第338話 魔の獣が眠りし森
作者_(:3 」∠)_「更新が遅れて申し訳ねぇ」
ヘルニー(┐「ε;)_「責任を取って作者が切腹します」
作者_(:3 」∠)_「しないよ!」
ヘイフィー_:(´д`」∠):_「なるべく更新ペースを戻したいところですが、もうね、暑さがヤバイ……溶ける」
作者_(:3 」∠)_「お盆は実家に帰らずに秋に帰ろうかなぁ」
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◆???◆
「ここだ。此処こそが白き災厄の卵が眠る地だ」
私の名はヴィザンド、由緒正しき魔獣教団の長だ。
我々の教団は伝説の魔獣白き災厄を従え、世界を支配する事を目的としている。
そして我々は長い雌伏の時を経て、遂に白き災厄の卵を手に入れる事が出来た。
その際に死体となった白き災厄より放たれた瘴気を浴びて多くの部下が犠牲となったが、この素晴らしい出来事の前には些細な犠牲だ。
寧ろ彼等も我等が世界を支配する記念すべき瞬間の為の礎になれたことを心から喜んでいる事だろう。
「我等は白き災厄の卵が早く孵化できるよう、より負の気が溜まりやすい土地に卵を移転した。それが此処なのだよ」
私は隣に立つ少女に、この地がどれほど重要な土地であるかを語る。
最も、隷従の首輪で意識を封じられたこの少女が、どれだけ私の言葉を理解できているかは怪しい所だがね。
「さぁ、それでは行こうか。魔獣の森の最奥に眠る白き災厄を従えに!」
そう、この地こそあの悪名高い危険領域『魔獣の森』だ。
「魔獣の森は周囲全ての木が植物型の魔物という危険な土地だ。それゆえ迂闊に人や獣が迷い込めば、瞬く間に魔物に命を奪われてしまう。だがそれは転じて死者の負の念、そして土地に染み込んだ血が土地を禍々しく染め上げという事でもある」
部下達に魔物の相手をさせながら、私はエネデルの巫女に語る。
速く白き災厄の下へと迎えたいと言う思いを抑え、冷静に振舞う為に。
「白き災厄は普通の魔物ではない。その在り様は肉体を持つ生物でありながら、肉体を持たない精霊に近いモノでもあるのだ。故に、土地に陰の気が溜まる程、白き災厄の孵化も早まるという訳さ」
いくつもの古代魔法文明の遺跡を巡り、時には魔法使いや好事家が秘匿していた資料を手に入れて我々は白き災厄の事を調べた。
そうして、かの魔獣について伝説を調べれば調べる程、その存在の異様さは浮き彫りとなったのだ。
「曰く、白き災厄にはいかなる刃も通じぬ、曰く、白き災厄にはいかなる魔法も効かぬ。人の世の業も人ならざる存在の力も届かぬ理外の獣。それこそが名を呼ぶことを憚られた存在、白き災厄である」
その言葉の通り、文献には様々な超越的な力を以って白き災厄に挑む古代魔法文明、そして当時の魔人達の姿が描かれていた。
多くの種族が共に戦い、この世界の住人と魔人が共闘した事もあったという。
当然だ。魔人はこの世界を侵略する為にやってきたのだ。その世界が壊滅してしまっては、この世界に来た意味がない。
「だが、結果は悲惨なものだった。多くの犠牲が生まれ、古代人が作り上げた年が、文明が崩壊した。この世界はそんな失われた世界の残りカスで出来ているに過ぎない」
語り続けながら、我々は魔獣の森の奥へと進んでゆく。
「この危険な土地で白き災厄の卵を護る為、我々は最高の番人を用意した。いや、番人に仕立て上げたと言う方が正しいか」
周辺の植物型魔物の強さが増してゆく。中心地が近くなっている証拠だ。
「番人の名はエンシェントプラント。そう、伝説に語られるSランクの魔物だよ」
Sランクの魔物は本来人里に現れる存在ではない。
なぜならSランクの魔物に遭遇すれば、人間など瞬く間に殺されてしまうからだ。
戦闘訓練を積んだ訳でもない一般人なら猶更だ。
「エンシェントプラントの都合が良い所は植物型の魔物ゆえに、本体が移動しない事だね。そのおかげで卵を護る番人として利用しやすかった」
さらに言えば、近隣にあるヘキシの町がエンシェントプラントの被害を受けずにいたのもそのおかげだ。
「最も、そんなエンシェントプラントも復活した白き災厄の前ではただの餌でしかない」
長年白き災厄の卵を護り続け、その末路が幼体の餌として終わるとは、Sランクといえど憐れなものだな。
同時に、卵を護る番人としても都合が良かった。
「さぁ、目的地はすぐそこだ。白き災厄を守る巨大樹エンシェントプラント、お前を長き番人の座から解き放ってやろう!」
ひと際植物魔物の多い地帯を抜け、私達は遂に白き災厄の卵が眠る地へと足を踏み入れた。
そこには巨大樹に抱かれた禍々しい卵の姿が……無かった。
「……ん?」
おかしいな、エンシェントプラントの姿が無いぞ? あるのは滅茶苦茶になった荒れ地だけだ。
「まさか道を間違えたのか?」
エンシェントプラントの姿が無い事に、私は部下が道を間違えたのではないかと問い詰める。
「い、いえ、確かにここの筈です。ちゃんと目印も確認しておりました」
「ならば何故エンシェントプラントが居ない! ただの更地ではないか!」
いや、更地と言うには地面が荒れ過ぎてはいるが、それでも何もない事には変わりない。
「ええい、すぐにエンシェントプラントを見つけ出せ!」
すぐさまエンシェントプラントを探すよう部下に命じる。
だが、いつまで待ってもエンシェントプラントの姿が見つかる事は無かった。
「この周辺は間違いなくエルダープラントの密集地帯です。魔獣の森でエルダープラントが密集するのはエンシェントプラントの傍のみです。周辺に設置してあった目印からも間違いありません」
「では何か、エンシェントプラントに足が生えてどこかに歩いて行ったとでも言うのか!?」
「現状そうとしか……」
「そんな訳があるかーっ! もう一度探してこい!」
「「「は、はいーっ!」」」
くっ、一体どうなっているのだ。何故エンシェントプラントの姿が無い。そして白き災厄の卵はどこだ!?
「まさか、白き災厄は既に目覚め、エンシェントプラントを喰らってどこかに行ってしまったのか?」
そんな筈はない。白き災厄の卵の孵化にはまだ猶予があった筈だ。
寧ろ白き災厄の孵化には膨大な陰の気が必要。
孵化が遅れこそすれ早まる事などありえない。
それこそ、何か大きなイレギュラーでもない限り。
「一体何が起きているというのだ……」
不気味な気配を感じ、私は背筋が寒くなる思いになる。
いや、気の所為だ。
これはただの偶然で、エンシェントプラントは別の場所にいるに決まっている。
「だからあの森の中から見えてる漆黒の洞のような目をした白い塊も私の不安が生み出した目の錯覚に過ぎん!」
「キュッ!」
トテトテトテ
「キュウ!」
その錯覚は、まるで見つけたと言わんばかりの態度で、私の足をポンと叩いたのだった。
「って、現実ぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
何だこの生き物!?
ヴィザンド(;゜ω゜)ェ.「何でエンシェントプラントが居ないの!?」
故エンシェントプラント(Ω\ζ°)チーン)「(天災にね、遭遇したんだよ)」
モフモフ_Σ(:3 」∠)_「実家の様な安心感」
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