合格発表と久しぶりの再会
合格って文字素敵ですよね。
私も欲しいな
無事合格した。
校舎の前にある広場に合格者の番号が張り出されており、ちゃんと自分の番号を見つける事ができた。ちなみにレオンと一緒に魔法実技の試験を受けたあの4人は不合格だった。よかった、あれがこの学園のレベルだとか言われたら合格を辞退するところだった。
いろんな意味でほっと胸を撫で下ろしてから、制服と教科書を受け取るために合格者受付に並ぶ。
「はい次の方」
受付のお姉さんに受験票と市民証を見せる。
王国の市民証は登録の時に本人の血液とそれに含まれる魔力を専用の魔道具に登録する。なんでも魔力の質?のようなものを登録するらしく、本人以外には使用できない仕組みになっている。すごい便利。
しかもアルスレイド王国では銀行業務を王立機関が行なっており、市民証によってお金の出し入れやキャッシュ機能を利用できるのだそうだ。暗証番号とかではなく魔力で識別するため、身分証明能力もバッチリだしセキュリティ能力も高い。
「それでは、はいこれが教科書です。これがリストだから確認して、もし抜けがあればすぐに言って下さい。それと、あなたの制服はこれです。制服は着用したら勝手にサイズが合うので、もし不具合があれば報告してください。この制服は特殊な素材を使っておりますので、自分で直そうとか思わないで下さい」
お姉さんの説明を聞いて制服と教科書を受け取る。クラスは成績順に決まり、一番上である“Sクラス”に入る事ができたらしい。
入学式の日取りや時間、入学式に持ってくる物を記載したプリントを貰って、それ以外の荷物は全て異空間収納に入れてから学校の敷地を出た。
ふーん、入学式の2日前から入寮か
遠い場所から来たり貴族の子女に配慮してか、荷物の搬入自体は5日前からできるらしい。入学式前日に寮の案内もしてもらえるみたいなので、二日前には来られるようにしよう。
渡されたプリントには学校や寮の案内図もあり、他にも学院で生活する上での規則なども書いてあった。
その規則の中で割と頻繁に“実力で決まる”とか“身分は関係ない”というワードが繰り返し書かれている。ということは、それなりに身分関係の問題があるのだろう。
身分なんて微塵も興味ないし、卒業後も国に仕える予定はないから、下手に刺激しないようにだけすればいいだろう。
宿に戻るとロビーにリュークさんが待っていた。仕事の途中なのか薄茶色のローブを羽織り、下には紫のエンブレムが胸元に刺繍された軍服を着ていた。
『お久しぶりです。』
「レオンさん、お久しぶりです。試験どうでしたか?」
『おかげさまで無事合格しました。』
「そうですか。おめでとうございます。」
リュークさんがお勧めの店に連れて行ってくれるとかで、一緒に街中を歩くが、リュークさんが目立つ。銀色の長髪で美形のリュークさんは街中を歩くだけでかなり人の視線を集めていて、自然とその横を歩いているレオンにも視線が集まる。
男っぽい服装しててよかった。これ女ってわかったら、絶対視線が痛くなるはずだ
リュークさんが連れて行ってくれたのは魔法師団の本部近くにある居酒屋っぽい店だった。手前は普通にテーブル席で奥の方が個室になっており、レオンたちは個室に案内された。お昼時で結構混んでいて、リュークさんは知り合いがいるらしく声をかけられていた。
本部が近くにあるから魔法師団と第一騎士団の人が多くいるようで、それに釣られて女性客も結構いた。
超エリート集団で国家公務員だし、将来安泰だもんなぁ
貴族が大半を占めているからうまくいけば格上の家と結婚できるし、例え出身が平民だとしても優秀な人であることは間違いないわけだ。貴族としては相手が強い魔力持ちならそれだけで、家の問題もパスできるようだし。
リュークさんが話している人とは軽く会釈をして、一歩下がって俯いたままでいる。
少し話してから個室になっている席に座り、メニュー内容をリュークさんに教えてもらってから料理を注文した。
宿は食事付きだったので、人生初の外食になる。あまりソワソワしても子どもっぽいかと思ったので、深くは考えずに向かいに座ったリュークさんの方を見た。
『それって魔法師団の制服ですか?』
「ええ。夕方から仕事がありますので。」
『お忙しいのに何かと気にかけて頂いてありがとうございます。』
「いえいえ、学院に誘ったのは私ですから。これくらいは当然ですよ。」
途中で運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら、魔法師団のことや学院のことを聞いた。リュークさんは魔法学院や岸学院に講師として出向く事があるらしく、学院に入学したら授業で会うこともあるそうだ。第一王子であるグレンシアが今年から学院に入学したこともあって、講師として出向く頻度が増し、ギレンさんもくるようになったらしい。ギレンさんは第一騎士団所属で、しかも第一王子つきなので学生からしたら羨望のマトだそうだ。
ちなみに側近であるアークも一緒に入学し、今年セノレットとソルグルも試験を受けたそうだ。
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