第318話 子供達の冒険
ゴーレム_(:3 」∠)_「氷漬けが可哀そうでないという子供特有の謎思考」
魔……真っ黒こげになった人ヾ(⌒(_'ω')_「新手の通り魔?」
遺跡(´ཀ`」∠)_「ちなみに今回は登場人物が子供なので、口調をちょっと変えて、ひらがなの割合を強めています。大半をひらがなにするとさすがに読みにくいので、そのへんはお察しください」
ゴーレムΣ(๑ °꒳° ๑)「なんか業務連絡が聞こえた!?」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると、作者がとても喜びます。
◆リリエラ◆
わたしはリリエラ、お年は5さい。
今日はお母さんたちといっしょに馬車でお出かけ中なの。
いっしょにいくのはお母さんとお父さんの友達のレクスってひとと、私と同い年のジャイロくんとメグリちゃん。そして二人のお姉ちゃんのミナお姉ちゃんとノルブお姉ちゃん。
それにモコモコちゃん!
モコモコちゃんはぬいぐるみみたいにモコモコしてて、すっごく可愛いの!
でもお父さんはいないんだ。お仕事で別の町に行ってるんだって。
だから今日のお出かけはお父さんの町にいくと思うんだよね!
でもお父さんがお仕事してる町はとおいみたいで、今日は馬車でお休みなの。
この馬車ね、私のお家よりも大きいんだよ!
外から見ると小さいのに不思議。
朝になっておきたら、レクスさんのお友達のガンエイってお爺ちゃんがやってきた。
この人もお母さんたちのお友達なのかな?
でもみんなでやってきたのは町じゃなくて、なんだか真っ暗なところだった。
まわりは変な柱とかがいっぱいたっててヘンなところ。
はやくお父さんのところにいきたいなぁ。
大人達はなんだかむずかしいお喋りしててつまんないし。
「なぁなぁ、ちょっと冒険しにいこうぜ!」
わたしが退屈していたら、ジャイロくんがメグリちゃんをつれて冒険にいこうと言い出した。
「でも勝手にお外で遊んだらお母さんにおこられるよ?」
お外は危ないから大人が一緒でないといっちゃだめなんだよ。
「大丈夫だって、もうここ外じゃん」
言われてみればそうかも。
「それに大人もそこにいるじゃん」
……じゃあ遊びにいっても良いのかな?
「よし、それじゃいこうぜ!」
「う、うん」
でもちょっと不安だから、モコモコちゃんをつれていこっと。
「キュッ!?」
ふふ、フワフワでやわらかーい。
「ちょっとリリエラ、どこに行くの!?」
あっ、お母さんだ。
お母さんにはちゃんとどこにいくのか言っておかないと。
「みんなで冒険してくるー」
「え? 冒険? ちょっと待って!」
「いってきまーす」
◆
「ねぇ、冒険って何するの?」
「ん? そうだなぁ……メグリ、何かねぇか?」
ジャイロ君は大人みたいに腕をくんで考えこんだとおもったら、一緒にやってきたメグリちゃんに相談する。
メグリちゃんはいつも静かだから、何を考えているのかよくわかんない子なんだよね。
でもとっても可愛いの。ときどきお姫様みたいに見えるんだよ。
「ん……あっちにお宝の気配」
「お宝?」
「メグリは面白いものを見つけるのが得意なんだよ」
「すごーい! 何で分かるの?」
「ん、匂いとか、建物の配置とか、何か隠してある場所には隠そうって考えが見えるってお母様が言ってた」
……よく分かんない。きっとメグリちゃんは頭がいいんだね!
