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二度転生した少年はSランク冒険者として平穏に過ごす ~前世が賢者で英雄だったボクは来世では地味に生きる~  作者: 十一屋 翠
マジックアイテム編

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第324話 貫き導く者

作者(:3」∠)_「二度転生10巻好評発売中ですよーっ!!」

ヘルニー_(┐「ε:)_「皆さんお買い上げありがとうございますー」

ヘイフィー(:3」∠)_「少しずつ涼しくなってきましたねぇ」

作者(:3」∠)_「まだ誤差範囲って感じだけど、時折涼しさを感じる時があるのはいいねぇ」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「これは!?」


 リリエラさん達を探しに向かっていた僕達は、突然ゴーレムの大量出現に遭遇したんだ。


「何これゴーレム!? これ全部!?」


「気を付けろお前達!!」


 けれどゴーレム達は武器を構えた僕達を無視してどこかへ向かってゆく。


「これは、僕達を狙ってはいない?」


「ど、どういう事でしょうか……?」


 ミナさんの後ろに隠れたノルブさんが結界を張りながらゴーレム達が去った方向を見て呟く。


「多分誰かが施設の防衛装置を刺激したんだと思います。ただあれだけの数のゴーレム達が殺到したって事は、結構な事をしでかしたんじゃないかな」


「結構なことを……」


「しでかした……」


 僕の言葉に二人の視線が宙をさ迷ったと思うと、突然苦虫を噛み潰したような顔になって頭を抱える。


「「ジャイロ!!」君!!」


 そして同時にジャイロ君の名を叫ぶ二人。


「また何かやらかしたわねあのバカ!! しかも今回は古代遺跡の防衛装置を刺激した!? 冒険者になるって言って行商の馬車に忍び込んで気付いた行商のおじさんが連れ帰ってくるまで半月皆で探し回った時以来のやらかしよ!」


「小さい頃、大人から絶対に近寄るなって言われたゴブリンの巣に薪割り用の斧を担いで襲撃した時以上ですよ!! あの時は何故か僕達まで同罪になって大人達にしこたま怒られました!!」


 おぉう、ジャイロ君、そんなことしてたんだ……


「ゴブリンの時だけじゃないですよ。甘いものが欲しいからってバニービーの巣に煙を送って怒らせたあげく、全然効かなかった上に危うく森が火事になる所だったんですよ! しかもその時も僕が共犯扱いにされたんです!! それに大人達が祭りの準備で忙しい時を狙って村から飛び出した時も……っ!!」


 な、なんだかミナさん以上にノルブさんがヒートアップしているんですけど……

 もしかして若返ってから妙にノルブさんがオドオドしてたのって、ジャイロ君のやらかしに巻き込まれ続けたのが原因だったんじゃ……

 ジャイロ君、一体何をやらかしたんだ……


「でもその割にはジャイロについて回ってたわよねアンタ」


「っ!! い、いえ、アレはメグリさんがジャイロ君について行きたがったので、僕の役わ……いえ、女の子を危ない目に遭わせるわけにはいきませんし、僕の回復魔法があれば最悪の事態になった時に大人が来るまでの時間稼ぎにはなりますから」


「あー、そうね。ノルブの回復魔法にはホント助けられたわ。アンタ回復魔法の腕は大人並みだもんね」


「ははっ、お陰で鍛えられましたから……」


 そっか、メグリさんは王女であるアイドラ様の影武者だもんね。

その事を知っていたノルブさんは、メグリさんの護衛みたいな事をしていたんだろうな。


「……あ、あー、何か良く分からんが、とりあえず今はその張本人を探すのが先決じゃないか?」


 と、ラミーズさんが荒ぶる二人を窘める。

 流石は先輩Sランク冒険者、予想外の事態が起こっても冷静だね。


「そうですね。今は急いでジャイロ君達の所に行きましょう。ちょっと強引だけど、ショートカットします!」


「ショートカット? あっ、そうか。レクスは転移魔法が使えるんだもんね。ジャイロ達の所に転移するのね」


「は? 転移魔法!? 転移ってあの転移か!? 本当なのか大物喰らい!!」


 と、ミナさんとラミーズさんがキラキラした目で僕の転移魔法を期待しているけれど、残念ながらそうはいかないんだ。


「いえ、この施設内での転移はちょっと危険なのでやりません」


「「危険?」」


「ええ、このグランドゲートは世界中の転移門から沢山の人が転移してきますから、ゲートを使わない転移を阻害する機能があるみたいです」


「え!? そんなのあったの!?」


「あー、なんか変な感覚がすると思っていたが、転移魔法を阻害していたのか。何かの妨害魔法かと思っていたが、何を妨害しているのか分からなかったんで、実害が無いからまぁいいかと放置せざるを得なかったんだよな」


