第90話 ドラゴンスレイヤーと上位竜
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_:(´д`」∠):_「それと皆さんにごめんなさいの報告があります。二度転生書籍一巻にて、リリエラさんの髪の毛の色を間違えると言う超絶ウルトラミスが発見されました。ほ、本当にごめんなさい……」
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ふと目を覚ますと、下級竜達が騒いでいた。
ふむ、どうやら我等の縄張りに何者かが侵入したと見える。
少し騒がしいが、すぐに静かになるであろう。
―――――――――
む? 貴様が興味を示すとは珍しいな。
ふむ、鱗がざわつく嫌な感じがすると?
確かにな、我もあまり良い気分ではないか。
だが我らに仇なせる者など、それこそ魔人くらいの……
……いや、何でもない。
黒竜も動いたようだ。
アレが動いたのであれば、大抵の侵入者は狩られるであろう。
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うむ、その通りだ。
小僧共に任せておくが良い。
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ふっ、貴様も心配性だな。
◆
だがいつまで経っても下級竜達の騒ぎは収まらなかった。
やれやれ、暫くここを留守にしている間に随分と下級竜達の質も落ちたものだ。
む? 黒竜達中級の竜も動いているのか?
それでまだ侵入者を狩れていないとは、嘆かわしい限りだな。
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何? お前が動く?
やめておけ、お前が動いたら侵入者どころかこの龍峰の形が変わるぞ。
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……ふぅ、仕方がない。
我が出てやろう。
此度の侵入者は随分と逃げ足が速いと見える。
我が子の狩りの練習台にはちょうど良い。
では、行ってくるぞ。
ゾクリ!
ん? 何だ? 今の途轍もない悪寒は?
◆
「だぁぁぁぁっっ!!」
ジャイロ君がグリーンドラゴンの首を切り落とす。
「よっしゃ単独でドラゴンスレイヤー達成だおらぁぁぁぁっ‼」
練習を始めて一時間、遂に単独でグリーンドラゴンを倒したジャイロ君が、勝利の雄たけびを上げる。
「おめでとうジャイロ君!」
「サンキュー兄貴!!」
ドラゴンスレイヤーを達成したジャイロ君は凄く嬉しそうだ。
あー、僕にもああいう時代があったなぁ。
やっぱドラゴンを倒すとなんか強くなったって気がするんだよね。
まぁそのあとにもっと強いドラゴンとか魔物とか人間とかと出会って「あっまだまだ上が居るんですね」って分かって急に冷静になるんだけどね。
うん、僕はなった。
「たぁっ!!」
次いでメグリさんが単独でのドラゴンスレイヤーを達成する。
メグリさんはその速さを生かしてドラゴンのさまざな場所を切り裂き、属性強化で威力を増した自らの攻撃がドラゴンに通じると分かったら、足を狙うのを止めて急所である首だけを狙う様になった。
「ふふ、状態の良いドラゴン素材。とってもお金になる」
ドラゴンの首を刈るメグリさんはとっても嬉しそうだ。
「喰らいなさい! サンダーストーム!!」
ミナさんが雷の上位魔法で近くに居たグリーンドラゴン達を纏めて攻撃する。
けれど慌てて発動したからか、術式の構成が甘くて一撃で倒す事は出来なかった。
うーん、惜しい!
「もう一発!」
そして二発の魔法を放ってようやくグリーンドラゴン達に止めを刺すミナさん。
「はぁはぁ……信じられない、本当に私だけでドラゴンを倒しちゃったわ……」
「おめでとうございますミナさん。ミナさんの実力ならもっと効率的に大量のドラゴンを倒せますよ」
「そ、そうなの? ちょっと信じられないんだけど」
そして残るノルブさんに目を向けると、ノルブさんは複数のグリーンドラゴンに囲まれていた。
「「「グルォォォォォン」」」
「ホ、ホーリーウォール!!」
ノルブさんの発動した防御魔法はグリーンドラゴン達の攻撃を完全に防ぎきる。
「よ、よし! てやぁ!」
そして強化魔法をほどこされたメイスでグリーンドラゴンの足を執拗に叩くと、グリーンドラゴンは溜まらずバランスを崩して地面に倒れる。
「今だ!」
ノルブさんは思いっきりメイスを振りかぶりグリーンドラゴンの脳天を叩き割った。
「や、やった、やりました……っ!」
ノルブさんの戦闘スタイルは鉄壁の防御を敷いて相手を一体ずつ丁寧に倒していくものの様だ。
きっとあれは範囲防御魔法で戦えない人達を守る事に専念しながら戦う為の練習なんだろうね。
「ははははっ! これで俺達は本物のドラゴンスレイヤーズだぜぇーっ!」
あ、そういえばジャイロ君達のパーティ名ってドラゴンスレイヤーズだったね。
「その恥ずかしい名前は止めなさいっての! だいたい私達がドラゴンに勝てるのもレクスのかけてくれた強化魔法のお陰でしょ!」
興奮するジャイロ君をミナさんが窘める。
でもまぁジャイロ君達なら、僕の強化魔法が無くても実力でイケると思うけどね。
今回の戦いで自分達はドラゴンに勝てるって実感をもてただろうし。
「そう言えばリリエラさんは?」
町での戦いでグリーンドラゴンを倒したリリエラさんだから心配はないだろうけど、今はどんな感じかな?
