第72話 卵の殻ともう一つの商品
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うーん、薬草が売物になるのは良かったけど、それだけだと心配だな。
一つの売り物しかないと、何かの弾みでそれに頼れなくなった時に困る。
前世や前々世でも、飢饉や採り過ぎによる枯渇で大きな問題が起こっていたからなぁ。
何かもう一つ空島だけの名物になる売物があると良いなぁ。
という訳で、もう一度森島に行ってみようか。
◆
「やっぱりないなぁ」
目ぼしい物の価値は、バーンさん達グッドルーザー号の乗組員さん達に確認してもらっているから、わざわざ貿易してまで欲しいと思わせれる物はないんだよなぁ。
「うーん、どうしたもんか」
そうやって森の中を散策していた僕は、ふと見覚えのある場所に出た。
「魔人のゲートがあった遺跡か」
遺跡と言っても天空大陸時代の住居の跡地って感じで当時を知っている僕からすればそう珍しいものじゃないけどね。
「ゲートもバッチリ踏み潰されているなぁ」
うん、バハムートの全体重が掛かっているから、もうこのゲートは使い物にならないや。
まぁ魔人が簡単に森島にこれなくなったのなら、それはそれでいいのかもしれない。
「ねぇレクスさん。アレは何かしら?」
と、その時リリエラさんが何か黒いものを指差して聞いてきた。
「あれは、バハムートの卵の殻ですね……」
うん、卵の殻だ、雛はもう孵化した後だし。
「バハムートの卵の殻!?」
何故かリリエラさんが目を丸くして驚いている。
「アレがどうかしたんですか!?」
「だってバハムートってSランクの中のSランクって言われる程の魔物なのよ!? だったらその卵の殻も凄い価値があるんじゃない!?」
そんな馬鹿な、卵の殻にそんな価値なんて、と言いそうになった僕だったけれど、よくよく考えるとグリーンドラゴンでもかなりの金額になったんだし、バハムートの卵の殻にも意外な需要があるかも知れない。
たとえば僕の知らない薬の材料とかね。
「ねぇ、回収していきましょうよ! きっといいお金になるわよ!」
「凄いなぁ」
「え? 何が?」
僕はリリエラさんの発想に素直に感心していた。
「確かに、バハムートがSランクの魔物なら、卵の殻に価値があっても不思議じゃないですね。ええ、回収しましょう!」
ふむふむ、となると、もしかしたら他のバハムート由来の素材も金になるんじゃないだろうか?
そう思った僕達は、バハムートの卵の殻を回収すると、周囲を見回して他に何か無いかを確認する。
「あれは、バハムートから抜け落ちた鱗かな?」
「これって角の欠片じゃない?」
探してみると意外と見つかるもので、僕等はそれらの品を集めると、グッドルーザー号の人達に鑑定して貰うべく空島へと戻っていった。
「おっとっと、古い方の卵の殻も回収しておかないとね」
「うふふー、まさかバハムートの素材が手に入るなんて。これで装備を新調したらすごい事になるんじゃないの?」
帰っていく間、リリエラさんは終始ご機嫌だった。
◆
「こ、これがバハムートの卵の殻……」
「こっちはバハムートの鱗」
「これがバハムートの角の欠片!?」
持ち帰ったバハムートの素材を早速バーンさん達に見てもらったんだけど、皆の様子がおかしい。
全員挙動不審なくらい興奮している。
まぁ、バハムートもそれなりに良い素材だしね、楽して手に入れれたとなれば多少は驚くのも分かるけど、ちょっと驚きすぎな気も。
「そ、空島にはこんな物がいくつもあるのですか?」
「えーっと、いくつもはないですけれど、探せば他にもあるかもしれませんね」
ガタッという音を立ててグッドルーザー号の船員達が浮き足立つ。
これは金になりそうな感じだね。
「どうでしょう、バハムートの素材はお金になりそうですか?」
「そう、ですね。私は鑑定士ではないので断言は出来ませんが、この卵の殻などは固く、そして軽い。このようにナイフで切りつけても傷が付くどころかナイフの刃が欠けてしまう有様です。これならば武器だけでなく、鎧の素材としても十分な価値があるでしょう」