 転移を阻害する機能が展開されている事に気付いていなかったミナさんが目を丸くする。

 うん、ここは明らかに空間に作用する術式が動いているみたいで、魔力視で周囲を見ると、空間に網が張られているような感覚を感じるんだよね。

 この施設にやって来てから気付いたんだけど。


 そしてラミーズさんは既に妨害されている事に気付いていたみたいだけど、実害がないと放置していたみたいだ。

 そうだね、理由もなく強引に転移封じを破壊していたら、防衛設備が襲撃されたと判断して僕達が襲われていたかもだ。

 何よりこれだけの大規模施設の防衛結界だから、力づくで破壊しようとしたらカウンター呪法でとんでもないしっぺ返しを受けただろうしね。


「あれ? でもここには転移で来れましたよね? 中で転移が出来ないのなら、外から転移してくることもできないんじゃないですか?」


 おっ、さすがノルブさん。良い所を突くね。


「ええ、その通りです。本来なら許可なくここに転移しようとしても弾かれるか、もしくは施設が指定した転移場所に送られるんだと思います。そうならなかったのは、僕が誰かの使った転移痕をトレースしたからだと思います」


「転移痕をトレースしたから?」


「ええ、ここに転移した人は、恐らくゲートを使わずに特別な許可証のような物を所持してて個人で転移したんだと思います。で、僕達は許可証を使った転移のルートをこじ開けて入ってきたので、疑似的に許可証を所有していたのと同じ結果になったのかと」


「……ええと、僕には難しくてよく分からないんですけど、専門家としてはどうなんですか?」


 ノルブさんが遠い目になってラミーズさんとミナさんを見つめる。


「ええと、私はまだ一人前の魔法使いじゃないから……S級冒険者の先輩どうぞ」


「いや、転移魔法は俺の専門じゃないから……」


 視線を逸らしがならミナさんがラミーズさんに話題を放り投げると、ラミーズさんも専門じゃないからと顔を逸らす。

 うん、まぁ良いんだけどね。

 でもこの辺りの知識は前に二人の頭に転写したんだけど、若返った事で忘れちゃってるみたいだなぁ。


「まぁそう言う訳なので、別の方法でショートカットします」


「あ、うん。ごめん話の腰を折って」


「転移が封じられた場所で移動の短縮か。一体どんな技術を見せてくれるんだ?」


 いえ、そんな大したことはしませんよ?

 僕は皆から離れた位置に陣取ると、床に視線を落とす。


「この角度だね」


 移動しているゴーレムとリリエラさん達の反応を確認して、誰にも当たらない角度を算出すると、僕は魔法を放った。


「バンカーブラストッ!!」


 刹那、床に向かってやや斜めに魔法が放たれる。

 魔法は床を破壊すると、そのさらに奥の床を、更に更に奥の床を貫いてゆく。


「よし、行きましょう!」


 道を確保した僕は、飛行魔法を発動して斜めに開いた床を潜ってゆく。


「「「って、力技ぁーっ!?」


 後ろから皆の叫び声が聞こえる。


「ちょっ!? こういう時はなんか凄い魔法が来るもんじゃないの!?」


「そうだぞ! 転移が封じられているなら壁をすり抜けるとか魔力で最短通路を割り出すとかそういうのをだな!」


「なのにまさか普通に床を壊すなんて……」


「いやだって、床をすり抜けるよりも穴を開けた方が手間がかからないじゃないですか」


「いやまぁそうなんだが……」


 正直、物質透過するくらいなら普通に穴を開けた方が魔力消費も制御の難易度も段違いだからね。

 音を鳴らしたくないなら静寂魔法を使えばいいし、穴を見つけられたくないなら、魔法で復元すればいい。


「ちなみに今のはバンカーブラストと言って、貫通力を高めた魔法です。魔法の範囲部分のみを破壊し、その外周に影響を与えない事で、床に穴をあけても崩落しないんですよ」


「そ、そういうものなのね」


「むっ、確かに床でも天井でも崩落は厄介だからな。確かに便利と言えば便利なのか」


 そうそう、世界樹の時も、崩落が原因でモフモフとはぐれちゃったしね。


「ちょっと待ってください! 安全に穴を開けたのは分かりましたけど、これ大丈夫なんですか!? ジャイロ君達に当たったりしてませんよね!?」


 と、ノルブさんが下層を移動しているジャイロ君達に当たっていないかと心配する。


「大丈夫ですよ。ちゃんと探査魔法で皆に当たらないように角度を調整してますから」


「そ、そうだったんですね」


 ほっと、安堵のため息を吐くノルブさん。


「……それにしてもジャイロ君達に当てないように気を付けながら、遺跡が崩落しないように繊細な制御を必要とする魔法を放ったんですね。この穴、かなり下の方まで空いてるみたいですけど……ミナさん、貫通魔法ってそんな遠くまで届くんですか?」


