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第88話 ドラゴンの国と竜殺し

_:(´д`」∠):_「お待たせしましたー!」

_:(´д`」∠):_「いえーい今週二度目の更新だぜー」

_:(´д`」∠):_「そして『二度転生』の発売までカウントダウンスタートだね!あと一ケタ日数ですよ!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

_:(´д`」∠):_「ご、誤字報告機能神すぐる……」

「という訳でやって来ました。ここが竜騎士の国ドラゴニアだよ」


 ジャイロ君達の修行の為、僕達はドラゴンの聖地と呼ばれる国ドラゴニアへとやって来た。


「ここがドラゴニアかぁ……意外に普通の国ですね」


 とはノルブさんの言だ。

 確かに一見するとドラゴニアは普通の国だ。

 でもドラゴニアには他の国にはない特徴がある。

 それは遠く離れた国境沿いのこの場所からでも良く見える、針山の様に突き立った山脈だ。


「ドラゴニアの特徴はあそこに見える龍峰ロンライドさ。あそこはドラゴンの聖地と呼ばれる程多くのドラゴンが暮らしているんだ。そしてあそこが僕達の修行の場って訳さ」


「本当にドラゴンと戦うのね……」


 遠い目をしながらリリエラさんがロンライドを見つめる。


「大丈夫ですよ、峰の外周なら大半はグリーンドラゴン程度ですから、出てもブルードラゴンあたりですね」


「その程度がもう普通じゃないんだけど……」


 いやいや、グリーンやブルー程度なら空飛ぶトカゲみたいなもんですよ。


「龍峰はドラゴンにとっては自分達が暮らす土地だけど、竜騎士達にとってはまた別の意味がある場所なんだ」


「別の意味?」


「そう、竜騎士達はあの山脈でこれはと思ったドラゴンと一対一で戦い、見事勝利する事でドラゴンに騎乗する権利を得る事が出来るんだ。それが竜騎士になる為の選竜の儀さ」


 と、せっかくドラゴンに関連する土地なので、目的地に着くまでの暇つぶしがてら竜騎士についての話をする事にした。


「儀式を行う前の竜騎士はどれだけ強くても見習い扱いなんだ。選竜の儀式に成功して初めて竜騎士を名乗る事が許されるようになるんだよ」


「じゃあドラゴンに楽勝で勝てる兄貴も竜騎士なのか?」


 と、ジャイロ君が素朴な疑問をぶつけてきた。


「良い質問だね。でも残念だけど僕は竜騎士じゃない。竜騎士になるには、代々竜騎士達の間で秘伝とされている儀式を行わないといけないらしいんだ」


 うん、知り合いの竜騎士から龍帝流空槍術を教わった僕だったけど、儀式については最期まで教えて貰えなかった。

 お前は英雄だから、竜騎士になる必要はないって言われて。


「そっかー、兄貴にも知らない事ってあるんだな」


「って言うか、竜騎士なんておとぎ話の存在なんだから、知らなくて当然でしょ? むしろここまで知っているレクスが凄いのよ」


「あー、まぁそっか。なんか感覚がマヒしてたわ」


 と、ミナさんがジャイロ君を嗜める。

 んー、以前も他の人にそんな事を言われたけど、竜騎士がおとぎ話って何の事だろう?


「まぁそれに、ちょっと乗り心地は悪いけど、頭の上に乗って無理やり目的地に向かって飛ばせれば竜騎士にならなくてもドラゴンには乗れるしね」


「「「「「いやそれは乗っているとは言わない」」」」」


 あれ? 何故か全員から否定されてしまったよ?

