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二度転生した少年はSランク冒険者として平穏に過ごす ~前世が賢者で英雄だったボクは来世では地味に生きる~  作者: 十一屋 翠
魔物料理大会編

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310/355

第310話 片付け終わって…

作者_(:3 」∠)_「インセクトが多い季節になってきました」

ヘルニーヾ(⌒(ノ-ω-)ノ「桜も終わっちゃったねー」

ヘイフィー_(:3 」∠)_「花びらの代わりに花粉と黄沙が来るから」

作者_(:3 」∠)_「やめれー」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「カルブティーノ運営委員長! 貴方を不正の容疑で逮捕する!」


 突然試合会場に現れた衛兵隊によって、運営委員長は捕らえられてしまった。

 というかこれってどういう事!? 僕達は巨大魚の稚魚を退治しに来ただけなんだけど!?


 そしてあれよあれよと言う間に僕達は衛兵隊に同行を求められ、衛兵隊の宿舎へとやって来たんだ。


「ご足労願ってすまないな」


 そして現れたのは衛兵隊の隊長さんらしき人と……


「貴方はガラク……裏通りの店主さん?」


 そう、裏通りでマジックアイテムのガラクタを売っていた店主さんの一人だったんだ。


「はははっ、ガラクタ通りの店主で良いぜ。実際その通りだからな」


 僕のうっかり失言を店主さんは笑って許してくれたのでちょっと安心。

 でも一体どうしてこの人がここに?


「まずは君達に礼を言わせてもらいたい。おかげで大量の魔物が町の住人に被害を与えずに済んだ」


 と、隣にいた衛兵隊の隊長さんが頭を下げてくる。


「いえ、気にしないでください。というかあの魔物食材を運んできたのは僕なので、責任を取ったという方が正しいですから」


 そうなんだよね。アレを町に持ち込んだのは僕の不手際だ。

 そう言う意味では僕があの事態を引き起こした元凶といえる。


「いや、魔物食材によるトラブルは依頼主の責任だ。食材の受け渡し前ならともかく、受け取って依頼の完遂を宣言した食材にトラブルが起きても獲って来た者が罰を負う事はない。幸い、食材の受け取りの瞬間は大勢の観客の前でされているからね」


 成程、今の魔物食材のトラブルはそういう解決法になってるんだ。

 僕達がギリギリ決勝に間に合った事が良いように働いたみたいだね。

 そう考えると、さっきのカルブティーノ運営委員長の言い分は見当はずれの言い逃れだったから、僕達が衛兵隊に掴まらずに済んだって事なのか。


「さて、それじゃあそっちも色々聞きたいだろうから、ここに呼んだ理由を説明するぞ」


 と、衛兵隊の隊長さんが僕達をここに連れてきた理由を説明いてくれる事になった。


「まず今回の件だが、我々はカルブティーノ氏、いや魔物料理大会の不正を以前から追っていたんだ」


「大会の不正ですか?」


「でもそれって公然の秘密なんでしょ?」


 リリエラさんの言う通り。もう町の皆が知ってて知らないフリをするレベルのはこれまでの出来事で疑いようがない。


「だからといって闇討ちしたり食材を盗んだりするのは普通に犯罪だろう」


 そう言えばそうでした。


「何より連中は料理大会以外でも悪辣な真似をしている連中が多くてな、こちらのヴィル氏のように罠に嵌められて自分の店を潰された料理屋は多い」


「え!? 店主さんって料理屋をやってたんですか!?」


 じゃあ何でガラクタを売るような事をしてたんだろう?


「俺だけじゃないぜ。ガラクタ通りの連中はどいつもこいつも、運営委員達の圧力で店を潰された連中ばかりだ」


 まさかの他の露天まで!?


