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二度転生した少年はSランク冒険者として平穏に過ごす ~前世が賢者で英雄だったボクは来世では地味に生きる~  作者: 十一屋 翠
聖都編

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第247話 番外編 魔法のかまくら

作者_(:З)∠)_「今日は二度転生8巻の発売日ですよー!」

ヘルニー└(┐Lε:)┘「ちな今回は書籍発売日に合わせた番外編です。聖地編が完結したらエピソードの配置を変える予定だよー!」

ヘイフィー「そして当方が執筆を担当した公式外伝NG騎士ラムネ&40FX上巻の電子書籍の予約が始まったよー! こちらもよろしくね!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さまの声援が作者の励みとなっております!

「吹雪いてきたなぁ」


 とある魔物の討伐依頼を受けた僕達は、北方の雪山にやって来ていた。

 依頼主である村長に話を聞くとその魔物はかなり知恵の回る魔物らしく、慎重に村外れの家や山に入る狩人を群れで狙う厄介な魔物なんだとか。


 そんなずる賢いヤツだけあって標的の魔物は僕達の追跡を何度もかわし、それどころか別の縄張りの魔物と何度も戦う羽目になってしまったんだ。

 それらの魔物は大した相手じゃなかったけど、それでも無駄な連戦はいい気分じゃない。

 しかもお目当ての魔物が見つからないでいるうちに雪が降り始め、遂には吹雪になってしまったんだ。


「今日はここでビバークをした方が良いね」


 何度も肩すかしを喰らった事で、皆もかなり疲れている。

 こんな状況で無理に村まで戻ろうとすれば、これ幸いとみんなが疲れるのを待っていた魔物に襲われかねない。

 だから僕はここで夜を過ごす事を提案した。


「でもこんな場所で休憩したらあっという間に凍え死んじゃうわよ? 一旦村に戻った方がよくない?」


 と、ミナさんが体を震わせて戻る事を提案してくる。


「いえ、かまくらを作るので大丈夫ですよ」


「かまくら?」


「ええ、ちょっと待っててくださいね。スノーコントロール!」


 僕は魔法で周囲の雪をかき集めて小山を作る。

 

「スノーコンプレッション!」


 更に小山に圧縮魔法をかける事で凝縮して硬い雪の塊を創り出した。


「スノートンネル!」


 そして掘削魔法で小山に穴をあけると、あっというまに簡易かまくらが完成した。


「皆、この中に入って」


 かまくらの中に入ると、風の影響がないお陰でかなり温かく感じる。


「おー、暖かい!」


 とはいえ、気温はかなり低いままだから、依然凍死の危険は残ったままだ。


「テンパチャーコントロール!」


 そこで気温操作魔法を使うことで錯覚じゃなく本当にかまくら内部の温度をあげてゆく。


「おおっ! 暖ったけぇ!!」


 ただこのままだとかまくらが熱で溶けちゃうから、状態保存魔法をかけて溶けない様にする。


「僕はかまくらの周囲に壁を作って風が入ってこないようにするから、皆は食事の準備をよろしくね」


「「「「「はーい!」」」」」


 皆に食事の用意を任せると、僕はかまくらの外に出る。


「さて、普通ならただ壁を作るだけで良いんだけど、標的の魔物はまだ見つかってないんだよね」


 相手はずる賢い魔物と聞いている。となると向こうは僕達の存在にとっくに気付いていて、こちらが油断する瞬間をじっと見張っていることだろう。


「そう考えると、可能な限り頑丈に作っておいた方が良いね」


 僕はかまくらとその周囲に現状出来うる考えつく限りの対策を施していく。


「うん、こんなものかな」


「レクスさーん、ご飯が出来たわよー」


 ようやく納得のいくかまくらが出来たところで、タイミング良くリリエラさんから声がかかった。


「はーい!」


 さぁ魔物共、いつでも来い! こっちは準備万端だぞ!


 ◆


 そして翌朝。


「結局来なかったなぁ」


 寝ている間に魔物が来ても大丈夫なように警報魔法もかけておいたんだけど、ついぞ魔物がやって来ることはなかった。


「向こうは長期戦の構えなのかな?」


 僕達が討伐の為にやって来た事を考えると、向こうもそのつもりの可能性は高い。


「でもそれならそれでいいさ。活動拠点を作ったと思えばね」


 これなら村まで戻らなくても休息が取れるし、防衛戦にも使える。

 作って無駄と言う事にはならないだろう。


「あー、眠ぃ」


「んー、雪山を歩くのって意外と疲れるのね。ぐっすり眠っちゃってたわ」


 朝食の用意をしていると、皆も起きてくる。


「おはよう皆」


「おはよ、ちょっと冷たい空気を浴びて目を覚ましてくるわ」


「あー、俺も」


 皆は目覚ましがてらとかまくらの外に出て行く。すると……


「「「「「なんだこれぇーっっ!?」」」」」


 突然何かに驚く声が聞こえてきたんだ。


「どうしたの皆!?」


 もしかして魔物の襲撃!?

