再戦
「さーて…ヨハネちゃん…本日2回目の対峙だねぇ…っと!」
そう言ってウルズはヨハネへと向き直る
「………」
ヨハネの見た目は変わっていない、違うのは白鯨を引き連れていないという点だろう
「さて…っと!!お姉さんに続きなさい、勝ちを上げて、美味しいお酒に溺れるわよ!!」
紅いドレスを纏いウルズが魔法を放つ、空間を歪めるほどの熱量を放つ焔の魔法を
〜〜〜
「ん…」
一方ミーミルの率いる軍勢は動かぬペトロを前に困惑していた
「ミーミル様…?これ…どうしましょうかね…?」
「ん…」
「ミーミル様?」
「……」
ペトロは不意に焔の大剣をミーミルへと振り下ろす、爆炎が舞い、煙でミーミルの姿が隠れる
「………」
ミーミルは片手を前に突き出し水の障壁を作りその一撃を防いだ、圧倒的熱量で障壁が蒸発し、あたりには白い水蒸気が立ち込める
〜〜〜
「お〜、下でも派手にやってるな〜…っと、あっぶな」
クリル達は王城の上空でユダとの戦闘を開始していた、ユダは己の周りに黒い光線を放つ光球を無数に発生させた
「我が君、余所見は危険かと」
クリルとヴェンデルはそれを避けながらユダの隙を窺うがユダ自身は動く気配がない
「こいつ…確かに近付けないけど……それ以外に危ない所はあるか?」
「今はありませんが…ですが先程から何度もユダにベルゼビュートを掛けようとしますが…光球にも本体にも掛かりませんね…」
「メタトロンも試してみたけどダメだった…奴の特性か…妨害か…」
《ユダのスキル妨害性を解析、許可を》
(いいぞ〜、今回はお前が頼みの綱だな)
《開始》
「そろそろこいつを避けるのも面倒だな」
クリルが光線を避けながら呟く
「暴食……!!」
ユダの作り出した光球群を黒い霧が包み、飲み込む
{会得 :魔法 神光
霧が晴れる頃、ヴェンデルが剣に重力を纏わせ、ユダに斬りかかる
「さて、その図体にどれだけ効きますかね」
薙ぎ払いの連撃がユダを襲う
〜〜〜
ヨハネに攻撃を仕掛けたウルズは困惑していた、ヨハネからの反撃を危惧していたがそれが一向に来ない
「ん〜…なんか調子狂うわね……みんな気をつけて、何があるか分かんないわ、弾幕は緩めないで」
「御意!!」
緩めるどことか勢いを増す弾幕の弾一発一発に対し1枚の障壁を高速で発生させそれらを防ぐ
「…」
表情一つ変えない冷たい表情をした美しい少女は虚空を見つめ、ただただ攻撃を防ぐ