第327話 遺跡、再起動
作者 (*´∀`*)ノ「ハッピバースデートゥーミーッ!!!! 誕生日おめでとう自分!!」
ヘルニー_(:3)∠)_「出たーっ! いい年して自分の誕生日にはしゃぐ大人ーっ!!」
ヘイフィ└(┐Lε:)┘「一体何歳になったと思ってるんですかねぇこの人」
作者 ( ˙-˙ )「君がこの前書きを見ている時、僕は既にイベントの行列に並んでいるだろう」
ヘルニー(´・ω・)「遺言っぽく言うな」
ヘイフィ╮(´-ω-`)╭「しかも人生満喫しきってる」
作者ヾ(⌒(_'ω')_「という訳でこれからも執筆を頑張りまするー」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「奴の目的は、自分の家族を子供にする事だそうだ」
「「「「はぁーっ!?」」」」」
魔人から明かされたハシュドの目的、それはなんと自分の家族を子供にするというとんでもないモノだった。
「いやいや待って、そのハシュドって人は大昔の人間なんでしょ? だったら家族もとっくに死んでるんじゃないの?」
「そうですよ、もし生きているとしたら、アンデッドか何かになってるはずです。でもアンデッドを子供にする方法なんて聞いたこともありません」
ミナさん達の疑問も尤もだ。
ハシュドが何らかの方法で現代まで活動できたとしても、それはもう普通の人間ではないだろう。
だとすれば、彼の家族も同じようになっている筈だ。
「彼の家族については何か知っていますか?」
「いや、会った事も無い。あいつがそう言ってたのを聞いただけだ」
だとすれば、その家族は……
「その家族、既に死んでいる可能性が高いな」
僕と同じ考えに至ったとみえるラミーズさんが、ハシュドの家族は既に死んでいるのではないかと推測を立てる。
「アンデッドになった者は生前がどれだけ理性的で賢かったとしても、精神に異常をきたす事がある。ハシュドは研究に没頭したまま死に、アンデッドとなったことで家族の死を理解しないままでいる可能性が高い」
ただ、ハシュドと出会ったジャイロ君達の話だと、彼はアンデッドではなかったと証言してるんだよね。
「ガンエイさんはその辺りどう思いますか? アンデッドと気付かれない程に生前同様のアンデッドなんて居ると思いますか?」
僕は現在進行形でアンデッドのガンエイさんにその辺りを尋ねてみる。
「何故その老人に聞くんだ?」
「ガンエイさんはアンデッドの生態に詳しいんですよ」
「ほう、そうなのか。是非意見を聞いてみたいな」
ガンエイさんがアンデッドの生態に詳しいと聞いて、ラミーズさんは知的好奇心が刺激されたらしく、少しワクワクした表情を浮かべている。
「いや、人に自慢できるようなものではない。ただ、そうだな。適切な準備をしていれば、アンデッドになったとしても生前同様の理性を持ったアンデッドとして活動する事は出来るだろう。外見に関しては変身魔法の類を使えば見た目を誤魔化す事は出来る。だがアンデッド特有の負の気配を隠すのは難しいだろうな」
アンデッドであるガンエイさんが言うと、あなたがそれを言うんですかってなるなぁ。
「尤も、今のは遺跡で発見したという触れ込みの怪しい文献から得た知識だから間違っている可能性もあるがな」
「ほう、古代の文献とは興味深い。確かに高位アンデッドには魔法を使う者も多いからな」
確かに、僕の前々世でも寿命を延ばす方法として理性と知性を保ったままアンデッドになる事を研究する魔法使いは少なからず居た。
珍しいのになると、別の何かに魂を移すという研究をしている魔法使いも居たらしいね。
そう言えば前々世の僕も不老不死の秘法を研究しろとか、永遠の若さを与えろとか無茶ぶりされたなぁ。
そういう人達は大抵怪しげなインチキ研究を真に受けてアンデッドになるよりも酷い事になってたけど。
ともあれ、これ以上の情報を魔人から得るのは難しそうだね。