 まさか警戒魔法をすり抜けてきた!?

 慌てて外に飛び出した僕だったけど、周囲に魔物らしき存在の姿はなかった。


「あれ?」 


 皆は一体何に驚いたのかと視線を向ければ、何故か皆はかまくらの方を向きながら驚いた顔で固まっていたんだ。


「皆どうしたの?」


 僕が声をかけると、皆はギギギッと油の切れたマジックアイテムみたいな動きをしながらこっちに顔を向ける。


「「「「「どうしたのじゃなぁーい!!」」」」」


「えっ?」


「なにこれ!? 何でこんなところにお城が建ってるの!?」


 ああ、皆が驚いたのはかまくらの事だったのか。

 そう言えばデザインについては何も言わなかったもんね。


「これは城じゃなくてかまくらですよ」


「「「「「これが!?」」」」」


「あの、城壁が出来てるんですけど……」


「風を防ぐことと魔物の襲撃を兼ねて少し高めに作っておいたんです。壁は圧縮魔法と防御魔法の重ねがけで鉄よりも固くなっていますよ」


「防御魔法って、頑丈とか言うレベルですか?」


「何か凄く上の方にまで建ってるんだけど」


「魔物が壁を越えて襲ってきたときの為に上層階を作ることで避難場所の確保と上から攻撃を出来るようにしたんです」


「どうやって一人でこんなものを作ったの!?」


「かまくらを作った時の雪操作魔法と圧縮魔法それに状態保存魔法の重ねがけをすれば一人で簡単に作れますよ」


「デケェ!! 凄ぇデケェ!!」


 ジャイロ君はかまくらの大きさに大興奮だ。


「これで拠点も出来たので、魔物の追跡も楽になりますよ」


「あー……うん、そうね」


 何故かリリエラさんはガックリと肩を落としながら同意の声をあげた。

 一体どうしたんだろ?


 結果を言えば、その後お目当ての魔物は見つからなかった。

 というのも対象の魔物の群れは、僕達が捜索をしていた時に蹴散らした魔物の中に居たんだ。

 うーん、どうやらずる賢さに反比例して、実力は低い魔物だったみたいだね。


 ◆数百年後◆


「こちらがランガー領名物、氷の精霊王の城です」


 何十人もの人々を引き連れたガイドの男が、雪で出来た城の中を案内しながら説明を行う。


「この城は375年ほど前に突如として現れた雪で出来た城です。当時魔物に襲われて逃げ込んだ狩人が初めて発見したそうです。また城は雪で出来ているとは思えない程堅牢で、しかも中は春の日差しのように暖かくなっております」


「そんな昔に作られたのに何で残ってるの? 雪なんて春になったら溶けちゃうんじゃないの?」


 小さな子供が疑問を投げかけると、ガイドはよくぞ聞いてくれましたと笑みを浮かべる。


「それはですね、この城全体に状態保存の魔法がかけられていたからなんです。この魔法がかけられると、物は老朽化せず、雪も簡単には溶けなくなるんですよ」


「へー、そうなんだ」


「あれ? でもおかしくないか? 状態保存魔法が発明されたのは200年前だろ?」


 子供が納得するのと入れ替わりに、学生が魔法技術発達の時系列が合わない事に首を傾げる。


「ええ、状態保存魔法だけではありません。この雪の城には当時は存在しなかった魔法技術がいくつも使われているんです。城中が暖かい事も魔法のお蔭なんですよ。古い時代にはありえない技術によって作られたオーパーツである事から、この城を創り出したのは伝説の氷の精霊王ではないかと考えられるようになったのです」


 ガイドの説明によって、城の名づけの理由が明かされると、遠方からやって来た観光客達が感心の声を上げる。

 かつてレクスが冒険のついでに作ったかまくらは、遥か未来には観光地となっていたのだった……

鍋肉ヾ(⌒(_'ω')_「皮まで喰われていたら(依頼達成が)危ない所だった」

モフモフ_Σ(:З)∠)_「お前自身はもう危ないとかいうレベルを超えてるだろ(モグモグ)」


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― 新着の感想 ―
[一言] だがレクスがその時代にはすでに死んでいるとは一言も言っていない・・・
[一言] これまでレクスが他の人達に伝授したオーパーツ/オーバーテクノロジー的な凄まじい魔法技能の多くは、数百年後には失われているのだろうか? そうだとすれば正直ちょっと悲しい。そこで提案があります。…
[一言] 「◆数百年後◆」というパワーワードが眩しい。 レクスが前々世~前世での経験を活かして成し遂げた所業の多くは、精霊王どころか神の御業として後世の人々から信仰されているのだろう。 レクスの生涯…
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