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第3話 オークションとドラゴンの鱗

明日からは毎日一話投稿の予定です。

3話のラストちょっと加筆しました。

「ウチでは買い取れないんですー!!」


「何でぇぇぇぇ!?」


 どういう事!?

 もしかしてグリーンドラゴンなんてありふれてるから買い取れないって事!?

 しまったー! それならゴールドドラゴンでも探して狩ればよかったー!!


「おいおいどういう事だよエルマちゃん。これを買い取れないってのはおかしいだろ?」


「そうだそうだ、どういう事なんだ!?」


 オーグさんだけでなく他の冒険者さんもおかしいと声を上げる。

 良かった、どうやらグリーンドラゴンの素材がお金にならない訳じゃないみたいだ。

 でもだったらどうして買取できないなんていわれたんだろう?


「それはですね」


「「「「それは?」」」」


 エルマさんの言葉にみんなの声が重なるのがちょっと面白い。


「このグリーンドラゴンの死体があまりにも綺麗過ぎるからなんです!」


「「「「はぁ!?」」」」


 ど、どういう事!? なんで死体が綺麗過ぎると買い取って貰えないの!?


「なるほど、そういう事か」


「それなら確かに仕方あるまい」


 でも一部の冒険者さん達には事情が分かったみたい。

 一体どういう事なんですが!? 教えてください!


「エルマちゃんよぉ、もったいぶってないでさっさと教えてくれよ」


 オーグさんの言葉に皆がうんうんとうなずく。


「……皆さんもご存知だと思いますが、ドラゴンというのは複数のパーティが徒党を組んで討伐する相手です」


 なぜか皆がうんうんと頷く。

 ドラゴンって言ってもコイツは大して強くないグリーンドラゴンですよ?


「ドラゴンは強すぎるが故にお互いに命がけで戦います。だからたとえ討伐したとしても、その体はボロボロになっているのが常識です。ドラゴンは生命力が強いので、なかなか死なない事も素材がボロボロになるのを助長してしまう一因ですね」


「そうなんですか!?」


 思わず声が漏れてしまった。

 だってグリーンドラゴンだよ!?

 首を狩れば一発じゃない!?


「そうなんです。たまたま攻撃がそれた事で傷を負わなかった部位などが稀に採取できますが、そうした部位は非常に貴重です」


「確かに、良く見るとこのドラゴンの体、全然傷がついてないぞ」


「切り口以外はうろこもピカピカだ」


 なぜか冒険者さん達が口々にドラゴンの体が綺麗な事を誉めそやす。


「みろ、鱗の切断面を!! どうやって切ったらこんな滑らかな切り口になるんだ!?」


 いや普通に剣で切っただけなんですが。

 冒険者さん達がグリーンドラゴンの体に群がる。


もしかしてアレかな?

 実力者はグリーンドラゴン程度じゃ金にならないからって無視して、弱い冒険者さんが狙うから素材がボロボロになるのかな?

 うん、きっとそうだ。


「ですので、このグリーンドラゴンは全身がお宝になるわけです。ドラゴンに無駄な部位なしといわれますが、これはその中でも格別なんです」


 そこまで褒められると恥ずかしいですよ。

 所詮素人冒険者の狩りなんですから。

 今まで強い魔物とはいくらでも戦ってきましたけど、素材を確保する為の絶妙な加減をした戦い方なんて体験した事ないから。


 これはたまたま上手くいったんですよ。


「ですので、この素材を買い取るにはウチの支部では予算が足りません。一度王都に運んでオークションに掛ける必要があります。ですからレクスさん、このドラゴンは冒険者ギルドにお預け頂けませんか? 必ず適正な価格で販売致しますので」


 エルマさんは真剣な目で僕を見つめてくる。

 ええと、エルマさんみたいな美人な女の人にまっすぐ見つめられると恥ずかしいな。

 いけないいけない、相手は仕事で話してるんだから。ふざけてないでちゃんと答えないと。


「すみません、それは困ります」


「え!? 何が困るんですか!? オークションに出せば適正な価格で買い取って貰えるんですよ!? ぜったいものすごい金額になるんですよ!?」


 エルマさんはそういうけど、オークションに出すってことは、お金が入るまで時間がかかるって事だから。


「僕今文無しなんで、今売れないと宿代どころか夕飯も食べられないんですよ」


 成人の儀式が終わったら文字通り飛んできたから、お昼も食べてないんだよね。


「「「「なんだそりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」


 え? 皆なんでいっせいに突っ込んでくるの!?


「いやいや、すげぇ儲け話じゃねぇか! 売れよ! むしろ売れよ!」


「そうだぞ! ドラゴンなんだぞ!? 一生遊んで暮らせるんだぞ!?」


「売らないと絶対後悔するぞ!?」


 皆自分のことの様に僕の心配をしてくる。

 なんて良い人達なんだ。

 ちょっと目頭が熱くなってきた。


「でも本当にお金がないんで」


「ああもう! 今夜のメシ代と宿代くらい俺が貸してやるよ! お前さんなら明日にでもすぐ返せるだろ! だからこのドラゴンはオークションに出しちまえ!」


 そういってオーグさんは僕の手に銀貨を5枚握らせた。


「い、良いんですか!?」


「かまわねーから受け取れって!」


「あ、ありがとうございます!」


 オーグさんなんて良い人なんだ。

 あ、そうだ。


「あの、良かったらこのグリーンドラゴンの鱗を受け取ってください。お金を貸して貰ったお礼に」


 僕は魔法の袋から取り出したグリーンドラゴンの鱗のかけらを取り出す。

 これは首を切断した時に落ちた鱗の一部だけど、ドラゴンの鱗は大きいからそれなりの大きさになる。

 一応ドラゴンの鱗でもそれなりにお金になるらしいし。

 

「……マジで!?」


「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」


 何故か皆が驚きの声をあげる。

 そうだよね、グリーンドラゴンの鱗だもんなぁ。


「たいした物じゃありませんけど、それでもオーグさんにお礼がしたくて。ご迷惑なら仕舞いますが」


「いや貰う貰う! 超貰う! っていうか本当に貰って良いのか!?」


「こんなお礼しか出来なくてすみません」


 グリーンドラゴンの素材なのにオーグさんはうれしそうに小躍りするフリまでしている。

 本当いい人だなぁ。


「まじかよオーグの野郎!」


「うまくやりやがって!」


「やったやったどっらっごっんっのうろっこー! 武器にしようかな、防具にしようかなー!」


 いやー、さすがにそこまで喜んだフリをされると申し訳ないんですけど。


「よーっし!今日の晩飯はおじさんが奢ってやろう! 好きな物を頼め!!」


「え? 良いんですか!?」


「かまわんかまわん!」


 うわー、本当に良い人だなあ!


「よっしゃー! お前等オーグが奢ってくれるぞー!」


「よーっし! サイフをカラにしてやれー!」


「バカ野郎! お前等に奢るなんて言ってねぇよ!」


「ドラゴンの鱗を貰った祝いだ! 奢られてやるよー!」


「手前等ふざけんなー!」


 こうして、なし崩しに僕らは近くの酒場へと向かい、朝まで大騒ぎするのでした。

 冒険者って楽しいなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] >やったやったどっらっごっんっのうろっこー! お子様かっ!!! (いや別に悪いとは言ってない
[気になる点] 主人公が頭おかしすぎて読むのが辛い
2022/01/01 14:53 退会済み
管理
[一言] ドラゴンというのは複数のパーティが徒党を組んで討伐する相手です →ドラゴンと云うのは複数のパーティが討伐隊を組んでする相手です
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