第84話 逃亡キメラと毒の空気
_:(´д`」∠):_「あ、あれ? 文字数が多かったから分割したのになぜか文字数が……」
_:(´д`」∠):_「それとついでに宣伝です。N-Starにて連載中の「商人勇者は異世界を牛耳る! ~栽培スキルで武器でもお宝でもなんでも栽培しちゃいます~」が三週間後の11/24発売となります。興味を持たれた方はぜひお手に取ってみてくださると嬉しくて喜びます」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「こ、これは……何だ!?」
ソレを見たリソウさんが驚きの声をあげる。
最下層に棲み着いていたバハムートを退けた僕達は、元来た道を戻って今度は下流へと向かった。
その理由は地下水脈の脇に出来たこの道が、外まで続いている可能性が高いからだ。
もしそんな抜け道があったら、多くの魔物やキメラが外界に解き放たれている可能性が高い。
だから僕達は下流へと進み、出会った魔物やキメラ達を討伐し続けていた。
そして見つけたのがこの行き止まりだ。
ただ行き止まりと言っても、それはあくまで僕達が歩いてきた道の行き止まり。
地下水脈の水自体は壁に空いた穴から更に奥深くへと続いていた。
そしてリソウさんが驚いたのは、その穴だ。
厳密には、地下水脈が流れる穴を無理やり砕いて広げたと思われる破壊跡に対してだけど。
「どうやら、何かが狭い地下水脈の水路を無理やり広げて奥へと進んで行ったみたいだな」
ラミーズさんが拡張された穴を見て、何が起きたのかを推測する。
「岩を砕いて進んだだと!? キメラとはそんな事も出来るものなのか!?」
リソウさんがキメラの生みの親であるガンエイさんに質問する。
「ふむ、あの魔人が作ったキメラの失敗作にそこまで根性のあるキメラなどおったかのう?」
と、魔人が作ったキメラの事を思い出しつつ、ガンエイさんは首を傾げて考え込む。
「……あっ」
そして何かを思い出したかの様に声を上げる。
「そう言えばここに来るまでに試作キメラの姿が無かったわい」
「「「「試作キメラ?」」」」
「うむ、白き災厄の欠片を埋め込む為に儂が作った最終試作キメラじゃ。最後に作っただけあってなかなかの自信作、というか寧ろ最高傑作じゃったな。ただ最後に残った白き災厄の欠片を使うのが勿体なくてのう、結局素体の性能を調べるだけにとどまって後は廃棄穴に落として処分したのじゃ」
「「「「何でそんな危険なモノを流したぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」
皆のツッコミが最下層に響き渡る。
「いやー、あんまりにも出来が良かったんで、自分の手で殺すのが忍びなくてのう」
「いやいや、それはおかしいだろう。というか、そんな危険なキメラを捨てるなんて普通ありえないだろ!?」
ロディさんが声を荒げると、一緒にキメラと戦った経験のあるリソウさん達Sランクの皆がうんうんとうなずく。
「ねぇロディ様、ロディ様達が戦ったというキメラはそれ程までに強かったのですか?」
と、ロディさんの仲間の僧侶であるアルモさんが問いかける。
「ん? ああ、かなりの強さだった。だが俺達が戦ったのは、本命を作るまでの失敗作だったらしいがな」
「失敗作?」
中庭や研究室で遭遇したキメラとの戦いを思い出して、ロディさんが苦虫を噛み潰したような顔になって頷く。
「ああ、特にあの中庭で出会った巨大キメラとの戦いは本当に死ぬかと思った」
「ロディがそこまで言うなんて……」
同じくロディさんの仲間の魔法使いであるチェーンさんが興味深げ会話に加わって来る。
魔法使いだから、魔法技術で生み出されたキメラに興味があるみたいだ。
「遺跡で遭遇した魔人はあのキメラ達を失敗作と言っていたが、相当な強さだった。もし俺達サイクロンが単独で依頼を受けていたら、完成したキメラに遭遇する前に全滅していたかもしれない」
「……うそ、そこまで!?」
