表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/351

第37話 ドラゴンスレイヤーズの冒険 その1

いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「そろそろ野営の準備をした方が良いわね」


 太陽が山に沈み始めた事で、私は仲間達に野営の準備を進言する。


「えー? 兄貴の村はもうすぐだろ? だったらこのまま行っちまおうぜ!」


 バカが無茶を言ってくるけど無視。


「ジャイロとメグリは薪を拾ってきて。ノルブは結界を、私は食事の準備をするから」


「ん、わかった」


「分かりました」


「って、俺は無視かよ!」


「いいからサッサと行ってらっしゃい。暗くなったら魔物がやって来るわよ。それに山道だから茂みから獣が襲ってくる可能性も高いんだから」


「ほらジャイロ行くよ」


「わかったよ」


 メグリに急かされようやくバカが行った。


 ◆


「結界を張りましたよ」


「ありがと、こっちも食事の下準備が出来たわ」


「おーい、薪を拾ってきたぜー」


「山菜も採ってきた」


 ジャイロとメグリも戻ってきた。


「お疲れ。すぐ夕飯にするから」


 鍋の中に魔法で用意した水を流し込み、火を付ける。

 今回は仕事で遠出しているわけでもないし、ノルブの結界もあるから、魔法ですぐに火をつけられるのが良いわね。


 そして湯が沸く前にメグリが採ってきた山菜を下ごしらえして、鍋が沸騰したら食材を鍋に入れる。


「いい加減干し肉のスープは飽きたぜー」


「嫌なら草でも齧ってなさい」


 バカが我が侭を言うのはいつもの事。

 どうせ食べ始めたらすぐに食事に夢中になるんだから。


「さっ、出来たわよ」


 皆の食器にスープを盛って渡していく。


「それでは今日も一日無事であった事を神に祈りましょう」


 僧侶のノルブが神への祈りを捧げているけど、もう皆食事を始めていた。

 勿論私もだ。

 冒険者たる者、食べられるときにすぐに食べるのが常識なのだから。


 ◆


「明日にはレクスさんの故郷に着きそうですね」


 食事を終え、まったりしていたら、ノルブがそんな事を呟いた。


「そうね」


「かーっ! 早く兄貴の生まれた村ってやつに行ってみたいぜ!」


「うん、興味津々」


 そう、私達は、同期の冒険者レクスの生まれた村に向かっていた。

 同期と言っても、その実力は天と地ほども違うけどね。

 彼の実力は文字通り異常だった。


 私達と同じ日に冒険者になったハズなのに、瞬く間にランクを上げ、一月も経たない間にBランクにまで上り詰めてしまったのだから。

 きっとすぐにAランク、ううん、Sランクになるのは間違いない。


 そんな彼と偶然縁が出来た事で、私達は彼の弟子のような存在となっていた。

 まぁ、そういう意味ではこのバカに感謝してやってもいいかもしれない。


 何せ、Fランクの私達が身体強化魔法や無詠唱魔法を使う事ができる様になったのも、彼から学んだおかげなのだから。


 そして何より、レクスのお陰でこのバカに歯止めをかける事ができる様になったのは本当にありがたかった。


 こいつと来たら、すーぐ変な事を思いついて周りを巻き込むんだから。

 本当に、レクスが居なかったら私達の命は無かった。

 それどころかトーガイの町にとんでもない被害を与えて、町に居られなくなっていた可能性すらあったのだから。

 追放で済めば御の字レベルの話だったけどね。


 けど大恩あるその彼も、Bランクに上がった事で他の町へ行く事となり、彼から学ぶ事が出来なくなった私達はとても残念がった。とくにそこのバカが。

 そしたらレクスが、自分の村に行ってはどうかとアドバイスしてくれたの。


 自分の家には、村の子供達に魔法を教える為に作った教科書があるからと言って。

 それを聞いた私達はすぐに動く事を決めた。

 あのレクスが作った教科書なら、きっと凄い本に違いないと思ったからだ。

