エピローグその3 乙女のあこがれ
作者 (*´꒳`*)「明日は3月14日ですね。つまりそういうお話です」
ヘルニーヾ(o´∀`o)ノ「今日は二度転生最終巻の発売日ですよー!」
ヘイフィ「新連載『魔物畑で快適ライフ!~生贄にされた少年は掟破りの魔物栽培で快適生活を手に入れる!~』もよろしくお願いいたします!」
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教会の前には沢山の人が溢れていた。
皆今か今かと何かを待っている。
と、その時、教会の扉が開いた。
出てきたのは綺麗な純白のドレスの女性と同じく白いタキシードの男性。
「「「「おめでとぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」
教会から出て来た二人へ大量の花が舞う。
この時の為に皆が摘んできた花だ。
「ありがとうみんな!」
「……」
目じりに涙を浮かべて喜ぶ女性に対し、男性の方は仏頂面だ。でもちょっとだけ頬が赤い。
「なーにカッコつけてんだよオーグ! お前らしくもねぇ!」
「うっせぇ! 良い男が花を投げられて喜べるかよ!」
そう、教会から出て来た男性は先輩冒険者のオーグさんだ。
今日は彼とその婚約者であるセリア様の結婚式なんだ。
しかもセリア様は領主の娘で、オーグさんは貴族の仲間入りをするんだって。
「凄いなぁ、まるで黒狼の騎士ヴォルフみたいだ」
黒狼の騎士ヴォルフはライガードの冒険に登場する戦士で、彼は祖国を魔物の襲撃で失い、復讐の為に旅を続けていた。
その道中でライガード達と出会い、紆余曲折あって貴族令嬢を救い、仇を倒したあと令嬢と結婚した事で貴族になったという人物だ。
奇しくも同じ黒の二つ名を持つ騎士同士な所も奇妙な縁を感じるね。
「素敵……」
と、僕の横で一緒にお祝いをしていたリリエラさんがうっとりとした顔でセリア様を見つめている。
「憧れの人から情熱的なプロポーズを受けて、身分の違いを乗り越えての結婚! はぁ、まるで物語みたい……」
「そう、ですね……」
うん、なんか世間一般で語られている二人のなれそめと、冒険者ギルドの男達だけで開催した飲み会で泥酔したオーグさんが語った話とじゃ大分内容が違ったんだよね。
こう、世間で語られてるのは凄くドラマチックで、まるで女性が大好きな恋愛物語のような内容だったんだけど、オーグさんが語った内容は……いやよそう。
僕も成長したからね。女の子の憧れを壊すような真似はしない。
あの話は墓まで持っていこうと、飲み会に参加した皆で決めたんだから。
「皆様にも祝福を!」
花嫁が花束を投げると、女性達が手を伸ばしてそれを求める。
なんでも花嫁が投げた花束を受け取った女性は幸せが手に入るんだとか。
「やったー!」
花束を手に入れたのは小さな女の子だった。
女性陣が互いに奪い合おうとして花束に殺到して弾いた事で、あの子の下に飛んでいったらしい。
無欲の勝利、かな。
「ざんねん……」
花束を取れずにしょんぼりとした様子で戻って来たリリエラさん。
珍しいな。リリエラさんの実力なら投げた花束が頂点に達する前に手に入れる事が出来ただろうに。
いや、今回は普通の人も参加していたし、身体強化魔法を使うのはズルだと思って遠慮したのかな。
「やっぱりリリエラさんもああいうの好きなんですか?」
「当然よ! 結婚式に憧れない女の子なんていないわ!」
そういうものなのかぁ。
「ふむ」
◆
翌日、僕は朝から一人出かけていた。
「キュウ!」
うん、モフモフも一緒だね。
「さて、ここなら居そうかな」
眼下に広がるのはまるで針の山のように尖った岩の山々。
「まとめて吹き飛ばしちゃうとお目当てのものまで壊しちゃうから、自分から出てきてもらおう。グランドシェイカー!!」
眼下の大地に魔法を放つと、岩の針山が生き物のように揺れ出す。
いや、本当に地面が揺れているんだ。
広域震撼魔法グランドシェイカー、広範囲の大地を深く揺らす開拓用地震魔法だ。
木々の伐根、畑作りの為の鍬入れ、露天掘りの鉱山の開発など用途は様々。そして……
「地面の中に潜む魔物の追い出しにもね」
「グゴォォォォォォォォン!!」
と、その時、岩の針山を吹き飛ばして巨大な影が飛び出してくる。
「出たなディープロック!!」
現れたのは巨大な石の蜥蜴ディープロック。
「でも結構小さいな。子供、いや未成熟個体かな?」
問題は現れたディープロックはちょっと小さかった事だ。
「うーんでも他には居ないみたいだし、マジックアイテムを作る訳じゃないからこの程度でも十分かな」
僕は空中に飛び上がって手足をバタバタさせているディープロックに狙いを定め、切ってはいけない部位を避けて剣を振る。
「はっ!!」
スパンと音を立ててディープロックの体が真っ二つになった。
「キュウ!!」
それを見計らってモフモフが飛び込んでいく。
「こら、そっちは食べちゃ駄目だよ!」
「キュウッ!?」
危なくモフモフが食べちゃいけない方に行きそうだったので、ガシッと掴んで食べて良い方に投げる。
「よし、お目当ての素材をゲット、と」
さてそれじゃあ解体して作業に入るかな。
◆
町に戻ると解体所を借りてディープロックの解体を始める。
「なんてデカい魔物だ!!」
「流石大物喰らい。スケールが違うぜ」