「魔物料理が売りの町で何の関係もないマジックアイテムのガラクタをインチキ同然に売ってたのも、再び料理のを開いて連中に目を付けられない為さ。そうやって落ちぶれたふりをしてアイツ等の目を欺き、奴らの不正の証拠を探していたんだ」


「そんな事をしてたんですね」


「勿論俺達だけじゃない。あいつ等にハメられた店の連中の中には町を出て大人になってから戻って来て、運営員会や連中の経営する店に素性を隠して張り込み、内部の情報を探っていたんだ」


 そこまでして!? 凄い執念だね!?


「お陰でだいぶ情報が集まったんだが、肝心かなめの決定的な証拠がなかなか掴めなくて困っていた所でアンタ達が現れたって訳だ」


 店主さん、いやヴィルさんは僕達だけでなく、カロックさん達にも視線を向ける。


「え? 俺達もか?」


「そうだ。前回の大会4位の人間が妨害を潜り抜けて大会に参加するという情報は俺達にとっても都合が良かった。何せ連中にとっては大会の上位入賞者はこの町の店でないとマズいんだからな。アンタは最も目障りな相手だったのさ」


 それだけ運営委員もあの手この手でカロックさんの排除に向かうだろうと考えて、彼等は運営委員の動向を見守っていたらしい。


「同時に俺達は君の参加を気にある人物の協力を仰いだ」


「ある人物?」


 カロックさん達が首を傾げると、ヴィルさんがニヤリと笑みを浮かべる。


「入ってきてください」


 ヴィルさんがそうドアに向かって声をかけると、扉がゆっくりと開き、一人の人物が部屋の中へと入って来た。


「え?」


「うそ!?」


 その人物を見たカロックさんとリレッタちゃんが目を丸くして驚く。


「また会ったなカロック、リレッタ」


「師匠!?」


「クソジジイ!!」


 そこに現れたのは、カロックさんの師匠だったんだ。


「はははははっ、クソジジイとはご挨拶だな。まぁ、そう言われるのも仕方がないんだが」


 リレッタちゃんに罵倒されたカロックさんの師匠は、けれどそれを怒ることなく笑って受け止める。

 うーん、なんていうか今までと随分と印象が違うような……


「どういう事だ!? 何で師匠がここに!?」


「それは我々がタルメルク氏に事情を説明し、リストランテプルーメからの依頼を受ける様に頼んだからだ」


 何でもカロックさんの師匠を呼ぶことを提案したのは素性を隠してお店に入っていたガラクタ通りの店主さんの息子さんらしく、それを利用して別の方向から不正の証拠を探っていたらしい。


「まさか師匠が不正暴きに加わっていたなんて……」


「すまんな。下手にお前に接触すると警戒されると思ってああいった態度を取らせてもらった」


 この態度を見る限り、カロックさんの師匠はカロックさんに対して悪意のような物はなさそうだ。

 でも、リレッタちゃんはそうではなさそうで……


「お兄ちゃんを追い出したくせに」


 こんな感じでずっとブスッとした顔をしていたんだ。


「おいリレッタ、師匠に失礼だろう」


「構わん構わん。この子が儂を憎むのも当然の事だからな」


 やっぱりカロックさんの師匠は怒ったりせず、寧ろ申し訳なさそうな顔でリレッタちゃんの怒りを受け止めていた。


「それにしても、立派になったものだ。まさかこの町の料理大会を実力で優勝するなんてな」


「当然よ! お兄ちゃんはアンタなんかよりも全然凄い料理人なんだから!!」


「こら、いい加減にしろリレッタ!」


「うむ、その通りだ」


「え?」


 けれどあっさり肯定されて肩透かしを食らってしまうリレッタちゃん。


「カロックの腕は儂を越えている。……あの日、お前達を破門する前からな」


「ええ!? 何を言ってるんですか師匠!? 昔の俺が師匠を越えていたなんてそんなっ」


「お前も大事なものを掴んだようだから、もう言っても良いだろう。カロック、お前はとっくに儂を越えていたんだよ」


 カロックさんの師匠は、カロックさんに言い聞かせるように、もう一度同じ言葉を繰り返す。


「カロック、お前は儂の友人であるお前の父に似て、優秀な子だった。儂の教えを瞬く間に吸収し、数年と経たずに儂に迫る程になったのだからな」


だが、とカロックさんの師匠は言葉を切る。


「お前の料理の腕は見事に成長したが、それ以外の部分があまりにもアンバランスだった。それは両親を失ったせいもあるだろう。お前には親元から自立する気概が不足してたのだ。いつまでも儂の後を追おうとしているお前では、いざ一人立ちした時に儂に頼る気持ちが残ってしまう。そこで儂はお前の自立を促す為に破門したのだ」