と、ロディさんのパーティの最後の一人である剣士のマーチャさんが驚く。
ロディさんを心から信頼する彼女達だからこそ、その発言は衝撃的だったみたいだ。
「正直、少年が居てくれたおかげで生き残る事が出来たよ」
と言ってロディさんがこちらを見てくる。
「またあの子……」
アルモさんがジーッとこちらを見つめてくる。
その目は怒っている様ないない様な、複雑な感情を込めた視線だ。
本当に僕のお陰で助かったのかと疑っているんだろうね。
「いえいえ、あれは新人Sランクの僕への歓迎みたいなもので、ロディさん達が本気で戦っていたら僕の出番なんてありませんでしたよ」
「「「そうよね!!」」」
僕の言葉にロディさんのパーティメンバーが明るい笑顔になる。
皆本当にロディさんを信頼しているんだなぁ。
「いや、苦戦したのは本当なんだが……」
けれどロディさんはキメラを討伐したのはあくまで僕だというスタンスを取る。
試験の為にわざと苦戦したフリをしていただけで、本気で戦えば苦戦する事なく勝てただろうにそれを言わないのは、僕が自力でキメラと魔人に勝利できたからだろう。
でもいつかロディさん達の本気の活躍を見て見たいなぁ。
チームワークを得意とするSランク冒険者の本気なんだから、きっと凄いんだろうなぁ。
「しかしこれでは追跡は不可能だな……」
おっと、リソウさん達の話が続いていたよ。
「うむ、この中に飛び込んだら間違いなく死ぬだろうからな」
え? 死ぬ? 何で? というかなんで飛び込むの?
これなら普通に穴を拡張するだけで済むと思うけどなぁ。
ちょっと試しにやってみようか。
「トンネルエクステンション!」
僕は魔法を発動させるとキメラによって無理やり広げられた穴を更に広げつつ、天井と壁を補強して更に穴の拡張率を変化させて人が歩けるだけの道を地下水脈の脇に作る。
「なんだ出来るじゃないか」
リソウさん達が追跡は無理だなんて言うから驚いたけど、やっぱり普通に穴を広げる事が出来たよ。
「それじゃあ逃げたキメラの追跡をしましょうか」
「「「「「……」」」」」
と、振り向くと、何故か皆が目を丸くしてこちらを見ていた。
「皆さんどうしたんですか?」
「「「「「ど、どうしたんですか? じゃなーいっ!!」」」」」
何故か皆が声をハモらせて突っ込んで来た。
え? どういう事?
「お、おまっ!? 何を当たり前の様に穴を広げているんだ!? 何だその魔法は! 寧ろ教えろ!」
魔法大好きラミーズさんが興奮した目で僕に詰め寄ってくるけれど、後ろから現れたフォカさんとロディさんに両腕を捕まえて引きずられていく。
そして代わりにリソウさんが前に出て来た。
「大物喰らい、今のは……魔法……なのか?」
「ええ、洞窟を拡張する為の鉱山魔法です」
「鉱山魔法!? だ、だが、鉱山夫でもない素人が洞窟に穴なんて開けたら崩落してしまわないか?」
ああ、リソウさん達は鉱山夫の魔法技術について知らないんだね。
だから穴を広げて追跡する事が出来ないと思っていたんだ。
「大丈夫ですよ。鉱山魔法では洞窟を拡張しても崩落はしません。寧ろ広げた分の土や岩が周囲の穴の密度を高めるので、多少穴を広げる程度なら逆に硬くなるくらいです」
「ま、魔法というのはそんな事まで出来るのか」
「土や雪をギューッと押し込むと硬くなる理屈と同じですよ。崩落しやすい地質の鉱山でよく使われているんですよ」
「そうなのか?」
「さぁ?」
冒険者さん達お前知ってたか? とお互いに確認し合う。
まぁ鉱山関係者に知り合いが居ないとなかなか知る機会のない魔法なのかもしれないね。
僕も知り合いの鍛治師に良い素材は自分の目で見て探せって言われて教えて貰った訳だし。
そして良い鉱石を鑑定できるようになるまで数か月間鉱山の中で過ごす事になったけど……
うん、その時の事は忘れよう。
「……じゃあ、行きましょうか!」
「あ、ああ……」
「そ、その前に今の魔法の術式についてもっと詳しく!!」
「はいはい、良い子ですからそういう話はお仕事が終わってからにしましょうねー」
