランド。

 ビバ! ビキニ。

 ありがとう。シャクティ・スペック。

 この喜びを少しでも伝えようと、彼は力の限り踊り続けた。


 反抗してくる者はトミカ達が撃退した。

 転校生とはいえシャイニングの弟子。

 トミカの振るうSHARK神流の中には、隠しきれないSHARK神音頭のリズムが混じっていた。

 今の彼はそれを嬉しく思う。

 ビバ! ミートバーグ。ビバ! SHARK神流。


 スターライトのムーンウォークも絶好調である。

 ビバ! 酒。


 オウルたちS.H.B.Bのメンバーの働きもいちじるしい。

 見事に踊り、手際よく捕縛ほばくし、疲れればカレーを補給して、またS.H.B.Bを執行した。

 守護者としての自負が彼らを輝かせた。身体に残るサメの噛み傷も今は美しい。

 ビバ! 勤労意欲。ビバ! 祭日。


 やぐらの上で、マツリはバチを振るっている。

 日本に伝わる正装、半被姿である。さらに地下足袋。フンドシ。さらしを締めて、ねじり鉢巻きもイナセである。

 頰は上気して、玉の汗に輝いている。

 長らく封印していた和太鼓に没頭する姿は、喜びと活力に満ち満ちていて、発する掛け声も威勢が良い。


ッ! ッ! 市長ドン! 市長ドン!」


 和太鼓はマイクルが務めた。

 さすがジュードーで鍛えた体幹。マツリのバチさばきを見事な剛性で受け止めている。

 しかも和太鼓の経験者。両手両足をピンと踏ん張り、その完成されたフォームはクラシックな和太鼓スタイル。

 睡眠もバッチリとって尻のコンディションも良好。

 己の役割に納得いっていない感じの表情もまた良い。

 ビバ! 和太鼓。

 クイントはマツリの生き生きした様子が嬉しくてたまらない。巨大化して会場を跳ね回った。


 客たちの中には、計画を知らない者も混じっている。

 そんな彼らも、音楽がかかると、盆踊りをはじめた。

 その表情には、サメの街の住人としての誇りがみなぎっていた。

 まあ、何人かはハンサムに邪心を抱いて吹き飛ばされたりしていたけれども、それもサメの街の醍醐味である。


「シャーク・タイム!」


 ビキニヤクザたちも踊った。

 サメ映画DVD。サメ刺青。サメダンス。サメ談義。サメジョーク。サメ声帯模写。サメに関するあらゆる技を披露した。

 ビバ! サメ映画。


△△△


 盆踊り。BON=DANCE。

 それは死者を供養するための踊りである。

 盆踊りの夜。

 先祖たちがサメたちの背に乗って戻ってくるとミートバーグでは信じられている。

 だから、サメの喜ぶ舞を捧げるのだ。

 サメはお祭り騒ぎが大好き。

 踊りに誘われたサメに乗って、亡くなった者たちは盆踊り会場に戻ってくる。

 そして生者たちに交じって祭りの夜を楽しむのだ。

 皆さんはどう思うだろうか?


 例えば、仲睦まじく踊っている男女は、すでに一度サメに喰われたカップルかもしれない。


 あの屋台で生牡蠣を食べているのは「こけしおばさん」かもしれず、仕事をこなすオウルたちを見守っている女性はブリジットかもしれない。


 ヤシガニと戯れている若者たちが、爆発で亡くなった生徒たちということだってあり得る。


 リリィ。ライデンがマイクルに乗り移って、マツリのバチさばきを堪能しているとしたら?


 夜空で切り結んでいる影は、コウモリか、サメか、天狗か、いいや、あれは今も戦い続けるシャイニングとジミー、なのかもしれない。


 本殿の側に浮かぶ気球が気球じゃなくて、フカ雅と、その家族友人たちの乗る幽霊船だったとしたら。


 ずっと微笑んで座っているあの老人が「笑い爺」だとしたら。


 ならばシャクティと『彼』だって、どこかで皆を見ているかもしれない。

 きっと遠く離れて、でも去ってしまいはせず、幸福そうに、けれど普通のカップルたちのように。

 今夜はそういう夜なのだ。


 いったい、魂は存在するのか? その答えはまだ謎のままだ。

 でも、サメはもっと謎だ。

 だが存在する。

 ならば、魂ぐらいあってもいいではないかと、この街の人はそう考えている。

 魂はサメと供にある。

 そのことは、かのスティーブン・スピルバーグも否定していない。

 だから、あなたもサメのために踊り、サメのように笑えばいい。

 そうすれば、ほら。

 あなたの後ろで、いなくなったはずの誰か、あなたのための誰かが踊っているに違いない。


 まあ、サメが来ることもあるけどね!


 さあ。祭りが終わる。

 曲が最後のフレーズにさしかかる。

 仕上げにみんなで、サメのように歯を見せて笑って、この物語は終了。フィン



 「ハンサム☆シャーク!」完結しました。

 ちょくちょく修正はしますが、大筋はこれで完結です。

 少しでも読んでくださった皆さん、本当に励みになりました。

 深く、フカく感謝いたします。

 これからもサメをよろしくお願い致します。


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