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第91話 皇の目覚めと鉱石竜

_:(´д`」∠):_「ななななんと!『二度転生』の緊急増刷が決定致しました! これも皆さんが買い支えて下さったおかげです! ありがとー!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!


_:(´д`」∠):_「皆さん、誤字報告機能で誤字脱字のご報告いただき本当にありがとうございます! 超助かっております!」



 嵐龍の気配がこの龍峰より離れた。


 これはどういう事か?


 あれは余らが住まう地に侵入した者を狩りに向かった筈。


 逃げた? まさか。


 あれは慈悲無き嵐の化身、アレが逃げるなど神々を前にしてもあるまい。


 だが下級竜達の騒ぐ気配は静まる様子がないのも事実。


 ……何かが、起きている。


 そして胸の奥で蠢くざわつきと忌々しい気配は未だ消える気配はない。


 赤竜達が向かっている様だが、黒竜が太刀打ちできぬ相手ではどうにもなるまい。


 そのうえ嵐龍までもが姿を消したと言う事は……


 余が、出るより他……あるまいな。


 ふむ、余が直接出向くなど、実に数百年ぶりか。


 余が出向く以上、問題はすぐに解決するであろうが、余の翼を煩わせるのだ。


 多少なりともこの無聊の慰めとなって貰うぞ侵入者。


 簡単に、壊れてくれるなよ?


 ◆


「うん、皆随分ドラゴンと戦うのにも慣れてきたね」


 バハムートが姿を消した後、僕達は再びドラゴン狩りを再開した。

 僕の補助魔法で皆を援護しつつ、体力と魔力が尽きたら回復魔法で回復して再びドラゴンとの戦いに戻ってもらう。


 とにかく連続してドラゴンと戦う事で、ドラゴンとの戦いの経験値を少しでも多く積んでもらう。


「これなら皆のドラゴンに対する苦手意識もすぐに消えるね」


 というのも、リリエラさん達は既に十分な力を持っているにも関わらず、ドラゴンを過剰に恐れていた。

 それは先日の町での戦いからも明らかだ。


「上位のドラゴンならまぁ分からなくもないけど、最下級のドラゴンであるグリーンドラゴン程度に怯えるのはいくら何でも警戒し過ぎだと思うんだよね」


 相手を見くびらないのは良い事だけど、必要以上に及び腰になったら逆に危ないしね

 実際にはただの空飛んでブレスを吐く大きなトカゲだからなぁ。


 とその時、僕は龍峰の奥から新手が向かってきた事に気づく。


「この速さは……アイツか!」


 ちょうど良いタイミングで良い奴が来てくれたね。

 僕は飛行魔法で皆よりも高い位置に浮き上がると、拡声魔法でリリエラさん達に声をかける。


「皆、今から新手が来るよ!」


 そう告げた瞬間、凄い音が龍峰に鳴り響いた。


「なっ!? なんだ!?」


 突然鳴り響いた音にジャイロ君達が警戒する。


「今のは僕の展開した防御結界に敵がぶつかった音だよ」


 そしてそのわずか後に、巨大なものが地面に落ちる音がする。


「今度は何!?」


「皆、あそこに落ちたモノを見て」


 そう言って地面に落ちた巨大なものを指さす。


「……な、なんだアレ? 緑色でキラキラと光ってるけど……」


 僕が指さした先には、太陽の光を受けてキラキラと輝く巨大な緑色の物体があった。


「エメラルドドラゴンだよ」


「エメラルドドラゴン? なんだそりゃ?」


「聞いた事のないドラゴンね」


 おや、ジャイロ君達はエメラルドドラゴンを知らないのか。


「あれはね、全身が宝石で出来たドラゴンなんだ」


「宝石っ!?」


 宝石と聞いてメグリさんがキラキラとした目でエメラルドドラゴンを見つめる。


 あーそう言えば宝石系のドラゴンって装飾品として狙われやすいから、保護指定ドラゴンにした方が良いんじゃないかって言われていたんだっけ。

 鉱石系のドラゴンって生きた鉱山って呼ばれる程だから、ミスリルドラゴンといっしょで乱獲が激しかったもんね。


 だとしたらこの時代でもエメラルドドラゴンは保護対象として狩るのを禁止されているだろうから、皆が知らないのも無理はないね。

 特に貴重な素材を採取できる一部の保護対象の魔物は、意図的に絶滅扱いにして生息地だけじゃなく情報そのものを秘匿されるケースが少なくないからね。


「あれはね、ミスリルドラゴンと同じで体が希少鉱石の鱗に覆われたドラゴンなんだ」


「そんなドラゴンが居たんですね……」


「そしてそれはあいつだけじゃないよ」


 僕は上を指さして皆の視線を誘導すると、空の彼方に赤いシルエットと黄色のシルエットが見えた。


「あれもエメラルドドラゴンと同じ宝石竜だね」


 色からしてルビードラゴンとトパーズドラゴンかな?


