みんなの正体と”祝福”
主人公の口調を無理やり安定させたけど、今度は敬語が迷子。あんまり敬語得意じゃないんですよね。私が
セトに話を聞きながら大通りを歩くこと1時間、貴族街にある高級そうな宿についた。ビクビクしながらセトに続いて中に入ると、レオンたちを待っていたらしいアークが声をかけてきた。
「セト、レオンちゃん、こっち。結構時間かかったね。レオンちゃん疲れてない?」
『平気です。』
目が覚めてからずっとそうだが、アークは言動が軽いし距離が近い。今もしれっと肩を組もうとしてくるので、しっかり躱してあとをついて行く。突き当たりの部屋に案内されたので、中に入る前に刀をしまった。
部屋の中に入るとソファにグレンシアが座っており、その後ろにリュークとギレンが控えるように立っている。リュークは紫の、ギレンは金色のエンブレムをそれぞれ胸元に掲げており、セト以外の全員が最初にあったときのように上質な服を着ていた。
やっぱり
吐き出しそうになるため息を堪えて、促されるままにグレンシアの向かい側のソファに座る。
「ここまで歩かせて悪かったな。疲れてないか?」
『いいえ、セトからいろいろな話を聞けましたので、楽しかったです。・・・改めてご挨拶申し上げます、グレンシア殿下。』
「・・・よくわかったな。」
『貴方様の持つ剣の柄には王家の紋章が刻まれておりましたから。』
レオンは欠けている知識こそあるものの、全くの常識知らずというわけではない。まして人生は二度目なのだ。同じ年頃の子供に比べたら、色々取り繕えるし状況把握だってできる。
ちなみにこの部屋にいる他の5人も、自己紹介の時は名前しか名乗らなかったが全員貴族だ。立ち居振る舞いが明らかに街にいる大人とは違い、教育を受けたもののそれだった。
「その様子だと、私たちのことも気付いていました?」
『皆様が貴族であることは。私は騎士団員にはあったことがございませんから、所属まではさすがに。』
ピンと背筋を伸ばして無表情のまま答えるレオンを、3人は不思議そうにみる。最初にあった時から印象が変わりすぎて、話しているのが本当にレオンなのかわからなくなるような錯覚に陥る。
「・・・本題に入ろう。改めて我々を救ってくれたことと、貴重な薬草を分けていただいたこと感謝する。」
グレンシアが目配せするとリュークが異空間収納から取り出した麻の袋をレオンの目の前においた。音的にお金だろう。
「金貨が60枚入っている。」
フルポーションは一瓶で金貨10枚、中級ポーションは金貨1枚、月光花は一本が金貨一枚で取引されているため金貨30枚はわかる。ただどう考えても多すぎだ。
『多すぎます。こんなに頂けません。』
「月光花とポーション代金以外は、私たちから君へのお礼の気持ちだ。どうか受け取ってくれ。」
互いに目を合わせるが、彼が引くつもりはないことがわかったので黙礼してから受け取った。
リュークとアーク以外は仕事があるとかで殿下と一緒に城に戻り、残された3人で宿の食堂で食べ、それから魔法師団の本部に移動した。
魔導師団にも魔力を測る魔道具があるそうなので、そこで“祝福”なるものをしてくれるらしい。
久しぶりの都会と人の多さに気分が悪くなり、無言のまま2人についてあるき魔法師団兼第一騎士団の本部についた。
外壁に囲まれた中庭には鍛錬場があり、何人かの兵士さんが剣や魔術の訓練をしている。
「気になりますか?」
『多少は。』
この5年間は1人で生活していて、人の魔術や剣を見る機会なんてなかった。もちろんアレイに習ったことを衰えさせないように毎日訓練をしていたし、基礎練はもちろん魔術の特訓だって書かさなかった。定期的にメニューの見直しもしていたけど、やっぱり比べる相手がいないことは自分の実力を見失わせるから、不安だ。まして対人戦なんて年に一回あるかどうか。今の自分は他人の剣を防げる自信がない。
案内されたのは一回の突き当たりにある部屋で、真ん中に置かれたテーブルの上には水晶のようなものが乗っていた。
アークさんは外で待っているらしく、部屋の中にはレオンとリュークの2人で入る。
占い始まりそう
そんなことを考えたら急におかしくなって、1人でクスクスと堪えきれない笑いをこぼす。
「どうかしました?」
『いえ、なんでもないです。それで、どうしたらいいですか?』
「では水晶に手を当てるだけで大丈夫です。魔力を吸い取られますが、大した量ではないので私がいいと言うまでそのままで。」
『わかりました』
言われた通りに机の前に立って、小さな座布団みたいなやつに乗せられた水晶に手をかざす。すると事前に教えられた通り魔力が少しだけ水晶に引っ張られる。その流れが止まると水晶が光り始めた。小さな明かりが水晶の中で何色も光って、それを数えてみると7色だった。色はクルクルと水晶の中を回って大きくなり、最終的に水晶の外に出て花火のようにはじけて消えた。
『「・・・・・??」』
2人がほぼ同時に首を傾げ、部屋の中がなんとも言えない空気で満たされる。多分7色の光は属性を表しているであろうことは分かったが、魔力量の方の指標が伝わってこない。
『えーっと、リュークさん?』
「っ、手を離してもらって構いません。お疲れ様です。」
頷いてから手を離し、とりあえず部屋にあったソファに座る。
「水晶から光が飛び出るなんて、珍しい。」
『普段は違うんですか?』
リュークさん曰く、ほとんどの場合、魔力量の強さは水晶の光の強さで決まるらしい。力が強さに比例して光も強くなるのだそうだ。
「ですが例外として、水晶のキャパよりも多い魔力量を持つ人が使うと、先ほどのように外に光が溢れるんですよ。」
リュークさんが初めて見たのは2代前の魔法師団長の男性だったらしい。彼は闇と火の属性で、2種類の光が水晶に収まらず、小さな球体として外に飛び出して消えたらしい。
たださっきのレオンの場合は、飛び出した光が花火のようにはじけた。そのことを聞けばリュークさんは信じられないと言わんばかりに頭に手をおいた。
「それだけレオンさんの魔力量が多かった、と言うことでしょう。」
量だけで言えば、今のところ王国でもトップクラスなんだそうだ。
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