第331話 帰ってきた平穏な日々
作者_(:З)∠)_「宣伝ですよー!『商人勇者コミック9巻』『元魔王様の南国スローライフ1巻』が発売しましたー!」
ヘルニー_(┐「ε:)_「売れ行きも良いみたいで、ありがたい限りねー」
ヘイフィー_(:З)∠)_「皆様応援ありがとうございます!『二度転生コミック7巻』とあわせてお楽しみください!」
作者_(┐「ε:)_「コミック込みで同じ月に3冊出るとはビックリだ」
ヘイフィー_(:З)∠)_「あっ、そろそろ新作書きたい欲が限界なので、新作をUPするかもですー」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さまの声援が作者の励みとなっております!
「な、成る程、そんな事が起きてたのね……」
「そうよ、レクスさん達が沢山頑張ってくれたのよ」
僕が目を覚ますと、マリエルさんとリリエラさん達が何かを話し合っていた。
「っ」
何故か頬に痛みを感じつつも、僕は立ち上がる。
っていうか、何で僕は寝ていたんだろう?
周囲を見回すと、ジャイロ君が正座しかけのようなポーズで顔面を床にくっ付けて寝ていた。
ジャイロ君って寝相が悪かったんだなぁ。
「あら、起きたのねレクスさん」
「あ、はい。すみません、なんか寝ちゃってたみたいで」
「良いのよ、うちの子の所為だもの」
リリエラさんの所為? はて、どういう事だろう?
「そ、そそそそれよりもレクスさんには迷惑をかけちゃったみたいでごめんなさい!」
僕が首をかしげていると、リリエラさんが慌てた様子で謝ってくる。
「いえ、気にしないでください。というか元々は僕が買ってきたマジックアイテムが原因ですし」
事実、僕が安易に壊れたと思われていたマジックアイテムを買ってきたのが原因だしね。
寧ろリリエラさんの方にこそ怒る権利があるよ。
解体して部品として利用するならともかく、贈り物として買ったのは本当に間違いだったと今では反省している。
「そ、それは気にしてないから良いわよ。レクスさんだって知ってて買った訳じゃないんだし」
けれど心の広い事にリリエラさんは自分が巻き込まれた事を許してくれた。
あんな目に遭っても許してくれるなんて、本当に良い人だなぁ。
「ふふふっ、だってレクスさんからの初めての贈り物だものね」
「は、初めてじゃないし!」
「あらあら、そうなの!?」
「あっ、ち、ちがっ!」
「まぁまぁまぁ! 貴女ったら奥手とばかり思ってたけど、もうそんなに進んでたのね!
それで、何処まで進んだの!?」
「ち、ちがっ!」
何故か妙に興奮したマリエルさんがリリエラさんに詰め寄り始める。
一体何事かと思ったけど、何となく首を突っ込まない方が良い気が物凄くしたから、そっとしておくことにする。
こういう女性がはしゃいでいる時に首を突っ込むと大抵碌な事にならないんだ。
「……」
なので、そっと気配遮断魔法を使って身を隠す僕。
「だから違うってば! レクスさんも何とか言ってやって、って、レクスさん何処!?」
「……」
静かに、そっと静かに、僕はマリエルさん達が落ち着くまで、施設の確認の為に部屋を出たのだった。
◆
「とりあえず遺跡を一通り確認したところ、他に危険な物はありませんでした」
戻ってきた僕は、他の場所に危険な物が無かった事を皆に伝えて安心させる。
若干一名、リリエラさんが恨めしそうにこちらを見ているけれど、そこは気にしないことにする。
対照的にマリエルさんは頬をツヤツヤさせて凄く満足そうな顔だ。一体何が、いやよそう。
「それにしても今回はヤバかったわよね。聞けばリリエラ達が子供になっただけじゃなく、私達まで若返っていたなんて」
「でも僕達は全然覚えていないんですよねぇ。気が付いたら事件が終わっていた感じでしたし」
困惑気味なのはミナさんとノルブさんだ。
「でも何で私達は中途半端に若返ったのかしら?」
「ああ、それは魔力の多さと、本人の精神性にあったみたいです」
「精神性?」
僕はハシュドの研究データから得た情報をもとに、今回の事件で起きた出来事の推論を述べる。
「どうも、ハシュドの作ったマジックアイテムは、精神的に未熟な部分のある人間程若返るようになっていたようなんです」
「精神に未熟ですか?」
「つまり子供っぽいってこと?」
そう言われると身も蓋もないなぁ。
「そういうところもですが、例えば子供の頃に子供らしく過ごせなかった人など、幼少期に何かあった人ほど影響を受けるみたいです」
「「幼少期……」」
そう言いながらメグリさんを見つめるミナさんとノルブさん。
そっか、メグリさんは幼い頃からアイドラ様の影武者として生きる為に厳しくしつけられていたらしいからね。
そしてリリエラさんも、幼い頃に村を襲ったヴェノムレックスや、偽Aランク冒険者の事があったんだ。
しかもそれが原因でマリエルさんが病気になったんだから、満足に親に甘える事が出来なかったんだろうね。
ジャイロ君は……まぁジャイロ君だしね!
