第243話 主神の舞姫
作者_(:З)∠)_「更新ですよー!」
ヘルニー_(:З)∠)_「二度転生8巻は12月15日発売ですよー!」
ヘイフィー_(:З)∠)_「8巻では活躍の少なかったあのキャラやこのキャラの戦闘シーンが増えてますよー」
作者└(┐Lε:)┘「あと今週は分量少なめなので、月曜日にも更新あるよー!」
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◆夜神の司祭◆
「ど、どういう事だ……!?」
試練が始まった瞬間、我々は吹き飛ばされていた。
いや我々だけではない、他の神殿の者達もだ。
我等は代々受け継いできた試練の情報を使って試練を乗り越えてきた。
試練の詳細な情報を知り尽くした我等はよほどの間抜けでもない限り罠にかかる事など無くなっていた……筈だった。
「これではまるで別物ではないか……」
そう、別物だ。
試練の内容自体は同じだ。
しかし動きが全く違う。
恐ろしく速い、そして恐ろしく複雑になっている。
真っすぐ突き出す柱があると思えば、次に突き出す時はフェイントをかけてくる。
そう思ったら真横に居た同僚が真下から突き出した柱に吹き飛ばされた。
同じだが全くの別物、それが此度の試練から受けた印象だった。
正直私がまだ生き残っているのはたまたま事務仕事で毎日猫背で書類と顔を突き合わせていたお陰で紙一重で真上を通り過ぎた柱を避けれたからにすぎない。自分で言ってて悲しくなってきた。
だがこの攻撃を全て避け続ける事が出来るとは到底思えない。
私だけではなく、他の神殿の連中も迂闊に動けず亀の歩みだ。
こんな状態で此度の試練を勝利する事が出来る者など居るのか?
これでは全ての神殿が全滅してしまうのではないか?
そう思った時だった。
「お、おい、アレを見ろ!!」
一瞬注意を逸らす為の他の参加者の罠かと思ったが、この状況でそんな罠を仕掛ける余裕は向こうもないだろうと思いなおし、私は少しでも情報を手に入れる為に彼女(?)が指さした方向に視線を向けた。
そして信じられない光景を見てしまった。
「なっ!?」
そこには、この異常な速度で動く試練を何事もないかのように回避し、前へと進む一団の姿があったのだ。
「あれは……主神の神殿か!?」
そう、彼女らは主神の神殿の参加者だった。
彼女達の動きは凄まじかった。
迫りくる罠がまるですり抜けているかのように避けるのだ。
「あれは……本当に人間なのか?」
「幽霊ではないのか?」
そう言いたい気持ちは私にも理解できる。
だが穢れた死霊が聖地に入る事など出来ない。
であれば間違いなくアレは生きた人間だ。いやあの動きを見ては人間かどうかも怪しいが。
だが、その中でも一人異質な姿があった。
「なんという……」
「まるで舞っているかのようだ」
彼女達の最後尾を進む主神の司祭の娘は、全ての罠を紙一重でかいくぐっていた。
他の者達の無駄のない流れるような動きとは違う。
寧ろ真逆。だがそれは未熟故ではない、体全体を大きく揺らし、回るように動かしながら回避するその姿は、まるで踊っているかのようだった。
「主神の舞姫……」
誰かがため息を吐くように呟く。
だがその気持ちもまた理解できる。
それほどまでにあの舞は美しいのだ。
美しい、だがその美しさを私は……
「まるで消えてしまいそうな儚さだ……」
死者の安らぎをも司る夜神に仕える私は、その舞が肉体無き霊か精霊の踊りのようにも見えていた。
◆トレーシー◆
「し、死ぬぅーっ!!」
私は今、人生何度目かの死の恐怖に襲われていました。
「ひぅっ!?」
いえ本当に、ここ数日で何回死にそうになってるんでしょう私。
「はひっ!」
ちょっと最近人生の密度濃すぎじゃないですかね?
「ふなぁーっ!」
出来れば湖一杯の水で薄めたいくらいなんですけどーっ!
「おっとっと、こりゃ油断すると危ねぇな」
とか言って余裕で避けてるじゃないですかジャネットさぁーん!
「皆さん、難易度はそれほどでもないですけど、油断しないように確実に進んで行きましょう!」
「「「「「はーい!」」」」」
いやいや、全然それほどでもありますよコレ!?
そうツッコミたかった私ですが、とてもそんな事を言う余裕がないのでした……
◆フォカ◆
「お、おいフォカ、話と違わないか!?」
必死で試練の攻撃を回避している私に文句を言ってきたのはラミーズでした。
「そうっ、だな! 聞いていた話とは大違いなんだが!!」
そう言いつつラミーズもロディもかろうじて攻撃を回避できるのは流石Sランク冒険者ですね。
「だからと言って逃げる訳にもいくまい」
リソウは全てを回避する事こそできないものの、当たり所を調整してかろうじて吹き飛ばされない様にしています。
「だがまぁ、鍛錬としては悪くない」
「鍛錬にも程があるだろ。周りを見て見ろよ、殆どの連中が吹っ飛ばされちまってるぜ」
確かに私の同僚もリソウ達以外は殆ど吹き飛ばされてしまっています。
寧ろSランク冒険者を要する我が大地母神の神殿はかなりマシな状況でしょう。
「でも、あの子達は全員無事みたいですよ」
私の言葉に皆の目が先頭の集団に向きます。
「非常識なのはアイツだけだと思っていたんだがなぁ」
「仲間である以上、その非常識についていけるってことなんだろ」
「ふっ、だからこそ張り合う甲斐があると言うもの!!」
やはり彼等に依頼して良かったですね。
並みの実力者では、この状況を冷静に見過ぎて試練を踏破する事を諦めてしまった事でしょう。
ですが彼等は違う。
圧倒的不利な状況を冷静に理解しながら、それ以上の情熱をもって苦境を覆す策を模索する事が出来るSランク冒険者なのですから!
「ぐわぁーっ!」
「ラミィィィズッ!!」
……Sランク冒険者なんですから。
トレーシー _:(´ཀ`」 ∠):_「し、死ぬぅ……」
レクス_(:З)∠)_「大丈夫ですよ、魔物と違って命の危険はありませんから!」
ラミーズ _:(´ཀ`」 ∠):_「ゴフッ、そもそも俺、インドア派……」
ロディ└(┐Lε:)┘「死ぬな、ラミーズ!」
フォカ_(:З)∠)_「(大丈夫かなコイツ等……)」
モフモフΣ(:З)∠)_「ちなみにたまたま運よく当たらなかった連中と違い、実力で試練に耐えていたSランク連中はこの時代の人間としてはかなり凄いぞ」
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