よかった、これなら良い儲けになりそうだ。
「まさかあの忌まわしい魔物の素材が金になる日が来るとは……」
カームさん達天空人は嬉しさ半分な微妙な気分みたいだ。
まぁ長年苦労させられた相手だからねぇ。
「ですがそうなると、バハムートが居なくなってしまったのは残念な事かもしれませんね。新しい素材が手に入らなくなってしまったんですから」
「馬鹿者!」
騎士の一人がそんな事を言うと、カームさんが怒りの言葉と共にゲンコツを落とした。
「痛っー……」
「レクス殿のお陰で今後は食料不足が解消されるのだぞ! 冗談でもそんな事は言うな!」
「す、すみません……」
カームさんのゲンコツがよっぽど痛かったのか、騎士は涙目だ。
でもそうだな。確かにバハムートの素材を継続して回収できるならそれに越した事は無いんだよね。
ふーむ、ならバハムートが何処にいるのか探った方が良いかもしれないなぁ。
「それ、良いアイデアかもしれませんね」
「え?」
もしそれほど離れていない場所で子育てをしているのなら、うまくいけば長期的にバハムートの巣から素材を回収する事が出来る様になるかもしれないからね。
「よし、バハムートの巣を探しましょう!」
「「「えっ!?」」」
◆
「今度はこっちを調べてみるかな」
バハムートの巣を探す事にした僕は、周辺の空島を巡ってバハムートの巣を探していた。
新しい空島を見つけたら、探査魔法で強い魔物の気配を探る。
それを繰り返す事数回、ついに大きな反応を捕らえることに成功した。
「居た、バハムートだ」
よし、早速行ってみよう。
「あのー……」
と、僕がバハムートの巣に向かおうとしたら背後から遠慮気味な声が聞こえてきた。
「何ですかカームさん?」
声をかけてきたのは一緒についてきたカームさん達空島の騎士達だった。
「その、本当にバハムートの巣に攻め入るんですか?」
「いえいえ、そんな事はしませんよ」
「で、ではなぜバハムートの巣に行くのですか? それもバハムートが居る今に」
「いえ、バハムートを躾けて、巣から定期的に素材を回収出来ないかなと思いまして」
「「「はぁ!?」」」
カームさん達が信じられないという顔で僕を見て来るけど、前々世じゃあ魔物を飼育して素材だけを回収するというの行為はよくあった。
「要は家畜を飼うのと同じ感覚ですよ」
「「「感覚の規模が違い過ぎる!!」」」
えー? そんな事はないと思うけどなぁ。
「基本的に動物は自分よりも強い存在に服従します。魔物も動物ですから、バハムートもちょっと説得すれば言う事を聞いてくれますよ」
「それは……バハムートに勝てる事が前提の話ですよね?」
「ええ、勿論です!」
自分より強い相手を生かしたまま素材を得るのは、かなり大変だからね。
それこそ専門家としての知識と経験が必要だ。
でもバハムートならまぁ、ちょっと気合を入れて殴り倒せば言う事を聞く様になるだろう。
前々世の知り合いの手伝いで、良く魔物を叩きのめして力の差を分からせていたからなぁ。
強い魔物程、力の差を理解できる知性があるんだよね。
まぁ一部の魔物は知性が低くてそれを理解出来ない奴もいるんだけどそれは例外だ。
「本当に行くつもりなのか? 相手はバハムートだぞ? 俺達死ぬんじゃ……」
「バハムートを倒したマジックアイテムも壊れてしまったからなぁ」
「いや、相手はレクス殿だぞ? 何の考えも無しに挑むとは思えん。何か策があるんじゃないのか?」
「確かに、あれほどの強さを持っているだけでなく、マジックアイテムに対する深い知識を持っている彼ならば、バハムートを従える何かしらの知識を持っていてもおかしくはないか!」
いえ、単に力技です。
「では行きましょう」
「「「はい!」」」
僕は納得してくれた騎士達を連れてバハムートの巣へと向かう。
「そういえば、何故我々が同行する必要があるのですか? バハムートを従えるのはレクス殿なのですよね?」
お、良い所に気付いたね。