後は本人から直接聞いた方が早そうだ。
魔人はハシュドの逃げた先については心当たりが無いみたいだから、ここは自分で探すしかないね。
僕は部屋の壁に埋め込まれていた操作盤を操作して施設の機能を起動させる。
「この施設の機能でハシュドがどこに逃げたのかを探します」
「設備を動かす? はっ、無駄な事は止めておけ。この遺跡は古代魔法文明の遺産だぞ。現代の魔法使いごときに動かせるものではな……って、え?」
魔人の言葉が終わらないうちに、地面からゴゴゴという鈍い振動が響いてくる。
「地震か!?」
「いえ、遺跡の動力炉が再起動を始めたんです。すぐに魔力が行き渡って施設が本格的に再稼働を始めますよ」
「「「「はぁっ!?」」」」
いままでは緊急時用の予備魔力で動いていた遺跡だったけれど、主動力炉から魔力を供給された事で室内に灯りが灯る。
更に最低限の機能だけに留められていた遺跡の各種機能が再び目を覚まし出す。
「ば、馬鹿な、本当に目覚めたのか!? ハシュドですら、主機を目覚めさせることができなくて予備動力で一部の機能だけを動かす程度にとどまっていたんだぞ!?」
「いえ、そんな難しい話じゃないですよ。起動させる為の管理者パスを偽装して前任者から僕に管理権限を委譲させただけですから」
「「「「それが難しいんだよ!!」」」」
何故かガンエイさん達から総突っ込みを受けてしまった。
「何で数千年前の古代遺跡の術式の穴を突けるんだ……」
「まぁあの小僧じゃからのう。儂等の常識を当てはめるだけ無駄……なんじゃが、やっぱ納得できんのう。儂、当時の人間なのに」
でもこれ、魔法術式の裏口を発見できれば意外と簡単なんだよね。
それにこの遺跡に使われてる術式も、前々世の僕が作った術式に何故か酷似してたから、猶更簡単に解除出来たんだよね。
「ただこの術式、妙にチグハグな感じがするんですよ。なんというか、複数の術式をツギハギにして良いとこどりしようとした結果、逆に悪くなった感じですね」
だから前々世の僕の管理術式を知ってる人なら、この術式の欠陥に気付くのは簡単だったんじゃないかな。
あっ、もしかして、それが原因でこの施設は質の悪い連中に乗っ取られかけて、慌てて緊急封鎖したとか?
そして術式修理の目途が立つ前に、魔人との戦争や白き災厄の被害でそのまま放置されることになったんじゃないかな。
「なんか古代文明の術式にダメ出ししてるんだが」
「当時でも世界最高峰の術式の筈なんじゃがのう」
「え? もしかして最近の人族の術者ってみんなこんななのか?」
「「いやそれはない」」
「完全な風評被害だから止めて」
いや、本当に術式に問題があるんですよ。ちゃんとした術式なら、僕程度のロートル術式知識なんて手も足もでませんって。
ん? もしかしてこの施設の術者って、縁故採用だったりするんじゃ。
それならこの微妙な管理術式な理由も分かるよ。
「成る程、それでか。でもお陰で簡単に施設を掌握できたし、僕達にとっては運が良かったと言えるね」
「何を考えてるか分かんないけど、絶対違うと思うわ。私にも分かってきた」
「ええと、僕は専門外なのでちんぷんかんぷんですけど、きっとミナさん達の言ってることが正しいんだろうなと思います」
「キュウキュウ」
ミナさん達の良く分からない発言に、何故かモフモフまでもが分かるとばかりに腕を組んで頷いていた。何か風評被害を受けている気がする……。
ともあれ、施設を掌握した僕は、施設内の転移の痕跡を探す。
僕達が転移してきた世界各地へ転移するゲートフロアの転移痕を調査する様に管理装置に命令を下す。
するとすぐにフロア内の転移の空間痕跡が見つかった。
「稼働が始まったのはここ一年以内だから検索が楽で良いですね。これが僕達の侵入してきた転移痕で、こっちがたぶん魔人達が使った痕跡かな。一番新しい転移痕は……」
「なんか息を吸うように自然に操作してるんだが、人族って転移ゲートの研究を大々的に進めてたりするのか?」
