第335話 守護神様の散歩
作者_(:3 」∠)_「うぉー!確定申告終りょぶぇーっくしょい!」
ヘイフィー(┐「ε;)_「おっしごっとおっしごっと」
ヘルニー(´ཀ`」∠)_「やめろぉ……ズルズルズル」
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「ぎゃぁぁぁぁあ!」
夜闇に紛れて忍び込んできた愚か者達の悲鳴が響き渡る。
オーリエの巣にやって来て数日、あの娘を狙う者達は手を変え品を変え侵入を試みていた。
村に火を放つ、魔物達を村に追い立てる、数に頼る、そして今回のように夜闇に紛れて忍び込む。
だが全て我によって阻止された。
当然だ。我にとって並大抵の魔物や人間など敵にもならん。
火事など魔法で雨を作り出せば容易に鎮火できる。
そして夜の闇は我にとって障害にも隠れ蓑にもならん。
結果侵入者達はことごとくオーリエの誘拐に失敗していたのだった。
「ありがとうございます神獣様!」
「神獣様ばんざーい!」
相変わらずオーリエ以外の言葉はよくわからんが、我を崇拝している事はハッキリと分かる。
うーん、超気持ちいいー!
「神獣様、毎日ありがとうございます」
我に感謝の言葉を捧げつつ、我の毛づくろいをするオーリエ。
はっはっはっ、貴様は幸せ者だぞ。我の毛づくろいが出来るのだからな。
「はい!」
屈託のない声で答えるオーリエ。
くっくっくっ、無邪気なものよ。
いずれこの村の全てが我の餌になると知らずにな。
だが、問題はあの賊共だ。
連中、かなりオーリエに執着している。
それはこれまでの襲撃の回数からも明らかだ。
何故そこまでオーリエに拘る?
いや、連中の目的など考える間でもないな。
奴らの目的、それは我と同じくオーリエ血肉だろう!
連中もまたオーリエの血の美味さに着目し、我と同じく美食牧場を作ろうしているに違いない!
だがそうはさせぬ。
我がオーリエに目を付けたのだ。あの娘はもう我の者だ。
自分達の方が先にオーリエに目を付けたと思っているのだろうが、こういうのは早い者勝ちなのだよ!
ふぅーはっはっはっはっ!
とはいえこうも頻繁に来られても飽きる。
あとここ数日ずっと村にいたので食事に飽きていた。
何もせずゴロゴロしていても飯が出るのは良い事だが、やはり新鮮な肉も食いたい。
新鮮な血の滴る採れたて新鮮な肉が喰いたいのだ。
あとなんか味の付いた肉も食いたい。あ、いや、違う。我はご主人の飯になど何の未練もないぞ。
たまになら食べてもいいかななんて思ってはおらんぞ。ご主人の所にいた時は色んなものが食べれてアレはアレで良い生活だったかもしれんなんて欠片も思っておらんぞ! 絶対だぞ!
うむ、これはあれだな。やはり新しい味に飢えている所為だろう。
この巣を美食牧場とするにはまだまだ時間がかかるし、これは新しい味を探しに行くべきかもしれん。
我はすっくと立ちあがると、村の外へと向かう。
「神獣様、どうなさったのですか!?」
我が膝から降りた事で、慌てて追いかけてくるオーリエ。
「うむ、ちと新しい味を追い求めたくなったゆえ、少し出かけてくる」
「そんな! 私達のもてなしはお気に召しませんでしたか!?」
我が外に借りに出ると聞いて、オーリエがこの世の終わりのような声を上げてへたり込む。
はははっ、我を喜ばせる事が出来なかった事がそこまでショックだったか。可愛い奴め。
安心せよ。単に獲りたての肉を楽しみたくなっただけだ。気が向いたらまた戻ってくる故、安心して待つが良い。
「は、はい!」
オーリエを村に残すと、我は駆けた。
美味なる匂い、村で食べた事のない匂いを求めて。
そして倒す、踏みにじる、喰らう。
あらゆる手段をもって獲物を美味しく喰らう我。
うむうむ、やはり新鮮な肉は美味いな。
そして適度な運動をした後での食事は爽快感も相まって格別だ。
さて、デザートも食べた事だし、そろそろ帰るとするか。
我はオーリエの匂いを辿って村へと向かう。
オーリエの美味なる血の匂いは、遠く離れていても我には感じ取れる。
尤も、だからこそ凡百の魔物どもにもオーリエの魅力的な味が分かってしまうのだがな。
村が近づいてくる。
だが同時に奇妙な匂いが風に紛れて漂ってくるのを感じる。
何だこの匂いは?
どうにも嫌な気分になる匂いだが、何だこれは……?
訝しみながらも村に戻って来た我は驚いた。
なんと村が半壊していたのだ。
更に村を見回せば住人達が血を流し、負傷してるではないか、
これは一体何事だ!?
我はすぐに村を駆けてオーリエの姿を探す。
あの娘ならば何があったか説明できるだろうし、何よりあの娘に何かあったら元も子もないからだ。
……だが、村を隅々まで差が下にも関わらず、オーリエの姿はどこにもなかった。
「し、神獣様……」
そんな時だった。
我を呼ぶ声が聞こえたのだ。
オーリエか!?
我を呼ぶ声に振り向けば、そこにいたのは傷だらけになった村の長だった。
「神獣さ※……オーリエ※攫わ※※……」
長の声はハッキリとは聞こえないが、確かに我に話しかけてきている事が分かった。
そうか、長よ、お前はオーリエの血縁なのだな。
「私※神獣※※声を聞こえ※せんが、どうかオーリエを※※けてください……」
どうやら長は我にオーリエの救出を頼んでいるようだ。
我はうずくまる長の下へ近づくと、その傷口から溢れる血を舐めた。
「※獣様!?」
うむ、結構美味!!
オーリエほどではないが、中々の味だ!
我は食後のドリンク代わりに長の血をピチャピチャと舐める。
「神獣様、※んと慈※※い……」
長は我に血を舐められる栄誉に涙を流して打ち震えている。
「オーリエは※分けが助※るから※配する※と言いたいのですね……
「キュウ!」
んー、何言っているのかよく分からんので適当に返事しておくか。
「おおっ! ありが※うござ※ます!」
さーて、喉も潤ったし、オーリエを探しに行くとするか。
あとついでにそろそろ我の得物に手を出した愚か者共にも地獄を見せてやるとしよう。
ふはははははっ!! 蹂躙の時間だ!
長 (´∀`*)「キャッ神獣様に舐めて貰っちゃた!」
モフモフ_Σ(:3 」∠)_「うーん、甘みの中に年月を得た苦みを感じる。カフェオレみたいな味だね」
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