第04/01話 二度転生したジャイロは主人公になる?
作者_:(´д`」∠):_「日曜日にワクワクしてこの世で最も祝福された日とこの世で最も呪いにまみれた日とついでに次の日もセットで潰してきました」
ヘルニー_(:3)レ∠)_「寧ろ最近は6番目の日が世界で最も祝福された日だと思う」
ヘイフィー_(:3)レ∠)_「しれっとついでに潰された次の日が可哀そう」
作者_(:3)レ∠)_「あとエイプリルフールなので新連載始めました(本当です)。タイトルは『錬金術? いいえ、アイテム合成です! ~合成スキルでゴミの山から超アイテムを無限錬成!~』です!良かったら覗いてくださいませー。初日は朝昼夕で三話更新となります!」
ヘイフィー_(:3)レ∠)_「エイプリルフールなのに嘘ではないとはこれいかに……?」
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「うわぁぁぁぁっ!」
あの日俺は死んだ。
冒険の最中に予想外に強い魔物の襲撃を受けちまった。
まったく我ながら間抜けな死に方をしたもんだぜ。
何で自分が死んだと分かるのかって?
そりゃアレだ。
「バブー」
死んでから生き返ったからだ。
だがコイツは不幸中の幸いだぜ。
人間死んだら終わりだが、俺は何故か前世の記憶を持っているんだからな!
つまり俺の中にはレクスの兄貴に受けた特訓の記憶が残っ……のこっ……ぷるぷる……チョロロ……むりにのこってなくてもよかったんだぜ?
……い、いや残ってて良かった! 良かったんだ!
そうさ、今度の俺は兄貴から受け継いだ技をガキの頃から鍛えて最強の男になってやるんだ! 最強の冒険者ジャイロとしてな
おっしゃ動けるようになったら修行開始だぜーっ!!
「暴れ羊っぽい白い生き物だぁーっ!!」
「キュキューッ!!」
「ぐわあぁぁぁっ!!」
◆
そして俺は死んだ。
生まれて初めて家から出た瞬間、なんか白くて丸いのに吹っ飛ばされて。
ん? 何でそんな事が分かるんだって?
察しろよ。
「あぶぅ……」
はい、二度目です。
なんと俺は二度目の転生をする事になりました。
大丈夫? 俺実は呪われてたりしない?
などとビビったりもしたが、俺はくじけない。
前世の失敗は何もせずにノコノコ外の世界に出た事だ。
だから今度の俺はあらかじめ家の中で修行をする事にした。
具体的には魔法の練習だ。
兄貴に無詠唱魔法を習ったお陰で俺は呪文を唱えなくても魔法が使える。
それは言葉を喋れない赤ん坊にとってとんでもないアホバ……アド……そうアドバンテージだ!
と言う訳で飛行魔法!
「あ、あぶっ、あぶぅ!」
グオンと体が押し出されるように宙に浮く。
おっと危ねぇ、勢いが付き過ぎて天井にぶつかる所だった。
生まれ変わった事で体の感覚が変わってるのか、魔法の使い勝手が違うな。
だが感覚は掴んだ。
あとは魔法を使いまくって前々世の俺以上の魔法使いになってやるぜ!
へへっ、ミナより凄い魔法使いになっちまうかもな!
「キャァァァ! アナタ! 息子が! 私の赤ちゃんが浮いてるわぁぁぁぁ!!」
いっけね、母ちゃんに見つかった!
◆
そんな風に小さい頃は大人に魔法の練習をしてるところを見つかって騒がれちまったが、何年も一緒にいると家族も驚かなくなってきた。
あー、兄貴の親父さん達もこんな気持ちだったのかな?
ともあれ俺ももう15歳。つまり成人だ。
まぁ前の人生を含めれば30を超えちまってるけどな。
「つーわけで冒険者になって冒険してくるぜ親父、お袋ーっ!」
そして俺は再び冒険者になった。
そこからは事件の連続だった。
森の浅い領域に出た危険な魔物と戦う羽目になったり、面倒な貴族と決闘したり、何か女の子が襲われてるのをやたらと見かけては助けたり……あ、いや。コイツは前々世でもいつもやってたか。
そんな風に冒険を続けた俺はどんどん冒険者としてのランクをあげ、気が付けば見覚えのある連中によく似た仲間も出来た。
そしてとうとう俺は憧れのSランク冒険者に上り詰めたんだ!