 飛行魔法を使えない人が遠い所や高い所に行くのに良く使う手段なんだけどな。


 ◆


 国境を抜けた僕達は、龍峰ロンライドに一番近いタツトロンの町へとやってきた。


「いらっしゃいいらっしゃい! ランドリザードのドラゴン焼きだよー!」


「フライスネークのブレス焼きもあるよー!」


 屋台から威勢の良い呼び込みと共に、香ばしい匂いが漂ってきてお腹を刺激してくるなぁ。


「おー、賑やかな町だなぁ」


「うん、ドラゴンが住んでいる場所が近いのに誰も怯えてない」


 ジャイロ君の感想に、メグリさんが同意の声を上げる。


「そうですね。なぜドラゴンの住処が近いのに町の人達はこれほどまでに落ち着いているのでしょうか?」


 ノルブさんもメグリさんと同じ疑問を持ったみたいだ。

二人が言うとおり、タツトロンの町の人々はロンライドが近いにも関わらず、誰も気にしていない。


「そりゃあドラゴンが襲ってくる心配がないからだよ兄ちゃん達」


 と、ノルブさん達の疑問に答えたのはすぐそばにいた屋台の店主のおじさんだった。


「それはどういう事ですか?」


「……」


 ノルブさんの疑問に対して、店主のおじさんが屋台に並ぶ串焼きを指さす。

 成程そういう事か。


「おじさん、串焼きを6本ください」


「ヘい、まいどあり! ランドリザードのドラゴン焼き6本お買い上げだー!」


「ギュウギュウッ!!」


 おっといけない、モフモフの分を忘れていたよ。


「すみません、あと一本追加で」


 僕達が串焼きを買うと、おじさんは建付けの良くなった戸の様に事情を話し始めた。


「ドラゴンってのは基本的に縄張り意識の強い生き物なんだ。だから基本的には龍峰から離れる事はめったにねぇ」


 うん、ドラゴンも動物である以上、縄張りを重視する生き物だからね。


「それに龍峰の奥には峰で暮らす全てのドラゴンを従える長が居るって話だ。そのボスのお膝元で勝手な事をしたら大変な事になるって寸法よ」


 どんな生き物でも、群れで暮らす以上ルールがあるからね。

 それはドラゴンも同じって訳だ。


 あとこのランドリザードのドラゴン焼き結構美味しいや。

 見た目は豪快な焼き肉なんだけど、ただの塩焼きと違ってタレが甘しょっぱくて美味しいね。

 うーん、もう一本買おうかなぁ。


「おっさんもう一本くれ!」


「私も」


「キュウ!!」


「へいまいど!」


 とか思ってたら、ジャイロ君とメグリさんがお替わりを注文していた。

 うん、僕も頼もう。

 あとモフモフの分は誰が払うんだろう?

 え? ペットの食事は飼い主の義務? はい、そうですね。


「まぁそんな訳で、気性の荒いハグレでもなけりゃあ町まで来る事はねぇよ。そのハグレも数十年に一頭現れるかってところだしな」


「じゃあそのハグレが現れたらどうするんだ? 噂の竜騎士ってのが倒すのか?」


 とジャイロ君が三本目の串焼きをかじりながら店主のおじさんに質問する。


「竜騎士? ワハハッ、冗談いっちゃあいけねぇよ兄ちゃん。いまどき竜騎士なんてガキのおとぎ話の存在だぜ!」


 そしたら店主のおじさんは大笑いでジャイロくんの疑問を否定した。

 うーん、それにしてもこのおじさんも竜騎士をおとぎ話って、どういう事?


「え? 竜騎士って居ないのか?」


「あー、まぁ王都を守る騎士団として竜騎士団ってのは居るが、それも名前だけの普通の騎士よ。期待させて悪ぃが、そもそもドラゴンと一対一で戦って従えさせるなんて無理だろ」


「「「「「……」」」」」


 無言でリリエラさん達が僕を見つめてきたけど、前世じゃ割と普通にいたんだけどなぁ……


「えーっと、それじゃあ竜騎士王が騎乗するゴールデンドラゴンはどうなんですか? 知恵を持った最強のドラゴンは数千年は生きると言われていますけど」


「それこそ伝説だよ。噂じゃ龍峰を総べるボスが伝説のゴールデンドラゴンだって言われてるが、誰もその姿を見たヤツは居ない。そもそもドラゴンの巣に入りたがる命知らずなんて居る訳がないからな!」


「「「「「……」」」」」


 またリリエラさん達が無言で見つめてきた。

 けど前世じゃ普通に徒歩で龍峰に入ってドラゴンを倒す人達は山ほどいたんだけどなぁ。

 それこそドラゴンが減りすぎないように狩猟制限するくらいに。

 うーん、竜騎士はただの騎士で、ゴールデンドラゴンを見た人もいないかー。

 僕が死んでいた間にこの国はどうなってしまったんだろう?


「あの、それじゃあ龍帝流空槍術って聞いた事無いですか?」


「ん? ああ、おとぎ話に出てくる竜騎士が使う槍の技の事だな。まぁたまに自称龍帝流が現れるけど、全部偽モンさ」


 うーむ、龍帝流空槍術までおとぎ話扱いだなんてどうなっているんだろう?

 もしかしてこの時代には竜騎士も龍帝流空槍術の使い手も滅びてしまったのか?