 そして私達は、ようやく彼が暮らしていたという村の近くまでやって来た。


 本人曰く、西に山を越えた先にあるという村の近くまで。


「ようやくここまでこれたわね」


 正直、ここまで来るのは本当に大変だったわ。

 だって街道沿いだって言うのに、狼や熊はバンバン出るし、魔物だってお構いなく襲い掛かってきた。

 本当に人が通る街道なのってくらい魔物が一杯襲ってきたわ。


 レクスに鍛えられていなかったら、今頃死んでいたかもしれない。

 本当に危なかった。


「さ、明日も早いから、もう寝るわよ。今日はノルブとメグリが先番だからね」


「ええ、任せてください」


 仲間に見張りを任せて、私とジャイロは眠りにつく。

 夜の見張りは交代が基本だから、さっさと寝ないと。


「じゃあ寝るか」


「お休み」


「お休み」


 毛布をかぶって横になると、途端に疲れが襲ってきた。

 そして、10数える事もなく、私は眠りに落ちていった。


 ◆

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」


「走れぇぇぇぇ!!」


 僕達は全力で逃げていました。


 朝食を終え、野宿の後始末をした僕達は、朝早くからレクスさんの故郷に向かって歩き出したのです。

 そして、まもなく魔物達の群れに遭遇してしまったのです。


「グルルルルルッ」


「フォレストウルフ!?」


 群れを成すこの魔物は、魔物ではない狼を使役する危険な魔物です。

 手下である狼に獲物を追いたてさせ、疲れ果てさせてから自分達が前に出て獲物を殺す。

 まるで使い捨ての奴隷の様に狼を使う恐ろしい魔物です。


 フォレストウルフはCランク、Fランクの僕達ではとても相手にならない強敵。

 何より数を武器にするところが少人数の冒険者にとって恐ろしい相手です。


「へっ! ただのデカい狼だろ! さくっと倒せばいいだけじゃねぇか!」


「確かに、囲まれている以上、包囲を切り崩さないとね」


 ジャイロさんとミナさんは戦う気満々ですけど、さすがにこれは数が多すぎますよ。


「右側の包囲が薄い」


メグリさんが狼達の包囲の穴を指摘すると、即座にジャイロさん達が動きました。


「オラァ!」


 レクスさんから教わった身体強化魔法を発動し、右側の狼達の包囲を切り崩します。

 以前のジャイロさんならとてもこんな動きは出来なかったでしょうから、身体強化魔法は本当に凄い魔法です。


「サンダーランス!」


 ミナさんもレクスさんから教わった雷の魔法で狼達を攻撃します。


「ギャウン!?」


 雷の魔法は相手を痺れさせる効果があるらしく、直撃しなくても掠るだけで効果を発揮する凄い魔法なのだそうです。

 敵の数が多い時は本当に助かります。


「包囲が弱まった! 行くよ!」


 メグリさんに合図され僕達は、身体強化魔法を発動して包囲の穴に突撃します。


「このまま逃げ切るわよ!」


「おいおい、戦わねぇのかよ!?」


 ジャイロさんがミナさんの撤退指示に文句を言いますが、それでも動きを止める事はありません。

 レクスさんと共に行動した経験から、状況を判断する事を学んだのでしょう。


「ああうっとおしい!」


 僕達の後ろについたジャイロさんがフォレストウルフ達を牽制します。


「サンダーランス!」


 その隙に集中していたミナさんが無詠唱魔法で襲ってきた狼達を迎撃。

 逃げながら魔法を使えるのも、レクスさんに無詠唱魔法を習ったお陰ですね。


 けれど、狼の数は多く、更に後方にはフォレストウルフが控えています。


「なんだか私達魔物に追い立てられて逃げてばかりじゃないのー!?」


 あっ、僕もなんとなく同じ事を感じてました。


「それだったら、兄貴が助けに来てくれるんじゃね!?」


「んな訳あるかー!」


 ジャイロさん、さすがにそれは希望的観測というものですよ。


「とにかく! このままじゃ多勢に無勢! 戦っても負けるわ! 人里目指して逃げるのよ!」


