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社畜が転生したら竜種の王になっていた  作者: 社畜大根
竜王奇譚
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邂逅、炎を統べる使徒

一行はその建物に入ると、まずは行き止まりを探した、だが行き止まりは無い、代わりに地の底へと伸びるような長い、長い螺旋階段が続いていた…その螺旋階段の底で時折炎が揺れているのがわかる


「クリル…これは…まずいですよ」


「ん?何がだ?」


「…恐らく…この建物は墳墓です…しっかりと封印が成されていれば本来いくらなんでもここまで属性が顕現することはありません…つまりは」


「…封印が外れかかってるということか…」


「どうした?クリル、それにヴェンデル姉ちゃん」


「ここから急いで抜け出します、早く今来た道をー」


言葉は続かなかった、否、続けられなかった、突如として下方から巨大な「何か」が浮上してくる気配を感じ、その気配の放つ威圧に圧倒された、ビリビリと肌に伝わるまでの威圧を放つその「何か」はクリル達を抜かし、天井を破壊し、天空へと解き放たれた…その瞬間、一行の目に飛び込んできたのは焔を纏った3対の大翼を持つ黒い巨人、顔には本来あるべき目や口などの器官はない…だが何処からか鐘の音が聞こえる、それだけでは無い、雲が覆い尽くす豪雨の天候はその「何か」の周りを中心に雲が晴れ、神々しく光の柱を作っていた、


             「………………」


突然虚空に手を伸ばした「何か」は虚空から炎を纏わせた大剣を取り出した、音もなく取り出されたその大剣を振りかざすと焔の勢いが爆発的に増した、次の瞬間、その大剣を大きく振り下げる…煙が晴れ、見えた景色は燦々たるものだった、爆音と共に大地が爆ぜ、その大地は大きく地形を変えていた


             「…………………」


「何か」はその翼をはためかせると高速で飛び去った…人の多い、立ち寄った村のある方向へ



ーーーーー始の使徒の石板の記述ーーーーーー


天、清らかなる大地に人溢るる事嘆きたまいて、3柱の使徒を遣わす


始まりの使徒ペトロ、その右手に持つ鐘と左手の大剣、大翼の焔にて、来たる終末を告げる者なり、


その焔は国を焼き、生命を燃やし、


その鐘の音は終末の始まりを告げ、


その大剣は炎による粛清を告げ、


その焔輪により万命を燃やし、来たる混沌に備えんとす


ーーーーー終の使徒の石板へと続くーーーーー


「おいヴェンデル!今のはまさか」


「はい…ペトロです…終末は始まりました…後の2体の復活も時間の問題かと」


「おいクリル?ヴェンデル姉ちゃん?嘘だよな…終末なんて嘘だよな!?」


「終末……」


「…ヴェンデル、ついて来てくれるか?」


「はい、クリル」


「クリル!?クリル達が行くなら俺もー」


行く、そう続けようとしたが言葉を紡げなかった


「お前たちは残っててくれ、竜車を見張っててくれるか?居なくなっても困るし」


「でも…」


「リーデル…お願いします」


「…お兄ちゃん…」


「…わかったよ」


「ありがとうな、帰って来たら串焼き肉でも奢ってやるよ」


「クリル」


「お〜う…じゃあ行ってくる」


そう言って2人は外に向かって走り出した、二人の姿は段々と小さくなっていき、やがて見えなくなった




クリル達は外へ出ると、それぞれのスキルを使用して飛んだ、クリルの紅炎の翼、ヴェンデルの黒い重力を司る翼、2つの色彩が空を舞う


クリルは考えた、自分のアナザースキルは使い勝手が悪い…咄嗟の応用がし難い…自ら思考し、自発的に行動してはくれないか、とその瞬間、メタトロン理の王に変化が訪れた、感情は無い、だが思考し、自らの主の最善となる事だけを常に考え続ける…そのような存在へと進化した、


《進化》

アナザースキル「理の王」が

        思念、

        スキル統合、

        魔術詠唱無視、

        魔術耐性、

        痛覚緩和、

        弱点開示、

        呪詛解除


を獲得、「理の王」から「理の魔核」へと進化、


進化だと!?性能を確認してる時間もないのに…!!


《性能の確認の必要は無し、識別名クリルの行動、思考、戦闘を補助する、それが《理の魔核》たり得る私の存在意義》


「あれか…!?」


クリルが見たもの、それは液状に溶けた村…遠目にもその温度がよく分かる、赤く光を発しながらどろりと流れるそれは外壁の石だろうか、地面も一部が硝子化し、キラキラと日光を反射している


「…彼奴の頭の焔の輪っか、外側に一つ増えてねぇ?」


「使徒はその武器で奪った人種の命をあのような形で回収し、自らの活動エネルギーとします」


「人間が全滅するしかエネルギー切れは無理か…」


「真っ向からやりあうしかなさそうですね…」


《対象を確認、戦略を構築、開始…完了、これより殲滅行動を開始すー》


待った待った、まず私が試して見る、それで不味かったらお前に任せるよ


《…御意》


「まず私が彼奴の動きを封じる、ヴェンデルは彼奴を地面に叩きつける事は出来るか?」


「多分…ですがそのあとは?」


「彼奴は火の属性だよな?」


「はい」


「水流操作で池脈を通じて水攻めよ…」


「うわぁ…効果的だろうけど…クリルが悪人顔してる…」


「ひひひ…さて!行くぞ!水流操作!!か〜ら〜の〜水檻!!」


そうクリルが叫ぶとペトロを水の奔流が包んだ、超高圧の水流はペトロの体を少しずつ削り取っていく…が


「流石にこれじゃ駄目か…どんどん再生してるし…」


「ではクリル…行きますよ!降圧!!」


今度はヴェンデルのスキルが発動した…紫黒の魔法陣が鼓動しながら立体的に展開していく


「堕ちろ…」


そう呟くと、魔法陣がペトロを包む、ドゴォォォォォォォン!という激音と共にペトロが地面に叩きつけられた


「さてさてペトロ君…水攻めの時間だよ♪ははははははっははははは!!!!!」


その瞬間、大地から水の柱が立った、その柱は一つの大きな魔法陣を象っている、その魔法陣は回転、展開し、ペトロを拘束していく、大量の水蒸気が上がるが水は尽きる事なくペトロを襲う


「…………………」


動きを封じられたペトロは翅を蠢かし、その焔で水を気化させようとするが気化が水の補充に追いつかない


「うわぁ…えげつない…でもこれなら被害も少なくてすみそうですね」


「ん〜…でもあんまりダメージ与えられないな…じゃあ次行くか」


そういうとクリルは空中に手を伸ばし


「食らいたまえ!水刃」


空気中に存在する水分を刃として固め、ペトロへと打ちだす


「ん〜…今一つ威力に欠けるなまぁいいや…空気中の水分はいくらでも増えるんだ、取り敢えず…と」


水刃を無数に発生させると、次々ペトロに斬撃を喰らわせた


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