ともあれ、皆を元に戻す事も出来た事だし、この事件も無事解決だ。
後はラミーズさんの依頼主とロディさんを元に戻せば一件落着だね。
ハシュドのバラ撒いたマジックアイテムに関しては、ラミーズさん達に頑張って貰おう。
そんな訳でロディさん達にかけられた術式の解除法を記したメモを用意した僕は、それをラミーズさんに渡そうとしたんだけど……
「…………はぁ」
何故かラミーズさんはもの凄く落ち込んでいたんだ。
って、事件は解決したのに何でこんなに落ち込んでるの!?
「え!? どうしたんですかラミーズさん!?」
僕が問いかけると、ラミーズさんはゆっくりと顔を上げてこちらを向く。
その顔はどんよりとしていて、一体何がラミーズさんをここまで落ち込ませているんだろう?
「……事件を解決する為にやって来たってのに、なんにも出来なかった」
「……え?」
え、ええと、それって……
「ロディの敵は俺が討ってやるぜと意気揚々とやってきたってのに、気が付いたら全部終わってた。俺が来た意味ってなんだろうな」
「えっと……」
こ、こういう時、なんて言えばいいの!?
ラミーズさんが子供になっちゃったのはハシュドのマジックアイテムの所為だけど、それを言っても子供になって戦えなくなった事へのフォローにはならないし……
「分かるわ。凄く分かる」
するとミナさんとノルブさんがしみじみとした様子で同意の頷きを返している。
「レクスさんに頼まれて何時もの恩を返そうと思ったのに、気が付けばですからね……」
二人も自分達が若返っていた時の記憶が無い為か、目がやさぐれている。
「い、いや、ミナさんもノルブさんも若返っている時に活躍していましたよ! 無限に沸くハシュドをラミーズさんと一緒になぎ倒していたじゃないですか!」
「でも美味しい所はレクスが何とかしてたんでしょ?」
「どのみち今の僕達がやった事じゃありませんし」
「大物喰らいが居なかったら俺達終わっていたしなぁ……」
ど、どうしよう、何を言っても落ち込む流れになっちゃってるよ!
「まぁそう落ち込むな」
と、そこに声をかけて来たのはガンエイさんだった。
「今回は相手が悪かったと言えるだろう」
「相手が?」
「相性とも言うな。戦いとは必ずしも強い者が勝つ訳ではない。武勇に優れた者が策に負ける事もあれば、得意とする魔法の属性の有利不利で負ける事もある。今回の敵は戦う前に相手を陥れる類の搦手に長けていた。事前準備が出来なければ負けて当然だ。儂が対抗できたのもそういったものへの備えがあったからだな」
流石に自分がアンデッドだったから若返りが効かなかったとは言わないガンエイさん。
「なら大物喰らいはどうなるんだ?」
「アレは……ほら、小僧だから」
待って、それはどういう説明の仕方なんですか?
「まぁ、そう言われるとな……」
「レクスだもんね……」
「レクスさんですもんねぇ」
「ちょっ、何でそれで納得しちゃうんですか!?」
異議あり! その納得の仕方はおかしいと思います!!
だというのに、何故か皆は僕だから悩むだけ無意味と解決してしまったのだった。
こっちの方が納得いかないよ!!
◆
「今回は世話になった」
ハシュドのアジトから転移魔法で王都へと戻ってきた僕達にラミーズさんが感謝の言葉を投げかけてくる。
その手にはロディさん達にかけられた術式を解く為の手順が書かれたメモが握られていた。
「今回の報酬はギルド経由でお前の口座に送らせてもらう」
「あの、やっぱりいいですよ」
というのも、ラミーズさんが自分の受けた依頼の報酬を僕に譲ると言い出したからだ。
「そう言う訳にはいかん。今回の件は大物喰らいの協力が無ければ俺自身ただでは済まなかった。報酬はそれに相応しい活躍をした者が受け取るべきだ」
まったく、ラミーズさんは義理堅過ぎるよ。
「そしてガンエイ殿、またいつか遺跡技術に関しての議論をしましょう」
「うむ、世界を旅してきたお主の魔物に関する知見は儂にとっても有意義じゃったからの」
あと気が付いたらガンエイさんとラミーズさんが仲良くなってたんだよね。
ラミーズさんはガンエイさんの魔法技術に、ガンエイさんはラミーズさんが実地で得た魔物の知識に対して興味を持ったみたいで。
「はいはーい! 私も色々教えて欲しいです!」
そしてミナさんは同じ魔法使いの先輩として、ラミーズさんに色々と教わりたがっていた。
「ははっ、俺じゃ大物喰らいには及ばんと思うぞ」
そんなミナさんに対し、ラミーズさんがおどけながら謙遜する。
ラミーズさんは魔法使いの最高峰ともいえるSランク冒険者なのにね。
「……レクスはほら、ちょっと背中の距離がアレすぎるので」
「……まぁ、な」
アレって何です?
