第311話 不思議な贈り物
作者(:3)∠)_「新章開幕ですよー」
ヘルニー(:3)∠)_「大阪にやってまいりました」
ヘイフィー(:3)∠)_「喫茶店で執筆中」
作者_:(´д`」∠):_「なんで旅先で迄書いてるんだ」
ヘルニー(:3)∠)_「だったら出発前に完成させろ」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「それじゃあ皆のお土産を買って帰りましょうか」
魔物料理大会も終わった事で、僕達も王都に帰る事にした。
でもせっかくなので、ジャイロ君達へのお土産も買っていく事にしたんだ。
「よーっし、せっかく商人の国に来たんだから、色々買うわよー!」
リリエラさんも今日に限ってはいつも以上にやる気に満ちている。
それというのも、魔物料理大会の件で今一つ納得いかない理由で莫大な慰謝料を手に入れてしまった事が原因らしい。
それもあって、リリエラさんはこれを機に町にお金を落としておきたいみたいだ。
「仮にも流通の国だもの、料理の町でも他の町から流れてきたオシャレなモノがいっぱいある筈よ!」
確かに商人の国だもんね。この町に立ち寄った商人達がただ美味しいご飯を食べて出ていく筈がない。
銅貨一枚でも儲ける為に何かしら売ろうとするだろう。
リリエラさんはそういう品をお望みみたいだ。
「僕達はジャイロ君達のお土産に食べ物かなぁ」
「キュウ!」
オシャレはさっぱり分からないから、僕とモフモフは男性陣用に食べ物を買いに行くことにする。
「何言ってるの。レクスさん達の服も探すのよ」
「え?」
「キュ?」
「皆服には頓着しなさすぎなのよ。上位ランクの冒険者たる者、貴族やお金持ちのパーティに誘われる事もあるわ。そういう時にちゃんとした服を持っていなかったら、恥をかくのは自分なのよ!」
「いや、僕は貴族と関わる機会は無いので……」
「そんな事言って、温泉の時もメグリの時も貴族と関わったじゃないの。あの時は向こうが気を利かせてくれたけど、いつもあんなに話の分かる貴族だけじゃないのよ。冒険者が舐められない為にも、ちゃんとした服を用意するわよ!」
「ひぇぇぇ」
なんだかいつもと雰囲気が違いませんかリリエラさん!?
「キュッキュウ」
何その「まぁがんばれよ」みたいな鳴き声!?
「ほらほら、急ぐわよレクスさん!」
「わわわわわっ」
◆
「はぁ……疲れたぁ」
あれから僕はリリエラさんに町中の服屋を連れて歩かされた。
あっちの服はいまいち、こっちの服は素材がとか、よくもまぁそこまで細かく見れるもんだよ。
服なんてよっぽどボロでなければそれで良いと思うんだけどなぁ。
「ギュウ……」
そして何故かモフモフもペット用の服をアレコレと着せられていたんだ。
終いには、モフモフが珍しい姿をしているからと、お店の人がモフモフに装備できる品をアレコレ出してはお人形遊びのように着せ替えを楽しむ始末。
お陰で僕だけでなく、モフモフまで服選びに巻き込まれて疲労困憊になっていたんだ。
「ふー、まぁこんなものかしらね」
グッタリする僕達に対し、リリエラさんはツヤツヤと満足気なご様子。
「えっと、良かったですね……それじゃあそろそろ帰……」
「次はアクセサリね!」
「「っっっっ!?」」
なっ!? まだ続くの!?
僕とモフモフはいつ終わるとも知れない地獄に恐怖する。
あわわ、これじゃあ今日中に王都に帰れないよぉ~!
「じゃあ行きましょうか!」
とほほ、これは覚悟を決めるしかないか……あれ?
「あっ、ここは……」
「どうしたの?」
ふと顔を上げた僕は、そこが見覚えのある通りだと気付く。
「リリエラさん、ちょっとあっちに寄って行きませんか」
「あっち?」
買い物の息抜きにと、僕はリリエラさんをその方向に誘う。
「確かこの先にあるのってあのガラクタを売っていた通りよね? でもあの通りってもう……」
そう、壊れたマジックアイテムや怪しい品物を売っていたガタクタ通りは、魔物料理大会の運営の不正を暴く為の仮の姿。
インチキ商品を売っている場所なら、地元の人は好んでやってこないだろうという心の隙を狙った心理的結界だったんだ。
彼等はそこで運営委員の不正情報などをやり取りしていたって訳さ。
でもその運営委員の不正も暴かれた今、ガラクタ通りは役目を失った。
だからこの先に行ってももう誰もいないんだけど、何となくこの町を出る前にもう一度見ておきたくなったんだ。
だってこの先で出会った店主さん達が居たからこそ、カロックさん達は優勝する事が出来たんだからね。
「良いわ、行きましょ。って言っても何にもないでしょうけどね」
僕達は大通りを外れ、裏通りへと入る。
けれどやっぱりというかそこには……
「「「「へいらっしゃい!!」」」」
沢山の露店の店主達が待っていたんだ。
「「って何でいるのぉーっ!?」」
え? あれ? 何で!?
