第280話 水路の奥に待つ者達
作者ヽ(●^д^)ノ「作者ふっかーつ!!」
ヘルニー( ̄▽ ̄;)「まさか頭を怪我して縫う事になろうとは……」
ヘイフィー〆(´Д`; )「まぁ検査で頭に異常が無くて良かった」
作者_(:3 」∠)「昨日抜糸を終えたので、今日の最終チェックに問題なければ完治でございます」
ヘルニー٩(ˊᗜˋ*)و「そんな訳で一週間遅れだけど二度転生コミック第6巻が発売ですよー!(棒読み)」
ヘルフィー( ˙-˙ )「わーいめでたーい(棒読み)」
作者(´◉ᾥ◉`)「うぐぐ、怪我が無ければ先週の更新に合わせて宣伝する予定だったのに」
ヘルニー_(:3 」∠)「表紙にはあの白い丸が堂々デビューですよ!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
塔に異常がない事を確認した僕達は、水源を調査する為に枯れた水路を辿ることにした。
「皆、念のため解毒用のマジックアイテムを装備しておいてください。水路は密閉空間に近いですから何が起きるか分かりません」
「人が作った水路の中を通るんだろ? 洞窟の中よりも安全なんじゃね?」
「山の奥には毒の空気で充満した場所があるのよ。もし水路が壊れて外の空気が流れてきていたら、一巻の終わりよ」
「は、はーい」
リリエラさんに注意されたジャイロ君が青い顔で魔法の袋から解毒用マジックアイテムを取り出し装備する。
「じゃあ行こうか!」
「「「「「おおーっ!!」」」」」
◆
魔法の灯りを先行させて僕達は水路を進む。
幸い水路は大きく、人が一人余裕で入れる広さだ。
さすがに二人並んで進むのは無理だけどね。
先頭はメグリさん、今度こそ盗賊の仕事をすると張り切って先頭を志願したんだ。
「……なーんも出てこねぇなぁ」
水路を進み始めて暫くすると、ジャイロ君が退屈そうな声をあげる。
暗くて変化のない一本道だから猶更退屈に感じるんだろう。
「元々ただの水路だしねぇ」
うん、流石に水路の中に下手な罠を張るとは思えないしね。
と、そこでメグリさんが手を上げて皆に待ったをかける。
「何か来る!」
メグリさんが短剣を構えると、灯りの魔法の範囲ギリギリの位置に動くものが見えた。
「よーし行……」
「ふっ!!」
ジャイロ君がいざと気合を入れようとしたその時、メグリさんが矢のような速度で飛び出した。
そして姿を現した魔物を横一文字に切り裂いたんだ。
「ああー! 俺の出番ーっ!!」
「どのみちこの狭さじゃ二人並んで戦えないでしょ」
まぁそうだよね。一応魔法で援護は出来るけれど、味方に当たってしまう危険があるから使うなら補助魔法による援護の方が良いだろう。
「倒した」
メグリさんが片手を上げて僕達を招く。
「これは……毒持ちの魔物ですね」
倒された魔物を見たノルブさんが毒持ちの魔物であると判定する。
「温泉の水路なのに魔物が出てくるってのはどういう事かしらね?」
「源泉の辺りが地下水脈みたいな感じになっているのなら、枯れた水脈からやって来たのかもしれないわね」
ミナさんの疑問にリリエラさんが応える。
この辺り、以前ガンエイさんの遺跡探索の後始末として、地下洞窟を探索した時の経験が活きているんだろうね。
「ん、空気が動いてる」
僕らが魔物の侵入経路に関して話し合っていると、メグリさんが空気の流れを感じると声を上げた。
探査魔法によって鋭敏化した肌感覚に意識を集中すれば、確かに肌を撫でる空気の流れを感じる。
魔物の死体を回収してから少し進むと、水路の先に光が見えてくる。
「これは……」
「見事に穴が空いてるわね」
そう、たどり着いた僕達が見たのは、穴の空いた壁だったんだ。
人が立ったまま出入りするには小さいけれど、這って進めば出れない事もない感じだね。
「なるほど、魔物はここから入って来たのね」
「温泉が枯れた原因はこの穴なんでしょうか?」
ノルブさんが今回の事件はこの穴が原因なのかと声を上げる。