「まぁともあれ、色々世話になった。またな!」
ラミーズさんが身をひるがえして去っていく姿を見送ると、僕らもまた屋敷への帰路へとつく。
「それじゃあ僕達も帰ろうか皆」
「それにしても、王都って広いのねぇ」
あっ、いけない。マリエルさんを村に帰さないと。
「ふふっ、せっかく王都に来たんだし、貴女のおすすめの場所に案内して頂戴リリエラ」
けれど当のマリエルさんはすぐに村へ帰ろうとはせず、王都を見て回りたいと言い出した。
「え? 私が案内するの!?」
「当たり前でしょ。ほかの皆さんに迷惑をかけるわけにはいかないもの」
「……わかったわよ」
不承不承、といった口調のリリエラさんだったけれど、その顔はちょっとだけ嬉しそうだ。
マリエルさんが病気になったことで、親と遊ぶことも甘えることも出来なかったからだろうね。
うん、そう考えると今回の事件も悪い事ばかりじゃなかったのかもしれない。
リリエラさんとマリエルさんが失った親子の時間を少しは取り戻せたんじゃないかな。
「それじゃあ儂もそろそろ帰るとするか。やれやれ、今回はとんだ目にあったわい」
「ガンエイさんにも本当にお世話になりました」
そうそう、今回の件ではガンエイさんの情報に本当に助けられたからね。
「何かお礼をしないといけませんね」
「あー、構わん構わん。下手に礼なんぞ求めてまた世界樹の種とか邪龍なんぞ寄こされても困るわい」
ガンエイさんの喜ぶもの……うーん、お金とかじゃないよね。
それにアンデッドだから食べ物も意味はない。
いや待てよ、食べ物って訳じゃないけどアレなら……
「そうだ、ガンエイさん、これならどうですか!」
僕は魔法の袋からちょうどいい品を取り出す。
「この間討伐したボルカニックタートルとユグドイーター、それにヒートスティーラーの肉です。美味しいキメラの研究材料にどうですか?」
「……なんじゃと?」
あっ、ガンエイさんの目が輝いた。やっぱり珍しい魔物素材は気になるみたいだ。
「なんじゃこれ、ボルカニックタートルは知っとるが、この魔物の肉は見たこともないぞ! それにヒートスティーラーとはまた狩るのが面倒な魔物の素材を……」
僕が差し出した素材にすっかり夢中になるガンエイさん。
「うむ、礼なぞいらんが、お主がどうしてもというのならもらってやるわい!!」
よかった、お気に召したみたいだ。
「よーし、この素材があれば新しいキメラの研究が捗……」
「モキュモキュ」
「って食うでないわ貴様ーっ!!」
あ、いけない。お腹を空かせたモフモフが勝手につまみ食いを始めちゃった。
「こらモフモフ、後でちゃんとご飯をあげるから、勝手につまみ食いしちゃだめだよ」
「キュウーン」
やれやれ、モフモフは食い意地が張ってるなぁ。
けど、そんなモフモフを見ていると、いつも通りの光景が戻ってきた実感が沸くよ。
「ふぅ、それにしても今回は本当に面倒な事件だったね。もうこんな厄介事はコリゴリだよ」
……でも、何か忘れているような気がするんだよね?
◆???◆
「おおーい! 誰か、出してくれぇー!!」
薄暗い牢の中、俺の呼びかけに答える者は誰も居なかった。
いる筈もない。何故ならここには人が居ないからだ。
「ギギッ」
金属音をたて、何かが近づいてくる。
だがそれは助けなどではないことを俺は知っている。
「ギガッ」
それはゴーレムだった。
ゴーレムは小さな窓から食事を室内に入れてくる。
「おい! 俺を外に出せ! 奴は! ハシュドはどうしたんだ!! ハシュドを呼べ!!」
しかし、命令されたこと以外は出来ないゴーレムは、俺の言葉に応えない。
そして無慈悲に使用済みの食器だけを回収すると背を向けて去っていく。
「頼む、鍵を開けてくれ! お願いだ、出してくれーーーーーっ!!」
こうして、ただただ死ぬ事だけはない俺の絶望的な日々は、いつまで続くか分からないのだった。
モフモフ_Σ(:З)∠)_「これにて若返り編は終了!!」
マリエル_(┐「ε:)_「次回からは新章よー」
モフモフ_Σ(:З)∠)_「っ!?(何でここに居るの!?という顔)あ、ちょっと出張するので次の更新は再来週の予定です」
魔人_:Σ(´ཀ`」∠):_ ...「シテ……ダシテ……」
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