 ほんのわずかに、カロックさんの師匠の視線がリレッタちゃんに注がれたのは、カロックさんが師匠離れ出来ない理由には、自分だけではリレッタちゃんを守れないという甘えがあったからとも考えたんじゃないかな。

 でもそれを言ったらリレッタちゃんが傷つくから、言うのを辞めたんだろう。

 カロックさんの師匠は、そういう気遣いに満ちた目を二人に向けていた。


「じゃ、じゃあ、お兄ちゃんの腕に嫉妬して追い出したんじゃないの?」


「いや、嫉妬しておったよ」


「え!?」


 またまたあっさり肯定されてリレッタちゃんが困惑する。


「儂が数十年かけて到達した場所に経った数年でたどり着いたんじゃぞ。嫉妬せぬわけがないじゃろ」


 まぁそう言われるとそうだよね。


「しかし同時に見て見たくもあった。不甲斐ない師匠の下から羽ばたいて自由になったカロックがどれだけ成長できるのかを」


 と、目を細めて笑みを浮かべるカロックさんの師匠。


「まさかあんな化け物みたいな魚を飛び跳ねて解体するとは思ってもおらなんだわ! いや本当に大したもんだ!」


 カロックさんの師匠は心底嬉しそうにカロックさんの成長を喜ぶ。

 その顔に本人が言ったような嫉妬は欠片も見当たらない。


「いえ、俺が成長できたのは全部師匠のお陰です。師匠が俺を育ててくれて、心を鬼にして追い出してくれなければ、俺はいつまでも師匠に甘えてそれ以上の成長が出来なかったでしょうから……」


 カロックさんは何かを堪える様に歯を食いしばると、勢いよく頭を下げた。


「あの時は言えませんでしたが、本当にお世話になりました!!」


「……ほんに立派になったな、カロック」


 ポンポンと、カロックさんの頭を撫でる師匠。

 うん、良かったねカロックさん。


「感動の再会も終わった所で話に戻ろうか」


と、今までひっそりと気配を消していた衛兵隊長さん達が声をかけてきた。

そういえば運営委員の不正の件で呼ばれたんだっけ。


「不正に加わっていた運営委員と、料亭関係者も現在別動隊が逮捕に向かっている。これでこの町も風通しが良くなるだろう」


 どうやら運営委員長以外の幹部と実行犯達も捕らえられるみたいだね。


「それでだ、君達には今回の事件に巻き込まれた被害者として慰謝料を受け取って欲しい」


「「「「慰謝料?」」」」


「そうだ。特にカロック君達は命を狙われたり食材を盗まれたからな。当然慰謝料を貰うべきだろう」


 それは確かに。あの邪魔が入らなければカロックさん達は苦労する事もなかっただろうしね。


「カロック君にはこの町の空き店舗を契約金と貸し出し審査なしで提供しよう」


「店を……ですか?」


「ああ。君も自分の店を持ちたいんだろう? 丁度空き店舗になる予定のお勧めの店があるんだ。中古で悪いが、代わりに立地はなんと大通りの一等地だ!」


 おおっ! それは破格の報酬だよ!

 大通りの一等地何て欲しくても滅多に手に入らない土地だからね!


