第346話 素材を求めていざ精錬
作者_(:3 」∠)_「ついに遂に五月が来てしまった……」
ヘルニー(┐「ε;)_「GWって何……?」
ヘイフィー_:(´д`」∠):_「何で寒くなったり暑くなったりするの?」
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ヴァーミリオングレイルを破壊する武器を作る為、僕は素材集めに動いていた。
その為の素材の一つ、バングウイングを倒した僕は他の素材を集めるべく、世界樹へとやってきた。
「ここも酷いなぁ」
世界樹は古代エルフ達の迷いの魔法でその姿が隠されている。
けれど以前見つけた魔人の世界樹を喰らう魔獣の性質を利用したエルフ達への攻撃計画が仲間に共有されていたんだろう。
迷いの森は空飛ぶ砦と灰の従魔獣と呼ばれる魔物によって見るも無残な姿に破壊されていた。
「世界樹はまだ無事みたいだね。迷いの魔法が敵の無意識に影響して多少は攻撃を逸らしたのかな」
流石古代エルフ達が精霊と契約してかけた呪法だね。
でも延焼ばかりは迷いの魔法でもどうしようもなく、世界樹は少なからず被害を受けていた。
「とりあえず敵を追い払っておこう。ディメンジョンブレイク!」
僕は空飛ぶ要塞を叩き切って次元のはざまに吸い込むと、地上の灰の従魔獣達を殲滅し世界樹へと降り立った。
「おお、貴方はレクス殿!」
世界樹の葉に降り立つと郷の皆が僕を見つけて集まって来る。
「助かりました! 地上の魔獣はともかく、空を飛ぶ砦は我々でも対応が難しかったのです!」
「間に合って良かったです。里を守る為の戦闘用のマジックアイテムを持ってきたので、皆さんで使ってください」
「「「「「おおおおおおおっ!!」」」」」
「凄い! こんな武具が存在するのか!! 流石レクス名誉国王様!」
さっそく鍛冶好きのドワーフ達が集まってきたけど、その呼び方止めてくれないかなぁ……。
「レクス殿……」
と、そこにドワーフを除いた各種族の長老達がやって来る。
ドワーフの長老はあそこで武器に夢中になってるからね。
「助けて頂いただけでなく、戦う術まで。なんと感謝したらよいか」
「いえ、お気になさらないでください。僕も目的が有ってここに来たので」
「里に何か御用が? 何でも言ってください。お手伝いいたしますので」
これはありがたい。正直世界樹に暮らす彼等の許可をどう取ったものかと思ってたんだよね。
「ありがとうございます。それじゃあ世界樹の素材を剝がせるだけ剥がして集めて貰えますか?」
「世界樹の素材をですか?」
「はい。いま世界中で起きている問題を解決する為に世界樹の素材が大量に必要なんです」
「……分かりました。可能な限り世界樹の素材を提供いたしましょう」
「よいのか、エルフの長よ。お前達が一番世界樹の素材の管理に煩く言っておったではないか」
と、獣人族の長がエルフの長の決断に本当にいいのかと尋ねる。
「レクス殿は我等の恩人だ。彼が必要というのなら本当に必要なのだろう。それに彼なら世界樹に負担を強いる程要求する事もあるまい」
「ふむ、信頼故か。ならば我等も手伝おう」
そう言うと長達は自分達の種族の若い人たちに命じて世界樹の素材をありったけ集めてくるように命じる。
「すぐに集まりますのでお待ちください」
「助かります」
そうして、そう時間も置かず世界樹の葉の町には大量の世界樹素材が集められた。
「全ての素材を一カ所に運ぶと葉がしなって危険ですので、複数の葉に集めておきました」
「ありがとうございます。それじゃあさっそく! コントロールストリーム! グラビティファーネス!」
魔法を発動すると空中に熱く輝く球体が生まれる。
気流操作の魔法を使っても熱が漏れてくるほどの熱さだ。
「こ、これは!?」
僕はこの球体目掛けて世界樹の素材を次々に放り投げる。
素材は球体に接触する直前に火が付き、そのまま球体の中に吸い込まれてゆく。
そしてあっという間に燃え尽き、どんどん素材が投げ込まれる。
「これは……そうか、炉か!」
「炉?」
「そうだ! あの球体は俺達が普段使っている炉と同じ物だ!」
流石ドワーフ、この魔法の意図をいち早く理解したみたいだ。
「しかし俺達の炉と桁違いの熱だ。まさに魔法でしか作り出せない高熱……」
「いえ、そんなことありませんよ。昔のドワーフ達はこの程度の熱の炉は普通に使っていましたから」
「「「「マジですかレクス名誉国王陛下っ!?」」」」
だからそれ止めて欲しいんだけど……
「すいません、他の葉に集めた素材もここに運んでもらっていいですか?」
「畏まりました!」
