邂逅の予兆
ヴェンデルは荷台から降りると、門の左右に立っている兵士に声をかけた
(これは…王都の紋章…この兵は王都から…?)
「失礼、私達は旅の冒険者だがこの村で仕入れたいものがあって来た…しかしこの警戒は一体
?」
「あぁ?んな事もしらねぇのか?最近ここらに火属性の魔物が大量に沸いてんだよ…良くわかんねぇけどよ」
「火属性の魔物が?」
「ここの近くにペトロの墳墓があるが…そいつと関係ないといいがな…」
「ペトロ…使徒裁逆の?」
「ああ…前に起こったのは400年前だろ?早すぎる気もするけどな」
そこまで聞くとヴェンデルはクリル達の元へと戻り、兵士と話した内容をつたえた
「ふ〜ん…なるほどね…まぁそう言う面倒な事は王都の精鋭に任せていいんじゃないか?」
「はい、私もそう思います」
「じゃあ今回は見送ろうか」
そこまで言うとクリルは兵士の所まで歩み
「私らこの村で買い物したいんだ、中に入れてくれないか?」
「はいよ通りな……早くここから出た方がいい…気をつけろよ」
「…忠告ありがとう…酢を買ったらすぐ抜けるさ」
そこまで話すと兵士は腕に力を入れ、門を開けた
門を抜けると木造の家屋が並び道路が一本直線で入っている、その周りに屋台が並び、えもいえぬ匂いを出している
「なかなか賑わってるじゃん、どれどれ」
クリルは早くも屋台の物色を始めた、果実飴に串焼き肉、清涼飲料にお守りまである、その中から酢を売っている屋台を探す
「なかなか無いな〜…お?あれかな」
そう言うとクリルは一つの屋台に近付いて行った、そこには調味料と書かれた看板が下げてあった
「おっちゃん、酢は置いてあるかい?」
「ん?ああ、酢ね、果実酢に穀物酢があるけどどっちがいい?」
「穀物酢で、瓶1本くらいだね」
「ん?旅でもしてるのかい?お嬢さん、酢を1瓶なんてあん見みねぇな」
「まぁね、今ソウリエに向かってるんだよ」
「ソウリエか〜、あそこは良い所だぞ」
「行ったことあんのか?おっちゃん」
「おう、とは言っても行商で少しだけな、魔素溜まりがあるから魔法は戦闘目的以外じゃ使えねぇが何より飯が旨い、果実メインだが旨いぞ」
「ほうほうそれは楽しみだねぇ…」
「はいよ、酢1瓶で銅貨4枚、お嬢さんは美人だから負けとくよ」
「お、ありがとう、でも美人じゃあないな〜」
「ひいふうみい…丁度だな、またいつか寄ってくれよ〜」
「この村に来たときは必ず寄るよ」
〜〜〜
夕暮れ時、ホクホク顔で馬車まで戻って来たクリルは愕然としていた、ある事実に気がついたのだ
「あ…」
「どうしました?クリル」
「卵ないじゃん!」
「…あちゃー」
「まぁそんな事もあるって、また次よる村で買おうぜ」
「そうだな〜、うん、そうしよう酢も長持ちするし」
そう話しながら竜車に乗り込み、道を進めていると一筋の雫が落ちてくる、遠くで雷鳴が鳴る…次第に雨は強くなり、豪雨と呼べる程になっていた
「うわぁ…これどうするかな…流石に参ったぞ」
「近くに宿もありませんしね…どこか休める位の大きな洞窟でもあれば良いのですが」
するとリーデルが森の中に何かを見つけたようだそれはまるで神殿のような神々しさで…その中に不思議な不気味さを映し出していた
「おい!こっちに何かあるぜ…デカイ神殿みたいだな」
「…こんなところに…?」
「少し不思議ですが…あそこの他に休めそうな所はないですよ」
「しょうがないか、じゃあ雨が止むまであそこで休もう、最悪一晩休ませてもらおうか」