「そんな良い土地が何で空き店舗になるんだ?」


 あっ、言われてみれば。


「アレでしょ。不正で捕まった運営委員のお店なんじゃない?」


「「あっ」」


 成程、そういう事か。


「ご名答。捕まった店主が店に戻る事は無理だろうからな。せっかくの一等地を遊ばせておくのももったいない。そこで魔物料理大会で一位になった話題の天才料理人の店として活用して欲しいって訳だ!」


 成程ね、今のカロックさんに必要なのは大会優勝者の料理を食べたいお客さんを捌ける大きなお店だ。

同時に不正を行っていたとはいえ、町で有名な人気店が同時に潰れたら、食事が売りのこの町の税収に大打撃を与えてしまう。

 衛兵隊が逮捕を躊躇っていた理由にはそういった事情もあったんじゃないのかな?

 でもいい加減不正を行っていた運営委員達を捕まえたい。


 そこに現れたのがカロックさん。逮捕劇に関わりのない彼が店を開けば、町の外からやってきたお客さん達も皆納得してくれるって訳だ。


「ただな、代わりといっちゃあ何だが、リストランテプルーメのスタッフを雇っちゃくれないか?」


 と、ヴィルさんがリストランテプルーメのスタッフを引き続き働かせてほしいと頼んできたんだ。


「プルーメのスタッフを?」


「でもその人達って私達を襲ってきた連中じゃない!」


 プルーメからの妨害が記憶に新しいリレッタちゃんはヴィルさんの申し出に反対のようだね。


「それは店の一部の連中だ、そいつ等は店主と共に捕まえたし、大半は真っ当な従業員なんだよ。あれだけの大店が潰れたら路頭に迷う人間はかなりの数になる。だから次の働き口が必要になるんだ」


 けれどヴィルさんはそういった相手はごく一部の人間で、大半の店員には罪はないと彼等を弁護する。


「しかし俺にはそんな沢山の人間に命令出来るような経験はないぜ」


 それと同時に、カロックさんも、それだけ多くの人達の生活を預かる事に難色を示す。

 そうだね。今までは兄弟二人の屋台だったから、尻込みしてしまうのも無理はない。


「そこは安心して欲しい。過去プルーメの店主達に潰された料理店の店主達に協力してもらう。彼等が再び自分達の店を持つ為の資金が溜まるまでは、お前さんの店で過去の経験を活かして指導役になってもらえ。そしてお前さんも彼等から経営のイロハを学ぶといい」


成る程、プルーメの店員だけでなく、運営に潰されたお店の人達の再就職先もあっせんするのが目的なのか。

でもカロックさんにとっても有益な話だし、上手い落としどころだね。


「悪い話じゃないだろう。店を持つ為の余計な審査や支度金なしで一等地に店が持てて経験豊富なスタッフも手に入る。店が早く開けば客も喜んで皆幸せって訳だ」


 ……言ってる事は正しくて、どちらにも利益のある良い話なんだけど、何ていうか胡散臭い。

 長年ガラクタ通りで怪しい物を売っていた弊害が出てる気がするよ……

 そしてヴィルさんに唆された、カロックさんはちらりと助けを求める様に自分の師匠に視線を送るも、カロックさんの師匠はあっさりと視線を逸らした。


「自分の店の事だ。自分で考えろ」


あからさまに拒絶されてションボリするカロックさん。まぁこればかりは彼の師匠の言う通りだ。

自分の意志で決めなければ、何かあった時に後悔するだろうからね。

そして眉間に皺を寄せて悩みことしばし、カロックさんは大きく溜息を吐いてこういった。


「……分かった、いや分かりました。その話受けさせて貰います」


 おお、決めたんだね!


「どうせいつか店は持つつもりだったんだ。なら腹をくくるぜ!!」


「うん、頑張ろうお兄ちゃん!! 私も協力するよ!」


「ああ、頼むぜリレッタ!」


「よし、決まりだな。店はすぐに引き渡すから、お前さんはいつでも店を始める事が出来るよう、店主達と店で出すメニューの相談をしておけ。コイツは店舗の権利書と引き渡し書類だ。必要事項を記入してくれ」


「分かった」


 話が決まった事で、ヴィルさんがカロックさんに店舗に関する書類を差し出す。


「さて、次はアンタ達だな」


 これで終わりと思ったら、ヴィルさんは僕達の方を向いてそう言ってきたんだ。


「え? 僕達もですか?」


「私は何もしてないんだけど……」


「レクスさん達には我々から謝罪させてください」


 そう言って新たに部屋に入って来たのは、眉間に皺を寄せた壮年の男性だった。


「初めましてこの町の冒険者ギルドの副ギルド長をしているクルキと申します」


「副ギルド長!?」


 うわわ、大物じゃないか!