 いやいや、まさかあの人達が滅ぶとかありえないし。


「おい、あれはなんだ?」


 とその時、誰かがそんな言葉と共に空の彼方を指さした。


「何だどうした?」


 周囲に居た人達も彼が指さした方向を見る。


「……なんだありゃ?」


 釣られる様に何人もの人達が空の彼方、龍峰の方角に視線を向けた。


 最初見えたのは、青い空に浮かぶ緑色の小さな姿だった。

 けれどそれはみるみる間にその姿を大きくしていく。

 いや違う、アレはこっちに猛スピードで近づいてきているんだ。

町中が大きくざわめき出す。


「あ、あれは……まさか!?」


 最初緑の点だったモノはもうかなりの距離まで町に近づいてきていた。

 そしてそこまで近づけばそれの正体は誰の目にも明らかだ。 


「……ドラゴンだ」


 その言葉が合図だった。

 町中から悲鳴が上がり人々がそこかしこへと走っていく。

 町の出口に向かっていく人達、目についた建物の中に逃げ込む人達。

 そっちの方向に自分の家があるのか、あのドラゴン、うん緑色だから大して強くもないグリーンドラゴンだね。ソイツが向かってくる方向に走っていく人達もいた。


「とはいえ、滅茶苦茶だなぁ……」


 町を守る騎士団はパニックに陥った町の人々を落ち着かせようと声を上げているけれど、とてもじゃないがグリーンドラゴンが来るまでに間に合いそうもない。

 いくら相手が弱いグリーンドラゴンでも、戦う力を持たない町の人達にとっては十分な脅威だ。


「あっ、もしかしてそういう事なのかな?」


 もしかしたら、この町の騎士団なら今向かってきているグリーンドラゴン程度問題なく倒せるって事なのかな?

 だから町の人達の避難は明らかに慣れていなさそうな人達にやらせているんじゃないだろうか?

 普通こういう時には、バーンと拡声魔法あたりで大きな音を出して落ち着かせるものだもんね。


 成程、きっとこれは新人の実践訓練も兼ねているんだね。

 いざとなれば熟練の騎士が援護する予定なんだろう。

 それなら安心だ。


「それに相手はドラゴンだけじゃないみたいだね。さっきまでは小さくて見えづらかったけど、後ろにワイバーンの群れがついてきている」


 うん、ワイバーンはドラゴンの亜種だけど、グリーンドラゴンあたりはワイバーンを手下として使う事が少なくないからね。


「レクスさん!」


 と、そんな中リリエラさんが僕に声をかけてくる。

 リリエラさんだけじゃない、ジャイロ君達も僕を見つめている。


「このままじゃ町はドラゴンに襲われるわ。私達がなんとかしないと!」


「そうだぜ兄貴! ドラゴンなんて軽ーくぶちのめしちまおうぜ!」


 どうやらリリエラさん達は町を守る為に戦うつもりみたいだ。

 うーん、放っておいても騎士団が町を守ってくれると思うんだけど……


「ジャイロさんそんな気楽な……」


「なーに言ってんだよノルブ! 俺達には兄貴がついているんだぜ!」


 ノルブさんが弱気な態度を見せるけど、ジャイロ君は気楽な様子だ。

 うん、良く考えたらこれは丁度いい機会かもしれない。

 

「よし、皆でこの町を守ろう!」


「ええ!」


「さっすが兄貴! そう来なくっちゃな!」


「はぁ、しょうがないわね」


「まぁでも、レクスが居るから」


「そ、そうですね。レクスさんが居ますもんね」


 二人がやる気満々だから、ミナさん達もあきらめたように武器を構えて戦闘準備を調える。


 うんうん、皆やる気に満ちていて良いね。


「うん、それじゃああのグリーンドラゴンとワイバーンの群れを迎撃しようか。僕は戦わないけれど」


「わかったぜ兄貴!雑魚は任せてくれ!」


「ええ、私達がレクスさんのサポートを……って、え?」


 リリエラさん達が今なんて言った? と言わんばかりの顔で僕を見てくる。


「僕は戦わないから、皆で頑張って倒してね」


 だから僕は皆に言った。

 自分は戦わないと。

 そう、皆の修行の為にね!