僕は戦場を見回してリリエラさんを捜す。
「ギュウギュウ!!」
モフモフがグリーンドラゴンの群れに襲われている光景を目撃した。
けれど、モフモフに悲壮感はなく。むしろ逆に小さな体を生かしてグリーンドラゴン達を翻弄している。
「ギュッギュッ!」
「グギャァァァァッッ!!」
そして隙をついてグリーンドラゴン達の背中に跳び乗り、羽根を根元から食いちぎっていた。
ドラゴンの羽根の踊り食いかな?
まぁモフモフは心配いらないか。
リリエラさんはっと……ああ居た居た。
リリエラさんはブルードラゴンの群れと戦っていた。
氷の滑走魔法でブルードラゴンの攻撃を華麗に回避し、身体強化魔法でドラゴンの巨体の背中に跳び乗ると翼を魔法で凍らせて飛べなくする。
成る程、あれなら戦闘中に翼を切り取らなくて済むから素材を痛めなくて済む。
良い戦い方だね。
そしてそのまま頭部へと走っていき、真上から槍でドラゴンの頭を貫いて内部を魔法で凍らせた。
ブルードラゴンは苦しむ間も無く絶命して地面に崩れ落ちる。
「リリエラさんお見事! ブルードラゴン狩りも達成ですね!」
うん、この手際ならブラックドラゴンもいけるんじゃないかな?
「レクスさんのかけてくれた強化魔法のお陰よ。自分一人じゃこれ程スムーズに倒せはしないわ」
あっはっはっ、リリエラさんは謙虚だなぁ。
とその時だった。
周囲にいたドラゴン達が突然動きを止めて龍峰の奥に顔を向けたんだ。
「な、なんだ!?」
戦いの最中に動きを止めたドラゴン達にジャイロ君達も困惑する。
ドラゴン達は龍峰を見たまま姿勢を変え、まるでひれ伏すような態度をとる。
この反応はあれだね。
「皆、上位のドラゴンが来るよ! 気を付けて!」
「「「「「上位のドラゴン!?」」」」」
さすがに上位のドラゴンが相手だと皆も苦戦するだろうからね。
「レクスさん、上位のドラゴンって何が来るの?」
リリエラさんも動きを止めたドラゴン達との戦闘を止めて戻ってくる。
「分かりません。ただここはドラゴンの聖地ですから、どんなドラゴンが出てきてもおかしくないですよ。もしかしたらミスリルドラゴンくらい出てくるかも」
「ミ、ミスリルドラゴン!? 全身がミスリルに覆われているという伝説のドラゴンですか!?」
ん? ミスリルドラゴンの体がミスリルに覆われているのは事実だけど伝説ってほど珍しくも無いと思うけどなぁ。
……あっ、もしかしたらこの時代では乱獲されて数が減っているのかも。
肉と骨と内臓だけでなく、ミスリルが大量に手に入るからミスリルドラゴンは歩く鉱山と呼ばれて大人気だったからなぁ。
「「「「「グォォォォォォォォォォン」」」」」
「うぉっ!?」
「ド、ドラゴン達が!?」
ドラゴン達がまるで王を迎える楽団の様に咆哮を奏で始める。
「来るよ皆!」
そして姿を現したのは、天空をそのまま形にしたかの様な存在だった。
それは天を統べる嵐の王。
空の暴虐を司る存在。
「バハ……」
「グギャァァァァァァァァァッッッ!!」
「ムー……ト?」
僕達の前に姿を現した上位のドラゴン、バハムートは悲鳴のような雄たけびを上げるとそのまま一目散にあさっての方向に向かって飛んで行ってしまった。
その足に子供のバハムートを掴んで。
「「「「「「え?」」」」」」
「「「「「グアッ?」」」」」
僕達だけじゃなく周りのドラゴン達も、え? なに? どうしたの? って感じで首を傾げて飛び去って行くバハムートを眺めていた。
「これはえーっと……」
何がおきたのか良く分からないんだけど、とりあえず……
「ドラゴン狩り再開しようか」
せっかくなので動きを止めたまま呆然としているドラゴン達を狩る事にした。
◆
ギャァァァァァァァ!!
人間! なんであの人間!?
何で我の故郷に居るの!? ストーカーなの!?
逃げるぞ我が子よ!
我死にたくなぁぁぁぁぁぁいっ!!
バハムート(;´Д`)「実家にストーカーが来たんですが……」
モフモフ_Σ(:3)∠)_「あれは天災だから諦めなさい(モグモグ)」
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