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社畜が転生したら竜種の王になっていた  作者: 社畜大根
竜王奇譚
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予兆

「なぁヴェンデル…寒くないか?」


「ええ…これもヨハネの影響なんでしょうね…」


一行は森を進みソウリエへと竜車を走らせる、それまで熱帯の、温暖であった気候が一気に寒くなっていた


「ヨハネは氷と終わりを司る使徒…ここまで属性が顕現しているということは…4日を前にして既に復活していそうですね、あとはどれだけ被害を抑えられるかです…あまり力をつけられると面倒ですから」


「だよなぁ〜、にしても使徒なんて生きてるうちに会うとは思わなかった」


「…確かに」


「まぁそうなっちまったのは仕方がないだろ…っておい…みろよ…木が凍ってるぞ」


「…相当ですね…どこまで力をつけたんだか…」


ん〜…そういや前の竜王は使徒裁逆で死んだって言ったけど…ヨハネか?


はい…ヨハネと共に墳墓で眠っている筈です


前の竜王は強かったんだろ?


まぁ…はい


「とにかく、急ぐぞ、これから寒くなるだろうし毛皮でも補充するか?」


「え?当てでもあんのかよ」


「ん〜?毛皮だろ?ないなら作ればいいんだよ」


「え?」


「熊か鹿でも狩ればいいさ…ほら、そこにっ!」


そう言ってクリルは水の槍を飛ばし、空中で凍りながら、木陰に隠れていた熊の眉間に命中させた、


「な?」


「な?じゃねぇよ!あんなの出来るかよ!」


「そうか?」


「それに第一熊を狩っても毛皮を乾燥できねぇよ」


「それもそうだな」


「それに俺たち冬着必要ないしな」


「そうなのか?」


「…うん…」


「あ、そうか、獣人なんで温度変化には強かったですね」


「それ早く言えよ…この熊どうする?」


「ん〜…なんかいい案ない?」


「熊の焼肉ですかね」


「いやいや…ここは煮込みだろ」


「食うもいいけど他に案はないか?」


「……商人に売りつける」


「お、それいい案だ」


「ですね、熊ならば高く売れますよ」


「それに食ってもあんまり旨くないしな」


「じゃあ荷台に移動させるか…ヴェンデル…ってうお!」


「どうしました?」


「凍ってる…」


「え?幾らなんでもそれは早すぎでは…って本当ですね…これじゃ動かせませんよ」


「置いてくしかないんじゃないか?」


「でも殺した手前放置もな〜」


「持ってくのは大変すぎますしそれしか無いのでは?」


「ん〜…じゃあそうするか、せめて燃やしてやっていいか?」


「ええ、了解致しました」


「炎流操作!」


クリルが手を前に突き出しながらそう叫ぶと掌2倍分程度の紅い小さな魔法陣が現れ、その魔法陣の中央から火の玉が発射され、クマに命中する

獣の肉の焼ける匂いが周囲に広がり、鼻につくその匂いは沈澱し逃げ場を失った匂いは強い不快感を催す


「うわぁ、すげぇ匂い…こりゃあ食わなくて正解だったな」


「では進みましょう、長く止まっていると竜車も凍りつきますよ、もうすこし進めばソウリエです急ぎましょう」


一行は氷に彩られた路を進む、その前に待ち受ける終末を捻じ伏せる為に



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