「ちょちょ、おじさん達は運営委員の不正を暴いて慰謝料で店を取り戻したんじゃないの!?」
そうだ、この人達は運営委員会の店主達に潰された店を再建して、今はもう元のお店の経営に戻ってるはず。
「はははっ、俺達が店を潰されたのは随分昔だしな。すっかり腕も錆びついちまってるさ。そんな訳で取り戻した店は息子達や孫に任せてるのさ」
「そんで俺らは悠々自適の隠居生活って訳だ」
なんと、そうだったんだ。
「「「「つーかまぁ、観光客が騙されてガラクタを買ってくのが面白くなったからってのもあるんだけどな!」」」」
「「最悪だぁーっ!!」」
「キュウーっ!!」
なんという事だろう。長い雌伏の時は店主達におかしな趣味を芽生えさせてしまったみたいだ……
「悪質な商売して捕まっても知らないわよ」
「ははは、安心しな。ちゃんと真っ当な売りものもあるからよ。コレとかな」
と、店主の一人が差し出したのは綺麗な髪飾りだった。
「あら綺麗」
「これは遺跡から発掘されたマジックアイテムだが、壊れて使えなくなったもんだ。それでもこの通り見た目は綺麗だからな。古代のアクセサリとして売ってるのさ」
「壊れて使えなくなってもインテリアとしては使えるモノもある。ここの事を本当に理解してる客は、そういう用途で買ってくれるのさ。後はマジックアイテムの研究をする魔法使いの先生方とかだな」
成程、ただインチキ商品を売ってるだけじゃないって訳だね。
そういえば今の時代って、遺跡から発掘された品を古美術品として売る事もあるんだっけ。
もしかしたらそういった古美術品には、ここで売ってるガラクタのように壊れたマジックアイテムがあるのかもしれないね。
「てな訳でどうだい、壊れたアクセサリ型のマジックアイテム、買って行かないか? 俺達の恩人様なんだ、お安くしておくぜ」
と店主達は買って買ってオーラを放ってくる。
「ふむ、確かに悪くないデザインよね」
意外にもリリエラさんは乗り気の様だ。
古代のアクセサリというのも興味を引いたのかもしれない。
でもそうだね、マジックアイテムなら僕が直せば良い訳だし。
「おぅ、兄ちゃんはこっちなんてどうだい? 古代の王が使っていたって言う王冠だ!」
……うん、それは思いっきり呪いのアイテムですね。
っていうか王冠なんてどうしろと?
「……これとこれ、こっちはメグリに合いそうね」
買い物モードに入ったリリエラさんは自分の分だけじゃなく、女性陣の分も見繕っている。
これはアレだね。そっとしておこう。下手に話しかけると巻き込まれてしまうのが目に見えている。
こういう時は周囲に溶け込み空気と一体化するのが一番だ。
前世でもお姫様や貴族のお嬢様の買い物に付き合わされて酷い目にあったからなぁ。
「……」
「なぁ兄ちゃん」
気配を消して周囲に溶け込もうとしたその時、傍にいた露店の店主が話しかけて来たんだ。
「はい? 何ですか?」
「これとかそこの姉ちゃんにどうだい?」
そう言って店主が差し出してきたのは、綺麗な青い蝶の髪飾りだった。
「おー、綺麗ですねぇ。リリエ……」
「待った待った! 教えちゃ駄目だろ!」
「え? でもリリエラさんに勧めるんですよね?」
その為に僕に声をかけて来たんじゃないの?
「っ、はぁーっ、こりゃあの姉ちゃんも苦労するぜ」
けれど何故か店主は肩を落として呆れたようにため息を吐く。
ええと、どういう事です?
「いいかい兄ちゃん。女の子が喜ぶのはサプライズなプレゼントだ。土産物を見繕ってる相手にこれも買ったらどうだいなんていうのはあまりにも情緒が無さすぎってもんだろ」
「は、はぁ……」
そういうもんなの?
