第255話 教員達の闇闘
作者(:3)∠)_「ご報告ーっ! お蔭さまで二度転生の累計PVが一億を越えましたー!」
ヘルニー(:3)∠)_「一億っ!? す、凄い!!」
ヘイフィー_(┐「ε;)_「これも皆さんの応援のお蔭です! ありがとうございます!!」
作者(:3)∠)_「これからもよろしくねーっ!!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
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◆クワントロー◆
「では彼等はAクラスに編入という事で」
「「「「……異議なし」」」」
前学園長の孫娘達の編入先は私のクラスに決定した。
「ふっ、最も優秀な私の意見が通るのは当然だな」
だがあの娘達を受け入れたのは私の生徒として育てる為ではない。
「あの前学園長の孫娘を私の育てた生徒達の手で踏みにじる事で、私の生徒の優秀さをゼンザールに見せつける為だ!」
前学園長には色々と苦労させられた。
あの男の破天荒な思い付きで私達教員は余計な苦労をいくつもしょい込まされたし、何より……
「あの無能を自分の後継者にした事だ!!」
そうだ、何故Aクラスを担当する程に優秀なこの私を学園長に任命しなかったのだ!
何故あのような大した能力もない男に学園の最高権力を与えたのだ!
「故に教えてやろう! 私こそが最も優れた教育者であると!!」
我がAクラスは幼い頃から英才教育を受けて来た天才達の集まり。
多少実戦経験があるくらいでその差が覆ることはない。
寧ろ学園という知を競う場にあっては、その地金を瞬く間に晒す事だろう。
「唯一気になるのは前学園長の孫娘が使っていた雷の魔法と最後の小僧が使っていた遺失魔法か」
アレは確かに私も気にはなった。
前学園長が教えたのかとも思ったが、あの男が使えるのならば我々が知っている筈だ。
あの男は手に入れた技術をひけらかす事を楽しんでいたからな。
「あの男が学園を辞めた後に開発したと考えるよりは、冒険者として活動している時に偶然手に入れたと考える方が自然か……」
恐らく前学園長の孫娘達は古代の遺跡なりを探索している最中にあれらの魔法について書かれた書物を手に入れたのだろう。
「だとすればそれ等の技術は我々が有効活用してやるべきだろうな」
どれだけ素晴らしい魔法であろうとも、たかが平民には過ぎた力だ。
幼い頃から基礎を学び、高い水準で魔法を使える我等が学べば、更に高度に使いこなす事が出来るだろう!
「その為にも彼には頑張ってもらわないとな」
我がAクラスの主席生徒であるトライトンならば、あの娘達に地力の差と言うものを教えてやれるだろう。
そして未熟者には過ぎた力だと魔法書を取り上げてしまえば良い。
「さすれば我が生徒達は更なる栄達を約束され、私こそが学園長に相応しいと他の教師達も認めざるを得まい!!」
見ていろよゼンザール、貴様が入学させた前学園長の孫娘がお前を学園長の椅子から引きずり下ろすのだ!!