「いえ、違いますね。ここが原因ならお湯がここから流れ出ている筈です」
「あっ」
そう、ここにお湯の姿はなかった。と言う事は原因はもっと先にあるって事だ。
「でも壊れたのはつい最近みたい。破損した断面が風化してない」
メグリさんが穴を詳しく調べていたらしく、断面がつい最近壊れたものだと告げる。
「どうも何者かに破壊されたみたいですね。自然に崩れた壊れ方じゃないです」
僕も壁の壊れ方を見てそれが劣化によるものではないと判断する。
「って事は魔物か?」
「可能性は高いね」
「よし、もっと奥にいこうぜ!」
何者かの干渉があった事を確認した僕達は、更に先を目指して進む事にした。
◆
「ここまでに壊れていた場所は三か所か」
あれから僕達は複数の穴を発見していた。
そして魔物とも何度か戦闘する事になった。
幸いどれも大したことはなく、全部メグリさんが倒していたけど、おかげで出番のないジャイロ君はフラストレーションが溜まっているみたいだ。
「奥に行くたびに穴が大きくなっていたわね。何か意味があるのかしら?」
そしてミナさんの言う通り、穴は少しずつ大きくなっていっている。
何らかの意図を感じずにはいられない。
「空気が動いてる。次の穴が近い」
再び空気の流れを感じたメグリさんが僕達に注意を促した。
いつか壁に穴を空けた犯人と出くわすか分からないからね。
「なぁ、なんだか暑苦しくねぇか?」
と、ジャイロ君が襟元に指でスキマを開けながら不快感を口にする。
「確かに。ジメッとしますよね」
ノルブさんの言葉に、言われてみればじっとりとした空気を感じているなと気付く。
これはもしかして……
「見えて来たわ」
水路の先に光が見える。
けれど今回はそれだけじゃなかった。
小さくだけど、音が聞こえて来たんだ。
「あれ? 水が流れる音? いやアレは……!」
全員の歩みが早くなる。
そしてようやく光の中にある光景が認識できるまで近づいた僕達は、そこに目的のモノがある事に気付いたんだ。
「「「「「「お湯だぁー!!」」」」」」
そう、あれはお湯だ。外に流れる水から溢れる湯気は間違いなく熱を持っている証。
僕達はお湯の元までやって来ると、すぐさまそれが温泉なのか魔法で調査を行う。
「……間違いありません。温泉ですね。それも高濃度の薬効を持った」
「「「「「やったー!」」」」」
水質が明らかに普通のお湯でないという事は、これが目的の温泉のお湯で間違いないだろう。
「じゃあここを塞げば温泉が元に戻るのね!」
「よっしゃ依頼達成だな!」
ジャイロ君達が依頼達成だと喜びの声を上げる。
けれどそれにリリエラさんが待ったをかけた。
「ちょっと待って」
「どうしたんだよリリエラの姐さん?」
「姐さんじゃないっての。じゃなくて、いくら何でもお湯の量が少なすぎるわ」
「「「「あっ」」」」
その事を指摘されたジャイロ君達が言われてみればと流れ出るお湯に注目する。
「リリエラさんの言う通りですね。ここを塞いでも塔に流れる温泉の量は微々たるもの。それを更に町の温泉に分割するとなると、更に湯量は少なくなります」
「って事はもっと奥に行かないと駄目って事ね」
「んだよ、まだ進まなきゃいけねぇのかよ」
これで事件解決と思っていただけに、肩透かしを食らったジャイロ君達がため息を漏らす。
「でも温泉が枯れた訳じゃないと分かったのは収穫だよジャイロ君。この事実だけでも町の人達が喜ぶさ」
「でも源泉が枯れかけてたら?」
と、メグリさんが源泉が枯れていた場合はどうするんだと問いかけてくる。
「え? その時は魔法で地下水脈を弄って新しい源泉を引っ張ってきたらいいんじゃないですか?」
「「「「「……出来るの?」」」」」
「出来ますよ?」
まぁ地下水脈の形を変えるだけだから、大した手間でもないしね。
「「「「「出来ちゃうかー……」」」」」
けれど何故か皆は呆れる様な感じで肩を竦めたんだ。
はて? 地下水脈の類を弄る魔法は都市開発なんかじゃ珍しくないと思うけど?