「え? えーっと」


「いや、無理だな。基本魔法は距離が離れる程威力は落ち、精度も下がる。だから繊細な技術の必要な魔法も自然と射程が短くなるんだ。そうだな、先端に針をくくりつけた長い棒を持って、その針穴に同じく長い棒に取り付けた糸の先を通すようなものだ」


 と、説明に困るミナさんに代わってラミーズさんが説明してくれる。

 そうだね。遠くに精密な魔法を届けようとすると、距離が開いた分だけ難易度が増していく。


「とてもじゃないけど無理ですね」


「ああ、床一枚ならともかく、何枚もぶち抜いて全く崩落が起きないというのは……思った以上に難易度の高い魔法だぞこれは。それに探査魔法まで使っていたとなると更に難易度は上がるぞ」


「いやいや、これはそんな大した魔法じゃないですよ?」


 遠い程難易度が上がると言っても、それは超長距離を狙撃する時くらいだ。

 この程度の階層を貫通する程度なら、そこまで難易度は高くない。

 Sランクの魔法使いであるラミーズさんなら当然の事ながら、ミナさんも元に戻れば十分できるよ。

 今だってやり方さえ教えればいける筈だしね。


「っと、そろそろリリエラさん達と合流します。彼女達と一緒に居る人物には気を付けてください。それとまだ距離は離れていますが、ゴーレムの襲撃にも気を付けてください!」


「分かった」


「分かったわ!」


「分かりました!」


 皆に注意を促した僕達は、バンカーブラストで開けた穴の最奥へと降りる。


「皆、大丈夫!?」


 すると穴から少し離れた位置に皆の姿を見つけた。

 ただし一名、見覚えのない人物がいる。

 黒褐色の肌、背中からは羽が、頭部には角の生えたその姿は……


「魔人!?」


 さっきのゴーレム達の大量発生もあの魔人が原因か!

 魔人の姿を確認した僕は、すぐに皆が怪我をしていないか確認する。

 幸い、ジャイロ君達に外傷は見当たらない。


 けれど僕はそこでリリエラさんの姿だけが無い事に気付いた。


「ジャイロ君、リリエラさんは!?」


「リ、リリエラは……」


 リリエラさんの事を尋ねられたジャイロ君が困惑の声をあげる。

 もしかしてはぐれた!? でも直前の探査じゃ皆は一緒に居た。


「リリエラは変なおじさんと一緒に消えた!!」


 と、メグリさんがジャイロ君の代わりにここで起きた出来事を叫ぶ。


「って、ええっ!? 消えた!?」


 それに変なおじさんってどういう事!?

 まさかそこの魔人の仲間の仕業!?


 僕はすぐに探査魔法でリリエラさんを捜索する。

 けれど施設内にリリエラさんの反応はない。なら!


「リリエラさんをどこにやった!!」


 僕は何かしらの事情を知っているであろう魔人に剣を突き付ける。


「ま、待て! 俺にも分からんのだ! 奴はあの小娘と何やら話したと思ったら、突然小娘と一緒に消えたんだ!」


 どういう事? 魔人は本気で事情が分からないのか、明らかに困惑している様だった。

 少なくとも、僕達を騙そうとしているような困惑ぶりには見えない。


「じゃあここに居たというもう一人は何者なんですか?」


 少なくとも、ここに魔人が居る以上、何も企んでいないという事はないだろう。事情を探ればリリエラさんが消えた理由も分かるかもしれない。

 その時だった。


「大変じゃーっ!!」


 転移門の調査をしていた筈のガンエイさんが僕達の空けた穴から慌てたようすで降りてきたんだ。


「ガンエイさん!? どうしたんですか?」


「大変なんじゃ! あの母親が、攫われたんじゃーっ!!」


「……え?」


 マリエルさんが攫われた?


「「「ええーっ!?」」」


 黒幕の筈の魔人がここに居るのに、一体何が起きてるの!?

 まさかまだ他にも敵が居るの!?

遺跡_:(´д`」∠):_「ああぁぁぁぁぁぁっ!」

モフモフΣ(:3)レ∠)_「胃潰瘍みたいな感じなんかな」

ラミーズ_(┐「ε;)_「どっちかというとアニサキスみたいな感じなんじゃないかな」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「「「って、力技ぁーっ!?」 足りてませんよ~!
[良い点] レクスと会話出来たら魔人としては金星なんじゃないかと思うようになってきたわw
[一言] ダンジョンなら自己修復か穴を明けられないのにね…。 いや、レクスならダンジョンでも穴を明けられるかwww
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