「よーっし、それじゃあ向こうにいくぜー!」
「「おー!」」
◆
お宝を探しながら、私たちはお喋りを続ける。
「おれはさー、大きくなったら冒険者になるんだ!」
ジャイロ君は村の男の子みたいに、冒険者になるのがゆめみたい。
「でも冒険者って危ないんじゃないの?」
「きけんはしょうちだぜ! それを乗り越えてこそ、いちりゅうの冒険者ってやつなんだぜ!」
「ふーん」
ジャイロ君とお話しながら、一人無言でトコトコ進んでゆくメグリちゃんを追いかけていくと、前の方から小さな鎧がやってきた。
「あの子も冒険してるのかな?」
と、思ったら、鎧の子がピカピカ光り出したの。
「何だアイツ!? もしかして敵か!?」
「キュウーッ!!」
ピカピカが綺麗だなって思ってたら、腕の中でじっとしてたモコモコちゃんが急に暴れ出す。
「え? どうしたのモコモコちゃん?」
そして大人が投げた石みたいな勢いでモコモコちゃんは鎧の子に飛びこんでいったの。
そしたらよろけた鎧の子のピカピカが床に当たって、地面に大きな穴が開いちゃった。
しかも鎧の子はそれにまきこまれて落ちて行っちゃったの!
「あの子、大丈夫かな?」
大人をよんで助けてもらわないと。
「ん、あれはゴーレムだから心配しなくていい」
「ゴーレム?」
「ん、古代魔法文明が作った兵隊。私達を侵入者として殺すつもりだった」
「ええ!?」
わたしたち殺されるところだったの!?
「もしかしてここ危ないところなんじゃないの? お母さんたちのところに帰ったほうがいいんじゃないの?」
「大丈夫だって!」
ジャイロ君は平気そうな顔で言うけど、わたしたち殺されるところだったんでしょ? 危ないよ!?
「心配すんなよ! オレたちにはコレがあるんだぜ!」
そう言ってジャイロ君は空中にうかぶ火の玉をゆびさす。
「魔法を使えばゴーレムなんて楽勝だって!」
そう、実はわたしたちは魔法が使える。
ミナお姉ちゃんとノルブお姉ちゃんが魔法のれんしゅうをしてるのをみて、わたしたちもこっそりマネしてみたら魔法がつかえたんだ。
真っ暗な中を歩いてこれたのも、この灯りのおかげ。
「そう、かなぁ……」
でもやっぱり怖いよ。
「そうだって! 次にゴーレムが出てきたら魔法でやっつけようぜ!」
うーん、一回ためして、それでダメならお母さんたちのところにもどればいいか。
「わかった、じゃあ魔法をつかってたおせるかためしてみよ」
「よーっし! さーでてこいゴーレムども!」
ジャイロ君はすっかり冒険そっちのけでゴーレムを探しはじめる。
「ん、きた」
メグリちゃんの言葉どおり、前のほうからゴーレムがやってきた。
「よーっし! 必殺俺のスーパーファイアーアターック!!」
ジャイロ君が叫ぶと、大きな火の玉がゴーレムに向かって飛んでゆく。
そして火の玉がぶつかるとゴーレムが火につつまれたの。
ゴーレムは苦しむようにバタバタもがくとそのままスライムみたいにドロドロに溶けちゃった。
「よっしゃおれの勝ちーっ!」
でもあのゴーレム。苦しそうでちょっとかわいそうだったかも。
「また来た」
「おっ、また俺にやられにきたか!」
「まって、今度はわたしがやる」
ジャイロ君の火の玉だと、ゴーレムたちが熱そうだから。
「こおっちゃえ!」
えいと、気合を入れると、私の手から氷の矢が飛んでいく。
そして矢がゴーレムに当たると、ゴーレムは氷づけになって動かなくなった。
「できた!」
うん、氷なら熱くないもんね。
「おー、やるなぁリリエラ」
「こんどはわたしがやる」
わたしたちがゴーレムと戦っているのがうらやましくなったのか、今度はメグリちゃんが戦うといいだした。
「大丈夫メグリちゃん?」
「ん、大丈夫」
メグリちゃんは近づいてくるゴーレムに手を向けると、ムンと気合を入れる。
するとビュウッ! と言う音と共にゴーレムが真っ二つになった。
「「おおー!」」
「メグリちゃんすごーい!」
「えっへん」
その後も私達は向かってくるゴーレムと戦いながら進んだ。
たまに、近づいてこずに、遠くから攻撃してくるゴーレムがいたけど、そういうのはモコモコちゃんが飛び出していってやっつけてくれた。
「モコモコちゃんは強いねぇ」
「ああ、おれ程じゃないけどやるな!」
「たぶんジャイロよりも強いとおもう」
「バッカ、おれの方が強いってーの! なぁモコモコ!」
そうジャイロくんがモコモコちゃんに話しかけると、モコモコちゃんがくるりとこちらを振り向く。
「キュヘッ!」
その顔はまるで「はぁ? 何いっちゃってんのこのボウズは?」みたいなちょっと私も地面に叩きつけたくなるようなお顔だった。
「てっめぇ! いいどきょうだ! どっちが強いか勝負だ!」
言葉はわからなくてもバカにされた事はわかったんだろう。
ジャイロくんがモコモコちゃんに勝負を挑む。
えっと、わたしはどっちを応援したらいいのかな?