「初めまして。レクスです」


「リリエラです」


 僕達が頭を下げると、クルキさんは頭を上げてくれと慌て始める。


「この度は当ギルドの者が大変ご迷惑をおかけしました」


「ご迷惑ですか?」


 はて、何か迷惑をかけられたっけ?


「実は先日お願いした魔物料理大会の食材採取の依頼なのですが、アレはギルドに正式に申請されたものではないのです」


「え? そうだったんですか!?」


 そうなの!? でもあの時やってきた人達は冒険者ギルドの正式な書類を持っていたし、てっきり正式な依頼だと思っていたんだけど……


「不正を行った者を問い詰めたところ、正式な依頼ではないのを良い事に、居もしないデタラメな魔物の捕獲依頼を頼み、依頼そのものを有耶無耶にするつもりだったみたいです」


ん? 何かおかしくない?


「え? デタラメな魔物? でもいましたよ巨大魚? それにアレで正しかったって確認もしてもらいましたよ?」


「そうなんですよねぇ。それは我々も不思議で」


「はぁ……」


 なんだかよく分かんないけど、アレは正式な依頼じゃなかったみたいだ。


「ええと、話を戻しますが、調べたところ、不正を行ったのは運営委員の遠縁だったらしく、その伝手を悪用して色々と不正を行っていたようなのです。そういう事情もあって貴方がたに謝罪に来たわけです」


「そうだったんですね」


 何とも閉まらない感じで僕達はペコペコと頭を下げ合う。

 それにしても冒険者ギルドの職員に運営委員の関係者が居たのか。

 悪い人はどこにでも紛れ込むもんだなぁ。


「本当ならもっと早く謝罪に来たかったのですが、ギルド長もこの件で上層部への釈明に忙しく、なんとか動けるようになった私が来た次第です」


「ギルド長が上層部に釈明ですか!?」


 予想外に大事になっていて僕は思わず声を上げてしまう。


「ええまぁ、ギルド長といってもあくまで一支部のトップですからね。というのも今回の不正に関わっていた職員は、運営委員の子飼いのゴロツキを適性試験免除で冒険者試験を合格させていたんですよ。しかも運営委員からの実体のない依頼を受けて、それを合格してランクを上げていたんです。ギルドとしたら不正なランク操作ですからね。当然責任者のギルド長の責任問題ですよ」


 うわぁ、大事件じゃないか……


「不幸中の幸いだったのは、一つの町のなかだけでの不正だったので、Dランクまでしか昇格していなかった事ですか。冒険者とはいえ、ランクが上がれば社会的信用も上がりますから、運営委員としては上位ランクに昇格させて、不正を誤魔化す隠れ蓑にしたかったんでしょうね」


「そんな事になってたのね……」


 許せないな。冒険者を悪事の隠れ蓑に使用だなんて!! ……そう言えば大剣士ライガードの物語でもそんな話が合ったような。

 ライガードが依頼でやってきた土地にはとある高ランク冒険者が居たんだけど、実はその冒険者は偽物で、ライガードはその事を知って狙われた少年と共に真実を明らかにするって話だったんだよね。

 って、いけないいけない、今はそんな事を思い出してる時じゃなかったよ。


「そういう訳で、この件についてはカロックさん達にも大変ご迷惑をおかけしました。不正に登録された冒険者達にはカロックさん達への妨害を命じられた者達が居たんです」


「あー、いや、気にしないでください。お陰で俺達はレクスさん達に会えて優勝できましたから」


 副ギルド長が頭を下げると、カロックさんは気にしないでくれと苦笑する。


「そう言ってもらえると助かります。それでレクスさん達にはまず依頼を正式なモノとして報酬を支払わせて頂きます。更に報酬と同額の慰謝料をご用意させて頂きました」


「ええ!? そんなに払って大丈夫なんですか!?」


 あの巨大魚の報酬ってかなりの金額だよ!?