「あれも宝石っ‼」


 メグリさんが嬉しそうに二頭のドラゴンを見つめている。

 もう恐怖の対象というより、お宝を見る目だ。

 うんうん、コイツ等の接近を許して正解だったね。


 鉱石系ドラゴンの価値を知れば、皆むやみにドラゴンを恐れなくなるだろう。 


「あいつ等が来るまでまだ時間があるから、ちょっと説明しておこうか」


 そう言って僕は地面に倒れたエメラルドドラゴンの上に降りて生死を確認する。

 うん、瀕死の重傷だからとどめを刺しておこう。


「体が宝石や鉱石で出来たドラゴンは自らの体を魔法の触媒に出来るから中級~上級のドラゴンに分類されるんだ。ただその強さは体を構成している宝石の価値と純度で変わるから注意してほしいんだ」


「純度?」


「うん、鉱石竜は鉱石の純度が高い程に能力が上がるんだ。だから過去に楽勝で勝てたからって油断していると、今度は高純度の鉱石竜と戦って大苦戦なんて事もあるから気を付けてね」


「わ、分かったぜ兄貴」


 ジャイロ君達が神妙な顔で頷く。


「鉱石竜退治は実入りが良いから、未熟な冒険者や密猟者が相手の力を計り損ねて全滅する事もたまにあるんだよね」


 まぁそんなヘマをするのは本当に未熟な、お金を求めて焦っていたり自分の力を過信している様な連中ばかりなんだけどね。


「欲をかいてうかつに手を出したら大やけどをするって事ね」


「ですね、今の僕達では手を出さない方が無難かと」


「うう、残念」


 あれ? 何でそうなっちゃうの?

 油断しなければ良いだけなんだよ?


 いけない、怖がらせちゃったみたいだな。

 ここはちゃんと鉱石竜の力を教えてそんなに怖がらないで良いよって教えないと。


「例えばこのエメラルドドラゴンは風属性の強力な魔法を本能で使いこなすドラゴンで、魔法で音を消し風よりも速いスピードで突撃してくる事から暗殺竜とも呼ばれているんだ」


「あ、暗殺竜!?」


 その二つ名を聞いてノルブさんがギョッとなる。

 大丈夫、名前だけだから。


「このエメラルドドラゴンも、あの尖った峰のあたり……大体5kmくらい先かな。そこから音もなく一瞬で距離を詰めて僕に襲いかかってきたんだよ。時間にして3、4秒くらいだったかな?」


「ぜ、全然気づかなかった……」


 まぁそれがエメラルドドラゴンの戦い方だからね。


「というか、たった数秒であんな遠くからここまで来れるの!? 何その異常な速さ!?」


 大丈夫、所詮人間に認識できる程度の速さだから。


「探査魔法で相手の接近を感知して防御魔法で迎撃するのが一番良いんだけど、魔法の探査範囲が狭い人は反応を感じた時にはもう目と鼻の先まで接敵されているから危ないんだよね」


「それ、完全に初見殺しじゃないの!? 第一あんな遠くから一瞬で近づける相手じゃ探査魔法で感知するのなんて無理でしょ!?」


「いや、魔法使いなら普通に出来るよ」


「無理無理無理」


 何故かミナさんが無茶言うなと言って手をパタパタと振って否定する。

 えー? 魔法の専門家なら数百キロ単位で探知する事も出来るし、修行中のミナさんでも十分イケると思うんだけどなあ。


「大体防御魔法で迎撃ってどういう意味? 攻撃魔法の間違いじゃないの?」


 お、ミナさん良い所を突くね。

 エメラルドドラゴンは対策さえしておけば迎撃は容易だから恐れる相手じゃないんだよね。


「うん、エメラルドドラゴンの襲撃対策として、発動した場に固定されるタイプの防御魔法を展開しておくといいんだ。そうすると襲ってきたエメラルドドラゴンが、自分から地面に猛スピードでぶつかっていく様に防御魔法にぶつかって自滅するから」


 簡単に言えば自分と相手の間に見えない壁を建てるようなものだ。

 それだけで簡単にエメラルドドラゴンは倒せるんだから、多少慣れて来た冒険者にはカモと言っても過言じゃない。


「いやそれをするにはあの峰まで届くような探査魔法を使える必要があるんで……って、ちょっと待って。それじゃあエメラルドドラゴンを倒したレクスは、あんな遠くにまで届く探査魔法が使えるって事!?」