「はははははっ、はーっはっはっはっはっ!!」
◆ゼンザール学園長◆
試験で圧倒的な実力を示したミナ君達は学園で最も能力の高い生徒を擁するAクラスに編入させる事となった。
ただ、最も反対するかと思ったAクラス担任であるクワントロー教師が賛成に回ったのは意外だった。
「とはいえ……」
Aクラスには優秀な者が多いが、その優秀さには理由がある。
彼等は高位貴族や豪商の子であり、その有り余る財力で幼い頃から魔法の英才教育を受けてきたのだ。
剣一本あればのし上がれる戦士と違い、貴重な書物や触媒を多く必要とする魔法を極めるに財力は必須。
更に優秀な教師を雇い入れるコネも重要となる。
そうした事情から、必然的に才能のある者より財力のある者の方が魔法を学ぶには圧倒的に有利なのである。
それゆえ、平民であるミナ君とその友人達を受け入れたのは予想外であった。
「Aクラスの生徒達は自らを選ばれた者として特権階級意識に浸ってしまっているのが悩みどころなのだよな……」
驕れる者はそれ以上の成長が難しい。
現に昨今のAクラス生徒は過去のAクラス生徒達に比べ、入学から卒業までの間の成長率が低くなっていた。
「ただ、それでもBクラス以下の生徒と比べれば実力差は圧倒的なのがな……」
苦言を呈したくとも彼等は学園の頂点に居続けている為、その言葉が届く事は無かった。
さらに言えば彼等を窘めないといけないクワントロー教師自身が、Aクラスの卒業生である事も特権階級に拍車をかけていた。
「先代の頃なら強引にテコ入れをしていたのだがなぁ」
ナギベルト前学園長は色々と破天荒な方だったからな。
苦労はさせられたが、それを認めざるを得ない実績をいくつも残されていた。
正に結果で証明すると言うヤツだ。
だが私は学園長に比べ魔法使いとしてそこまで優れていたわけでない。
どちらかと言えば事務方としての実力を認められて調整役である学園長に任命されたのだ。
それ故に魔法使いとしてのプライドが高い者達には私の指示に従わないものも少なくない。
さらに言えば、前学園長の頃は、今よりも魔法技術が成熟していなかったからこそ、数々の無茶を通せたと言える。
故にミナ君を学園に入学させると言う前学園長の話には多少なりとも期待していたのだが、まさか……
「まさか同行してきた全員があれ程の魔法の使い手だったとは」
ミナ君は言うに及ばず、彼女の友人達も単純な魔法の威力においてはAクラスに勝るとも劣らなかった。
あの子達なら、驕り高ぶったAクラスの生徒達の心に風穴を開けてくれると私は期待せずにはいられない。
「だがそんな事よりもだ!!」
私はあの少年が、いや彼の放った魔法が忘れられなかった。
最後に参加した少年、確かレクス君と言ったか。彼が放ったあの魔法、アレは一体なんなのだ!?
既存の魔法大系には当てはまらないあの奇妙な現象!
私の人生において、あんな魔法は見た事が無い! 類似する魔法すらもだ!
「アレは間違いなく遺失魔法。的が砕けるでも斬れるでも爆発するでもなく、吸い込まれるように消えた!! 一体どういう原理なのだ! 呪文! せめて呪文が聞ければ多少のヒントになったものを!! そして彼はどうやってあの魔法を覚えた? 考えられるのは代々遺失魔法を伝承してきた一族の末裔といったところか? いやいや断言は良くない。ミナ君達は冒険者、ならば冒険の最中に偶然あの魔法を手に入れた可能性もある! ミナ君は彼を優秀な魔法使いと言っていた。だとすれば彼の頭の中には他にも貴重な魔法の知識があるのではないか!? くぅぅ~!! 知りたい!! 早くあの魔法の事を知りたい!!」
正直言えば私が直接指導する事にして彼の魔法を間近に観察したかった。
だが他の教師達も考える事は同じ。
どの教師も彼を自分の教室に迎えるべきだと主張して憚らなかった。
と言うか全員興奮するあまり、危うく編入会議が彼の魔法に関する考察大会になりかけたほどだった。
軌道修正は本当に大変だった。自分の知的好奇心に蓋をするのが本当に大変だった!
「ああ、現役教師は良いなぁ! 私も一教師だったらなぁ!!」
私は教師達が去った会議室で一人、学園長の椅子を押し付けられた己が不幸を嘆くのだった。
学園長(*´Д`)「ハァハァ、未知の技術良いなぁ……」
教師陣(*´Д`)「ウヘヘヘ、研究したいぃぃぃ」
モフモフ(;゜Д゜)「シ、シーンの温度差に風邪を引きそうだ……おかしい、真面目な筈の教師陣が変態になっている。これ悪役の方がマトモなのでは……?」
クワントロー(; ・`д・´)「早く私が学園の実権を握らねば!!」
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