ああ。冒険者で都市開発系の魔法を使えるのは珍しいって事かな?
僕の場合は知り合いの城塞都市設計者からどこに要塞を作ることになってもいいようにって教わることになったからなんだけどね。
でもそのおかげで僕達の拠点である屋敷には城塞都市設計の技術が盛り込まれてるんだけど。
あの屋敷は言ってみれば小さな城塞都市だからね。
大儀式魔法が直撃しても耐えられる自信があるよ。
まぁ材料が足りないから連発されたらちょっとマズいんだけどね。
◆
僕達は足元に絡むお湯を感じながら水路を進むと、次の穴へとたどり着いた。
「ここはさっきよりも流れ出るお湯の量が多いね。やっぱり奥に行くほど湯量が増えるみたいだ」
事実外に流れ出るお湯の量は先ほどの通路の時よりも多い。
「見て、外に温泉が出来てる!」
その声に外を見ると、地面の窪んだ場所にお湯が溜まり、小さな天然の温泉がいくつも出来ていたんだ。
「うぉっ、ホントだ。見ろよ、動物が温泉に入ってるぜ」
「やだ可愛い! 狐やタヌキかしら!?」
温泉に入って微睡んでいる動物達にミナさんが黄色い声をあげる。
温泉を見ると、それはよく見る岩の露天風呂とかではなく、地面に空いた小さな穴のような形をしている。
「成程、都合よく温泉が出来ていると思ったらそういう事か」
恐らく窪地に溜まったお湯の量じゃ満足できなくて、動物達が自分で穴を掘ってお湯を溜めたみたいだね。
「待った、アレ動物じゃない」
「え?」
「アレ、魔物」
「「うぇっ!?」」
メグリさんの言葉に温泉を見れば、確かにあれは魔物達だった。
と言っても大した魔物じゃない。山でよく見る動物と大差ない弱い魔物達ばかりだ。
「ホ、ホントですね。魔物が温泉に入ってます」
「魔物って温泉に入るんだぁ」
確かに温泉に入る魔物というのは僕も初めて見る光景だね。
「って言うかあの魔物達こっちに気付いてませんか?」
「マジか!? 来るならきやがれ!」
僕達の騒ぎが聞こえたんだろう。温泉に入っていた魔物達がこちらに視線を向ける。
けれど彼等は湯船から出て僕達を襲おうとはせず、それどころかプイッと顔を逸らしてより深く体を湯船に沈めたんだ。
「……おい、こねえのかよ?」
「完全にリラックスしてる」
「どうやら戦う気はないみたいだね。それに見て、同じ温泉に別種の魔物が争うことなく入ってる」
「ホントだ! 何で襲われないの!?」
魔物と言えど縄張りを持つ生き物。
人から見れば魔物と言う一つのくくりとして恐れるけど、実際には別の種族同士。縄張りを巡って争う事も珍しくはない。
それがここでは争うことなく、一緒に温泉を楽しんでいたんだ。
「……母から聞いたことがある。温泉がある土地の野生の生き物は、温泉の傍ではお互いに争わない暗黙の了解があるって。多分魔物もそうなんだと思う」
「そんな事ってあるの?」
メグリさんの話を聞いてもリリエラさんは半信半疑だ。
「案外その通りなのかもしれませんね。見てください、あっちの温泉なんか大型の魔物が入っていますしね」
小型の魔物達の奥、一見すると茶色い樹木か林と見紛うそれが身じろぎする。
「あれは……っ!?」
顔を上げてその正体を確認しようとしたミナさんの顔が驚愕に染まる。
「イ、イーヴィルボアじゃない!」
「「「げぇーっ!」」」
イーヴィルボア、それはかつてジャイロ君達を襲った巨大な猪の魔物だった。
人を見れば迷うことなく食い殺す為に襲ってくる筈のその魔物は、僕達を見ても攻撃することなく微睡んだ表情で温泉に浸かり続けている。
