第265話 昇級試験
作者_(:3)レ∠)_「遂にアニメ系WEBチャンネルに契約してしまった」
ヘルニーヾ(⌒(_'ω')_「廃人まっしぐらー!」
作者_(:3)レ∠)_「どうしても見たい作品があったんや! サントラも買ったで!コミックもや!」
ヘイフィー(。・ω・。)ノ「放送局の都合で見れなかった番組やまた見たい番組も見れるようになったよー」
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「で、この技術は先ほどの技術の応用や増幅に使えるわけです」
今日も僕達は放課後を利用して魔法の勉強を行っていた……のだけど。
「成る程、その様な発想があったとは!」
「ううむ、目からウロコが落ちる様だ」
気が付いたら先生達も放課後授業に参加する様になっていたんだよね。
先生達から見ればこの程度は常識レベルの公式だと思うんだけど……
「いやぁ素晴らしい! まさか在野の魔法使いにこれ程の人材がいたとは! 君の師匠は相当に優秀な術者、いや研究者なのだね!」
「え、ええ。ちょっと偏屈な方でしたが」
事実前々世の師匠は変わり者だったからなぁ。
物凄く下らないことに熱中したかと思えば世界を揺るがす大発見をしておきながらどうでもよさそうにしてたりと、本当に自分が興味を持った事にしかやる気を見せない人だった。
「はははっ、えてして優れた者は変わり者が多いものだよ」
「「「「「分かる」」」」」キュウ」
待って、何で皆して僕を見て頷いているの?
ああでも、もしかしたら先生達は公式そのものじゃなく、僕の師匠の魔法概念の分析の仕方、つまり目の付け所に注目していたのかも。
成程、学園の教師ともなると目の付け所が違うなぁ。
「だがこれならAクラスは昇級試験も安泰だな」
「昇級……試験ですか?」
何それ? 学園でも冒険者みたいにランクアップ試験みたいなのがあるの?
「ああ、我が学園では上級学年への昇級試験だけでなく、上位クラスへの昇級試験があるんだ」
へぇ、二つも試験があるんだね。
「この試験に合格すると下位のクラスの生徒は上位のクラスへ昇級する事が出来るんだ。上位クラスに昇格すれば高度な魔法の知識を学ぶことが出来るし、学園を卒業後は高給を期待できる国の部署や高位貴族のお抱えにお声がかかるから、皆上に上がる事に必死だよ」
そっか、この学園は就職先の斡旋も行っているんだね。
だとすれば優秀な生徒はそれだけ良い勤め先を得られるのも当然だ。
「ただ負けた上位クラスの生徒は下位のクラスに降格となるから、上の生徒達も引き摺り落されないように必死さ」
うわぁ、シビアなシステムだなぁ。
この学園は予想以上に弱肉強食な校風だったみたいだよ。
「厳しいと思うかい?」
「ええまぁ」
「だがこれは生徒の質を保つため建国王と初代学園長が決めた制度なんだ」
「建国王がですか?」
この国の建国王と言えば、邪悪なドラゴンを討伐した事で名をあげ国を興したっていう伝説がある人なんだよね。
だから強い戦士=建国王のイメージがこの国では強いんだ。
「そうさ。当時は今よりも国の情勢が良くなかったからね。他国に舐められない為にも優れた術者を多く必要としていたんだよ」
確かに建国したばかりなら周辺国との諍いも多かっただろうね。それだけ力を求めていた理由も分かるというものだよ。
「それでどんな試験をするんですか?」
「ああ、試験自体は簡単なものだよ。的に攻撃魔法を放ち、その威力を測定するだけさ」
「それだけですか!?」
予想外に簡単な検査方法だったため、それだけで魔法の実力を測る事が出来るのかと困惑してしまった。
「それだけさ。何せ単純に威力の高い魔法は分かりやすい脅威だからね。敵陣に向けて強力な魔法を放てば、たとえ当たらずとも周囲の土地に大穴が開く。騎士団の様に厳しい規律で精神を鍛えられていない雑兵はその光景を見て浮足立つ。統率がとれていなければそれだけで逃げる兵も出てくるのさ。つまり強力な攻撃魔法とは、実際の戦果以上に抑止力として求められているんだよ」
成る程、確かに派手な見た目の魔法は使い勝手はともかく威嚇や示威行為の手段として有効だ。
それに破壊力が高いと言う事は当たれば戦局を一変させうる力にもなる。
そう考えると単純な威力を求める試験と言うのは、ごまかしの効かない地力を確認する事に通じているのかもね。
ただ、この学園は攻撃魔法が苦手な生徒に攻撃魔法を学ばせる為の学園なのに、攻撃魔法の威力を測るのはどうなんだろう?
