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社畜が転生したら竜種の王になっていた  作者: 社畜大根
報復戦争編
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呪い    ー新たなる幕開けー

「ふ〜ん…大体わかった、でも俺たちがそれを拒否したら…?」


「拒否…?この国に来て数日…まだわかりませんか」


ふふふ…とヴェンデルが笑い出す、


何だ…?と思う間も無く桃色の艶やかな唇から言葉が紡がれる


「あなた方に拒否権は無い」


見下すように言われたその言葉は銀龍の鱗に圧倒的な“何か”を植え付ける


その“何か”は一つでは無い


力量差


物量差


エリートとして生きてきた彼らに今までに得たことのない


恐怖


屈辱


を深く、その心の奥底に植え付けていく


言葉一つで圧倒的なプレッシャーを与え、思考をねじ曲げるだけの力を持つ目のヴェンデルとかいう女ですら配下、普通の国であればヴェンデルがトップに立っていても不思議はないだろう


そこから導き出されるの答え、それすなわち竜王とは我々の持てる最大の力量、その限界点すら軽く超越する力を持つ超次元的存在であること


「わ、わかった…行けばいいんだろう?」


「えぇ…最初からそう言って下さい、答えは最初からそれしか用意されていないんですよ」


ヴェンデルのアメジストの如き瞳からは淡い昏い光が漏れる


「ひ…ひぃ…!」


エリンが押し殺した悲鳴を洩らす、だがそれを意に介したようでもなく


「では参りますか…随分と時間を無駄にしましたからね」


パチン、とヴェンデルが指を鳴らすと転移の魔法陣が発動


次の瞬間彼らは玉座の間に立っていた、いや…立ち尽くしていた


「お前らか、銀龍の鱗とかいうギルドは」


「は…ひ…ひぃい!!」


クリルの問いかけに応すらせず情けない家畜のような悲鳴を上げるカイン、


怖い…震えが止まらない…早くここから抜け出したい…そう考えるまでにはそう時間はかからなかった


「我が君の御前だ…あまり見苦しい真似はなさらぬよう」


厳しく律するようにヴェンデルの声が響く、その言葉は一瞬でカインを正気に戻す


「は…えぇ…俺たちが…銀龍の鱗です」


「よく来たな〜、どうだ?竜域は」


「と…とてもいいところだな、竜王様」


「そうか〜…それは良かった、で、お前たちに質問があるんだけどさ」


「はい…?」


(おいアリア、索敵魔法を使って逃げ道を探せ!)


(わかったわ)


「お前たちはこの国いや、私に何をするように命じられた?」


「え…?俺達はギルドとして迷宮を攻略しに」


「へぇ…じゃあそのバックの中に入ってる魔道具は攻略に必要なのか?随分と強い呪いを付与できるようだが」


な…!?アリア以外の仲間にすら知らせていないというのに…何故知っている!?


「なっなんのことだか…さっぱりだ」


「面白い事を言うねぇ……今正直に話せば半殺しで済ましてやるぞ?」


「ね、ねぇカイン…竜王様の言うことは本当なの!?何か隠し事をしてるの!?」


「カイン、俺たちの間に隠し事はないんだよな…?」


くそ…ここまでか…!!


「竜王様…これを…」


「ん?」


カインがバックの中から包みを取り出す、その包みを剥がすと中から金のラインの入った小さな黒い像が出てきた


「これはですね………呑み込め…“セトの像”!!」


セトの像、と言われた像の目が赤暗く光る、闇の瘴気が玉座の間を包み込む


それはエリンとアベルをも呑み込む


肌色で瑞々しいエリンの肌は乾き切り、体から水分が抜け落ち粉末になる、アベルも同様で


「なんだ?………!?」


クリルの腕に刻印が出る…それはアンク、黒いアンクが逆さまに映し出される


「おいアリア!抜け道は!?」


「それがー」


アリアの声が途切れる、黒い瘴気が晴れた時、そこにアリアの姿は無かった


「あるわけないでしょう…早く我が君に付けた呪いを解け…!!」


「アリア!?アリアはどうしー……!?」


ヴェンデルによって押さえつけられたアリアの姿が…何か力を受けているのか床で必死に体を蠢かせているが起き上がれる様子はない


「さて…どうしますか、このまま重力を与えて一本一本骨を折って行きますか」


「な…!?おい!アリア!!?


「大丈夫…だよ、カイン…あぁあああ!!!!」


バキッと言う音が響く、それと同時にアリアの悲痛な悲鳴が小玉する


「さてえ…次は趣向を変えて内臓を圧迫してみますか…子宮と肺、どちらを潰されたいですか?」


「やめろ!!アリアには俺のー」


どちゅ 生々しい音が響く


謁見の間に充満する鉄と酸の匂い


下半身から広がる紅い水滴


「ほぅ……お前さぁ…私を怒らせたな?」


「あ…あぁああああ………」


目、クリルが怒りに目を見開く


金色に光る瞳がその凄まじさを表している


死ね…


「この技を使うのは初めてだが…実験台にはちょうどいい…《終末を告げる焔剣》」


連なり響く鐘の音、炎の羽が舞う


気がつくとクリルの手には立派な大剣が握られている


わかる…この剣は…こう振るう!!


一瞬で放たれる6閃の斬撃、炎を纏った斬撃は掠めた床を溶かし、空気を爆発させ、エリンとアベルの粉末によって粉塵爆発を起こす


消滅


正にその言葉が相応しい


圧倒的熱量で石像も消えたがクリルに残ったアンクはそのままだ


「くぅ…ぁ…ぁああ!」


「我が君!!…侍従長、神官を呼んでください!!」


「は、はいぃ!!」


傍仕えの侍従長に指示を出すヴェンデル、その姿は珍しく狼狽えており、声が震えている

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