「いいか! 次にきた敵を先にたおした方が勝ちな!」
「キュ!」
戦いのルールは早い者勝ちみたい。
二人は一番前にたつとゴーレムはどこだと探すように歩きだす。
「……」
「……」
二人のあとをついていくと、少しずつ二人の足がはやくなる。
そして早歩きになったと思ったら、走り出したの。
「うぉぉー! お前に先はこさせねぇぜ!」
「キュウウー!!」
「ちょっ! まってよ二人とも!」
「二人とも子供」
なんだかメグリちゃん大人っぽい。
走る二人をおいかけていくと、途中で道がなくなって壁にぶつかる。
「行き止まりだね。戻ってべつの道をさがす?」
「くっそー、ハズレかよ!」
「まって」
戻ろうとした私達だったけど、それをメグリちゃんが止める。
「どうしたのメグリちゃん?」
「ん、階段がある」
「「え?」」
「キュ?」
メグリちゃんの指さした方向を見ると、よこの壁に下へおりる階段があったの。
「暗いから皆見落としてた」
「わたし全然気付かなかったよ。メグリちゃんすごいなぁ」
「えっへん」
「よーし! それじゃあ下に行くぜ! へへっ、ダンジョンって言ったら地下だよな!」
そんなことを言いながら階段を駆け下りていくジャイロくんとモコモコちゃん。
二人とも冒険が好きだなぁ。
二人は階段を一足飛びで降りていく。
うわー、うっかり踏み外して落ちちゃわないか心配になるよ。
「二人とも危ないよー!」
「へいきへいきー!」
「キュー!」
二人が早すぎて、もう頭しか見えなくなってきたその時。
「いた!」
「キュ!!」
二人が大きな声で叫ぶ。
「くらえぇぇぇぇ!」
「ギュウッ!!」
そして二人の体が浮き上がったと思うと、一瞬で下に向かって落ちていく。
「ちょぅ!?」
「な、何だ!?」
あれ? 今誰かの声がしたような気が……
けれど、わたしの疑問はジャイロ君の魔法の大きな音とモコモコちゃんのおたけびで掻き消えてしまい……
「どうだ!!」
「キュッ!!」
ええと、倒したのかな?
「あれ?」
「キュウ?」
けれど、聞こえてきたのは勝利の声じゃなく、不思議そうな声。
「どうしたの?」
やっと二人に追いついた私達は、何かあったのかと二人に聞いてみる。
「なんかへんなゴーレムだった」
二人の声に足元を見ると、そこに倒れていたのはゴーレムじゃなく……
「ええっと……人?」
うん、人だった。
黒いような焦げ茶色のような色の体、背中に生えた真っ黒な羽。頭から生えた黒い角……
「……もしかして」
おかしい、全身が真っ黒だ。
これってまさか……
「ジャイロくんの魔法で真っ黒こげになっちゃった人!?」
ど、どどどどうしようっ!! お料理に失敗して焦げて真っ黒になったお魚みたいになっちゃってるよー!!
作者_(:3 」∠)_「もう夏ですねぇ……(地獄のような暑さ)」
ヘルニー(┐「ε;)_「もっと涼しくていいのよ(うだるような暑さ)」
ヘイフィー(・ω・;)「明け方は心地よい温度なんですけどね(なお日中)」
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