「ご安心を。捕らえた運営委員達と不正を行っていた職員がたんまり貯め込んでいましたからね。不正な蓄財は全て没収して被害者の方達に還元する予定です」


 うわぁ、そんなに裏で儲けていたんだ……


「でも私が貰う理由はないわ。本当に何もしてないわよ」


 と、そこでリリエラさんが自分は関係ないからと自分の分の慰謝料を拒否する。

 でもそれは違うよリリエラさん。


「いえ、そんな事は無いと思いますよ」


「え?」


「カロックさん達の護衛に協力して貰いましたし、巨大魚を運ぶのも手伝ってもらいました。リリエラさんはちゃんと仕事してましたよ」


 特にリレッタちゃんの護衛はリリエラさんがやってくれたからね。

 しっかり仕事をしていたよ。


「キューキュー!」


 そしたらモフモフが自分を忘れるなとばかりに僕の足を叩いてきた。


「ああ、ゴメンゴメン、モフモフも頑張ってくれたよね。後で何か美味しい物をご褒美にあげるね」


「キュッ!!」


 分かればいいんだと言わんばかりのモフモフのリアクションがちょっと面白い。


「ええ、レクスさんの言う通りです。結果的に我々の調査も進みましたから、お二人には感謝しているのです。本当ならリリエラさんのランクアップの推薦をしたいのですが、事が冒険者ギルドの醜聞なので、あまり表ざたに出来ないんですよ」


 表ざたに出来ないからランクアップの査定に使えない? でも昇格審査はギルド内の話だから関係ないと思うんだけど?


「つまりその報酬は口止め料も兼ねてるって事だ。冒険者ギルドが不正に加わってたって事が世間に知れると、真っ当な冒険者にも迷惑がかかるからな。だから詫びとして金を出すから黙っててくれって事さ」


 と、カロックさんの書類の記入が終わった事でヴィルさんが会話に加わって来る。

 確かに、一部の悪い人達の為に冒険者全体が迷惑を被るのは理不尽な話だからね。


「分かりました。そういう事なら受け取ります」


 これは受け取らないと話が進まない奴だね。

 ギルド側としてはなんとしてでも受け取って欲しいんだろう。


「で、慰謝料の半分はリリエラさんが受け取ってください」


「いや貰いすぎでしょ!? 半額でも多いわよ!?」


 金額が多すぎると拒否するリリエラさんだけど、僕の方も普通にカロックさん達の護衛をして食材採取に行っただけのつもりだから、いまいち役に立った気がしないんだよね。

 なのでパーティの手柄は仲間全員の手柄としてリリエラさんにも受け取ってもらうよ!

