第340話 暗黒の目覚め
作者 (o>Д<)o・'.::「という訳で連載再開でぶしゅん!」
ヘイフィー♪( ◜௰◝و)و 「ワキワキ」
ヘルニー(・ω・人)「久々の連載再開に喜んでおります」
作者 (o>Д<)o・'.::「止めろ!踊るな!」
◆???◆
澱んだ空気の中、玉座に座る私は部下の報告を受ける。
「人間共が新たな聖女を擁立したとの事です」
だが火急の要件と言われて謁見してみれば、肩透かしな内容に拍子抜けしていた。
「下らん、そんなどうでも良い報告の為に我等を呼び出し、いや陛下に謁見を求めたのか」
「全くだ。このところの不手際の言い訳のつもりかね?」
皆が呆れるのも理解できる。
人間達が聖女と呼ぶ存在は、かつての神がかった、いや文字どおり神の如き力の持ち主への尊称から、ただの組織の象徴、政治的駆け引きの称号程度に成り下がっていたのだから。
とはいえ、私を呼び出した以上はそれで終わりはあるまい。
「そこまでにしておけ諸君。それよりもだ、我々を集めた理由は本当にそんな事の為なのかね?」
私は家臣達を窘めると、続きを促す。
「はい、その通りです」
逆に驚いたことに報告の内容は本当にそれだけだという。
「ふむ、どうやら私は君の事を過大評価していたようだな」
やれやれ、計画の準備が終わるまでは動く必要もないからと、暫く表に出てくる事をサボったのが良くなかったか。これは部下達の気を引き締めるべきかな?
私は部下に罰を与えるべく、手のひらに魔力を込める。
とても微弱な、けれど部下達にとっては致命的な量の魔力を。
「「「っ!!」」」
「で、ですが報告はまだ終わっておりません!」
「聞く価値など無かろう!」
「いや、聞かせてもらおうか」
軽く罰を与えようとした私だったが、剣呑となった空気でなお報告を続けようとした部下に興味を持ち、手の中の魔力を霧散させる。
「陛下!?」
「聞かせよ」
「はっ、問題は聖女の擁立理由でございます。報告によれば聖女は人間達が聖地と呼ぶ特別な土地に眠っていた神器を起動させた事で聖女に認定されたとの事です」
神器、人間達が振るう強力なマジックアイテムの事だな。
「古代のマジックアイテムか。今の人間達は到底脅威と言えぬが、過去の時代の人間達が遺したマジックアイテムは決して油断できぬ代物だな」
「そして聖地は古代文明の人間達が生み出したものである可能性が高いかと。更に聖地を守っていた結界が強化され、監視していた使い魔達も十分な距離を保っていたにも関わらず始末されました。もはや近づく事も危険な状態となっております」
ふむ、強力なマジックアイテムの発見だけではないなそれは。
恐らくは古代の防衛設備、いや、その聖地自体が強力な要塞だったと言う事か。
「人間達が聖地と呼ぶ特別な土地で見つかった品。しかもその土地自体が古代文明の遺産か」
成る程、確かに警戒すべき案件だ。
これは話を聞いて正解だったな。
「ここ最近の先遣隊の報告途絶といい、人間達は我等の動きを察して対策を講じている可能性が高いと思われます」
そうだな。人間達がそのような遺跡を復活させるほど技術を取り戻しているのなら、我々の動きに気付いていると考えた方が自然だ。
寧ろ、ここまで暗躍しておいて誰も気づいていなかったら、それこそ拍子抜けなのだがな。
「ふん、人間共が今更何をしても無意味だ。既に我等の準備はほぼ済んでいる。先遣隊の連中が多少不覚を取った所で事が始まれば何も出来ずに終わるとも」
「その通りだ! 陛下、今こそ出陣の時でございます。人間共が我等に対抗する手段を用意したと図に乗っているのであれば、我等の手でその増長をへし折ってくれましょうぞ!」
「いや、計画はまだ完全ではない。慢心して予想外のほころびが出ては、手痛い反撃を受けるやもしれぬぞ。かつての戦いを思い出せ」
家臣達は即時侵攻と完全な計画を行う為の慎重意見に分かれる。
このあたり、かつての人間達の脅威を危険視する者と所詮文明を失った蛮族と侮っている者との違いともいえるな。
「今の人間共ならそんな心配は無用だろう!」
「左様、あの忌々しき白き災厄も既に死に絶えておりますからな」
白き災厄、その言葉に苦いものを感じる。
ある日突然戦場に現れ、敵も味方も関係なく全てを台無しにした正体不明の大魔獣。
そして双方が戦争どころではなくなった途端、まるで存在そのものが無かったかのように消えてしまった。理不尽の化身。
我等が今日まで慎重に事を進めて来た理由の一端。
「陛下、ご採決を!」
「ふむ……」
私は熟考する。
我等の計画は既に9割方完了し、残ったものもじきに終わりを迎える。
そして家臣の言う通り、白き災厄は数千年姿を見せておらぬ。アレはもう寿命で死んだと考えてよいだろう。
人間達が英雄、賢者と呼ぶ存在も長らく現れていない。
現れたとしても聖女同様名ばかりのものだ。ならば……
「そうだな、どちらの言い分も理解できる。なれば余はこう言おう。疾く全ての準備を終わらせよ。完了と同時に打って出る」
「「「「おおっ!!」」」」
余の言葉に玉座の間の空気が震える。
強い殺意と魔力が渦巻き、弱き者ならこの空気に当てられただけで呪いを受けたように体に不調をきたすだろう。
それ程に、ここに集まっている者達は力を蓄えていた。
「残る計画はいつ完了の予定だ?」
「あと一ヶ月もあれば」
「では一ヶ月だ。一切の延期は認めん。確実に準備を済ませろ」
「はっ!」
余は玉座より立ち上がり、家臣達を見下ろす。
「全軍に伝える! 一か月後、我等は戦争を再開する! 数千年ぶりの戦争をだ! 目的は人間界全土の奪取! 我等魔人がかの世界を支配する為に!!」
「「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!」」」」」」
そして宣言する。
「人魔戦争の、再開だ」
??? (´꒳`*)「遂に我等の出番です!」
モフモフ(((;"^°;ω°^;)):「一体何魔人なんだ……」