「こういうのはな、こっそり買っておいて、後で二人きりになった時に君に似合うと思って買っておいたんだって言いながらプレゼントするのが粋ってもんなんだ!」
「な、成る程」
そういうものなんだ……
「と言う訳であのお嬢さんを喜ばせる為にもおひとつどうだい? プレゼントに最適な小箱もセットで付けてやるぜ」
そう言いつつ、店主はアクセサリを入れる為の小さな青い箱を取り出す。
箱は表面に上質な布地が貼り付けられ、箱だけでも結構なお値段がすると分かる。
でもそうか、リリエラさんを喜ばせる……
よく考えると、パーティを組んでからというもの、僕の都合でリリエラさんを引っ張りまわしていたからなぁ。
たまには労う必要があるのかもしれない。
「そうですね。一つ頂きます」
「毎度あり! 箱はサービスで金貨5枚だ!」
僕は金貨5枚を支払ってアクセサリを受け取ると、リリエラさんにバレないようにこっそり魔法の袋にしまい込む。
「ふー、良い買い物だったわ」
丁度リリエラさんの買い物も終わったみたいなので、僕達はガラクタ通りでの買い物を終える事にした。
「「「「また来てくれよなーっ」」」」
ガラクタ通りを出た僕達は、ジャイロ君達男性陣用のお土産に珍しい食料を買い込むと、今度こそ町を後にしたんだ。
◆
「今日は近くの町で一泊した方が良さそうですね」
買い物に予想外の時間を使ってしまった為、移動してる途中で夕方になってしまった。
「そうね。でもそれなら転移魔法で王都の屋敷に直接戻れば良いんじゃないの?」
と、リリエラさんが身も蓋もない事を言う。
確かに転移マーカーを設置してある場所なら転移魔法で一瞬で移動が可能だけど、今回、少なくとも今はまだそう出来ない理由があったんだ。
「あっ、ちょっとそこで休憩していきませんか?」
僕はちょうど良さそうな丘を見つけると、そこに着陸する。
「休憩ってどうしたの? もしかして疲れた?」
僕の不審な行動の理由を体調不良ではないかと心配したリリエラさんが不安そうな顔になる。
「いえいえ、そうじゃありませんよ」
夕暮れ時の景色の良い場所、うん、ピッタリだね。
「実はリリエラさんに渡したい品があるんですよ」
「渡したい物?」
リリエラさんは何をと首を小さく傾げる。
「はい、これを」
そう言って僕は魔法の袋から取り出した小箱を差し出す。
「これは……?」
「開けてみてください」
「う、うん」
箱を受け取ったリリエラさんは何故かちょっと緊張した様子で箱を開ける。
「わぁ……!」
中に入っていた青い宝石の蝶を見て、リリエラさんの顔が輝く。
「綺麗! これを私に!?」
「ええ。リリエラさんに似合うと思って」
リリエラさんは目を丸くすると、視線を僕とアクセサリに何度も行き来させる。
「……あ、ありがとう。嬉しいわ」
そう言って夕日に負けないくらい顔を真っ赤に染めるリリエラさん。
よし! 店主さんから聞いた女の子が喜ぶプレゼントの渡し方大成功!
あの時店主さんから失敗しないプレゼントの渡し方を教えて貰って良かったよ!
あっ、そう言えば人から聞いたことは絶対教えちゃいけないんだっけ。
それを言うと台無しになるんだとか。
「えっとね……」
と、リリエラさんが何かを伝えたいのかモジモジとしつつアクセサリの入った小箱を僕に差し出してくれる。
「せっかくだから、レクスさんの手で着けてくれないかしら」
「っ!?」
その姿が、あまりにも可愛くて不覚にもドキッとしてしまった。
「あっ、はい」
ええと、こういうのってどうやって着ければいいんだろう?
予想外の展開に困惑した僕は、箱から取り出したアクセサリを手で弄んでしまう。
「えっとね、ここを外して髪の毛を挟めばいいのよ」
「わ、分かりました」
リリエラさんに着け方を教えて貰いながら、僕は彼女の髪にアクセサリを取り付ける。
「どう? 似合ってるかしら?」
夕日に照らされたリリエラさんの金髪に、青い宝石の蝶が輝く。
「ええ、とても綺……」
その時だった。突然宝石の蝶が輝きを放ち始めたんだ。
「え!?」
「何? どうし……キャッ!?」
蝶は眩い輝きを放つと、光の羽が大きく広がってリリエラさんの体を包み込んでゆく。
「リリエラさん!?」
まさかこのマジックアイテム、生きていたのか!?
「レクスさ……」
光の中から聞こえて来たリリエラさんの声が途切れる。
「リリエラさーん!!」
どうする!? この光の中からリリエラさんを引きずり出すか?
いや、効果を発揮したマジックアイテムに迂闊に接触するのは危険だ。
下手をしたら最悪リリエラさんの命に関わる危険がある。
状況を把握しない事には対策を取る事も出来ないと、僕が忸怩たる思いで状況を見守っていると、光はどんどん小さくなっていく。
だけどそれで終わりではなかった。
小さくなった光は、明らかにリリエラさんの体よりも小さくなっていくのに、そこにリリエラさんの姿が無かったんだ。
「マズイ!?」
まさか転移系のトラップアイテム!?
焦る僕の前で光が完全に消えると、そこには……
「……」
ブカブカの服を着た小さな女の子が居たんだ。
「え?」
「…………」
女の子はキョロキョロと周囲を見回すと、僕に視線を合わせる。
「えっと、リリエラさ……ん?」
「ふぇ」
「ふぇ?」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!! お母さぁぁぁぁぁぁん!!」
そして突然猛烈な勢いで泣き出したのだった。
「って、どういうことぉぉぉっっ!?」
モフモフΣ(:3)∠)_「さぁ大変な事になってまいりました(人事なのでお肉片手に高みの見物)
チビエラ(ヾ(:3ノシヾ)ノシ)「ビエーッ!!」
レクス_:(´д`」∠):_「あわわわわ」
露天の店主_:(´д`」∠):_「あわわわわ」
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