しかも湯船の中には子供のイーヴィルボアの姿もあるじゃないか。
子供がいるイーヴィルボアは殺気立っている事が多いから、驚くべき光景だ。
「動かない。本気で戦う気が無いんだ」
「信じられない、あのイーヴィルボアが……」
かつてイーヴィルボアに襲われたジャイロ君達はイーヴィルボアを見て逃げ腰だ。
今の皆ならイーヴィルボアなんて敵じゃないんだけどなぁ。
「あっ、もしかして通路の穴はイーヴィルボア達が噛みついた跡だったのかな?」
最初の内の穴は子供イーヴィルボアが噛みついた跡で、この辺りの穴は親が噛みついた跡なのかも。
「ジュルリ」
「こらモフモフ、食べに行こうとしない」
モフモフが涎を垂らしながらイーヴィルボアの下に向かおうとしたので、僕は首根っこを掴んで止める。
折角戦わずに済むんだ。余計な諍いは持ち込まないに限る。
「キュウ~ゥ」
モフモフは諦めきれないのか手足をバタバタと動かすので、僕は魔法の袋に入れておいたドラゴンの肉を与えて気を逸らす。
「キュウー!」
案の定、簡単にモフモフの注意を逸らせた。
「けどあの猪の親子、大きいけどちょっと可愛いわね」
「「「「え”っ!?」」」」
リリエラさんの言葉を聞いた皆が信じられないと言わんばかりの眼差しを彼女に向ける。
「だってほら、みんな目を細めて可愛いじゃない」
「う、うーん」
「まぁ言われてみれば……まぁ」
実際イーヴィルボアはけた外れに巨大な肉体こそもつものの、特別な能力は持たないからね。
「僕はちょっと、そう思えないですね……」
「あらノルブ君は動物が嫌いなの?」
「そ、そう言う訳では……」
ただ、イーヴィルボアが原因で危うく踏み潰されて死ぬところだったノルブさんだけは、リリエラさんの言葉を受けても賛同する事は出来ないようだった。
まぁ怖かっただろうしねぇ。
でも今のノルブさんの防御力なら、イーヴィルボアに踏まれても全然大丈夫なんだけどねぇ。
「皆、これを見て」
と、僕達が雑談に興じていた中、一人周辺の調査をしていたらしいメグリさんが大穴を指差す。
「これ、壊れた壁の断面。真新しい所と風化したところの二つの断面がある」
「それがどうしたんだよ?」
「つまり水路の一部はずっと昔に壊れてたって事」
「「「「「?」」」」」
けれどそれがどういう意味を持つか分からなかった僕達は首を傾げる。
「魔物が人里に現れないのは、山に渦巻く毒の空気だけが原因じゃないって事」
そこで僕はメグリさんが言いたい事に気付く。
「成る程、壊れた穴から溢れたお湯が偶然天然の露天風呂になった事で魔物達の保養地になっていた。だから魔物達は温泉の向こうにある人の町を襲いに行かなかったという事ですね」
「多分」
成程、確かに毒の空気だけじゃ魔物を防ぎきれるとは思えない。水路の中で襲ってきた魔物は毒に耐性のある毒持ちの魔物だったしね。
魔物自身が温泉の近くでの争いを避けていたのなら、人間達が襲われずに済む理由も説明できるってもんだよ。
さすがメグリさんだ。こんな僅かな穴の断面の違和感から真相を読み解くなんて盗賊の面目躍如だね!
「そんな事ってあるのねぇ」
「問題が解決したら、ここは完全に直さずに魔物達の温泉にもお湯が流れる様に改装した方がよさそうですね」
「そうね。戦わずに済むのならそれに越したことはないわ」
街が襲われない本当の理由を知った僕達は、すこしだけほっこりした気持ちで魔物達の楽園を後にしたんだ。
◆
「水の音が大きくなってきた。今度こそ当たりかも!」
水路を進むにつれて、大きな水音が聞こえてくる。
これは期待が持てるぞ!