「真っ二つになってるって事はあの大きさで全部じゃないのか!?」
解体所に来ていた他の冒険者達がディープロックを見て驚いている。
うん、こんな小さい個体はあんまり出回らないから珍しいよね。
「さっさと解体しちゃうか」
僕は解体用の短剣を取りだすとディープロックに刃を突き立てる。
「おおっ!? あの巨体をああも簡単に捌いて!?」
「スゲェ、あんな岩みたいな鱗を布を切るみたいに切断してやがる」
「大物喰らいは解体も出来るのか!?」
うーん、なんだか皆ジロジロ見てるな。小物な製で悪目立ちしちゃってるんだろうな。
さっさと本命の素材を取りだして帰ろう。
「あ、あった」
ようやくお目当ての素材を見つけた僕はそれを取りだす。
「な、なんだありゃあ!?」
「巨大な宝石!?」
ディープロックから出て来た素材、それは大人ほどもある巨大な宝石だった。
「すげぇ、一体幾らで売れるんだ?」
「バカ、それどころじゃねぇぞ。溶かして塊に出来る鉄や銅じゃねぇんだ。あんなバカデカい宝石の塊、値を付けられるかも分かんねぇぞ」
「そうなのか!?」
「ああ、間違いなく貴族達が殺到するぞ! 場合によっちゃ王族もだ!」
「王族も!?」
さ、お目当ての部位も取り出せたし帰るとしようかな。
「ギルドに頼んでオークションに出さないのか!?」
「って事はどこかの店に直接下ろすのか!? 一体どこの店があれを買い取るんだ!?」
◆
「さーて、それじゃあリリエラさんに見つからないうちに作業を済ませちゃおう」
解体した宝石を作業用の魔法陣の上に乗せると、僕は魔法陣から離れ術式を起動させる。
「コンプレッションソウル!」
魔法が発動した瞬間、魔法陣の上に置かれた宝石がギュンという擦れる音と共に一回り小さくなった。
「む、むむ……」
僕は術式を制御に集中しつつ均一に力をかけてゆく。
この術式で重要なのは全体に均一に力をかけることだ。
でも石の表面は凸凹しているから均一に力をかけるのが難しい。
しかもこの工程は石を研磨する前にしないといけないから、磨いて均一な形にしてからは出来ないんだよね。
「ぐぐぐっ」
石が少しずつ小さくなってゆく。
既に最初の大きさの半分程に縮まっているけれど、ここからが大変だ。
コンプレッションソウルで圧縮すればするほど石の密度は高まり、術式の難易度は更に高まってゆく。
「途中でやめる事は出来ないん……だよ……ね!」
途中でやめると圧縮工程にムラが出来てしまう為、途中でやめる事は出来ない。
だから一度始めたら最後までやり切らないと。
「でも、リリエラさんの為だから……ね!」
◆
「ただいまー」
「お帰りなさい」
ソロで依頼を受けて来たのか、リリエラさんが屋敷に帰ってくる。
「ご飯出来てますよ」
「ありがと。すぐに着替えて来るわね」
そうして食事を終えたところで話を切り出す。
「リリエラさん、これを」
「え? 何?」
僕が差し出した小箱を受け取るリリエラさん。
「どうぞ開けてください」
促されるままにリリエラさんが小箱を開けると、その中から光が溢れる。
「え!? 何これ!? 指……輪?」
中から現れたのは小さな小さな宝石をあしらった指輪だった。
「何で……え? アレ?」
と、指輪を見ていたリリエラさんが戸惑いの声を上げる。
「何これ、色が変わる? あ、また変わった! 何これ!?」
それはプリズムライト。角度を変える度に色が変わる宝石ですよ」
「プリズムライト……?」
そう、これの正体は僕が工房で圧縮していたディープロックの宝石だ。
ディープロックの宝石は高密度に圧縮する事で光が当たった際にその色を様々に変える性質を持っている。
それはオパールの偏光効果の比ではない程ハッキリと変わるため、全ての宝石の女王と呼ばれるとても貴重な宝石なんだ。
「もしかしてこれ、新しいマジックアイテム?」
「いえ、ただの指輪ですよ」
「え? 違うの? じゃあ何で?」
「結婚式を見て、羨ましいって言っていたでしょう?」
プリズムライトはその美しさから多くの人に愛されるけれど、その工程の影響かマジックアイテムとして術式を刻む事が出来なくなるという欠点をもっていた。
けれどこの宝石を求める人はとても多かったんだ。
実利を捨ててでも美しさを得るだけの価値があると。
「まぁ、そんなようなことを言った覚えはあるけど……」
「西の方の国では指輪を結婚の証とする国があると聞いたんですよ」
「へぇ、そうなんだ……って、え?」
「なら、送るのは最高の石を付けた指輪がいいかなって……」
「え? それって、ええ……!?」
装飾品をマジックアイテムにする事が当たり前だった前世の時代において、何の特別な効果もない、ただ最高の美しさを誇るだけのこの石は、永遠の愛という唯一無二の気持ちだけを込めた石として多くの恋人達に愛されたのだと、僕は聞いた。
なら、その時代を知る僕もその伝説にあやかって……
「……――――――――――」
モフモフΣ(:3)∠)_「で、我が(物理的に)美味しいところを頂いたってワケ」
商人_:(´д`」∠):_「探せーーーっ! どこに売られたのか探せーーーー!」
貴族ヾ(⌒(_'ω')_「ワクワク、いつ売りに出されるのかなー」
綿毛の魔物(´◕ω◕`)「新連載『魔物畑で快適ライフもよろしくね』!」
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