「うん」


「しれっと肯定した!?」


 そんな驚くことじゃないと思うけどな。

 いつもはそこまで遠い場所を探査する事は無いけれど、ここはあらゆるドラゴンが居ると言われる龍峰だからね。

 当然エメラルドドラゴン対策に探査範囲は広げておくさ。


「そんな訳で、未熟なパーティにとっては鬼門扱いされるエメラルドドラゴンだけど、そこさえ乗り越えれば倒すのは難しくないから、鉱石竜狩りは一人前のドラゴン狩りの登竜門とも言われているんだ」


 突然の危険に即座に対処出来るかの良い練習にもなるしね。


「ちなみに……レクスが初めてこのドラゴンと遭遇した時はどうだったの?」


「え? 僕が初めてエメラルドドラゴンと戦った時? えーっと確か……」


 ミナさんに聞かれて僕は前世の記憶を思い出す。

 あー、あの時はちょっと失敗しちゃったんだよなぁ。

 言うの恥ずかしいなぁ。でも、失敗したらどうなるかをちゃんと教えないと皆の為にならないもんね。


「僕の時はね、修行で訪れた場所の景色に見とれてたらうっかり接敵されちゃって、慌てて剣で真っ二つにしちゃったんだよね」


 おかげで注意力が散漫だ! って師匠達に怒られたんだよなぁ。


「そんな速さの相手に目前まで近づかれたのに……真っ二つ?」


「うん、真っ二つ」


 僕が答えると、リリエラさんとミナさんが額に手を当てて溜息を吐く。

 あらら、勿体ない事をしたと呆れられちゃったかな?


「そんな速さの相手を即座に切り捨てる事が出来るとか、無茶苦茶だわ……」


「そんな事が出来るのなら、ドラゴン退治も簡単に思えるわよねぇ……はぁ」


「まぁレクスさんですからねぇ」


 あれ? どういう反応なのこれ?

 ただ速いだけの相手だよ? 音を消して近づいて来るだけだから、探査魔法は欺けないんだよ?

 

「流石兄貴だぜ! どんなドラゴンでも真っ二つでやっつけちまうんだな!」


「宝石で出来たドラゴン狩り放題……!」


 逆にジャイロ君とメグリさんはドラゴンを狩れるのなら何でもいいみたいだ。


「やっぱりドラゴン退治は危険よねぇ。レクスさんが居るからこそ安全に出来るのであって」


「そうね、正直言ってレクスが居なかったら最初のドラゴンとだってまともに戦えたかどうか」


 いやいや、皆自己評価低すぎだよ。


「……ねぇ、そうなると今からやって来るドラゴンも結構強いのよね?」


 と、リリエラさんがこちらに向かってきている二頭のドラゴンに警戒心を強めながら質問してくる。


「そうですね、あの姿から見るに赤い方は……!?」


 とその時だった。

 突然龍峰の向こうから強い気配を感じたんだ。


「「「「「っっっっ!?」」」」」


 リリエラさん達もその気配を察して大きく体を震わせる。


「な、なな何よコレ!?」


「か、かかか体が勝手に震えて……」


 リリエラさん達だけじゃない。

 周囲を飛び回って威嚇を続けてきていたグリーンドラゴン達も尻尾を丸めて怯えの色を見せている。

 それどころかこちらに向かってきていた二頭の鉱石竜までも驚きでフラフラと旋回している。


「……この気配、ただの上位竜じゃないね」


「ど……どういう事?」


 リリエラさんが体を震わせながら質問してくる。


「ドラゴンは大別して下級中級上級の三つの等級に分けられるんだ。でも、ごく一部でこの等級には入らないドラゴンも居る。それが特級龍さ」


「「「「「特級龍!?」」」」」


 探査魔法で感じていたドラゴン達の反応は最初ここまで強くはなかった。

 でもその中の一体から感じる波動が突然強くなったんだ。

 おそらくは実力を隠していたんだね。


「そして周囲のドラゴン達の反応を見るに、アイツはドラゴン達にとっても特別なドラゴンみたいだよ」


 そう言って僕は龍峰の中腹から飛び立った黄金に輝くドラゴンを指さす。


「間違いない、あれは最強のドラゴン……ゴールデンドラゴンだ!」

エメラルドドラゴン(;´Д`)「不法配置された不可視の魔法に衝突して事故死」

モフモフ_Σ(:3)∠)_「いやスピード違反じゃね?」

ゴールデンなドラゴン( ^ω^ 三 ^ω^ )「満を持して登場! 怯えろ侵入者共!!」


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