「それはですね、今後バハムートの巣に素材を回収に行くのは皆さんの仕事になるからです。なにせ僕はいずれ空島を去る身ですから」
「ああ成る程、確かにそうで……って、えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
カームさん達が驚きのあまり大声をあげる。
「な、何を無茶な事を!? 我々にバハムートを従えるなんて無理ですよ!?」
「大丈夫ですよ。最初にガツンとやって言う事を聞かせますから」
「聞かせますからって……」
「キュウ!」
と、ここで頭に乗っけていたモフモフが声をあげる。
モフモフも魔物なので、もしかしたらバハムートの説得の役に立つかもと連れて来たんだ。
まぁ、モフモフはまだまだ未熟な子供だから、バハムートの説得にどれだけ役に立つか分からないんだけどね。
「ほら、モフモフも大丈夫って言ってますよ」
「はぁ……」
なんて話している間に、バハムートの住みかの間近へとやって来た。
目の前には森島にあったものと同じ、木をまるまる使った巣がそびえ立っていた。
グルルルルゥ……
バハムートの唸り声が聞こえる。
威嚇と警戒といった所かな。
けれど僕は胸を張ってバハムートの巣へと入っていく。
野生の獣を相手にするんだから、気弱な態度を見せる訳にはいかないからね。
「皆さんも胸を張って堂々としてください。獣は弱気な相手を見抜きますよ」
「そ、そんな無茶な……」
その時だった、カームさん達の弱気を感じ取ったかのように、黒い影が立ち上がり、黒い翼を広げて瞬く間に空を覆った。
「ひぃ!?」
「う、うわぁ!?」
バハムートが立ち上がった、ただそれだけで騎士達が浮足立つ。
まぁ彼等は元避難民で、バハムートとは長年の因縁があった訳だから、しょうがないか。
「バハムート、君に頼みたい事がある!」
僕は声を張り上げてバハムートに語り掛ける。
「君の巣に散らばる抜け落ちた鱗や角の欠片を僕達に譲って欲しい! 対価として僕達が狩った魔物の肉を君達に差し出そう!」
取引をする以上、対価は必要だ。
家畜だって餌を与えたり、寝床を掃除をしてやる必要があるからね。
そして魔物退治は騎士達の仕事なので、討伐で狩った魔物肉をバハムートに提供すれば無駄が無いって訳だ。
グルル……
お? バハムートが考え込んでいるみたいだ。
そう言えば魔人を倒した時もバハムートは引いてくれたし、このバハムートは結構賢いのかもしれない。
グォォォォォォォォォオオオオン!?
あれ? なんだかバハムートの様子がおかしい様な……
っていうかバハムートってこんなイントネーションで鳴いたっけ?
うーん、バハムートの挙動が明らかにおかしい。
これはもしかして交渉決裂かな?
と、その時だった。
「キュウ!」
僕の頭の上に乗っていたモフモフがひと際大きな声をあげたかと思うと、バハムートの前に降り立った。
そしてバハムートに対して何かを語り掛ける様に声を上げ始める。
「キュウ! キュキュウ! キュキュキュウ!」
グルルルル……
モフモフの言葉に応える様にバハムートも声をあげる。
「会話をしている……のか?」
モフモフ達の様子に、カームさんがそんな感想を漏らす。
「おそらく。多分バハムートを説得してくれているんですよ」
まさかモフモフが他種族と会話する事が出来るなんて驚きだ。
そして話し合いが終わったのか、モフモフは僕の方を向く。
「ギュウッッ!!」
そしてひと際大きな声をあげて僕の胸に飛び込んで来た。
「おっとと」
いけない、慌てて受け止めてしまったので顔面を掴んでしまった。
チョロチョロチョロ……
あっちゃー、顔面を掴んだ所為で驚かせちゃったみたいだ。
モフモフがまたおもらしちゃったよ。
いやほんと、ごめんごめん。
「キュウキュウキュウ! キュウー!」
そしたら突然手の中のモフモフが悲鳴を上げる様に鳴き声を上げ始めた。
グ、グルルルゥ……
僕に対して抗議してきたと思ったんだけど、何故かモフモフの鳴き声に対してバハムートが返事をした。
今の鳴き声はバハムートへの呼びかけだったのかな?