「人里に向かったら村の人達に迷惑が掛かりませんか!?」


「基本的に獣は理由が無い限り人里には近づかないわ! だから人里が近づけば、諦める可能性が高いのよ!」


 なる程、確かに柵や壁のある町や村に獣が近づく事は滅多にありませんからね。

 希望を見出した僕達でしたが、そうは問屋がおろしませんでした。


 なんと包囲を抜けて逃げ出した僕達の前方から敵が姿を現したのです。

 しかも手下である狼ではなく、フォレストウルフ達が。


「しまった、ハメられた!?」


 どうやら僕達はフォレストウルフの罠に嵌ってしまったみたいです。


「グォウッ!!」


 動きの止まった僕達にフォレストウルフ達が飛び掛かってきました。

 死んだ、僕達は己の死を覚悟しました。

 けれど。


「せりゃぁぁぁぁっ!!」


 突然目の前を横切った影によって、フォレストウルフ達の首が吹き飛んだのです。


「ま、まさか本当に兄貴!?」


 そんな馬鹿な、と思いつつも僕達は黒い影が飛んできた方向を見ました。


「危ないところだったなぁ!」


 そこに居たのは、レクスさんとは似ても似つかない筋骨隆々な一人の男性でした。


「「「「え? 誰?」」」」


 助けてもらったにも関わらず、思わず僕達はそう呟いてしまいました。


「待ってろ! すぐに助けてやるからなぁ!」


 そう言うや否や、男性は素手でフォレストウルフの群れに飛び込んでいきました。


「ちょっ、死ぬ気なの!?」


 ミナさんが叫ぶのも無理はありません、数十頭もの狼とフォレストウルフの群れに素手で飛び込むとか、正気の沙汰ではありません。

 僕達はその人がすぐに狼達の群れに襲われ命を失ってしまうと確信しました。

 けれど……


「はっはっはっー! 甘い甘い! 甘すぎるぞお前等ぁー!」


 なんとその人は狼達を素手で叩きのめしていたのです。

 フォレストウルフの大きな体を片手で掴みブンブンと振り回して狼達を吹き飛ばし、後ろから襲ってきたフォレストウルフを背後も見ずに裏拳で吹き飛ばしていきます。


「キャウンキャウン!」


 狼達を子犬扱いです。


「あの人、身体強化魔法を使ってる」


 と、その光景を見ていたメグリさんが言いました。

 慌てて男性に向き直った僕達は、確かにメグリさんが言うとおり、彼が身体強化魔法を使っている事に気づいたのです。


「身体強化魔法を使うって事は……」


「まさかあのオッサン!」


「レクスさんの関係者!?」


 と、その時、フォレストウルフ達と戦……蹂躙していた男性がこちらを向きました。


「何だお前等、レクスの知り合いか?」


 どうやら、僕達は目的の場所の目と鼻の先までたどり着いていたみたいです。

(;゜ω゜)謎の男登場!果たしてこの男は何者なのか!?

_Σ(:3 」∠)_ フォレストウルフ「助けて」

_Σ(:3 」∠)_ 狼「超助けて」

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=625182565&s ツギクルバナー N-Star連載「商人勇者は異世界を牛耳る! ~栽培スキルで武器でもお宝でもなんでも栽培しちゃいます~」
 https://ncode.syosetu.com/n5863ev/

魔法世界の幼女に転生した僕は拗らせ百合少女達に溺愛されています!?
https://ncode.syosetu.com/n6237gw/

― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しく読ませていただいてます。ありがとうございます [一言] この物語は転生したから主人公は周りより強いという話でないのですか?出身地の人達が異常に強いから主人公も強いのですか?題名的には…
[一言] 嫁と二人でハーレム旅行してるのに何で雑魚パーティーがしゃしゃり出てんの?
[一言] 子犬の躾のように遊ばれてて草
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