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第31話 モフモフとビーストアーミーズ

_:(´д`」∠):_今日はモフモフ回なので文字数少なめで……ちがう! これが普通の分量なんだ!


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

 我は獣の王。

 あらゆる獣の頂点に立つものなり。


 先日ご主人が他のオスと狩り勝負をしていたので、我も参加してみた。


「************!?」


 その結果、ご主人にはやや劣るものの、身の程知らずのオスに実力の差を思い知らせる事に成功した。


 ふっふっふっ、これが我と人間の実力差というものよ。

 我と貴様等では生まれ持った生物としての格が違うのだ。


 そして我は確信した。

 既に我とご主人の間に力の差はさほど無いと。


 そう、幼体であった我も成長とともに力を増してきたのだ。

 もはやただの人間ごときに後れを取る事は無い。


 今回の狩りの勝敗とて、たまたま質の良い獲物に出会えたかどうかという運の差でしかない。

 それはつまり、純粋な力比べにおいては決して劣っていないという証だ。


 時は来た!

 今こそ我はご主人に再び戦いを挑み、勝利し、その肉を喰らうのだ!


 ◆


「じゃあ今日は身体強化魔法のワンランク上、属性強化の訓練を行います」


「ええ、頑張るわ!」


 リリエラさんが緊張した面持ちで返事をする。

 ロディさんとの勝負が終わった翌日、僕達はリリエラさんの修行をかねて魔物の討伐依頼を受けていた。

 なんでも最近王都周辺には沢山の魔物が出現する様になったみたいで、討伐依頼には事欠かないのだとか。


「属性強化魔法は身体強化魔法を覚えた人ならそう難しくはありません。単純に身体強化に使っている純粋な魔力に属性を与えるだけです」


「属性を与えるって事は、火の魔法や氷の魔法にするって事よね? 自分の魔法で燃えたりしないの?」


 うん、中々良い質問だ。


「それは攻撃魔法として発動した場合ですね。属性強化の場合は、自分がその属性になったイメージで発動させる事が重要なんです」


「自分がその属性になる?」


「はい、火の属性強化なら自分が火になったとイメージするんです。自分も火なら火の属性で火傷したりしないでしょう?」


「……なんだか、すっごく難しそうなんだけど……」


「大丈夫簡単ですよ。こうすれば良いんです。ライトニングブースト!」


 僕は雷属性の身体強化魔法を発動し、全身に雷電を纏う。


「うわわ!? レクスさんの体がバチバチしてる!?」


「これらの属性強化を説明すると、体の表面に属性の鎧を纏っている感じになります。ちなみにこれをより上位の身体強化として発動するとこうなります。ライトニングエフェクト!」


 僕の全身に雷属性の魔力が巡る。

 ただしそれは体表を覆うような単純なものではなく、体の内側にまで雷属性の魔力が浸透し、肉体が擬似的に雷そのものとなる。


 リリエラさんはその光景に驚く様子がない。


 僕は周囲を見回し、近くに居た魔物に向かって軽く走る。

 魔物は僕が近づいているのに、気付く気配も無くじっとしている。


 僕は魔物を掴み、同時に魔物の体に雷の魔力を放つ。

 魔物はまだ反応しない。

 

魔物を掴んだままリリエラさんの下に戻る。

 魔物は一切抵抗せずに引きずられて来た。

 そして僕は元の位置まで戻ってきて魔法を解除する。


 バチン! という音と共に魔物がビクンと体を大きく跳ねさせて意識を失う。


「キャッ!? な、何!? え!? 魔物!?」


 突然大きな音が鳴って、リリエラさんが驚く。

 次の瞬間に目の前に魔物が居る事に驚く。


 そしてその魔物が意識を失っている事に更に驚く。


「え? 今何かしたの!?」


 そう、リリエラさんは目の前で起きた出来事を知覚できていなかったんだ。

 僕があまりにも速すぎた為に。


「はい、雷属性の上位属性強化を発動させて、雷と同じ速度で動いて近くに居た魔物を狩り、ここまで連れてきました」


「……は!?」


 リリエラさんは説明の内容が理解できず、キョトンとなる。


「つまり、魔法で人間には理解できないくらい速く動いたという事です」


「に、人間には理解できない速さ!?」


「はい、いま使った属性強化はそういう強化内容の魔法でした。属性強化魔法は使う属性によってその特性が大きく変わりますので、リリエラさんも色んな種類の属性強化を覚えましょうね」