そうして、バハムートはしばらくの間モフモフと会話を続けたあと、巣の中の鱗や角の欠片をかき集めて僕の前に差し出してきた。
グルルルゥ……
更に地面に寝っ転がったかと思ったら、ひっくり返ってお腹を見せて来た。
服従の証のつもりかな?
「バ、バハムートがおなかを見せて尻尾を振っている!?」
「レ、レクス殿に服従の意を示しているのか!?」
ともあれ、バハムートの方から僕達に素材をくれた事を考えると、交渉は無事成立したみたいだ。
これもリリエラさんがバハムートの素材をお金に出来ないかと言ってくれたお陰だね!
「ご苦労様モフモフ」
僕は交渉を成立させてくれたモフモフを撫でてやる。
「キュウン! キュウン!」
はははっ、尻尾を振って本当に人懐っこいなぁお前は。
◆
「※※※※※※※※※」
ギャァァァァァァァ!
また人間が来たぁぁぁぁぁぁ!
巣を引っ越して静かに子育てしていたのに、何故か、何故か! また人間がやって来た。
我悪い事してないよ!?
「まぁそう怯えるな空の魔物よ」
我が怯えていると、人間の頭に乗っていた白い魔物がこちらに話しかけてきた。
「我はあらゆる魔物の王、貴様の救い主だ」
救い主……だと?
一体どういう意味だ!? 貴様はその人間に勝てるとでも言うのか?
貴様もなかなかの力の持ち主である様だが、それでも目の前の人間に勝てるとは思えん。
「ふっ、確かに今の我ではかの人間には勝てぬ。それは認めよう」
しかし白い魔物は不敵に笑ってこう言った。
「だがそれは我一人で戦った場合の話。我と貴様が力を合わせれば話は別だ!」
な、何だと!?
「どうだ? 共にあの人間を倒さぬか? 我等が手を組めば、あの人間と言えどもひとたまりもあるまい」
くぅ……どうする?
確かにこの魔物より感じる力に侮れないものがあるのは間違いない。
だが、我の後ろには愛すべき我が子が居る。
危険な賭けをしても良いものか……
「悩む余裕があるのか? 貴様も死にたくないのだろう? 後ろの子供も含めてな」
くっ、この魔物の言う通りだ。
どれだけ悩もうとも、この人間に我等の命運は握られている事に変わりはない。
ならばいっそ、己の運命は自らの手で切り開くべきなのではないか?
勝てずとも、我が子を逃がす時間稼ぎくらいは出来るはずだ。
「決心が固まった様だな。では我に続け!」
白い魔物が人間の喉元を噛み千切らんと飛び掛る。
ガシッ!
あ、顔面を掴まれた。
チョロチョロチョロ
そして漏らした。
「い、命が惜しければ……我がご主人にお前の体の一部を差し出すのだ!」
酷いなお前! ホントもう色々と酷いな!
あとなんで我が体の一部を差し出さないといけないのだ!?
「ふっ、人間は我等の体の一部を戦利品として身につける生き物なのだ。だから殺されたくなければそこら辺に散らばっている抜け落ちた体の一部を差し出せば生かして貰えるだろう! 我がご主人は慈悲深いからな、貢ぎ物さえすれば逆らった者であろうと命だけは助けてくれると我は信じている!」
いや、逆らったのはお前だけだろう。
「ふはははっ! 我がご主人がそう思うかな!? 悩んだ時点で既に我と貴様は一蓮托生よ!」
ひ、酷いなコイツ! 本当に酷いな!
だが、ある意味これはこれで良かったのかもしれない。
この魔物がこうもあっさりと捕らえられたという事は、やはり二人がかりでもこの人間には勝てなかったという証に他ならない。
ならば我は迷うことなく我が子を守る為にプライドを捨てよう。
最後に確認するぞ、本当に貢物をすれば我等は助かるのだな?