「や、約束だからなぁーっ‼」
えーっと、なんか後で僕が教える流れになってるんですけど。
「そこそこ大きい鉱山専属の魔法使いの人に聞けば教えて貰えるから大丈夫ですよ」
「よし分かった! 鉱山専属の魔法使いだな!」
ラミーズさんはやっぱりブレないなぁ。
それにしても古代の文明を崩壊させた謎の魔物を倒すために作られた最強キメラの試作品か。
これはかなり厄介な相手が待っていそうだぞ。
◆
鉱山魔法で穴を拡張しながら進むと、ボコッという音と共に先の壁が崩れて真っ黒な穴が現れる。
「どこかの通路に繋がったみたいですね」
「ふむ、ではこの先に逃亡キメラが居るかもしれないな。皆警戒を強めろ!」
リソウさんが警戒を命じると皆が武器を構えて臨戦態勢になる。
「では進むぞ」
「ちょっと待ってください」
けれど僕は進もうとする皆を止める。
「どうした大物喰らい?」
「その前に繋がった空間を魔法で調査します。エアダイアグノーシス!」
手の先から青い光の魔法の玉が放たれ、前方に空いた穴へと進む。
すると青い光は途中から紫に変わり、次の瞬間真っ赤な色へと変貌した。
ああ、やっぱりだ。
「色が変わったぞ!?」
「大物喰らい、あれはどういう意味なんだ?」
リソウさんに問われ、僕は赤い光の意味を伝える。
「あれはこの先の空気が毒に満たされている事を示しているんです」
「毒だって!?」
その場にいた皆が驚きの声を上げて後ずさる。
「どういう事だ大物喰らい!?」
「鉱山には時折人間の体に有毒な毒の空気が充満している場所があるんですよ。この魔法はそういった毒の空気を調べる為の魔法なんです。青なら清浄、紫は長時間の滞在は危険、そして赤は命に関わる、です」
「なんという事だ!?」
リソウさんが悔しそうに顔を歪める。
「これではこの先には進めな……」
「なのでこの先の空気を魔法で浄化して進みましょう」
「……え?」
リソウさんがどういう事だ? とキョトンとした顔で僕を見る。
「鉱山魔法でこの先の毒の空気を浄化します」
「こ、鉱山魔法というのはそんな事まで出来るのか!?」
「ええ、鉱山で安全に働く為に開発された魔法ですからね」
「スゲェな鉱山魔法」
「もしかして鉱山夫ってすげぇ連中なのか?」
冒険者さん達が鉱山夫に対しての認識を改める会話をしている。
「そうですね、鉱山の中に眠っていた古代の強力な魔物と戦う事も少なくありませんから、鉱山夫は屈強な戦士としての側面も持っているんですよ」
「マジかよ!? すげぇな鉱山夫!?」
「石を掘るしか能がないと思っててごめんなさい!」
「やっべぇ、俺この間鉱山夫のおっさんからかっちまったよ!? どうしよう!」
「すぐに謝りに行け!」
「おう、行ってくる!」
「仕事を終えてからにしろバカ共!」
あ、リソウさんに叱られた。
「ともあれ、空気の浄化が出来るのなら頼めるか大物喰らい?」
「はい、任せてください」
リソウさんに頼まれて僕は空気浄化の魔法を発動する。
「エアピュリフイケーション!」
再び前方の空間に魔法を放つと、先程まで真っ赤に染まっていたエアダイアグノーシスの玉が青色に戻っていく。
「浄化完了です。それじゃあ行きましょう」
「あ、ああ。……本当に大丈夫なんだな?」
「ええ、大丈夫ですよ」
移動を再開した僕達はエアダイアグノーシスの玉を先行させながら地下水脈沿いに進んで行く。
途中再度玉の光が赤に染まったので、その度に空気を浄化していく。
「なぁ、たびたび色が赤く染まっているんだが、本当に大丈夫なのか?」
ロディさんが不安そうに質問してきたので、僕は安心させる為に大丈夫と答える。
「エアピュリフイケーションは術者の周囲数百メートルの空気を浄化する魔法です。なのでこの通路全体に毒の空気が充満している場合は移動する度にその場の空気を浄化していけば大丈夫ですよ」
「そ、そういうものなのか」
そうして進んで行くと、洞窟の奥から何かが近づいて来る音が聞こえて来た。
「何か来るぞ! 灯りを先行させろ!」