「してないしてない。それどころかトラップ以外で生きてる転移ゲートを見たのは今回が初めてなんだぞ俺」
「というか、普通に考えて現役の技術者でもないのに専門外の技術を当たり前のように扱える時点で、種族も時代も関係なくおかしいと思うんじゃよ儂」
「「それだ!」」
なんだか好き勝手言われてるなぁ。
「中の術式はともかく、操作盤まわりの術式は既存のものとほぼ同じですから、実質直感的に動かせますよ」
「「「うっそだぁ。見てて全然分からんぞ」」」
「なんかパパパッって絵が変わったと思ったら凄い勢いで文字とか小さな絵が動いてる」
「というか、この壁全てがマジックアイテムなんですか?」
実際に触ってみれば普通に動かせるのになぁ……っと、見つけた。
「あった。これがハシュド達の転移痕だ。成る程、追放機能を使ったのか」
「追放?」
「ええ。手に負えない襲撃者などを追い出す最終手段ですね。これを利用して自分の隠れ家に転移したようです」
まさか犯罪者に使う装置を自分に使うとはね。ハシュドは本来指定されていた転移先を自分の都合の良い場所に設定し直したって訳か。
施設の稼働状況が限定されていたからこそ、こんな機能を利用したんだろう。
とはいえ、これは侮れない発想だ。
こんな使い方を思いつくと言うことは、ハシュドのアジトはかなり危険な場所の可能性が高い。
「なぁレクスの兄貴」
と、僕達の会話が理解できず退屈そうにしていたジャイロ君が話しかけてくる。
「うん、なぁに?」
「あれでリリエラ達を助けに行けるのか?」
そう言ってジャイロ君は壁に埋め込まれた操作盤を指差す。
「うん、そうだよ」
「そっか、よーし、待ってろよリリエラ! 俺達が助けに行くかんな!!」
「ん! リリエラ達を助ける!」
ジャイロ君達はやる気満々とばかりに拳を握って気合をいれる。
「皆さん、今から僕達も追放機能を利用してハシュドの隠れ家に突入します。転移直後の迎撃に気を付けてください!」
「え!? ここから行くの? 今から?」
「はい。いつリリエラさん達が本当の家族じゃないとバレるかわかりませんので」
「「「「っ!」」」」
僕の懸念を聞いた皆が、表情を硬くする。
そうだ。リリエラさんを自分の娘と勘違いしたハシュドだけど、マリエルさん達との会話で内容の齟齬に気付けば、リリエラさん達が自分の家族でないと理解してしまう可能性が高い。
そうなれば二人がどんな目にあわされるかわかったものじゃない。
「そういう事なら仕方ないわね」
「こ、心の準備をする時間が欲しかったんですけど……」
「諦めろ、冒険者には準備をしている時間なんてない時はザラだ」
「うう、村の教会で一生を過ごしたい……」
……それは無理なんだよなぁ。強く生きろノルブさん。
「よし、それじゃあ転移開始!!」
僕が操作すると、追放装置が起動し始め、皆の足元が輝きだす。
「おーし! それじゃあみんないくぜー!」
「「「「「「おおーっ!!」」」」」」
ジャイロ君の号令に、皆が拳を上げて応える。
「はっはっはっ、まぁ頑張れ。俺には関係ないがな」
「あっ、魔人は対魔法対物理完備の最も堅固な牢屋に閉じ込めておいて」
転移直前で魔人の事を思い出した僕は、操作盤に魔人の捕縛を命じる。
「え? ちょっ、まっ」
そして、操作が完了した瞬間、僕達の体は遺跡から転移したのだった。
魔人_:(´д`」∠):_「待ってー!」
モフモフΣ(:3)∠)_「余計な事を言うから」
魔人(´ཀ`)「あいつ等が転移した後なら逃げれると思ってつい気が緩んで……」
ゴーレム(_`・ω・)_○「それじゃあ牢屋に行きましょうねー」
モフモフΣ(:3)∠)_「ところでそのゴーレム達に食事を与えるという機能はあるのだろうか?」
魔人(´;ω;`)「絶対戻ってきてー!」
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