 その方が僕も気が楽だし。


「あっ、気が引けるなら、この町でパーッと使ったらどうですか」


 うん、ナイスアイデアだ。

 運営委員の謙虚でこの町もゴタゴタしてるだろうからね。

 この町にお金を払う事で、問題解決に奔走する衛兵隊やヴィルさんのお給金に還元するとしよう。


「いやそれでも使い切れないって……はぁ、分かったわ。貰うわよ。貰わないとギルドも困るんでしょ?」


「そういう事です。口止めとは言いましたが、純粋に迷惑をかけたことへの謝罪でもあるので受け取ってくださると助かります」


 と副ギルド長もニコリと笑みを浮かべる。

 まぁギルドとしてもメンツがあるからね。職員の不正でここまで大きな事件になった以上、しっかりを誠意を見せないと行けないんだろう。

 口止めとか言ったけど、領主様にはしっかりバレてるだろうからなぁ。


「でしょうねぇ」


「改めてこの度は御迷惑をおかけしました。今後はこのような事が無いように気をつけますので」


「本当に助かった。次にアンタ達がこの町に来るまでには風通しの良い町にしておくからよ」


 こうして魔物料理大会を巡る騒動は、僕達に予想外の追加報酬を残して終わりを告げたんだ。


「それじゃあ俺達も行くとするよ」


「お客さんが沢山待ってるから、急いでお店を開かないとね!」


 カロックさん達はさっそく開店に向けて動き出すみたいだね。


「二人共頑張ってください」


「無理しちゃだめよ」


「へへっ、安心してくれよ。何せ師匠も手伝ってくれるからな!」


「あれ? そうなんですか?」


 どうやらカロックさんの師匠は、自分のお店に戻る前に経営のイロハも伝授するつもりらしい。


「師匠として経営の手ほどきもしてやるだって。ふーん、調子いいんだから」


「おいおい、師匠は俺達の為にわざと敵のフリをしてくれていたんだぜ。いつまでスネてるんだ」


「分かってまーす」


 お師匠さんが実は味方だった事が分かって、カロックさんはご機嫌だ。

 代わりにまだ納得のいっていないリレッタちゃんは何とも複雑そうな様子だった。

 ただ前よりは雰囲気が柔らかくなってるから、まだ感情が納得できてないだけだろうね。

 気持ちの整理が付けば、リレッタちゃんも仲良くできるんじゃないかな。


「あはは、仲良くね」


「まぁそんな訳で俺達の事は心配しないでくれ。すぐに金を稼いで残りの金も耳揃えて払うからよ!」


 あっ、まだ賞金を全額支払うつもりだったんだ。


「ええ、期待してますよ」


「じゃあね二人共! お店が開いたら絶対食べに来てね!」


「その時を楽しみにしているわ」


「キュー!」


 お店を開く為に駆け出していく二人を僕達は見送る。


「さて、それじゃあ僕達も宿に戻りますか」


 今日は色々な事があったから疲れたよ。

 早く宿に戻ってゆっくりしよう。


「ちょっとちょっと、大事な事を忘れてるんじゃないの?」


「キュウ!」


 と思ったらリリエラさんとモフモフに待ったをかけられた。

 あれ? 何か忘れてる事があったっけ?


「晩御飯よ! まだ食べてないでしょ!」


「あっ! そうだった!」


 そうだった! 巨大魚の稚魚騒動で忘れてた!

 ああ、思い出したらお腹が空いてきたよ。


「早くどこかのお店に入って何か食べましょ!」


「キュキュウ!!」


二人はもう我慢できないと僕を急かす。


「そうですね。今日は美味しい物をパーッと食べましょう!!」


「おーっ!」


「キューッ!!」


 よーし、カロックさんの料理じゃないのは残念だけど、美味しい物を食べて気分転換だ!!

モフモフ_Σ(:3 」∠)_「なお、行列を潜り抜けて食事にありつくまで一時間がかかった」

リリエラ_:(´д`」∠):_「あんな騒動があったのに何で行列に並び続けてるのよ……」

並ぶ人達└(┐Lε:)┘「食材の魔物が突然暴れ出すとかよくある事なので……」

モフモフ_Σ(:3 」∠)_「修羅の町過ぎる……」

並ぶ人達└(┐Lε:)┘「あとこの町じゃ不正とかよくある事なので、ギルドの職員が不正してても特に驚かないよ」

リリエラ_:(´д`」∠):_「訓練され過ぎぃーっ!!」

レクス_(:3 」∠)_「次回から新章ですよー!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 客「そんなことより美味い飯!!」 料亭関連はまともなとこだったんかねぇ あとカロックさんに数年かけてゆっくり弟子を育てる方法教えてあげてw
[一言] 不正が表沙汰になった町でも住んでる住人はなかなか住む場所を変えられないモノだよ……リアルでもね。
[一言] ・・・ここまで大規模に不正やってるなら 領主かその下の役人にかなり協力者が居るんじゃ?
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