吸血鬼統治国家 ブラットスフィア
「いやー、隊長、労働って素晴らしいですね!!」
「だな!ハンス、この仕事も慣れてきたものだ」
「いやー、しかし、最初隊長に続いて王城に呼ばれた時は俺の人生ここまでかとも思いましたが、まさかの肉体労働の仕事を与えられるとは」
「迷宮作るの手伝ってー」
「なんて軽く言われたがな、竜域の工具を使えばすぐだと言われたがまさか1時間で60m掘り進められるとは」
「一見ただの工具ですが魔石が使われてますからね、このツルハシなんて岩がバターみたくスカッと切れるんですよ」
「ほう…私が持っているスコップも物理法則を疑いたくなる量を1度で掬えるぞ」
「なんか…とんでもない国に喧嘩売ってたんですね、俺達」
「残り五カ国だが…大体は膝を折るだろうな」
「吸血鬼共と盟主は別として大体そうなりますかね、」
〜〜〜
「え?降伏?」
「はい、ヒュドラゾンビの噂が広まったみたいですね、王族伝いで」
「えっと…残ってる敵は?」
「盟主ルクシアと吸血鬼の統べるブラットスフィアです」
「盟主ねぇ…という事は世界の国で同盟に加入してたのは盟主ルクシア含めて8カ国か、意外に少ないんだな」
「らしいですね」
「らしいですねっておい…他人事みたいに…」
「人種の同盟は情報が不確かすぎて正確な数がわからなかったので」
「ん?どう言う意味だ?」
「裏切ったり加入したりして変動がキリが無いのです」
「ほーん、なるほど、で、その2国は強いのか?」
「ブラットスフィアは天文を極め魔術にまで昇華させた「星術」を用いて戦う国です、吸血鬼の特徴である「血の霧」と「血の誓約」、を加えて行使される「星術」は人種からは恐れられているらしいです」
「その星術とやらは竜種には効くのか?」
「物によっては、多くは対人なので竜種に効く物は少ないはずです」
どうやらこの世界の吸血鬼は私が元いた世界の吸血鬼とさして変わらないらしい、太陽が苦手、血を吸った者を配下として支配する、違う点と言えばエネルギー生命体である点や血の霧となって対象を襲う事があるらしい
「主な武器は鋭い爪と支配の紅眼、高い運動神経と多い魔素でオールマイティーな戦い方が出来ます」
「やり方次第じゃ危ない感じか…じゃあ取り敢えずドラゴンゾンビ送ればいいかな」
ヒュドラゾンビになれば生命力そのものを吸うからな、一溜りもあるまい
「御意、ではその通りに、続いて盟主ルクシアですが…悪魔崇拝を掲げる国家です」
「はぁ?」
「悪魔を国を挙げて讃えている世界、歴史で類を見ない国家です、内政も隠されている部分が多く国交を持つ国も少なく、聞けば国王と対等な立場で行動する恐ろしい実力の魔族が一人居るとか」
「恐ろしい実力、か、」
「申し訳ありません、詳細は分かりかねます」
「取り敢えず王城内に送っといてくれー、やばかったら私も行くからさ」
「御意、では将は…?」
「ウィエウスとゴウメイ、スザクで良く無いか?」
「3名…ですか、御意、直ちに下知を」
「おう、よろしくな」
〜〜〜
「陛下、ウィエウスが御目通りを願い出ております」
「ほいよー、入っていいぞー」
はぁ〜…っと一つあくびをすると扉が開く、恭しくウィエウスが入って来る
「どしたよ?何かあった?」
「ブラットスフィア遠征にリーデル殿を同行させたいのですが…問題ありませぬか?」
「いいんじゃね?知らんけど」
「…感謝致します、我が君」
「どうよ、あいつ強くなった?」
「はい、反魂の魔術、魂返しの魔術を得意とし、すでに一部の魔術を我が物としている模様でございます」
「おー、やるな」
「これも一重にリーデル殿の才覚という物でしょうな…よもやこれほどの才覚を持つ物に再びあい見えようとは」
「再び?」
「は…、とんだ失礼を」
「構わないってー、で、その才覚を持った者って誰よ」
「…我が妻、獣人のガルニエで御座います」
「獣人…?」
「はい…子を残し、敵地で事尽きた我が妻にございます」
「子供いたんだな」
「はい、当の本人は気付いていないみたいでございます…あまりにも離れていた時間が長すぎました…」
「…?」
「十数年前…何者かの手によって拉致された兄妹の片割れ、あの目、気配は忘れませぬ」
「…リーデルか?」
「はい……今回の遠征、私とリーデル、2人であの国を攻略する事に意味があるのです」
「…まさか」
「我が妻…いえ、先代王竜陛下直属暗殺部隊「竜の牙」が長、ガルニエは…ブラットスフィアにて堂々たる戦死を遂げました…!」
「…」
「奴らに奪われた「天の磐船」を竜域に変換し…妻の仇を取る、私は今回の遠征に掛けております、我が人生最後にして最初の機会…私に与えてくださり…ありがとうございました…!!」
「…」
「このウィエウス、改めて我が君に忠を誓わせて頂きます…!!」