「「「「「は、はぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」」


 ◆


「ちょっ!? マジかよ兄貴!?」


 僕の戦わない宣言に皆が目を丸くして驚く。


「うん、マジだよ、この戦いに僕は参加しない。君達だけで倒すんだ」


「けど相手はドラゴンとワイバーンよ! 私達だけじゃ勝てないわよ!」


 ミナさんが無理だと悲鳴を上げるけど、僕はそうは思わない。


「大丈夫だよ、これまで皆修行を沢山頑張って来たでしょ? ワイバーン程度、物の数じゃないさ。そしてリリエラさん」


「え? 私?」


「うん、リリエラさんにはあのグリーンドラゴンを一人で倒して欲しいんだ」


「……は?」


 リリエラさんがポカンと呆けた顔で僕を見る。


「大丈夫、町の人達は僕が守るから。皆は敵を倒す事だけに集中して」


 さすがに初めてのドラゴン退治で周囲の事を気遣いながら戦うのは大変だからね。

 そこは僕がサポートだ。


「ちょ、本気で言ってるのレクスさん?」


「うん本気本気。皆の修行にちょうど良いでしょ?」


「修行って……」


 もともとこの国には皆の修行の為に来たんだしね。

 まぁちょっと予定が繰り上がった程度の話さ。

 だって最初の予定じゃ龍峰で修行を始める予定だったんだしさ!