皆に素材を運んでもらっている間にも僕はここにある素材をどんどん空中の炉に放り投げる。
そうして、全ての素材を炉に放り投げた所で、目的の物が用意出来たんだ。
「完成です」
中身を宙に浮かせたままで炉を解除し、気温を調節して抽出したものを冷ますと、そっと葉の上に下ろす。
「レクス殿、これは一体?」
炉の中から出て来たそれは、鈍く光る金属の塊。
「これはオリハルコンです」
「「「「オリハルコン!?」」」」
「伝説の金属じゃないですか!? それが世界樹から!?」
「ええ、前にも言いましたが、世界樹には大抵の素材が眠っています。ただその量が余りにも微量過ぎて必要量を集めるには相当な数の世界樹素材をくべないといけないんですよ」
「そういえばそのような話を以前されていたなぁ」
本当ならオリハルコンの鉱山で採掘したかったんだけど、オリハルコンは僕の生きていた時代でも枯渇した鉱山が多かったからなぁ。
ワンチャン枯れた鉱山に欠片程度なら残っている可能性もあったけど、その鉱山を探して回るよりも世界樹素材を大量に燃やしてオリハルコンを精錬する方が確実に早く手に入ると思ったんだ。
「長老、工房を借ります」
「ご自由にお使いください」
ドワーフの長に工房の使用許可を取ると、長は快諾してくれる。
「それとオリハルコンを加工する為に工房の一部を改装したいんですが「好きなだけ弄ってください!」」
も、物凄く喰い気味に長が許可を出してくれたよ……
「あ、ありがとうございます。後で元に戻しま「ご安心を! 我々の方で管理しますのでお気になさらず! レクス名誉国王陛下にはまだまだやらねばならない事があるのですよね!」」
ま、また喰われた……でもまぁ後始末を代わりにやってくれるって言うんだからここは素直に甘えよう。実際今回は時間との勝負だからね。
「それじゃあオリハルコンの加工を始めます!!」
「「「「はいっっっっ!!」」」」
何で皆凝視するのかな……
ともあれ僕は精製したオリハルコンの加工を行う。
今回の加工には前回確保したバングウイングの骨を利用する。
バングウイングの素材を使った武具は次に狙う素材の魔獣と相性が良い。
というかその相性を利用する為に、戦闘をする際に一番属性相性の良いバングウイングを選んだとも言えるんだ。
「……よし、完成!」
「ってもうですか!?」
バングウイングの素材を組み込んだオリハルコンの武具を翳して確認する。
「な、何て凄い武器だ……見ているだけでとんでもない圧を感じる……」
「近づいただけで切り裂かれそうな気すらしてくるぜ……」
「ありゃあ鍛冶の神が鍛えた神器か何かじゃないのか?」
「うーん、いまいちだけどまぁこんなものか」
「「「「これでっっっっ!?」」」」
いやホントいまいちなんだよね。
急ごしらえの簡易設備で作ったのもあるけど、やっぱ僕の腕も鈍ってるよ。
この時代に転生してからは高品質で暴れん坊な素材を使った緊張感ある鍛冶をしてこなかったからなぁ。
師匠も一日サボれば百年分の腕が鈍るって言ってたもんね。
「でもこれならボルカニックタイガーに挑める」
そう、次の標的は炎の大魔獣ボルカニックタイガー、たった一度の噴火で十の国を溶岩に沈めた災厄の魔獣。
「よし、行くぞ!」
◆
「とりゃああ!」
「ブギャァァァァァァァァ!」
「よし! 討伐完了!」
バングウイングの素材を組み込んだオリハルコンの武器のお陰でボルカニックタイガーを無事討伐することに成功。
「とはいえ、このボルカニックタイガーも前世に比べたら弱かったなぁ」
まぁ素材は問題なさそうだからいいか。
「よし、ボルカニックタイガーの素材を組み込んだら次はヴェノムビートとタイダルフィシューだ!」
◆
「とぉぉぉぉぉぉっ!」
「ピギャアアアアアアア!」
「ボァァァァァァ!!」
深海奥深くに潜むタイダルフィシューを見事撃ち倒し、更に以前より強大なヴェノムビートも討ち果たして遂に四大魔獣の素材をゲット!
「よし、この調子で残りの素材も集めるぞ!」
そうして、数々の困難を乗り越えた僕は、遂に全ての素材を集めたのだった。
ボルカニックタイガーΣ( ˙꒳˙ ;)「え?」
タイダルフィシュー (;゜д゜)「俺達の出番」
ヴェノムビートΣ(゜ω゜ノ)ノ「これで終わり!?」
バングウイング. ( '-' ).「だって天丼だし(俺は出番あったけどな)」
ボルカニックタイガー(´◉ᾥ◉`)「お前だって即墜ちだったじゃん!」
タイダルフィシュー「戦闘シーンプリーズ!!」
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