「うむ、我がご主人は慈悲深いからな」
なるほど、だからお前は生きているんだな。
我は観念して、そこらに散らばっている抜け落ちた鱗や角のかけらを人間の前に差し出し、更には寝転がって腹を見せる事で完全なる服従の姿勢を示した。
子供に悪影響とかは考えない。無心だ、生きる為に無心になるのだ。
寧ろどうあっても勝てない圧倒的な強者に出会った際のやり過ごし方を学ばせる事が出来たと思おう。
「※※※※※※※※※」
すると人間はそれに満足したのか、我の体の一部を持っておとなしく帰っていったのだった。
◆
「※※※※※※※※※」
今日も人間達がやって来た。
最近ではすっかり人間が巣に入り込むのにも慣れたものである。
我が子など人間が持ってきた魔物の肉を美味そうに食べているほどだ。
正直狩りの練習に身が入らなくなるのでやめて欲しいのだが。
だがまぁ。勝手に巣を綺麗にしてくれるので凄く楽ではある。
子育てに専念できるのはありがたい。
だが我が子よ、あの魔物の様にだけはなってはいけないぞ。
◆
こうして、バハムートとの交渉が成功した事で、空島は薬草だけでなく、世界で唯一バハムートの素材を定期的に出荷できる国家となった。
地上の国々との交流は色々大変だろうけど、副長曰く強気で商売できる商材らしいから上手く渡り合えば各国と対等な関係を築けるだろうとの事。
まぁそこらへんは偉い人達にお任せだ。
そして新しく作った飛行船なんだけど、これはバハムートの素材と幾つかの薬草、それに天空城の要らないマジックアイテムと交換で売却する事にした。
僕が私的に作った飛行船を国家の貿易に使うといろいろと手続きや権利で面倒な事になりそうだったから、それならいっそ売ってしまった方が手間が少ないって考えた訳だ。
一応壊れた時の為のメンテナンスメモを渡しておいたから、自力で修理は出来るだろうし、どうしてもダメなら冒険者ギルドに行って僕に指名依頼を出すように言ってある。
これでようやく天空島の問題も全部解決したから、安心して島を後にできるよ。
「待て! 余の問題がまだ解決しておらぬぞ!」
さーって、それじゃあ帰ろっかな。
「待てと言っておるに!」
「何ですか天空王陛下?」
うん、さっきから僕に話しかけていたのは天空王だ。
「ようやく民の安全を確保して王位を退く事が出来ると思ったのに、なんで余の仕事が増えておるのだ!?」
「いやー、そんな事言われましても、貿易に関しての最終決定権は天空王陛下にありますから」
うん、貿易は国同士で行う事業だからね。
天空王をはじめとした貴族達が頑張るのは当然の事だ。
あとそう簡単に権力者が権力を捨てれる訳がない。
不幸にも天空王は変に真面目だったのも災いした。
「じゃあそういう事で、在位中最後の大仕事頑張ってください王様!」
「ま、まて貴様ーっ!」
僕達は後ろから追いかけてくる天空王を振り切って空島を後にした。
「いいの放っておいて?」
と、リリエラさんがモフモフを抱きかかえながら聞いてくる。
「僕達に出来る事は全部すませましたから。後は天空王自身が王位を退く為の掃除をする番ですよ」
立つ鳥跡を濁さずってね。
「という訳で、なつかしの我が家に帰りましょうか!」
「なつかしって言うほど空けていないけどね」
そろそろジャイロ君達も帰ってきてるだろうし、次は皆で出かけるのも面白いかもね。
(:3 」∠)バハムート「わりかし快適ライフ」
Σ(:3 」∠)「我はご主人の忠実な僕よ!」
(:3 」∠)子バハムート「ザッツ反面教師」
(:3 」∠)天空王「早く退職したい」
これにて天空島編は終了です。
次章からはプロットの練りと他の仕事との兼ね合いで週一更新とさせて戴きます。
いちおう金曜日あたりで更新の予定ですが、スケジュール次第では掲載日が前後すると思います。
連続更新を楽しみにしてくださっていた皆さん申し訳ありません。
ちょっとスケジュールの過密具合がやばくて、クオリティを犠牲にするのも良くないと思い、週一連載を決断しました。
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。