魔法使い達が指示を受けて魔法の灯りを前に進ませる。
すると奥からやって来た魔物の姿が見えて来た。
「あれは、ヘルバジリスク!?」
その名を聞いて冒険者さん達が動揺する。
なにせそれは僕達が来る前に鉱山前のキャンプを襲って、黒死の邪眼と呼ばれる特殊な邪視で多くの冒険者さん達の命を危険にさらした魔物の名前だったからだ。
「回復役は後方に下がれ! 黒死の邪眼を避ける為に遠距離から攻撃しろ! 盾持ちは前に出ろ!」
即座に盾を持った冒険者さんがヘルバジリスクの邪視を受けない様に盾を構えながら前に出る。
「ウインドランサー!!」
洞窟を崩落させない為にラミーズさんが風魔法でヘルバジリスクを迎撃する。
よし、僕も迎撃だ!
「ランドランサー!!」
ラミーズさんに合わせて僕も岩の槍による魔法で攻撃する。
ラミーズさんは正面から攻撃して敵の進行を食い止め、その隙に僕の魔法が敵の真下から突き上げる様にヘルバジリスクを串刺しにする。
ヘルバジリスクは岩の槍に持ち上げられ、自らの自重で槍に体を喰い込ませながら貫かれた。
「お、おいもう倒しちまったぞ」
「え? 何? もう終わったのか?」
後ろで待機していた冒険者さんの声を聞き、盾を構えていた冒険者さんが驚きの声をあげる。
まぁ襲ってきたのはヘルバジリスク一体だけだったからねぇ。
「ヘルバジリスクは他のトカゲ系の魔物と同じくお腹が柔らかいですから」
「なるほど、そんな弱点があったのか」
「いやいや、弱点が分かっても簡単に倒すのはムリだろ」
「それよりも、私の魔法が全然目立たなかったんだが……」
風魔法を使ったラミーズさんがショボーンとなっている。
「でもラミーズさんの魔法がヘルバジリスクの進行を食い止めてくれたおかげで、僕の魔法が丁度良い所に当たったんですよ」
「む? そうか? まぁそうだな」
誉められた事で機嫌を治したラミーズさんがニヤリと笑みを浮かべる。
「ちょっとチョロくないか天魔導の旦那?」
ロディさんが呆れた様な顔でラミーズさんを見つめているけれど、実際ラミーズさんの魔法は僕の魔法を当てやすくしてくれたので、確かに効果を上げていた。
風魔法は見えないから奇襲や仕込みには便利だけど、活躍が分かりにくいのが難点だよね。
「しかしこんな毒の空気に満ちた場所に魔物が居るとはな……」
「ヘルバジリスクは穢れた場所を好むと言われている。毒の空気に満ちたこの洞窟内は格好の住みかなのだろう」
ラミーズさんの推測は当たっていて、この後も毒を持った魔物やキメラ達が僕達に襲い掛かって来た。
「成程、毒持ちの魔物やキメラ達はバハムートや格上の魔物から逃れる為にこの辺りまで逃げて来たみたいだな!」
毒持ちの魔物を捌きながら、リソウさんがキメラまで居る理由を推察する。
「となると洞窟のどこかにここに繋がる道があるのかもしれないな。後で調査隊を送る時は、毒に注意する様に指示しておかないとな!」
ロディさんも後々の事を考えて、毒の空気について注意を促すべきだと主張する。
二人共後々の事まで考えているんだなぁ。
「あらあら、こんなに毒持ちの魔物が多いと、解毒魔法が追いつかないわね。マナポーションを多めに持ってきて正解だったわ」
僧侶であるフォカさんが解毒魔法で負傷者達が受けた毒を回復している。
「せいっ‼」
リリエラさんは属性強化魔法で氷の属性を持たせた剣を振るい、魔物の爪や嘴を凍らせて毒を受けない様に戦っている。
そして攻撃を回避して反撃してきた魔物の攻撃には、自分の体の一部に氷の防具を作りだす事によって毒が体に侵入してくる事を防いでいる。
「たぁ!」
そしてそのまま氷の防具を魔物の体に張り付けてしまい、逆に攻撃できなくしてから再度攻撃を加える。
リリエラさんもすっかり属性強化を使いこなす様になってきたなぁ。
今度新しい技を教えてみようかな。
「モキュ!」
そしてモフモフは相手が毒持ちだろうと構う事無く肉を貪っていた。
お腹壊すなよー。
……ってあれ? モフモフは置いてきたと思ったのについてきちゃったの?