「さぁジャイロ君達はワイバーンの相手を! 大した敵じゃないけど、数が多いから気を付けてね!」


「わ、分かったぜ兄貴!」


 僕の指示を受けてジャイロ君達が動き出す。


「って言うかワイバーンってBランクの魔物よね!?」


「大丈夫大丈夫。皆なら倒せるよ」


 ミナさんは心配性だなぁ。


 ◆


「くっ、やるしかないのね!」


 覚悟を決めたリリエラさんが氷の属性強化を発動して周囲の地面を薄く凍らせると、その上を足の裏に生やした氷の刃で華麗に滑りながらグリーンドラゴンをかく乱する。

 リリエラさんが氷の上を滑ると、足元の氷同士が削れ合う事でキラキラと氷の欠片が周囲に舞い踊る。


「綺麗……」


 その光景を見ていた女性の一人が思わず声を漏らす。


「ギャオォォォォォ!!」


 グリーンドラゴンは高速で縦横無尽に動き回るリリエラさんの速度に付いて行けず翻弄されるばかりだ。


「はぁっ!!」


 反対にリリエラさんはグリーンドラゴンの隙を突いて的確に攻撃を当てていく。

 ブレードウルフの素材から作った槍はグリーンドラゴンの鱗を容易く切り裂いてゆく。


「グォアァァァァァァッ!!」


 その時、立て続けに攻撃を受けていたグリーンドラゴンが怒りの咆哮を上げる。

 そして喉元に高密度の魔力が膨れ上がってゆく。


「気を付けて皆! グリーンドラゴンがブレスを吐くよ!」


「「「「ブレス!?」」」」


 僕の言葉により敏感に反応したのは、リリエラさん達ではなく町の人々だった。

 おっといけない、彼等をブレスから守らないとね。


「ブレスガード!!」


 僕は対ブレスに特化した魔法で町の人達を保護する。

 その直後、グリーンドラゴンがブレスを吐いた。


 高密度の魔力塊が地面を融解させながら住民達に襲い掛かる。


「ひぃっ!?」


 悲鳴を上げ、身を丸くしてうずくまる町の人々。


「もう大丈夫ですよ」


 僕は怯える人々にそう声をかけた。


「え?」


 もう駄目だと思っていたのに、いつまで経っても自分達を焼き尽くす破滅が襲ってこない事に人々が顔を上げる。

 そして目の前の光景を見て目を丸くした。


「な、何だコレ!?」


 町の人々が見たのは、自分達の目の前でドラゴンのブレスがまるで壁に阻まれているかのように止まり、そのまま上へと逸れていく光景だった。


「これは対ドラゴンブレス用の魔法、ブレスガードですよ。下級のドラゴンのブレスならこの魔法で簡単に防げます」


「か、簡単にって……ドラゴンだぞ?」


「ええ、たかだかグリーンドラゴンですから」


「「「「たかだかっ!?」」」」


 あれ? 何で皆驚いているんだろう? ドラゴンが多いドラゴニアなら、ブレス対策のブレスガードは基本だと思うんだけど。

 実際僕の時代のドラゴニアを守っていた普通の騎士や魔法使いでも使えていたし、竜騎士が居なくなってもブレスガード程度の魔法なら無くならないと思うんだけど。


「あっ、そろそろ終わりますよ」


「え?」


 見ればリリエラさんとグリーンドラゴンの戦いがクライマックスに差し掛かっていた。


「たぁぁぁっ!!」


 気合一閃、リリエラさんの攻撃はグリーンドラゴンの額に深々と突き刺さった。


「凍りなさい! フリーズランスッ!!」


 リリエラさんは自らの槍に氷の魔力を通し、グリーンドラゴンを内部から凍らせる。


「ッ!?」


 グリーンドラゴンも頭を内側から凍らされては防ぎようもなく、そのまま頭部を氷漬けにされてこと切れた。


「……か、勝ったぁ」


 グリーンドラゴンを倒したリリエラさんが、大きく息を吐きながらグリーンドラゴンの額の上でへたり込む。


「お疲れ様ですリリエラさん。見事グリーンドラゴン討伐ですね」


「ま、まさか単独でドラゴンを討伐出来るとは思わなかったわ……」


 リリエラさんは信じられないと言った顔をしているけど、彼女の実力ならグリーンドラゴン程度とっくの昔に討伐出来ていたと僕は考えている。

 

「くっそー、ドラゴンスレイヤーを先に達成されちまったかー……」


 と、悔しそうに振る舞ったのはジャイロ君だ。

 怪我もしていないようだし、ジャイロ君達も上手くワイバーンの群れを倒すことに成功したみたいだ。


「兄貴の弟子として、俺が竜殺しの一番乗りをしたかったのによう」


「お疲れ様、ジャイロ君達もワイバーンを全部倒せたみたいだね」


「おう! 俺にかかればワイバーンなんか大した事ねぇぜ!」


 ジャイロ君は自信満々に積みあがったワイバーンの死骸を指さした。

 よく見るとメグリさんが黙々と解体をしている。


「なーんて言ってるけど、正直言って結構危ない場面が何度もあったわよ。アンタ突出し過ぎなのよ」


「うぐっ」


 ミナさんのツッコミを受けてジャイロ君が苦虫を噛み潰したような顔になる。


「油断は禁物だねジャイロ君」


「……はい」


「ところでノルブさんは?」


 さっきからノルブさんの姿が見えないのが気になったんで、念の為聞いておこう。

 ノルブさんの実力ならワイバーン程度にやられたって事は無いと思うけど。


「ああ、ノルブなら最初の襲撃の時に怪我をした町の連中や衛兵達を治療してるよ」


 ああ成る程、ノルブさんは僧侶だもんね。

それにしてもこういう時に真っ先に人々を助けに行けるなんて、ノルブさんは良い僧侶だなぁ。

前世で出会った欲塗れのエセ僧侶達とは大違いだよ。

僕も微力ながらノルブさんのお手伝いをしようかな。


「リリエラさん、僕達も町の人達の治療を手伝いま……」


 と、倒したグリーンドラゴンの上で休憩していたリリエラさんに視線を向けると、何やら妙な事になっているのに気付いた。


「あ、あの女の子ドラゴンを倒したぞ……」


「ドラゴンスレイヤーだ……」


「それに槍を持ってるぞ……」


「ドラゴンを倒せる槍使いの乙女ってもしかして……」


 何やら町の人達がリリエラさんを見ながらブツブツと呟いている。


「え? 何? 何なの?」


 リリエラさんも訳が分からないと困惑している。


「間違いない! あの方こそ龍帝流空槍術の後継者、伝説の最後の竜騎士、龍姫様だっ‼」


「はぁっ!?」


「龍姫様ってホントに居たんだ!!」


「あれが伝説の龍帝流空槍術なのか!」


「戦っている時の龍姫様、キラキラと輝いて綺麗だったわ!」


「「「「龍姫様―っ!」」」」


「え? え? え? どういう事!? なんの事!?」


 町中が興奮に包まれるなか、リリエラさんだけが事情を理解できずにポカンとしていたのだった。

 うん、僕達にも分かんない。


「まぁでも、リリエラさんの初めての竜殺し達成記念だし、僕達も祝っておこう。リリエラさんおめでとーっ!」


「「「おめでとーっ!」」」


 つられてジャイロ君達もリリエラさんを祝う。


「やめてー! 良く分かんないけど崇めないで拝まないであとレクスさん達まで交ざらないで―っ‼」

リリエラ(´д`」∠):_「ひどい目に遭う予感……!!」

ミナ/メグリ(:3」∠)_「よっしゃ生贄回避!」

グリーンドラゴン(:3」∠)_「頭の中が超寒いナリ」

ワイバーンズ(:3」∠)_「せめて戦闘シーンをですね……」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ワイバーン達結構強い筈なのにモブ扱い(笑)
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