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 また見てしまっている。

 右手親指、第一関節の上にある、平たい形のもの。

 正方形の角を少し丸くして、綺麗に切り取られたような、かまぼこのような形。

「うん? わからない?」

 家庭教師の上村雄二が私の顔を覗いた。

 その瞬間、私は我に返り、動揺する。漫画の単行本くらいの厚さの、開かれた青い問題集。

 開かれたページには数字や記号が並んでいる。

 だめだ、集中しなくては。

 そう自分に言い聞かせ、その数字や記号を訝しげに見つめた。

 わからないフリをしなくては。

 だって、親指の爪に見とれてた、だなんて言えないし。言ったところで、先生は私のことを変だと思うだろう。

 「うん?この問題がわからない?」

 先生が私の視線にある問題を指差した。

 あぁ、違う。人差し指じゃないんだってば。私が好きなのは……。

 でも、人差し指なら大丈夫。これなら集中できる。

***


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