第351話 出口無き死の迷宮要塞
作者_(:3 」∠)_「首と頭がずっと痛くて病院と整体に行ってきました」
ヘルニー_(┐「ε;)_「とりあえず頭部CT撮って貰った結果脳に異常はなし。おそらくは肩の筋肉などの凝り由来ではないかとの事で筋肉を解すお薬と低周波治療&ストレッチによる整体を受ける事に」
ヘイフィーヾ(⌒(ノ-ω-)ノ「おかげでだいぶ良くなりました」
作者_(:3 」∠)_「あとライブの先行抽選落ちた。二次に期待」
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◆魔人皇帝◆
「馬鹿な! クリムゾングレイルに穴を開けただと!?」
余は驚愕していた。
超古代の遺物であるクリムゾングレイルが破壊された事に。
かつて我々がこの遺物を発見した時、古き人族の技術を手に入れるべく壁を破壊して内部に侵入しようとした。
だが驚いたことにこの遺跡は我等魔人の攻撃でも傷一つつかなかったのだ。
この素材の情報だけでも大きな成果になると我々は大規模な調査団を送った。
その犠牲は大きかったが、遺跡自体が最低限の機能を残して停止していた事もあってなんとか遺跡の最奥へと到達し、その機能の一部を復活させる事に成功した。
その結果、我々が遺跡と思っていたものは巨大な空飛ぶ要塞だと判明し、かつての人族はこれ程強大な力を操っていたのかと驚愕したものだ。
今の人族は見る影もない程弱体化しているが、それでも古代の遺物が今も稼働状態であればかなり手痛い反撃を受けると考え、人族への全面戦争を後回しにしてでも古代遺物の発見と修復に計画の舵を切ったのだ。
事実我々の戦線布告直後、当初は劣勢だった人族もこちらに対して反撃を開始している。
我々が調べた一般的な人族の能力を考えれば、秘匿していたマジックアイテムを戦線に出してきたと考えるべきだろう。
「やはり人族も強力なマジックアイテムを残していたか……!」
だとしてもこのクリムゾングレイルの外装を破壊した事には流石に驚きを隠せない。
我々の調査団の全力をもってしても破壊出来なかったというのに。
「だが中に入れば勝てると思うなよ。寧ろ復活したクリムゾングレイルは内部の防衛装置こそ充実しているのだからな!」
クリムゾングレイルは戦艦といって差し支えないものだが、同時に要塞でもある。
つまり侵入者を抹殺する為の防衛機構も大量に揃えられているのだ。
「侵入者達を映せ!」
クリムゾングレイルの管理装置に命令を下すと、目の前に魔力で作られた要塞内の光景が映る。
「何だと? たった一人?」
だが予想外にも侵入者はたった一人しかいなかった。
「他の侵入者はどこだ?」
しかし管理装置は他の人族の反応は無いと断言する。
どういう事だ? このクリムゾングレイルの攻略にたった一人だと?
いや、もしや……
「ふ、ははははははっ! 成程、外からではこの要塞の破壊は無理として内部に侵入する策を選んだは良いが、たった一人を送り込むだけで精一杯だったか」
考えても見ればあれ程巨大な兵器で攻撃してきたにもかかわらず、このクリムゾングレイルに傷を付けられたのはたった一瞬であった。
あの時は正直肝を冷やしたが、ふたを開けてみればこの結果だ。
「恐らくはあの尋常ならざる巨大な古代遺物でクリムゾングレイルを破壊、それが出来ずとも攻略部隊を送り込むつもりだったのだろう」
事実この侵入者を守るように幾人かの人間達が空を舞い小型飛行要塞の攻撃を防いでいた。
しかしクリムゾングレイルの自己修復機能が連中の予想以上に高かったために後続が侵入する事が出来なかったのだろう。
「寧ろ一瞬とはいえこの超古代遺跡に穴を開けた事を褒めてやろう。だが、二度目の奇跡は起きぬぞ」
先の巨大遺物は攻撃の際に大破し、今では地上に墜落している。あの様子では二度目の攻撃は不可能だろう。
「そしてお前さえいなくなれば、人族は最後の希望を失う事になるのだ!」
果たして侵入者は生きて余の下までたどり着けるのか?
答えは否だ。
クリムゾングレイルの内部は巨大な迷路になっている。
要塞としての構造の複雑さもさることながら、侵入者を拒絶する為に意図的に迷路として建造されているのだ。
「しかも防衛用の無人ゴーレムが無数に徘徊しており、更に様々な防衛装置が待ち構えている! 貴様が余の下に辿り着くのは不可能だ!」
だがその事に気付かぬ侵入者は真っすぐに走り出す。
当然すぐに壁が立ち塞がり、迂回すべく曲が……らず壁をぶち抜いて真っすぐに進み続ける。
「ふふ、愚かな。地図も無しに内部をさ迷うなど自殺行為だぞ。我々の調査隊が生き残っていた防衛装置の巡回を掻い潜って最奥に到達するまで何百年かかったと思っているのだ!」
しかしなおも侵入者は壁を破壊して愚直に真っすぐ突き進み続ける。
「んん?」
いや待て、何かおかしくないか?
余は宙に浮かぶ侵入者の姿をもう一度確認する。
「……壁を破壊してまっすぐ進んでいる?」
……あれ? クリムゾングレイルの内部の壁も外壁と同じくらい硬くなかったか?