そして光が見えた先、そこには大量のお湯が穴から外に溢れて出ていたんだ。
「「「「「「おおー!!」」」」」」
ここまでくるとちょっとした滝を見ている気分だね。
「こりゃスゲェ量のお湯だぜ!」
「ここを直せば依頼は達成ですね!」
ノルブさんの言う通り、ここを塞げば十分な量のお湯を塔に送る事が出来るだろう。
「ああ、やっぱり外は露天風呂になってるわね」
外を確認したリリエラさんが、やはりここにも露天風呂が出来ていると伝えてくる。
「魔物も居るわね。例によってこっちの事を認識しても襲ってくる様子は無いわ」
ここの魔物達も戦いよりも温泉を楽しむことを重視しているらしく、僕達に気付いても襲ってくる様子は無かった。
「うむむ、楽なんだけどモヤモヤするぜ……」
結局戦う機会がないままここまで来てしまった事で、ジャイロ君は不完全燃焼気味のようだね。
まぁ戦わずに済むならそれに越したことはないさ。
「でも凄い光景。塔の持ち主だった魔法使いもここを観光地を兼ねた温泉として人を呼べばよかったんじゃないかしら?」
「リリエラ、温泉の成分が強すぎる」
「あっ、そうだったわ」
折角のいいアイデアもこれでは使えないとリリエラさんが肩を竦める。
「そうですね。毒の空気はどうとでもなりますけど、温泉の成分は塔で調整する必要がありますからね」
「「「「「そっちの方が難しくない?」」」」」
いえ、そんな事はないですよ?
「ってちょっと待って。毒の空気って、もしかしてこの辺りの空気って……」
ミナさんが顔を青くしながら尋ねてくる。
「毒の空気なら最初の穴の辺りから漂ってた」
「「「「ひえぇーっ!!」」」」
流石盗賊のメグリさんは探査魔法でその辺りの違いにも気づいていたみたいだね。
「解毒のマジックアイテム付けててよかったぁ……」
「「「「うんうん」」」」
「おい、さっきから煩いぞお前等!」
と、そこで誰かの怒鳴り声が響いたんだ。
「全く、人がノンビリ温泉を楽しんでいたというのに」
ええ!? もしかして誰かここで湯治をしてたの!?
それに今気づいたけど、この声女の人の声だ!
うわわ、ここ、遮るものの何もない露天温泉だよ!?
うっかり大変なことになる前に早く場所を変えないと!
「す、すみませんでした。壁を直したら直ぐにここを離れますので」
「あーん、修理ぃ? ならサッサとしろ。これ以上煩くしたら殺すからな」
「は、はい!」
僕は急いで壁を直す為に魔法を発動させる。
けどミナさんがあれ? と声をあげる。
「え? あれ? ちょっと待って。ここって毒の空気で満ちてるんじゃなかったの?」
「え? それってマズくない!?」
それを聞いたリリエラさんが慌てだす。
んん? 何を慌てているんだろう? 別に解毒魔法か解毒のマジックアイテムがあれば問題ないと思うけど。
「それにここの温泉は効能の強すぎる源泉ですよ! 普通の人が入ったら大変な事になる筈です!」
「じゃあ、あの人このままだと死ぬ!?」
「お、おいアンタ! 今すぐここから避難しろ!! ここは毒の空気で一杯なんだぞ!」
「はぁ~? 毒の空気ぃ~? それがどうしたというのだ?」
慌てて避難を促し始めたジャイロ君達だったけれど、声の主はそれがどうしたとばかりに気だるげな返事をしてくる。
「全く、さっきから煩いガキ共だ。こんな弱い毒なぞこの私に効く訳が無かろう」
そう言ってザバリと水の音が響いたかと思うと、一つの人影が僕達の前に姿を現したんだ。
「え?」
「へ?」
「は?」
そこに現れたのは、黒鉄色の肌と銀の髪、背中からは黒い蝙蝠のような羽を生やし、額に冠のように角を頂いた人族ではない者の姿。
「「「魔人!?」」」
そう。魔人の……女の人だったんだ。
「「「キャァァァァァァァァッ!!」」」
「って何で男共が悲鳴を上げとるんだ!?」
いやだって、女の人の裸ですよっ!?
男衆(〃ノдノ)「テレテレ」
女魔人(゜Д゜)「乙女か!」
ミナ( ´ᾥ` ) 「ラッキースケベだとぅ……!?」
モフモフΣ(:3 」∠)「魔人の方がヒロイン力が高いw」
魔物達_(:3 」∠)「僕等も覗かれたんですけど」
モフモフΣ(:3 」∠)「野生を忘れた動物園達は黙ってなさい」
リリエラ (°ω°) 「え?」
モフモフΣ(:3 」∠)「え?」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。