「……無理じゃない?」


 リリエラさんが自信なさげにこちらを見てくる。


「大丈夫ですよ、人間得意不得意はありますけれど、まったく出来ないという事はめったにありません! 頑張れば出来ます!」


「絶対頑張るの難易度がずれてる! 絶対ずれてる!」


「案ずるより産むが易しですよ! まずはやってみましょう!」


 そう言って僕はリリエラさんに属性強化の練習を始めさせる。


「え、ええと、魔力に属性を……」


「そうそう、まずは詳細なイメージが大事です。理論はその補強です」


「キュウ!」


 と、モフモフが声を上げて森へ走っていく。


「またご飯を狩りに行くのかな? 暗くなる前に戻って来るんだよー!」


「キュー!」


 ちゃんと返事をしたから大丈夫かな。

 シャドウフォックスを狩れる実力もあるみたいだし、そうそう心配は要らないだろう。


「じゃあ僕達は修行の続きですね」


「ほんとに出来るのー!?」


 ◆


「************」


「************」


 いつもの事だが、ご主人が群れのメスに狩りの仕方を教えている。

 わざわざ教わらなければ狩りが出来ないとは、下等な種族は不便だな。


 だが我は違う。我は生まれながらの王者。

 本能が狩の仕方を理解しているのだ。


 我は森の中を走る。

 それは食事の為であるが、それだけではない。


 我が真なる目的、それは己が軍勢を築く事だ。

 そも獣とは群れで行動し、狩りを行うもの。


 そして我は獣の王、単独であっても無双の強さを誇るが、群れを率いても我は至高の指導者である。


何故その様な真似をするか?

決まっている、ご主人を打倒する為だ。

我が手足となる部下を率い、軍勢の力を持ってご主人を打ち倒すのだ。


 決して一人で勝てないから仲間が欲しい訳ではない。

 獣の王として、王として部下を率いた戦いをする事も一興だろうというだけの話だ。


 そういう訳なので、我の部下にふさわしき者達を探しに行くのだ!

 なお部下にふさわしくない者は我の食事となる。


 ◆


 ふむ、このあたりから妙に良い匂いがするぞ。


「グルォォォォォ」


 と思ったら先客が居た。

 そして良い匂いはそいつ等の口から漂ってくる。

 どうやら先に食べられてしまったらしい。


 よし、お前達は我の食事だ。

 けっして独り占めされてムカついたわけではない。


 ◆


「ギャウンギャウン!」


「ギュルルル……」


「クェー……」


 ふははははっ、弱い弱い!

 森の中を駆け回った我は、目に付いた者共を手当たり次第に倒していった。

 そして見込みのある者だけを我の家臣として連れて行く事にする。


 モワーン……


 ぬう、また美味そうな匂いが倒した者の口からしている。

 ええい、何時になったらこの美味そうな匂いの食事が出来るのだ!


 と、それはともかく、だいぶ家臣も増えてきた。

 どいつも我には劣るものの、いずれ劣らぬツワモノばかりよ。

 ふふふ、そろそろご主人に挑んでも良い頃合だな。


 者共! コレより戦を始める!

 そして我が命じた者を倒した者には我が右前足になる栄誉を与えよう!


「グォォォォォン!!」


「ギャォォォォォン!!」


「キシャーッ!!」


「クェェェェェッ!!」


 ふふふ、皆血が滾っておるわ。

 コレならばご主人といえども為す術もあるまい。

 くくく、悪く思うなよご主人、これも大自然の掟だ。


 フハハハハッ! 行くぞ者共!!


 ◆


「***********!!」


「ギョフゥゥゥゥ!!」


「ギャウーン!」


「シュェー!!」


「クキュェェェ!!」


 ご主人の放ったなんだかよく分からない攻撃によって、我が軍団は文字通り崩壊した。

 あわわわわっ。


「************」


 やばい、ご主人が近づいてくる。

 い、いかん、裏切った上に敗北したとあっては我の命は風前の灯。

 ど、どうする!? どうすれば生き残れる!?


「********」


 ご主人が何かを呟いて我の額に触れた。

 あ、死んだな。

 我は漏らした。


 ◆


 うわー、なんかモフモフが一杯魔物を引き連れてやってきたぞ。

 とりあえずリリエラさんの修行の邪魔だから倒しておこうかな。


「ちょっ!? 何アレ!? ていうか早く逃げないと!!」


 リリエラさんが慌てて逃げ出そうとしたので、僕は大丈夫だと言って迎撃する。


「サイクロンバスター!!」


 魔法で巨大な竜巻を横方向に発動する。

 通常なら縦に出来るのが常識の竜巻が横向きになって前に向かっていく。

 もちろん先頭を走るモフモフに当たらない高さに調整してね。


 竜巻は魔物達を巻き込んで上に下に吹き飛ばしていく。

 そうして竜巻が通り過ぎた後には、吹き飛んで気絶した魔物達の山が出来上がっていた。


「けどなんでモフモフは魔物を引き連れてきたんだろう? それも色んな種類の魔物を……あっ、もしかして!?」


 そうか、モフモフは僕達が狩る為の魔物をここまでおびき寄せてくれたんだ。

 僕等がわざわざ森や荒野に探しに行かなくて済むように。


「そうか、僕達の為に頑張ってくれたんだね」


 僕はプルプルと震えるモフモフの頭を撫でてやる。


 ショワー……。


 あ、お漏らしした。

 ……そっか、そうだよね。

 ものすごく怖いのに無理して僕達の為に頑張ってくれたんだ。

 当然か、君はまだ生まれたばかりの赤ん坊なんだもんね。


「ありがとうモフモフ。今夜はご馳走を用意してあげるからね!」


_Σ(:3 」∠)_ 哀願動物「裏切った我にご主人がご馳走を差し出してきた。これ食べたら処刑されるの?(チョロロロ)」


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― 新着の感想 ―
まだまだ主の本気の一端しか見えてない残念なモフモフ…( *´艸)
全てが裏目に出てる笑
[良い点] 右前足
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