「ええと、このまままっすぐ向かってくると……」
余は管理装置にクリムゾングレイル内部の地図を表示させる。
「余の居る玉座の間がここで侵入者がここだから、このまま真っすぐ突き進んできたらおおよそ10分で……ってなんで壁が破壊出来るのだぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?」
クリムゾングレイルの内部構造の硬さは確かに外部の壁と同等の筈!
数百年に及ぶ調査の際に幾度も壁の破壊による調査の迅速化が提案されその度に失敗してきた筈だ!
「はっ!? まさか壁を破壊する事に特化したマジックアイテムを所持していたのか!?」
あれだけ巨大なマジックアイテムを有していた相手だ。ありえない話ではない」
「くっ! 管理装置よ、急ぎ防衛ゴーレムに命じて侵入者を迎撃せよ!」
余の命令を受けて管理装置がクリムゾングレイル内部の防衛ゴーレムを迎撃に向かわせる。
だが、侵入者の下にたどり着いた防衛ゴーレムはあっさりと倒されてしまう。
「ばかな! あのゴーレム相手にどれだけの調査隊が犠牲になったと思っているのだ!!」
迎撃装置が壁から天上からせり出し侵入者を攻撃する。
炎が、氷が、雷が、光が、闇が、風が、さまざまな攻撃が侵入者をズタズタに引き裂かんと降り注ぐ。
しかし侵入者が腕を振ると、一瞬でそれらの攻撃が掻き消えた。
と同時に離れた位置にあった迎撃装置が破壊される。
「何が起こっている!?」
防衛ゴーレムと迎撃装置が何の役にも立っていないだと!? ありえん! あれらも超古代の遺物だぞ!
弱体化した人族に同行できるわけがない!
「いくら強力なマジックアイテムを有していたとしても、今の人族に……いや強力なマジックアイテム?」
そこまで言いかけて余の脳裏にある考えが浮かぶ。
あの侵入者の身に着けているマジックアイテムがそれだけ強力だとしたら?
そもそも、侵入するのは一人で十分だとしたら?
「あの人間は人族が有する最強のマジックアイテムで全身を固めているのか!!」
もしそうならう奴は只者ではない。
マジックアイテムは恐らく人族の国家が有する秘宝の類、それを使用する事が許されるものは相当な信頼を受けていなければ手にする事すら許されまい。
ならばただの力自慢の強者ではない。
恐らくは相当な権力者の縁者……恐らくは。
「この国の王子か!!」
高位の貴族、特に王族となる者はより優秀な次世代を生む為に魔力、能力が高い者と血を交わらせる。
故に人族が弱体化したこの時代でも優れた力を持っているということか。
「たった一人で命懸けの特攻を任せられる程に!」
これは……良くないな。下手な攻撃はこちらの戦力を無駄に削るだけだ。
「管理装置! クリムゾングレイルが多少壊れても構わん! 防衛ゴーレムで侵入者の動きを封じ、最大威力の攻撃で奴を滅ぼせ!」
余の指示を受けた管理装置が即座に自爆覚悟の作戦を防衛ゴーレム達に命じる。
こういう時余計な事を考えないゴーレム達は便利だ。
そしてすぐさまゴーレム達が動いた。
傷を負う事も臆さず侵入者に突撃するゴーレム達。
倒されても後ろにいたゴーレム達が前に出て強引に距離を詰める。
後方から来る仲間が一歩でも近づけるようにと前を行くゴーレム達が犠牲となって時には盾となって、侵入者の攻撃から後ろの仲間達を守る。
そして遂にゴーレム達が侵入者の腕を掴んだ。
「よし! そのまま身動きをとれなくして攻撃だ!」
迎撃装置が身動きの取れなくなった侵入者に一斉に攻撃する。
更に苦しむ侵入者を確実に殺す為、動きを封じていたゴーレム達が、周囲の仲間と共に一斉に自爆した。
刹那、宙に浮かんだ光景がオレンジ色に染まる。次いで青い色へと切り替わる。
宙に映った映像はその場が凄まじい高温に包まれているとその色で語る。
同時に侵入者は猛烈な炎に攫われて全身が燃え上がり一瞬で黒焦げの死体に……なっていなかった。
「は?」
それどころか侵入者は何事も起きていないかのように壁の破壊を再開する。
寧ろ邪魔なゴーレム達が居なくなって楽になったとばかりに猛烈な勢いで壁の破壊を再開する。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
炎に包まれながら、しかし何事も起きていないかのような振る舞い。
「何なのだ奴は! 本当に人間なのか!?」
だが余の問いに答える者はいない。
いや、一人だけいた、正しくは現れた。
壁を破壊して若き人族が姿を現す。
「見つけたよ、魔人皇帝!!」
取るに足らない人族……の筈が、何故か余にはそれが悍ましい死神のごときものに見えたのであった……
壁 _:(´д`」∠):_「……ケテ……タスケテ」
要塞Σ( ˙꒳˙ ;)「悲報、開発者がご無体」
防衛ゴーレム(ノ* •ω• )ノ「無茶ぶりにもほどがあるんだわー」
魔人皇帝:(´д`」∠):_「急募、ここから侵入者を撃退する方法!」
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