……あ、そっか。この学園に通う生徒のなかには攻撃魔法を専門とする名家の子供も居るんだった。
親に認めて貰う為にも実力をアピールする場を求めるのは当然じゃないか。
それに性格的に攻撃魔法が苦手な子も、学園でメンタルの問題を克服すれば大きく化ける可能性が高いしね。
「でもそれだと優れた発想や戦術を構築できる生徒はあまり活躍できませんね」
そう、それだけは残念に感じたんだ。
生まれつき魔力が低くて攻撃魔法の威力に限界がある子でも、魔法開発の技術や魔法戦闘の発想がずば抜けている子もいたのだから。
「大丈夫。攻撃魔法の威力に劣る生徒は別の季節に行う試験で活躍するからね」
「あっ、そうなんですか?」
「ああ、そう言った資質を持つ生徒は、将来は軍の古代魔法の解明や魔法の戦術研究の分野で活躍する事になる。これは貴重な才能を持つ生徒を取りこぼさない様にとカークス前学園長が決めた事なんだ」
「お爺様が!?」
突然お爺さんの名前が出て来た事でミナさんが驚きの声を上げる。
「かつての学園は攻撃魔法の威力だけに注目しがちだったんだけど、冒険者として実戦経験豊富なカークス学園長から「攻撃魔法の威力なんぞ屋内ではなんの役にも立たんわい! お主等要人を刺客から守る為に山を吹き飛ばすような大魔法でも使うつもりか!? そんな事をしたら建物が崩れて全員生き埋めじゃぞ!」って説教をした事で、魔法技術や魔法研究に優れた生徒が活躍できる試験が採用されたのさ」
「「「「「「おおー」」」」」」
ミナさんのお爺さんの大活躍に皆から感心の声が漏れる。
「事実そのおかげで一族から落ちこぼれと爪弾きにされていた卒業生から、自分にも活躍の場が見つかって家族の態度が良くなったって感謝の手紙が送られてきた事もあるのさ」
「良い話ですねぇ」
実力が認められるって良い事だね。
「ああ、僕達も生徒に新しい活躍の場が生まれた事に喜んだもんさ。ただ……」
「ただ?」
「旧来通りの魔法の威力こそ魔法使いの本分と信じる一部の教師や生徒からは評判が悪い改革だったのも事実だよ。前学園長は味方も多いが敵も多いんだ」
ああ、俗にいう既得権益とかのいざこざだね。
新しい価値観が増えると、自分達の価値が下がると思ったんだろうなぁ。
それとも見下していた相手に追い抜かれるのを嫌ったのかな?
「と言う訳で君たちの活躍も期待しているよ!」
「え? 僕達もですか!?」
「ちょっと先生! 私達は仮入学でその内出て行くんだから試験に出る気なんてないわよ!?」
ミナさんの言う通り、僕達はあまり学園に長居する気はないんだけど!?
「ああ、それは聞いている。だがそれはそれとして、最近のたるんでいる生徒達に喝を入れて欲しいんだ」
「喝……ですか?」
「ああ、学園にさえ入れば卒業後は働き先に困らないと勘違いしてる生徒も少なくないのさ」
「あれ? でもさっきは昇級する為に必死だって言ってませんでした?」
そうそう、確かに言っていたよ。
「そうでない生徒も最近は増えてきてね。特に中途半端に出来る生徒程、真面目に昇級試験を受けたがらないんだよ。これは建国王の時代から時間が流れ過ぎた弊害だろうね。生徒やその親にとって、学園は力を磨く機関という認識から、就職で有利になる場所という考えに変わってきたんだよ」
あー、なまじ苦労せずもそれなりの成績を出せるから、向上心が育たないんだね。
前々世でもたまにいたなぁ、そう言う人。だいたい後で後悔する事になるんだよね。
「そんな訳で君達には期待しているよ!」
言いたい事を言い終えると、先生達は職員室に戻っていったのだった。
「攻撃魔法の威力を測るだけの試験かぁ……とりあえず極滅大魔法あたり放っておけばいいのかな?」
「「「「「「「「「絶対止めてーーーーっっっ!!」」」」」」」」」
ポツリと呟いた僕の言葉は、教室に居た生徒達全員の叫びによって止められたのだった。
じょ、冗談だよ。 幾らボクでも国家破壊規模の大魔法なんて使ったりしないからね、本当だよ。
レクス(ヾノ・∀・)「やんないよ。ホントホント」
リリ/ドラ/モフ/生徒:(;゛゜'ω゜')「うっそだぁー!!」
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