第289話 肩凝りスッキリ?
作者_(:3)レ∠)_「肌寒くなってまいりました」
ヘルニーヾ(⌒(_'ω')_「というか夜の外は寒い」
ヘイフィー_:(´д`」∠):_「ヘルニアの薬もう飲まなくて大丈夫だよって先生に言われたんだけど、寒くなって来たからかふとももあたりがズキズキするんですけど。一応痛みがあった時用に出してもらった薬飲んどくかな……」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
あれから数日後、湯治を終えた僕達は王都へ帰って来た。
温泉街の冒険者ギルドに源泉の位置を伝えておいたので、今後源泉になにかトラブルが発生しても自分達で補修が出来ると領主様は喜んでいたとか。
おかげで事件解決の追加報酬として金貨300枚が支払われたんだ。
更に報酬とは別で宿泊費を全額子爵家が支払ってくれたのはラッキーだったね。
あと町の問題を解決したお礼に食事会に招待されたけれど、そちらは湯治に来ているという理由で辞退させて貰った。
ただしジャイロ君達はBランク昇格試験に関係あるので強制参加との事。
ただ事件を解決した事が町中に広がってしまった為にノンビリ湯治とはいいがたくなっちゃったので、僕とリリエラさんだけ先に帰る事にしたんだ。
ジャイロ君達は王都までのイノルエ様の護衛もやらないといけないのでもう少し滞在すると言っていた。
で、王都に戻って来たわけなんだけど……
「あー、肩凝るわぁ~」
戻って来た頃は肩がスッキリして気分がいいと言っていたリリエラさんだったんだけど、暫くしたらもう肩凝りが再発してしまったみたいなんだ。
「温泉に入ってる間は良かったけどねぇ」
もしかしたらリリエラさんは肩凝りしやすい体質なのかもしれないね。
「最近美味しいモノを食べ過ぎたのもいけなかったかしらねぇ」
「あはは、さすがにそれは関係ないと思いますよ」
でもこうも肩凝りが大変なら、何か対策を取った方が良いかもね。
「じゃあ肩凝りが取れるマジックアイテムでも作りましょうか?」
「良いわねぇ、そんなのがあるなら是非……って作れるの!?」
「はい。こういうのは体質になるので、肩凝りが起きなくするのではなく、肩凝りをほぐす感じのアイテムになりますね。それでも良いですか?」
「是非お願いするわ! ちゃんとお金払うから!!」
リリエラさんはものすごい勢いで身を乗りだすと肩凝り解消用マジックアイテムの制作を頼んできた。
よっぽど肩凝りが辛かったんだなあ。
「分かりました。今は急ぎの仕事も無いですし、すぐに作りますね」
「やったー! これで肩凝りとはおさらばよー!」
あはは、そこまで喜んでもらえると僕も嬉しいなぁ。
「……って言うか、そんなの作れるならわざわざ温泉に行かなくてもマジックアイテムを作って貰えばよかったんじゃあ……ま、まぁ温泉も気持ちよかったし良いか。肌も綺麗になったしね」
そうやって肩凝り解消用マジックアイテムなどを作りながらノンビリ依頼をこなしていると、街中で温泉街から戻って来たジャイロ君達と再会したんだ。
「お帰り皆」
「やっと戻って来たぜ兄貴!」
「お疲れ様ですジャイロ様」
ところで何でジャイロ君の腕にイノルエ様がしがみ付いているんだろう?
王都に戻ってきたら依頼は達成なんじゃないの?
「あとはこの依頼達成の紙をギルドに提出すれば俺達も晴れてBランク冒険者だ!!」
「おめでとうございますジャイロ様!」
まぁ楽しそうだしそっとしておけばいいの……かな?
「ではさっそく二人きりで昇格祝いをしましょう!」
「うぇ!? ちょっ、ちょっと待てよ。まだギルドに書類を提出してねぇから昇格してねぇよ!」
グイグイ引っ張るイノルエ様に抵抗するジャイロ君。
うーん、温泉街に居る時も仲が良さそうだったけど、戻ってきたら更に仲良くなってる感じがするね。
どういう事だろうとミナさん達を見ると、三人はこちらの視線に気づいてため息を吐きながら肩を竦める。
どうやら僕達と別れた後で何か事件が起きたみたいだね。
でも仲良くなってるのなら問題ないのか?
「ちょっとおまちくださいませ!」
しかしそこで一人の女性が二人の前に立ちはだかる。
「お、お前はカラリナ!?」
あれ? ジャイロ君の知り合いかな?
「最初の試験官だった貴族令嬢」
こっそりとメグリさんがやって来た女性の事を教えてくれる。
そうか、この人がBランク昇格試験を最初に受け持っていた試験官なんだね。
「元々ジャイロさんの試験は私が受け持っていたんです! ですからお祝いするのは私が先です!」
なんだかよく分からない理由でジャイロ君の腕を掴み反対方向へ連れて行こうとするカラリナさん。
「何を仰っているのかしら? 貴女が余計な事をしたからジャイロ様は試験をやり直しになったのですよ。そんな貴女にジャイロ様をお祝いする資格なんてありませんわ!」
「あとからしゃしゃり出て来たくせに何を図々しい事を! ジャイロさんの実力を最初に見出したのは私ですよ!」
「いいえ、私です! それに私の領地はジャイロ様のお陰で存亡の危機から救われたのです。そのお礼もしないといけませんのよ」
「それはこないだしてもらったじゃん」
「まだお礼したりませんわ!」
二人の女の子がジャイロ君の両腕を引っ張り出す。
「ジャイロさんは私がお祝いするのです!」
「いいえ、私ですわ!」
「いい加減にしてくれぇー」
「あー、依頼達成の書類は私達が提出しておくから、アンタは安心して祝われてなさい」
「んじゃお疲れ」
「僕達はそのままに家に帰るのでお気遣いなく」
悲鳴をあげるジャイロ君を放って無情にもギルドに向かうミナさん達。
「ちょっ、お前等!?」
仲間達に見捨てられたジャイロ君が泣きそうな顔になる。
「ジャイロさんは私がお祝いするのです!」
「いいえ、私ですわ!」
「いい加減にしてくれぇー」
王都の大通りで、ジャイロ君の悲痛な悲鳴が響き渡る。
「……Bランク昇格おめでとうジャイロ君」
そんなジャイロ君に、僕は心からお祝いするのだった。
モフモフ_Σ(:3)レ∠)_「温泉秘塔編兼Bランク昇格編これにて完結!」
リリエラ(。・ω・。)ノ「何が酷いってこれジャイロ君はそのまま放置されてるのよねあ”あ”~マッサージマジックアイテム効くぅ~」
モフモフ_Σ(:3)レ∠)_「欠片も可哀そうに思っていない件。まぁ次の章になれば解放されるから。多分」
ジャイロ(´;ω;`)「今解放してくれー!」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると、作者がとても喜びます。
 