やれやれ、しょうがないなぁ。
「お、おい……あの白いの、毒持ちの魔物を喰ってるぞ!? 大丈夫なのか!?」
「まぁSランクのペットだし、大丈夫なんじゃないか?」
「まぁSランクのペットだしなぁ……」
いや、僕のペットだから大丈夫という訳じゃないんですけど。
そうして、戦いながら進んで行くと、洞窟の奥からブシュウウという音が聞こえてくる。
「何だこの音は……!?」
「ああ、どうやらこの辺りが毒の空気の発生源みたいですね。見てください、エアダイアグノーシスの玉が点滅しているでしょう? あれは毒の空気が特別濃い場所、つまり発生源を教えてくれているんです。ここでは普通に空気を浄化してもすぐに毒の空気に満たされてしまいます」
僕の説明を受けて皆の顔が青くなる。
「じゃあもう進むのは無理って事か?」
「そんな、折角ヘルバジリスクや毒の魔物を倒してここまで来たのに、諦めなきゃいけないのか!?」
冒険者さん達がここまで来て諦めれるかと不満の声をあげる。
うん、さすが皆勇敢だね。
毒の空気にも怯む気配がない。
「いえ、穴をふさぐだけなので簡単ですよ。トンネルエクステンション!!」
僕は洞窟拡張の魔法を空間全体にかけ、穴を広げていく。
すると先ほどまで洞窟全体に聞こえていたブシュウという音がみるみる間に小さくなっていき、遂には聞こえなくなってしまった。
「エアピュリフィケーション!」
そして空気を浄化する魔法を発動させると、先程まで赤く点滅していた魔法の玉が青色に変化し、そのまま色が変わる事はなかった。
「魔法で穴を拡張する際に毒の空気が漏れていた穴を埋めました。これでもう毒の空気が溢れる心配はありませんよ。あとは残った毒の空気を浄化するだけです」
僕の説明を受けて、皆がほーっと安堵の溜息を吐く。
「すげぇな鉱山魔法。こんなに簡単に毒を無効化出来るのか」
「ええ、ええ、素晴らしいわ! 邪悪な毒に包まれた空間をまるごと浄化するなんて! やっぱり貴方は聖都に来るべきだわ!」
すいません、どさくさに紛れて勧誘しないで下さいフォカさん。
あと洞窟の毒は別に邪悪じゃないですよ。
まぁ教会の人達は神聖な回復魔法で治療できる毒イコール邪悪な力ってイメージが強いみたいだけど。
「おおおっ! これも鉱山夫に聞けばいいんだな! 素晴らしいぞ鉱山魔法! いやこの依頼を受けて正解だった! 新しい魔法の知識がどんどん手に入る!」
皆が安心する中、ラミーズさんだけは嬉しそうにはしゃいでいたのだった。
そして、空気を浄化しながら洞窟を拡張していった先で、僕達は大きく広がった空間へとたどり着いた。
「どうやら、ここが終着点みたいですね」
僕達がたどり着いた場所、それは広大な地下空間の中にたたずむ巨大な地底湖だった。
冒険者達(*゜▽゜*)「鉱山夫凄いな!」
鉱山夫( ノД`)「やめて……変な期待するのやめて……」
ラミーズ(*゜▽゜*)「魔法教えてくれ!」
鉱山夫( ノД`)「帰れ!」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。