「へへっ、遂にたどり着いたぜ、兄貴の世界によ!」
やっとだ、何度も転生してようやく俺は兄貴と同じ高みにたどり着いたんだ。
勿論今の俺が本当の意味で兄貴の高みにたどり着いたとは思っちゃいねぇ。
兄貴の強さは初めて逢った時からケタ違いだったからな。
「だからこそ、俺はアンタに追いつく、いや追い越すぜ!」
俺は決意を胸に冒険に出る。
Sランク冒険者になって初の冒険の舞台はSランク危険領域『白き厄災の地』!!
周囲を飛行魔法でも越えるのが困難な高い雪山に囲まれた未開の土地だ。
そこに住むのは全てがSランクの魔物。まさにこの世で最も危険な場所!
だが、だからこそ俺が兄貴を越えるには絶好の舞台って訳よ!
「ここからが俺の本当のスタート地点だ! どんな魔物でもかかってきやがれ!」
『キュキュ~~~~~ウ』
ズズゥ~~~~~ン!!
「おわぁぁぁぁっ!?」
突然世界中に響き渡るかのような雄叫びと共に地震のような地響きがあがった。
「な、何だぁ~!?」
それは山の向こうから現れた。
そいつにはねじくれた角が生えていた。
そいつは白かった。
そいつは丸かった。
そいつは、なにより巨大にも程があった。
なにしろ白き厄災の地を囲む大山脈よりも大きかったんだから。
「キュッ」
巨大な白い何かは足元に伸びる木の根を乗り越える程度の気軽さで山脈を越えようとして……
「キュギューッ!?」
「あっ、コケた」
そんでそのまま転がり始めた。
「ははっ、何だアイツ。体が丸すぎて止まれねぇじゃん」
滅茶苦茶デカいからってビビって損しちまったぜ。
「……ん? 止まれない?」
ふと俺は転がってるアイツの方を見る。
うん、こっちに向かって転がってきてるな。
しかも丸いから減速せずに凄い勢いだ。
このままだと俺達……
「潰されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」
このままだとヤバいと気づいた俺達は慌てて逃げ出した。
だが気付くのが遅かった。
既に奴はどうあっても逃げられない程近くに接近していたのだ。
ボフニュッ……
◆
「……モガァッ!?」
まず感じたのは息が苦しいという事だった。
あと視界が白い。真っ白だ。
顔面が何かに包まれている。
「モガッ!!」
俺は慌てて顔を包んでいる何かを引き剥がした。
その正体は……
「スピキュ~……」
兄貴のペットのモフモフだった。
「テメェかよ」
部屋を見回せばそこは見慣れた自分の部屋だった。
◆
「つー夢を見たんだよ」
と、朝食を食べながらジャイロ君が自分の見た夢の話を終えた。
「アンタが死んで転生ねぇ」
「でもその仲間が僕達に似ていたっていうのは面白いですね」
「プフフ、オチがモフモフなのが秀逸だった」
「って言うか最初に転生した時の死因もモフモフが原因よねそれ」
「っとだよ、コイツの所為で酷い夢を見たもんだぜ」
モフモフに乗っかられた所為で悪夢を見たとジャイロ君は不満げだ。
「大体都合のいい夢見過ぎなのよ。アンタがSランク冒険者になるとかさぁ。レクスじゃないんだから」
「別にいいだろ夢の話なんだしよ! それに俺はこの人生でSランク冒険者になる夢を実現させんだよ。なっ、兄貴!!」
「えっ? あ、うん。そうだね!」
突然ジャイロ君に話しかけられた事で僕はつい挙動不審になってしまった。
「どうかしたのかよ兄貴?」
「う、ううん、何でもないよ。頼まれていた依頼の事を考えていたんだ」
「そっか、兄貴はもう仕事を受けて来たんだな。んじゃ今日は俺達だけで依頼を探してくっかー」
……実のところ依頼はとっくに完成してたんだよね。
でも言えない。何で僕が驚いたのかを言う訳にはいかない。
「悪夢に悩まされてる依頼主から頼まれて作った『夢見が良くなる薬』を、うっかりジャイロ君に飲ませちゃったなんて口が裂けても言えないよね」
そっと予備の薬を手にした僕は、昨夜の事を誰にも明かさない事を心に誓って依頼主の下へ向かうのだった。
帰りにジャイロ君の好きなケーキでも買ってこようかな。
モフモフ_Σ(:3)レ∠)_「小僧は騙されたのだ。主役になれると言う夢になぁーっ!!」
ジャイロヾ(゜Д゜|||)「悪魔っ!!」
モフモフ_Σ(:3)レ∠)_「災厄です」
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